リサイクル

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リサイクルのシンボル
ヨーロッパの空き回収器

リサイクル: recycle[1])とは再循環を指し、製品化された物を再資源化し、新たな製品の原料として利用することである。資源再生再資源化再生利用再生資源化等とも呼ばれる。同一種の製品に再循環できないタイプの再生利用についても広くリサイクルに位置付けられる。

リデュース(reduce、減量)、リユース(reuse、再使用(Returnable use、返却使用する))と共に3Rと呼ばれる。

概要[編集]

リサイクルは大きく、ケミカル/マテリアルリサイクル(素材としての再利用)とサーマルリサイクル(熱としての再利用)に区分される。

現代のリサイクルは、主に政治的・経済的目的のための「商標」としての役割が強く、現状としてはメーカーは赤字に転じることが多く、世間で認識されているほど行われていない[要出典]。また、全てのリサイクルが環境によいわけではなく、環境破壊型リサイクル[独自研究?]もあるために正しい見極めが大切である。

リサイクルの課題[編集]

リサイクルを行う際での課題として、回収時の不純物の問題、リサイクルを行う際にかかるエネルギーの問題、リサイクルを何度も行うことによる不純物の濃縮の問題などが挙げられる。

リサイクルの不純物
空き缶中の吸い殻、古紙中ラミネートなど、純度を下げるものが回収物の中に入ってしまい品質が落ちる。そのため、リサイクルのたびに不純物濃度が増加する。また有害物質が混入した場合、薄く広く拡散させてしまうことがある。例として「コバルト60」を参照のこと。
リサイクルのエネルギー
リサイクルすること自体にエネルギーがかかる。一度原料のレベルにまで分解するという過程を経るため、場合によっては焼却処分以上にコストとエネルギーを余計に使う場合もある。詳しくは「ライフサイクルアセスメント」を参照のこと。

リサイクルとエントロピー[編集]

リサイクルを考える上でエントロピーの考え方は欠かせない。リサイクルを行うという行為は全て、ゴミ(使い道のない=エントロピーの大きい状態)から資源(何にでも変われる可能性をもつ=エントロピーが小さい状態)に変える事である。エントロピーの大きい状態から小さい状態に変えるには外部からのエネルギー注入(エントロピーの増大化)が必須である。このエネルギーの注入(エントロピーの増加量)は非常に大きく、資源化のエントロピー減少量をはるかに超える。リサイクル行為は全体ではエントロピーを増大させる方向に向かう。言い換えれば、リサイクルという行為は全て環境負荷を与えるものであるといって過言ではない。これは、熱力学第二法則に基づく自然法則であり、リサイクルによる資源の完全循環は、永久機関の幻想に他ならない。

具体的には、プラスチックゴミ(使い道のない)のエントロピーを100とした場合、原油(プラスチックでも燃料でも何でも変われる)のエントロピーは小さい50だと考えられる。この50の減少化を達成するために、実際は外部のエントロピーを50から150に増やすエネルギー注入が行われているのである。

しかしながら、全てのリサイクルが環境破壊ではない。例えば、ボーキサイトからアルミの精錬は非常に大きなエントロピーの減少であり、製造されたアルミ缶のエントロピーはボーキサイトより小さいと考えられる。ゆえに、アルミ缶のリサイクルは手法を間違えなければ合理的なリサイクルである。また、人類が従来使用できなかったエントロピー、地球という系の外から降り注ぐエントロピーを用いる手段もある。外部注入エネルギーに太陽光エネルギーや地熱エネルギー、核エネルギーを用いることで全てのリサイクルは環境に優しい行為といえるのである。

リサイクルの種類[編集]

リサイクル品目[編集]

言葉がわからない旅行者にも、分別して投じてもらえるようピクトグラムで投入可能なゴミの種類を示すごみ箱シンガポールにて

ペットボトル[編集]

約20%が材料リサイクルされ他の製品の原料となっている(オープンリサイクル)。リサイクル本来の意味である「再循環」が行われるクローズドリサイクルはわずか1%にすぎない。詳細はペットボトル#リサイクルを参照。

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社会に蓄積された鉄鋼約12億6千万トンのが循環しており、転炉法と電炉法によりリサイクルが大規模に行われている。

紙・板紙[編集]

