日本でのリサイクル

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江戸後期の長家の共同ゴミ捨て場(深川江戸資料館)
当時はほとんどの品物をリサイクルしており、欠けた陶磁器ぐらいしか捨てるものが無かった。それら陶磁器のゴミも干拓や道路の補強に利用された。

日本でのリサイクル(にほんでのリサイクル)では、日本におけるリサイクルについての説明を行う。

日本でのリサイクルの概要[編集]

循環型社会形成推進基本法には、「再生利用とは、循環資源の全部又は一部を原材料として利用すること」と定義されている。また法の中では、(マテリアル)リサイクルが自己目的化しないよう、リデュース(抑制)、リユース(再使用)の次にくるものとして位置づけられ、さらに(マテリアル)リサイクルに次ぐものとしてサーマルリサイクルが位置づけられている。これは、「大量消費-大量リサイクル」のシステムでは循環社会の目的に合致しないからである。

資源の有効な利用の促進に関する法律では、アルミ缶スチール缶ペットボトル製容器包装、プラスチック容器包装、小型二次電池塩化ビニル樹脂製建設資材については、リサイクル識別表示マークの表示を義務付け、製品が廃棄されたときに容易に分別収集して資源として再利用できるようになっている。

日本では古くからのリサイクルが行われているが、ほかにもぼろ布、アルミ缶、スチール缶、ガラス蛍光灯電池類、ペットボトルタイヤ、食用油などがリサイクルされている。

リサイクル品目[編集]

ペットボトル[編集]

年々回収率は上昇傾向にあり、2012年度における回収率[1]は、90.4%に上った[2]

うち、62%が国内においてリサイクルに回され、その他は輸出されている。リサイクルに回されたものの再資源化率は概ね80%であり、海外輸出分の再資源化量を推計し合計すると、リサイクル率[3]は、85%程度である。

約20%が材料リサイクルされ他の製品の原料となっている(オープンリサイクル)。リサイクル本来の意味である「再循環」が行われるクローズドリサイクルはわずか1%にすぎない。詳細はペットボトル#リサイクルを参照。

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社会に蓄積された鉄鋼約12億6千万トンの鉄が循環しており、転炉法と電炉法によりリサイクルが大規模に行われている。「日本の鉄鋼循環図」として、鉄のマテリアルフローが図で追いかけられる。また2005年度の日本のスチール缶リサイクル率は過去最高の88.7%となり、世界一を継続している。

紙・板紙[編集]

回収した古紙として再び紙の原料となりトイレットペーパー段ボール白板紙の原料となる場合が多いが、最近は新聞や雑誌を含む紙製品の多くに「この商品は再生紙を使用しています。(あるいは「しました。」)R=○○」という注釈が書かれている(R=古紙パルプ配合率)。

同じ紙であっても、品質が高いものから低いものにされる場合、厳密にはリサイクルではなく、カスケード利用に分類される。牛乳パックはバージンパルプ(リサイクル素材を含まないパルプ)から作成されていて繊維の品質が高いものとして流通するが、回収された古紙はトイレットペーパー板紙といったものに加工されており、有効に利用されることが多い。

用途に特化した紙が作られるようになるにつれ、感熱紙を始めとしてリサイクル上の問題となる禁忌品が増えており問題視されている。また、シュレッダーで処理された紙は、用途によってはパルプ繊維が切り刻まれているため再生には不利である。

日本の新聞紙は全体で800万 - 1000万部、割合にして1割前後が消費者へ流通されることなく販売店からそのままリサイクルにまわされる。古紙回収率が高い一因でもある。また、段ボールは器包装リサイクル法の除外であるが、リサイクル率は100%を超えている。これは海外からの梱包による持ち込み分が、日本のリサイクルルートにのるからである。また、古紙利用率自体も9割を超えている。ラミネート等リサイクルが困難なものもあるが、徐々に段ボールにもリサイクルマークが浸透してきている。

