電子書籍
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電子書籍(でんししょせき)とは、古くより存在するインクを利用した印刷物ではなく、電子機器などディスプレイを利用した機器で読むことができる出版物であり、主に以下の形式が存在する。
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[編集] 概要
これらのコンテンツは、従来は紙などの媒体に印刷することに依存していた書籍を、画像データや文字データの集合へと変換、電子化することで、その省スペース化や印刷コストの軽減、流通の簡便化を狙った物である。
特にコンピュータネットワークを利用することで、書籍を購入したら取り寄せなどで待たされる事も無く、その場で情報を取り込んで読める他、データ化することによって在庫を持つ必要が無くなり、日々膨大な量が出版されている書籍などにあっては常に付き纏う絶版等の問題に悩まされなくて済むなどの利点が挙げられる。また、最近では電子書籍の普及が紙資源の消費を減らすことから、地球の緑化運動にも貢献すると考えられている。
このアイデアは1980年代よりあったが、当時は通信コストが高い事や再生用のコンピュータの能力が足りなかったために、実際の動きが見られるようになったのは1990年代後半に入ってからである。元々インターネットとWorld Wide Web(WWW)は電子データで学術論文テキストなどを参照しあい易いよう設計されているが、これを書籍一般に拡充しようという考えだとも言えるが、こういったアイデアはパソコン通信の時代から存在した。
インターネット利用が一般化した2000年前後より、テキストファイルによるコンテンツの提供がプロジェクト・グーテンベルクや青空文庫などで著作権切れ作品の有志によるテキスト化や著作者自身によるコンピュータネットワーク上での配布も存在する。2000年代ではコンテンツへの課金方法が整備され、利益を創出する有料メディアとして、小説以外にコミックや雑誌または写真集などの電子書籍も登場している。大きく分けてダウンロード型とオンラインで閲覧するストリーミング型の2つの形態が存在し、ファイル形式やデータ形式もさまざまで、日本国内だけでも20種類以上のファイルフォーマットが存在する。
電子書籍は紙や印刷などのコストが無い分、その価格が安いものであると思われがちだが、実際には複雑な権利関係のため、従来の印刷物より高い作品が存在する。その例としてはフランス書院の電子書籍などがある。また、その権利関係ゆえに世間で話題の新作がすぐに電子書籍として発売されるケースはまだまだ少ない。
[編集] 提供されるコンテンツ
電子書籍は書籍出版形態の一つではあるが、これの普及には同形態で利用できるコンテンツの提供が不可分である。コンテンツの電子化に絡んでは既に述べたとおり利権が複雑に絡み合い、電子化にも技術面以外の様々なハードルが存在している。プロジェクト・グーテンベルグや青空文庫のような著作権切れ媒体を電子化して提供するのも一つの手段であるが、そういった過去の作品においても電子化に伴う作業コストはボランティア頼みか無償提供を目的とした公的ないし公益に供するための事業を除き、商業化におけるハードルともなっている。
日本では国立国会図書館や複数の大学図書館、美術館などが著作権適用期間を過ぎた古い書物や古文書の電子化を行なっているが、これもおのおの独自の方式で行なっているためにほとんど統制がとれていない状態にある[1]。
オンライン書店最大手のAmazonや検索サイトのGoogleなどもこれまで紙媒体で存在するメディアの電子書籍化を進めている。ちなみに後者Googleは本件について米国内で著作権侵害の疑いで著者・出版社団体から訴えられ、2年以上にもわたる係争の結果、多額の和解料の支払いとユーザーに対する課金および著作権料徴収を徹底するという条件を飲むことでようやく和解に至っている。
公立図書館では、2002年北海道岩見沢市立図書館が電子書籍の閲覧サービスを始めたが、需要が少なかったため、書店の指定した:2カ月の無償での試行の後、取り止めとなった。2005年から、奈良県生駒市立図書館が後述する電子書籍端末「リブリエ」による電子書籍の閲覧・貸出サービスを行っている。
雑誌未連載の漫画いわゆるオリジナルコミックも開発される可能性もある。
[編集] 形態
上で述べたとおり、電子書籍には大別するとダウンロード型とストリーミング型にわけられる。また閲覧に使用される電子機器も汎用製品を流用してソフトウェアで対応するものと、専用のハードウェアを必要とするものに分けられる。
- パソコンや携帯電話・携帯情報端末 (PDA) などにダウンロードして閲覧するタイプ
- インターネットにある電子書籍書店などのサイトから、必要なデータを全て端末にダウンロードして読むのがこのタイプである。これは常時接続を前提とするデスクトップパソコンではあまり利便性は無いが、通信量で課金が発生する携帯電話や、回線との接続を外して持ち歩くノートパソコンや携帯情報端末では大きな意味を持つ。反面、データとして完結している必要性から、これらデータの複製を作る行為がネックとなる。
