電子辞書

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電子辞書(でんしじしょ)は、CD-ROMフラッシュメモリなどの物理的な媒体やネットワーク上に保存されている辞書事典の内容を、コンピュータによって検索・表示などを行う装置またはソフトウェアの総称。その指し示す範囲は広範だが、携帯型の専用装置(後述)を指すことも多い。

特徴としては、紙の辞書に比べて高速な検索ができるほか、全文検索や部分一致検索など、多様な検索ができる。かな漢字変換に連動する機能として実装する例もある。

目次

[編集] 規格

いわゆる電子辞書のフォーマットにはいくつかの規格がある。

など。

それぞれのメーカーごとの独自規格の場合、互換性は無いが、たとえばEPWINGのような汎用性の高い規格で作られた辞書データは、複数の辞書を一度の操作で"串刺し検索"することもできる。

[編集] ソフトウェア的分類

[編集] 収録範囲からの分類

フルコンテンツ
書籍版辞書の内容をすべて収録しているもの。ローカル型(後述)では基本的にこのタイプ。
スタンダード型
書籍版辞書の一部だけを収録したタイプ。画像類は無論のこと、一般的に使用しない項目を削除し、軽量化している。また、一部の専用装置型(後述)では、書籍版辞書にある家系図や表などを、取扱説明書内に記載している。専用装置型においてはメモリ容量を節約するため多く採用されたが、メモリの低価格化によって減少しつつあり、フルコンテンツと分けるべき時代はもうすぐ終わる、との指摘もある。また、オンライン型の無料版ではこの形式で公開しているものも多い。

[編集] 収録内容からの分類

この分類は専用装置型を基本としている。2007年現在、専用装置型では基本的には内容の追加・変更ができないものが多いため、メーカーは収録する辞書のセットによって特徴を出している。この分野の成長は日進月歩であり、分類は一時的な切り取り方に過ぎない。

汎用型
国語辞典・英和辞典・医学事典・冠婚葬祭事典・外国旅行会話集などの実用的なコンテンツを選んだタイプ。「家庭に一台」というコンセプトで販売される場合がある。最近では収録コンテンツ数が増加し(特にカシオ計算機シャープ)、2007年現在は100コンテンツ収録モデルが主流。
英語重視型
英和辞典・和英辞典・英英辞典などのコンテンツを重視。大規模英和辞典をフルコンテンツ収録している場合が多い。英会話学習や、ビジネスマンが業務で使用するために購入することを想定している。高校生・大学生の勉強用などに購入される例も多く、また、上位機種は研究者にも重宝がられるレベルに達している。一部機種では単語やフレーズの発音を音声データとして収録している。英語のコーパスを搭載したものも存在する。
国語重視型
国語・古文の学習・研究目的のために、古語辞典などを収録している。ただし漢和辞典文字コードの問題から、研究者が使用できるレベルのものは皆無と言われる。
高校学習・大学受験対策型
英単語集・英熟語集や「暗記本」など高校生の日常学習と試験対策を重視している。古語辞典や日本史・世界史事典を収録したものも多い。国語辞典や英和辞典を複数収録したものもある。理数系科目についても、用語事典や公式集などを収録。また学習効果を得るために単語帳機能などの暗記を促進するための機能を持つものも見られる。英語ではデジタルオーディオプレーヤー機能でリスニング学習をこなす機種も見られる。
外国語重視型
2007年現在、中国語韓国語ドイツ語フランス語イタリア語スペイン語の電子辞書が発売されている。外国語学習者や現地に駐在する会社員に役立つ。これらの一部モデルにも、発音機能と手書き入力ができる。また、これらには英語系、国語系などの辞書も収録している。一部機種には他の言語や各種辞書の追加が可能。(CD-ROMとデータカード)
医学重視型
カシオ計算機、セイコーから発売されている医学電子辞書。主に医師看護師薬剤師、医学生に利用され、基礎医学、臨床医学に役立つ用語が豊富に収録されている。医学系辞書が5冊分収録されている。この電子辞書も医学以外にも英語系、国語系、英会話などの辞書も収録されている。