  • グリーン購入法においては白色度と古紙配合率70%以上の規定がある。政府や自治体が調達する紙物品を100%再生紙と指定していることが多いが、紙は100%古紙で生産し続けることは不可能であり用途によって配合率を決めることが望ましい。
  • 再生紙を作る工程において必要以上に石化エネルギーを消費している紙はトータルとして決して地球環境にいい商品とはいえない。最近では紙を作るために熱帯雨林や天然林を伐採することなく、遊休牧地や荒廃地にユーカリ・アカシアを植林したものをチップ輸入してパルプから作られた紙が大半を占める。このような管理された持続可能な森林から生産された木材チップを使用したバージンパルプから作られた紙についても、グリーン購入ネットワークでは「印刷・情報用紙」ガイドラインに明記している。
  • 中国などにおける需要増による古紙の高騰、脱色工程の手間と設備コストなどにより、バージンパルプ紙と同様に使用可能な高品質の再生紙の製造はメーカーにとって負担が大きいが、そうした事情が消費者に十分理解されているとは言い難く、販売価格に上乗せする事も容易ではない。2008年初頭には、多くの大手製紙メーカーが再生紙の古紙配合率を偽装表示していた事が発覚し、「リサイクルの優等生」と言われていた古紙リサイクルの構造的な問題が浮き彫りとなっている。

布(衣料品)[編集]

衣料品の場合は再利用(古着として)されることが広く行われてきた。兄弟、親子間での再利用や、近所、親戚、コミュニティなどでリユースされるパターンがある。また、バザーフリーマーケットなどで販売するというパターンもある。

そのような手段がない場合、あるいは再利用に耐えられない品質の衣料品については、古布として回収される。回収された布は選別された後、ウエス(工業用の雑巾)やフェルト、自動車のクッション材などに利用される。選別後まだ衣料品として利用可能なものは古着として再利用される。古着として再利用される場合には、リサイクル団体が販売したり輸出されたりする。

現在、中国への再利用衣料品の輸出は認められていない。医療用衣料品などに付着してくる細菌ウィルスなどが一緒に持ち込まれないようにするためである。

食用油[編集]

石鹸ディーゼルエンジン用燃料などに再利用される。一部自治体や事業者ではリサイクルにより製造されたディーゼルエンジン用燃料によってバスを運行している。詳しくは「バイオディーゼル 」を参照のこと。

アルミ缶[編集]

アルミニウムで造られるアルミ缶は広く流通しており、かつ収集も容易なことから広くリサイクルのルートが整備されており、2012年度のアルミ缶リサイクル率は94.7%である[4]

インクカートリッジ[編集]

プリンター複合機含む)用のインクカートリッジについても、家電量販店などにカートリッジをリサイクルするための回収ボックスが設置されている。これらはもともとは純正品のメーカー(CanonやEPSONなど)の回収ボックスのみであったが、近年は独自の回収ボックスを設置し、回収されたカートリッジにインクを再充填するなどしていわゆる「リサイクルインクカートリッジ」などとして販売する業者も現れている。なお、それらの業者は無論純正品のメーカーから許諾を得て販売しているわけではないため、純正品メーカーがそのようなカートリッジを回収して再充填して販売する行為が特許侵害にあたるとしてリサイクル品製造・販売メーカーとの裁判となったケースもある。

2008年4月8日からインクジェットプリンターメーカ6社が日本各地の郵便局3,638局に共同回収箱を設けて回収しリサイクルを始めた[5][6]。回収箱の設置局は順次増やし、さらに郵便局以外の場所にも拡大する。回収されたカートリッジはまとめてゆうパック長野県諏訪市の「エプソンミズベ湖畔工場」に送られ、メーカーごとに仕分けされ、その後各メーカーに送られ再生(リサイクル)される。これは「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」と呼ばれる。[7][8]

ガラス瓶[編集]

日本ガラスびん協会は、誰でも使える開放型のリターナブル瓶Rびんと認定している。Rびんのデザイン(設計図)は開放されていて、識別マークとして瓶の底や肩部にRマークが刻印されている[9]

生活協同組合(生協)の一部が、規格統一したRびんを複数の生産者が使用し生協が回収再利用するびん再使用ネットワーク1994年に設立した。2005年度までに累計回収本数は1億本を超え、累計回収ビン重量は33,477トンに達した。これを地方自治体の回収費用に換算すると約20億円の税金を節約したことに相当する[10]。輸送コストを低減する超軽量びんでできているRびんや、ペットボトルに置き換わる携帯可能なリターナブル瓶Rドロップス[11]を開発している。びん再使用ネットワークに参加している生協は、現在、生活クラブ生協連合会パルシステム連合会東都生協グリーンコープ連合生協連合会きらり新潟県総合生協である。