- データ形式は各書店サイトが利用するリーダーソフトによって多くの種類が存在し、AdobeReaderで閲覧するPDF形式やシャープのXMDF、携帯電話でコミックを読むためのセルシスのコミックサーフィン(現在では、ボイジャー社のドットブック形式ファイルが利用できるブックサーフィン)などがある。
- 携帯電話の場合は、キャリア毎の端末機の仕様のため、実際には、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルがダウンロード方式でNTTドコモは、ストリーミング方式である。2003年11月に、はじめて携帯電話でダウンロード方式のコミック配信をビットウェイ社が開始した。携帯電話のコミック用ビューワーは、当初ベクトル形式のコミックサーフィンとラスター方式のビットウェイビューワー(ビットウェイ社製)の2方式で始まった。その後、コミックサーフィンにラスター形式の機能が実装された。現在では、ラスター方式が主流である。
- 現在、パソコンへの配信はデジタルコミックを中心に配信が行われている。ボイジャーが提供するT-timeが閲覧用アプリケーションとしてシェアが高い。ただし、イーブックイニシアチブジャパンやマンガノベルのように、独自にアプリケーションを提供している配信元もある。
- インターネットに接続した状態で閲覧するストリーミング形式のタイプ
- 電子書籍データを端末に一部、またはすべてダウンロードするのだが、閲覧するためにはインターネットに接続していることが必要なタイプ。動画のストリーミング形式と同じで、再生に際してサーバーとの通信を行い、閲覧に使用される機器内にはキャッシュなど一時データとしては記憶されることもあるが、ファイルなど静的な状態のデータとしては保存されない。インターネットに接続していないと閲覧できないため、高い著作権保護機能を維持できる反面、閲覧のためにはコンピュータネットワークへの接続回線を維持しつづけなければならず、利便性を犠牲にしている。
- その他にもインターネットを閲覧するためのウェブブラウザにプラグインと呼ばれる機能拡張プログラムをインストールして閲覧できるオンライン電子書籍もある。
[編集] 電子書籍専用端末
電子書籍を閲覧するための専用の電子機器では、従来書籍より重くなってしまってはあまり意味がない。2000年代に入ってフラッシュメモリなど記憶媒体の低価格化と大容量化によって、一つの端末で大量の電子書籍を閲覧できるようになった。また携帯電話を含む携帯機器の発達は、充電式バッテリーの大容量化と機器側の省電力化技術開発を促しており、これは電子書籍端末の開発にも生かされている。表示装置には電子ペーパーなど新技術の投入も行われており、省電力かつ軽量で高精細・高コントラストといった表示面での改良も続けられている。
2007年時点でのネックは、専ら端末本体価格が依然高いことが挙げられる。この辺りは普及による量産効果や共通規格の策定も絡んでコモディティ化などによる低価格化競争も期待されるが、現時点でそういった電子書籍データフォーマットの共通化などといった動向はみられず、依然として紙媒体を置き換えるほどの普及を見せるかどうかは未知数となっている。
- シグマブック
- 松下電器産業(現パナソニック)が2003年7月に発表した電子書籍専用端末。電子書籍独自のファイルフォーマットに対応し、eBookJapanのebi-jファイルに対応する。この機器は単三の乾電池2本で3~6カ月使用でき、また電源を切っていても内容は表示されたままという電子ペーパーを利用して重量は300gという事である[2]。
- 大きな特徴は見開きの画面であることが挙げられる。漫画は見開きを一つのページ単位で描画する作家が多く、見開きを一つページにして迫力あるシーンを描画する作家もいれば、片方のページに描いた内容をもう片方のページで説明するなど見開きで見ることができるというのは作家(特に漫画家)にとって非常に重要な要素の一つである。
- ただし、同端末はモノクロしか表示できないにもかかわらず価格が3万円台という事もあり、今一つ出版業界を大変革させるに至らなかった。
- 2006年にはカラー表示に対応した単ページ仕様の次世代シグマブックWords Gear(ワーズギア)[3]が発表されたがやはり普及には至らず、2008年3月に電子書籍端末の製造を終了、同年9月30日には配信サービスも終了する予定である。
- リブリエ
- ソニーが発表した電子書籍専用端末。やはり対応する電子書籍のファイルフォーマットは独自形式がメインだが、シグマブックとの違いはその多機能性である。電子辞書を使用することができ、また朗読機能も有している。しかし、書籍に対して価格が高くモノクロ表示しかできないことなどもあり、シグマブック同様に電子書籍の普及に貢献するには至らなかった。端末の製造は2007年5月に終了、配信サービスも2009年2月に終了となる。
[編集] 電子辞書
電子書籍より一歩先に印刷物から電子媒体へと変化して普及しつつあるのが電子辞書である。これまでの電子辞書は国語辞典や英和・和英辞書といった単機能的な物が多かったが、次第に複数の辞書の機能を併せ持つ高級機種が出ており、その中にメモリーカードに対応して外部からテキストファイル等を取り込んで読む事のできる物も登場し、また電子辞書自身も様々なコンテンツ拡張用の専用メモリカードに対応するようになっている。
