檸檬 (小説)
「檸檬」(れもん)は、梶井基次郎による短編小説。1925年(大正14年)、中谷孝雄、外村繁らとの同人誌「青空」の創刊号の巻頭に掲載された。その後、梶井の友人である三好達治らの奔走により、亡くなる一年ほど前(1931年)に武蔵野書院より作品集として刊行された。梶井の代表的作品として知られる。
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[編集] 概説
この作品のもとになったのは現在「瀬山の話」と呼ばれる習作の中に現れる「檸檬」の挿話である。挿話として数回の改稿を経た後、独立した短編として発表された。その後、小林秀雄らに高く評価され、梶井自身が文壇に認められる作品となった。ただし、梶井自身は同人仲間に宛てた手紙の中でこの作品を「あまり魂が入っていない」と評している。また、梶井は同じような内容の詩も書いている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
[編集] あらすじ
肺を病んだ「私」は得体の知れない不安に始終苛まれ、それまで関心を持っていた音楽や詩、文具店の丸善への興味を失い、当てもなくさまよい歩く。
そんな折り、普段から気に入っていた寺町通の果物屋(京都市中京区「八百卯」・2009年1月25日閉店)の前で「私」はふと足を止める。そこには珍しく、レモンが並べてあったのだった。「私」は気に入ってそのレモンを一つ買ったが、肺病で熱を帯びた手にその果実の冷たさはちょうど良く、それまでの不安が幾分か和むのに気がつく。そしてそのまま、足が遠ざかっていた丸善に立ち寄るが、「私」はまた不安な気持ちにさせられる。
普段気に入って見ていた画集を見てもその気持ちが変わらないのに不満を覚えた「私」は、画集を積み上げたうえに時限爆弾に見立ててレモンを置いて立ち去る。その後「私」は、私を不安にさせた様々な物事が、爆弾に見立てたレモンによって爆破される様を思い浮かべて、一人興奮する。
[編集] 解釈
病人の心情や、人間の誰もが抱くいたずらな感情を描写した作品。梶井自身結核に冒されていた(後に結核により早世)こともあり、梶井の作品には本作のほかにも肺病の主人公の作品が多い。
なお当時の丸善は三条通・麩屋町付近にあった。また丸善・京都店(2005年10月閉店)にはレモンを置き去る人があとを絶たなかったといわれる。