リモネン

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リモネンの構造式

リモネン(limonene)は単環式モノテルペノイドの一種。化学式はC10H16、分子量は136.23。 天然にはd体、l体、d/l体の三種類が存在する。

概説[編集]

上記三種類のうち最も重要なものはd体で、柑橘類の果皮に多く含まれ、その香りを構成する物質の一つである。二重結合を二つ有し、酸化されやすい。l体はハッカ油に含まれ、d/l体はテレビン油等に含まれる。いずれも香料としての用途があり、合成も行われている。スチレンモノマー(単量体)と構造が似ているためスチロール樹脂(ポリスチレン)を溶解する性質があり、特に柑橘類から採取されるd体は発泡スチロールの安全な溶剤として注目されている。また、洗剤プラモデル接着剤にもこれを使ったものが登場している。

なお、d体は雄ラットに対する発癌性が報告されているが[1]、これはα2μ-グロブリンを生成する雄ラットのみに特異的に起こるもので、ヒトなど他の種では起こらないと考えられている[2]。 また、空気酸化を受けたd体には感作性も報告されているが、リモネンは感作性と刺激性を除けば毒性の低い物質であると評価されている[2]

d体[編集]

融点-74.35℃、沸点175.5-176℃。化学名は(R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン。CAS登録番号は5989-27-5。

l体[編集]

融点-74.35℃、沸点175.5-176℃。化学名は(S)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン。CAS登録番号は5989-54-8。

d/l体[編集]

別名としてジペンテンとも呼ばれる。融点-95.9℃、沸点175.5-176℃。化学名は1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン。CAS登録番号は138-86-3。

備考[編集]

TV番組『トリビアの泉』にて、「風船にミカンの汁をかけると割れる」の解説で、この現象がリモネンの溶解作用による事が紹介された。 なお、稀に混同されるが、ミカン科植物に含まれる苦味成分であるリモニン(limonin)は構造体の異なる別物質である。

脚注[編集]

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  1. ^ 食品・薬品安全性研究ニュース第41号
  2. ^ a b 国際簡潔評価文書 リモネン