エチレン

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エチレン
エチレン エチレン
識別情報
CAS登録番号 74-85-1
KEGG C06547
特性
化学式 C2H4
モル質量 28.0 g mol-1
外観 無色気体(常温常圧)
相対蒸気密度 0.98
融点

−169.2 °C

沸点

−104 °C

出典
ICSC
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

エチレン(ethylene、H2C=CH2IUPAC命名法では エテン (ethene) )とは、二重結合で結ばれた炭素2個を持つ炭化水素。もっとも単純なアルケンである。

かすかに甘い臭気を有する無色の気体で、強力な酸化剤と反応しやすく、また引火しやすい。

チーグラー・ナッタ触媒重合するとポリエチレンになる。反応性が高く、様々な化合物の原料として用いられている。例えばアセチレンはエチレンをハロゲンと反応させて1,2-ジハロエタンを作り、水酸化カリウムでハロエテン、水素化アルミニウムリチウムで還元して作られる。エタノールを 160–170 ℃ 程度で脱水して得ることも出来る(分子内脱水)。

ワッカー酸化により、アセトアルデヒドを生成する。

工業製品としてエチレンの2008年度日本国内生産量は 6,882,389 t、工業消費量は 2,797,858 t である[1]

工業的製法[編集]

工業的には、ナフサを主とする炭化水素を水蒸気と混合して800-900℃程度の高温で熱分解し、生成物を蒸留分離してエチレンを生産する。この生産設備はエチレンプラントと呼ばれ、石油化学工場の中核設備である。

植物におけるエチレン[編集]

植物においてはメチオニン→S-アデノシルメチオニン(SAM)→1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)→エチレンという経路を通して合成される。この過程では、SAMからACCへの合成にACC合成酵素が、ACCからエチレンの合成にACC酸化酵素が関与する。

植物ホルモンの1つでもある。一般的には生長を阻害し、花芽形成も抑制する。例えば、ジャガイモの場合、エチレンにより萌芽が抑制される性質がある。一方、パイナップルなど一部の植物では、エチレンにより花芽形成が促進される場合もある。

水が過剰に与えられたとき、エチレンにより根の細胞の一部にアポトーシスが誘発され、シュノーケルと同様の機能を持つエアチューブが形成される。

また、エチレンは果実の「色づき」「軟化」といった成熟にも関与している。これはエチレンがセルラーゼに関与し、細胞壁組織の破壊が誘導されるためと考えられている。また、バナナなどのクライマクテリック型の果実では一般に成熟直後に生成量のピークを示し、それ以後は逓減する。リンゴはエチレンガスを発生させるので、バナナの傍で保管すると、バナナの成熟が早く進む。リンゴとジャガイモを一緒に保存するとエチレンによりジャガイモの発芽が抑制され、また、リンゴとホウレンソウを一緒に保存するとホウレンソウがエチレンにより黄変してしまうといった性質がある[2]

リンゴのほかメロン洋ナシアボカドは特に多くエチレンを放出する[2]

さらに、エチレンは病原菌(カビ細菌など)の感染や組織が傷害を受けた時に生成され、これらに対する防御応答を誘導することが知られている。例えば、エチレンにより抗菌作用を持つタンパク質が誘導され、病原菌の感染が広がるのを防ぐといった防御機構が考えられている。また、エチレンは気体であるため、病害を受けた植物に隣接する他の植物に対しても作用し、防御応答を誘導すると考えられている。

エテンの二重結合[編集]

エテンの二重結合はσ(シグマ)結合とπ(パイ)結合からなる。sp2混成した電子が正面から結合し、σ結合を作る。また、混成していないp軌道の電子が側面から結合を作る事によって生じるのがπ結合である。σ結合は切れにくい強い結合であるのに対し、π結合は切れやすい結合である。エテンは二重結合を持つので、エタンのように炭素鎖を回転をすることは出来ない。そのため、1,2-ジクロロエチレンなどエチレン誘導体はシスートランス異性体を生じうる。

参照資料[編集]

  1. ^ 化学工業統計月報 - 経済産業省
  2. ^ a b 管野浩編 『雑学おもしろ事典』 p.32 日東書院 1991年


関連項目[編集]