[編集] 媒体による分類

媒体、もしくは情報の保存場所による分類。

ローカル型
CD-ROMDVD-ROMなどの媒体に辞書データと閲覧ソフトを収録して配布し、利用者が個別にコンピュータで使用するタイプ。使用時にメディアを必要とするタイプと、予めハードディスクなどにインストールするため検索時には配布メディアは必要ないタイプがある。百科事典などの、図版を多用したり記述が膨大であることなどから辞書データが大量になるものは、この形式となることが多い。また、ほとんどがフルコンテンツ型である。紙の辞書では実現できない、音声や動画などを収録しているものも多い。辞書データをminiSDメモリーカードに収録して配布し、携帯電話を検索・閲覧装置として利用するものもある。
オンライン型
サーバに格納された辞書データに、パソコンや携帯電話PDAなどの端末からアクセスして閲覧するシステム。フルコンテンツ版に対して課金し、スタンダード(リミテッド)版をフリー(無料使用)で公開している場合もある。
ウィクショナリーは、フリー(自由使用)の、オンライン型電子辞書である。
専用装置型
カシオ計算機の携帯型電子辞書(型番:XD-LP4600)
キーボード液晶画面を搭載し、ROMに辞書データを収録した、携帯型の専用装置。専用装置で、上述のローカル型に相当するディスク媒体を使用し、辞書の追加が可能なものもある。また、ROMカードなどを用いることで入れ替え・追加可能なものもある。一般的には電子辞書というとこの印象が強い。円筒型の乾電池二次電池(シャープの一部機種では専用の充電式電池を使うものもある)で駆動し、小さい機種なら洋服のポケットにも入る手軽さから、シェアを拡大し続けている。カシオ計算機(エクスワードブランド)、キヤノンシャープ(Papyrusブランド)、セイコーインスツルなどのメーカーから発売されている。ソニーはシェアの低落にともない、2006年7月に電子辞書事業から撤退した。
3つのタイプの中で最も早く登場したのは実はこのタイプで、日本市場ではシャープが1979年11月に投入した。当時はポケット電訳機という名前で、39800円(当時としてはかなり高価)であった。スタンダード型が基本だったが、近年はメモリ価格の下落と技術の向上から、フルコンテンツ、しかも多数の辞書を搭載している機種も多い。辞書以外の書籍も含めると100冊以上を収録している機種も出現している。またイヤホンやスピーカーから外国語音声などを聞ける機種もある。
画面は基本的にモノクロだが、シャープの一部機種ではカラー液晶を装備している。カラー機種はカラーコンテンツの表示が可能になるだけではなく、文字も著しく見やすくなる。多くの製品では、黄土色・粘土色の背景に焦茶色の文字で表示される低コストの反射型液晶を用いているため、コントラスト比が低く、外光を取り込んで表示するという性質から暗い場所では見づらい(フロントライトを備えているものもある)。透過型及び反射/透過ハイブリッド型カラー液晶の場合、文字と背景のコントラスト比が高く、バックライトにより暗所でも見えるため、通常の文字情報の表示も見やすくなっている。但し、照明を使うと消費電力が大きくなり、電池の持ちは悪くなる。
近年ではSDメモリーカードスロットを装備し、パソコンで作成したテキストファイルやデジタルカメラ写真の表示ができるものや(この場合、別売りのコンテンツカードもSDカードである)、シャープの一部機種にはワンセグチューナーを装備したものが発売された。

[編集] 紙の辞書との比較

電子辞書の市場規模は年々拡大してきており、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会まとめの出荷推移は以下の通り(日本市場)[1]PDF。

  • 2003年 - 204万台 / 264億円
  • 2004年 - 238万台 / 334億円
  • 2005年 - 238万台 / 342億円
  • 2006年 - 251万台 / 374億円
  • 2007年 - 280万台 / 463億円

これを見ると右肩上がりであり、これと同時に紙の辞書の販売は減少しつつある(直接の競合関係とは必ずしも言えないという指摘もある)。ここ数年の市場規模の拡大には、テレビショッピングでの販売増(特に、独特の口調で社長自ら商品紹介を行うジャパネットたかたで取り上げられたこと)も影響しているといわれる。WWW上で使えるフリー辞書も含めると、台数や金額として表に出る以上に利用者が広まっていると考えられている。

なお、紙の辞書の売り上げは年間1000万冊(2002年の推計値)前後あり、まだまだ逆転する状況ではない。ただし10年前には1500万冊だったという統計もあるため、両者が拮抗する日は近づいていると考えられる。

電子辞書は、見出し語を引くまでの時間の短さや、簡単な操作で同じ辞書の関連語句・連携している他の辞書にジャンプ(ハイパーリンクまたはスーパージャンプ)できる、単語帳登録が過去に調べたものから抜粋してできる、ヒストリーで過去の履歴を見ることができるなどの面において紙の辞書を凌駕している。また紙の辞書の場合、何冊も抱えて通勤・通学あるいは旅行をするのは困難を伴うが、専用装置型電子辞書ならばそれが容易になる。オンライン辞書はアップデート(改版)が容易であるため、最新の語句・用例が素早く反映されるという強みがある(ただしオフラインでは利用できない)。ローカル型の辞書においても、なんらかのメディアやオンラインによるアップデートに対応しているものもある。

しかし、高齢者を中心に愛着のある紙の辞書を好む人は多い。メーカーサイドは、視力の弱い年配者に配慮して音声出力や文字の拡大表示を可能にするなど、紙の辞書にはない便利さをアピールしている。更に、キーボードを触ったことのない人にとっては敷居の高いJIS配列キーボードを五十音配列にするといった配慮もなされている。電子インクが本格的に実用化されれば、稼働時間も電卓並みになる可能性がある。紙の辞書ではどうしても情報量とサイズはトレードオフの関係になる。少ないスペースにより多くの情報量を詰め込むことが可能な電子辞書は、今後も大容量化が進み、情報量において紙の辞書を圧倒することは必然といえる。

ただし紙の辞書は一覧性があり、言葉の広がりや繋がりを知るためにはこちらのほうが適していると言われている。さらに、英単語の学習などにおいては紙の辞書を引いたほうが記憶に残りやすいという実験結果もでていることから入門者には紙の辞書を薦める教育者も多い。六法全書のように内容の更新が多い分野は電子辞書化のメリットが少ないと言われている。しかし紙の辞書も結局一単語を見ながら調べ、目線をずらしていくので、記憶に対する効果が異なる可能性がある。

また、紙の辞書には電池切れや落下による故障の恐れがないこと(に弱いが、それは電子辞書とて同じことである)や手軽にペンで書き込みができることなども利点として挙げられる。書き込みを電子的に再現している機種もあるがその使い勝手において紙というメディアには依然太刀打ちできるものではない。とはいえ、学生の受験勉強やビジネスマンなどにより速効性・効率性が求められている現代社会では電子辞書は必須であるものの、紙の辞書とも棲み分けがなされどちらも残っていくであろうと考えられている。


[編集] 関連項目

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