また、リターナブル瓶以外の、砕いてカレットとすることでガラス原料として再利用されるワンウェイ瓶に関しては、瓶入りの物品を販売している事業者が独自に回収するものの他、分別収集など一般家庭から排出されているものを効率よく回収するシステムも構築されており、ガラス瓶原料の7割以上がこのカレットを使用している[12]

リサイクルの流れ[編集]

沼津方式
家庭から出るゴミを、住民自治会の管理するごみ集積場に、予め分別させて収集することで、家庭よりの資源回収率向上と、回収後の分別コスト低減を目指した制度。住民の協力が不可欠である。
大阪方式
家電品のリサイクルを家電リサイクル法ではなく、廃棄物処理法に基づいてリサイクルする方式。既存のリサイクル事業者を活用することにより、家電メーカーのリサイクル料金より安い料金でリサイクルが可能であるため、消費者の「お得」意識に訴える事で、違法な使用済み家電の投棄を減らす効果が期待されている。
平塚方式日立方式
資源ごみ回収に、民間企業を参入させる事で、資源の有効回収と処分コストの低減を目指した制度。
高知方式
資源種別ごとに個別の収集車を用意、集団走行でごみ集積場を回りながら、その場で分別収集する事で、回収後の分別コスト低減を目指した制度。

問題[編集]

  • ライフサイクルアセスメント(LCA)、資源環境を考えた場合に、ペットボトル、紙、発泡スチロールトレイなどをどうするべきか意見が分かれている。
  • 廃棄物をリサイクルする場合、材料となる廃棄物を運搬する場合には「廃棄物運搬業」の許可を、廃棄物を加工する場合には「廃棄物処理業」の許可を、それぞれ都道府県知事などから得る必要がある。一見、リサイクルを阻害する制度に見えるが、悪意を持った業者が素材収集の名の下に堂々と不法投棄を行うことが予見できるため、容易に規制緩和ができない状態となっている。
  • 近年では工業製品において「質量比○○%のリサイクルが可能」という謳い文句が多いが、機械製品を構成する金属類は比重が重いものが多いため、比重が軽く、体積比ではFRPを初めとした混合樹脂製品などがリサイクルできず大量に廃棄されていたが、近年ではFRPもリサイクルされるようになってきた。また金属に限らず、物を再生する際は不純物の選別や精錬作業に多大なエネルギーと上水が必要となる。それらを鑑みても、リサイクルは3Rの根幹であるリユースリデュースと並行して取り組むことが必要である。
  • 日本製紙は古紙100%配合紙を廃止し、古紙の配合率を下げた製品に切り替えると2007年4月に発表[13]。これは100%配合をするためには化石由来燃料をより多く使う必要があり、CO2削減の観点から望ましくないとしたものである。
  • リサイクルされるかという大きなポイントは、リサイクルした時に儲けが出るか否かである。従って、「微価物・無価物の輸送費」を少なくしないと、廃棄にまわってしまう。金属など希少資源が高騰すると、いままで廃棄にまわっていた質の悪い資源も、もとがとれるようになり、リサイクルにまわるようになる。
  • 家電販売店において、テレビや冷蔵庫の回収に際して消費者へリサイクル費用を請求しながら、実際はリサイクルへ回さずに不正輸出会社等へ売却することにより、二重の益を得、また地球的汚染となる事例が発生している。

関連法規[編集]

法規(通称など) 概要 施行
循環型社会形成推進基本法 リサイクルと廃棄物に関する基本的な枠組み 2001年1月
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理CD) 2001年4月
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法) 容器包装(ガラス製容器、ペットボトルなど)の製造事業者などへの、リサイクルの義務付け 2000年4月
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法) 家電製品エア・コンディショナーテレビ冷蔵庫洗濯機)(2004年4月1日から冷凍庫)の製造・販売事業者への、回収やリサイクルの義務付け 2001年4月
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建築資材リサイクル法) 建設工事の受注者などへの、建設系産業廃棄物のリサイクルなどの義務付け 2002年5月
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法) 食品の製造・販売事業者への残渣発生抑制やリサイクルの義務付け 2001年5月
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン製品利用促進法、グリーン購入法) 再生品などの購入の促進 2001年4月
使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法) 自動車製造業者への使用済み自動車のリサイクルの義務付け 2005年1月

注釈・出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]