回収した古紙として再び紙の原料となりトイレットペーパー段ボール白板紙原料となる場合が多い。

同じ紙であっても、品質が高いものから低いものにされる場合、厳密にはリサイクルではなく、カスケード利用に分類される。牛乳パックはバージンパルプ(リサイクル素材を含まないパルプ)から作成されていて繊維の品質が高いものとして流通するが、回収された古紙はトイレットペーパー板紙といったものに加工されており、有効に利用されることが多い。野焼きは禁止されており、野焼きをすると放火罪として罰せられる。

用途に特化した紙が作られるようになるにつれ、感熱紙を始めとしてリサイクル上の問題となる禁忌品が増えており問題視されている。また、シュレッダーで処理された紙は、用途によってはパルプ繊維が切り刻まれているため再生には不利である。

Muelltrennung bei kirschbluetenfest.jpg

食用油[編集]

石鹸ディーゼルエンジン用燃料などに再利用される。

アルミ缶[編集]

アルミニウムは、地金を新造する際に「電気の缶詰」といわれるほど電気を消費するが、再精錬する場合には新造時の約3%のエネルギーしか電気を要しないためリサイクルの優等生と言われる。(純粋なアルミニウムを再精錬した時の理論値。別途、不純物除去のエネルギーが僅かに必要)

また、融解時には空気中の窒素と反応して窒化アルミニウムAlNとして一部が失われる。

2Al + N2 → 2AlN

この窒化物は融解時にるつぼの表面に浮かぶので捨てられるが、空気中の水分と徐々に反応してアンモニアを生じる。

AlN + 3H2O → Al(OH)3 + NH3

また、プルトップ部分は剛性を持たせるため、マグネシウムを加えた合金を使用している。そのためリサイクル時にはそれを酸化して除かねばならず無駄が生じる。

ガラス瓶[編集]

ガラスソーダ石灰ガラス)製の液体コンテナ(容器)の内、いわゆるリターナブル瓶はそのまま洗浄して再使用されるが、一方のワンウェイ瓶は破砕されリサイクルされる。この破砕されガラス原料に用いられるものをカレットと呼ぶ。

カレットはガラス原料から直接ガラスを製造するよりも材料としての純度が安定しており、またより少ないエネルギー量で瓶に加工できる。2005年では製造されるガラス瓶の90%以上がこのカレットを原料としており、再び社会で利用される。ただし瓶製造量に対してカレット原料としての回収率は60%前後であるため、より効率の良い(確実な)回収方法も求められている。

電池類[編集]

電池類におけるリサイクル対象は、マンガン乾電池・アルカリ乾電池、ボタン電池リチウム一次電池リチウムイオン二次電池ニッケル水素ニカド電池、自動車用バッテリーの7種類。リサイクルに出す際は、電池の種類に関係なくプラス極およびマイナス極をセロハンテープなどで貼り付けることで絶縁しておく必要がある。

小型家電[編集]

小型家電は、レアメタルやベースメタルなどの金属が多く含まれているため、それらの金属が再資源化されている。

建材類[編集]

廃瓦は、砕いて瓦チップなどに再利用される。古畳は、分解して藁として再利用される。廃石膏ボードは、石膏粉と紙に分離して再利用される。

家具類[編集]

布団は、中の綿がリサイクルコットンなどに再利用される。

リサイクルの流れ[編集]

  • カーブサイド・コレクション : 家庭から出るごみを、資源種類毎に分別して各戸の前にあるごみ集積場に置く方法。日本の資源分別収集制度を取り入れた米国に多いが、収集車が各戸の前を通るまではごみが往来の脇に置きっ放しとなるやや前時代的な制度で、回収頻度が少なかったり住宅密度が高くなると、歩道が置かれたごみに占領される事態となる事も多い。
  • DSDシステム : ドイツ1991年に開始された包装材リサイクル制度。従来はほとんど未分別のまままとめて廃棄される事が多かった多種多様な包装材を、予め分別区分を設定して各メーカーに容器の区分表示を徹底させた上で、民間企業として独立採算による(DSP社)が資源として回収・再生・各種工業原料として販売する。これにより大幅なごみの減量に成功していると共に、独立採算とする事で処分コストの大胆な切捨てを可能としている。
  • ウェスト・ピッカー:ごみ処分が成熟していない(野積み処理などを行う)国では、最終処分場において個人による有価物の収集が行われ、結果的にリサイクルの環の一翼を担う[2]

関連[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 英語の recycle は名詞の意味もあるが、基本的に動詞であり、名詞の意味では recycling とすることが多い。
  2. ^ Observations of Solid Waste Landfills in Developing Countries:Africa, Asia, and Latin America

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]