またデジタルオーディオプレーヤーの中にも、テキスト形式に対応した機種が存在する。これらは本来、歌詞を表示させるなどの付加価値機能であった模様だが、利用者の中にはこれにテキスト形式の電子書籍を独自に入れ込んで利用するケースも見られる。
[編集] 問題点
- クリアされつつある課題
- 電子書籍における過去の問題点としては著作権の保護をどのようにするかという課題があった。これまでの出版物を電子データ化することで、Winnyを始めとする共有ソフトによる違法な情報の流出が容易になってしまうことをいかに防ぐかといった問題であるが、オンラインによる認証機能を設けたり、ダウンロードした端末以外では閲覧をできないようにするといったハードウェアキーを導入したりすることである程度は防げるようになってきた。
- また、電子化された書籍の閲覧に使用する機器にも課題があったが、近年のパソコンの処理能力の向上や液晶など表示機能など性能アップや次世代携帯電話端末の普及に伴い徐々にクリアしつつある。
- 電子化権利問題
- 最も大きな課題は電子書籍に関わる複雑な権利関係をどのように処理するか、ということである。
- 現在の電子書籍は、主にこれまで紙媒体で流通していた作品を電子化したものが大多数である。また、そのような作品が一番人気があり市場でも売れている。しかし、既に発売された作品を電子化する権利を誰が所有しているのかがはっきりしていないことが多い。
- 本来、電子化をする権利は読み物であれば著者であり、漫画であれば漫画作家であると思われるかもしれないが、実際には契約によっては紙として出版した出版社に権利があるケースもある。また、アニメを原作にした作品では、そのキャラクターの版権を所持する団体が最終的な権利を有しているため、さらに複雑な権利関係を処理しなければ電子書籍として市場に流通させることができない。
- なお、電子化を行う手段としては紙媒体をスキャンする方法と近年主流になっている印刷用に用意したDTPデータを電子書籍用のデータに変換することで電子化する方法がある。スキャンする方法では紙媒体のレイアウトもスキャンすることになるが、このレイアウトの権利(版面権)は著者ではなく、出版社が保持しているとの見解もあり、このような非常に複雑な権利関係の処理が出版業界に電子化を躊躇させている。
- また、収益性からオリジナルの電子書籍作品が流通しにくい環境も電子書籍が普及しない一因とも言える。従来の紙による出版物であれば、書店取次ぎに出版物を卸した段階で出版社に収入が(実際には数カ月の期間がある)あり、それを原資に著者や制作に関する費用を支払うことができるが、電子書籍ではこのようなシステムを構築するのが難しい。一部の電子書籍書店ではアドバンス(売上げの前払い)で対応しているが、上手く機能しているとは言い難い。
- その他の課題
- その一方で、再生用の電子機器がデジタルデバイド(情報格差)を産んでしまう可能性も否定できない。特に米国では、政府は公的な資料を発表するにあたり電子化に積極的だが、有権者の全てがパソコンを持ち、またゆっくりとそれらを閲覧できる通信環境に在るとは限らない。この点が、完全な電子出版化の足枷となっている。
- 特にこの問題は後進国では深刻であり、本来は社会を豊かにするための知識を提供する書籍が、電子化によって発生するデジタルデバイドにより、それら書籍に親しむべき貧困層の手に届かない危険性を生む。近年では米マサチューセッツ工科大学にて、100ドルPCという安価だが十分な性能を備えたパソコンを発展途上国支援(特に教育分野)を目標に開発したという[4]も報じられているが、これらが実際に普及するまでは、電子書籍の普及は色々と難しい問題を含むだろう。
[編集] 脚注
- ^ 国立国会図書館-National Diet Library:電子図書館の蔵書
- ^ 「松下が電子書籍に参入、記憶型液晶を採用の端末を開発」 ITmedia、2003年4月23日。
- ^ 『「新・読書端末「Words Gear」(ワーズギア)を開発』 松下電器、2006年9月26日。
- ^ IDG Japan 『MITメディアラボ、「100ドルノートPC」のプロトタイプを11月にリリースへ』 ITmedia、2005年9月29日。
[編集] 関連項目
- 電子出版
- 電子図書館
- アマゾン・キンドル - Amazon.comによる電子書籍端末
- オンライン小説
- オンライン作家
- ユビキタス - ユビキタスコンピューティング
- ウェアラブルコンピュータ - ウェアラブルコンピューティング
- コンピュータと社会 - 情報化社会
- デジタル著作権管理
- LIBRIe - ソニーから2004年に発売された電子書籍リーダー
- ソニー・リーダー (Sony Reader) - LIBRIeの姉妹機
- FictionBook - オープンな電子書籍フォーマット
- biblio(TSY01) - 東芝が開発したau(KDDI/沖縄セルラー電話)向けの電子書籍アプリ対応携帯電話

