タブレット (コンピュータ)
タブレット(Tablet)は、薄い板状のコンピュータ用周辺機器やコンピュータ製品に付けられる名称で、その形状が石版を連想させることからである。
古くよりポインティングデバイスの内、板状の形態を取るものがタブレット(ペンタブレット)の名を使っていたが、近年[いつ?](主にアップルの「iPad」が発売された2010年以降)ではタッチパネルと表示装置を備えたオールインワン形のコンピュータ製品(携帯機器)を特に指すことが多く、タブレットコンピュータやタブレット端末とも呼ばれる。
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概要 [編集]
タブレット(コンピュータ)は、板状の筐体にコンピュータ本体としての処理機能と、入力装置としてのタッチパネルおよびいくつかのボタン、表示装置としてのディスプレイやスピーカーなどを備えた製品である。それ単体でパーソナルコンピュータ(パソコン)のような情報処理能力を備え、様々な利便性をユーザーに提供する。
旧来よりタッチパネルPCに代表される「特殊な用途向けのパーソナルコンピュータ」(ポータブルデータターミナルなど)が存在しているが、2010年ごろよりはiPadをはじめとして後述するような一般向けの製品が登場、2011年には様々なメーカーからAndroidを搭載した製品がリリースされるようになり、「タブレット端末元年」などとも呼ばれている[1]。
こういった機器は、携帯に向く(少なくとも手に持って利用される)上で、薄型軽量である必要があるが、旧来では技術的限界からそれほど強力なコンピュータとすることは出来ず、先に挙げたタッチパネルPC(後のタブレットPC)のように携帯性はあるが、重い上に極めて高価な製品(ビジネス用途でないと採算が取れない)であったり、Amazon Kindle(電子書籍専用端末=電子ブックリーダ)のように機能も用途も限定的であったり、あるいはスマートフォンなどの小型携帯機器であるため画面が小さいなどの制約を有した。また電子手帳から携帯情報端末(PDA)のように、慎ましいコンピュータに組み込みシステムで薄型筐体を実現させている例もあったが、機能的には限定的なものが主流だった。
しかし2010年ごろから市場をにぎわせるようになっていったタブレット端末では、比較的大きい画面を備え、様々な処理が可能であり、またソフトウェア的な拡張性も高いものと位置づけられる。Google Chrome OS の開発においては、5 - 10インチのディスプレイを持つ物と定義している[2]。この大きさは、紙の寸法では、A5 - A7にあたる。
今日タブレット端末と呼ばれるものでは、インターネット端末として移動体通信サービスや無線LAN経由で接続し、様々なクラウドコンピューティングのサービスを受けられたり、それ単体で様々なアプリケーションソフトウェアを実行したり、あらかじめオペレーティングシステムに組み込まれたり任意にインストールされたプレーヤーソフトウェアを介してデジタルメディアプレーヤーとして利用できる製品がみられる。こういった用法は2008年に爆発的な流行を見せたネットブックに重なるところであり、ネットブック、さらにはノートパソコンの市場を侵食している[3]。[4]
なお、iPadを始めとしたこういう製品が売れている背景として、従来には無かった新しい製品だという見方も存在する。これらは「必要ないのになぜ」とみなされながらも、ユーザーがその利用方法を探り、様々な分野で利用されているためで、玩具(携帯型ゲーム機がわりなど)やテレビの代わりに(動画サイトやストレージ内の動画ファイルなど)視聴するもの・医療機器・メモや授業の内容を書き留めるノートなど、きわめて広い範囲で利用されていることも指摘されている[5]。
こういったタブレット端末の流行も追い風となって、先駆的な分野であるタブレットPCでも、ノートパソコンで進行するウルトラモバイルなど薄型筐体の製造技術を取り入れた、廉価で薄く軽い一般市場向けの製品も登場しており、これらも2012年初頭現在のパソコンショップ店頭を飾っている。
なお、こういった薄型の端末は携帯性がよく、また無線LAN(Wi-Fiなど)の通信機能を標準的に備え、携帯機器向けのARMアーキテクチャを採用する機種ではノートパソコンと比べてもモバイル環境として「バッテリーの持ちがよい」や「すぐ起動するなど即応性に優れる」などの利点もあって、モバイルブロードバンドなど移動体通信との相性がよく、しばしばインセンティブ制度を導入しての端末や通信機器の価格を割り引いた販売もみられる。
歴史 [編集]
草創期のタブレット [編集]
1990年にはソニーから世界初の電子ブックリーダー(電子書籍閲覧用機器)機能を備えた電子辞書として「データディスクマン DD-1」が、1993年にはNECからモノクロ液晶画面の「デジタルブックプレイヤー DB-P1」(1993年)のような実験的な製品が販売されていたが、DD-1はキーボードが実装されたもので、タブレットと呼べるものはDB-P1だったが、いずれも単発ないし短命の製品で終わっている。これらはテキストファイルを液晶画面に表示するようなもので、DD-1は内蔵8cmCD-ROMドライブから、DB-P1に至っては外付けの3.5インチ・フロッピーディスクドライブからデータを読み出して利用した[6]。なお電子辞書端末は、その後は記憶装置をCD-ROMからフラッシュメモリ(およびメモリカード)に置き換えたものへと変化して行き、2010年代においても多機能化を続けながら市場を維持している。
詳細は「タブレットPC」を参照
タブレット型のコンピューターは2002年よりMicrosoft社よりMicrosoft Windows XP Tablet PC Editionを搭載したものが発売されたが、当時としてはまだデスクトップ機種よりも割高感が抜けきっていない、ノートPC一般に比べても高価格で、2002年末当時の価格で主に25万円以上[7]という水準であった。その為、ポータブルデータターミナルのような業務用途・ビジネス用途など限られた分野でしか普及しておらず、一般への浸透はごく限られたものだった。
この当時、通信機能がある多機能型の携帯端末としては、ノートPCとフィーチャーフォンが主流を占めており、既に爛熟期にあった携帯情報端末は通信機能がないなどPCの代用にはならなかった。またデジタルメディアプレーヤーのような機器は、まだ据え置き型のセットトップボックスのような機器があるだけで、携帯型のものは登場していなかった。そして、いずれの製品もタブレットの形態はしていなかった。
電子書籍・スマートフォンからの拡張 [編集]
電子書籍閲覧用端末(電子ブックリーダー)としては、2003年に、松下電器産業のパナソニックシステムソリューションズが電子ブックプレーヤー「Σブック」が登場しているほかソニーのLIBRIe(2004年)やAmazon Kindle(Kindle・第一/第二世代)が2007年にリリースされているが、これらは主に専用形式の電子書籍データを閲覧することを目的とし、それ以外の機能は持たないか限定的だった。画面はモノクロであり、消費電力が少ないという利点こそあったが、今日のタブレット端末に比べ、非常に狭い機能に特化していた。
2010年にはいり電子書籍の閲覧をメインとしながら機能を拡張した、第三世代Kindle(デジタルオーディオプレーヤーとして利用可能)やシャープのGALAPAGOS(後に汎用Android端末化)が発売されている。同年にはiPadが発売され、当初こそiPod touch/iPhoneの延長としてiTunes Storeをコンテンツホルダーに様々なコンテンツ(音楽や動画/映画など)が楽しめる大画面デジタルメディアプレーヤーのような位置付けだったが、次第にユーザーを増やすとともに、App Store経由でリリースされるアプリケーション実行環境を備えたこの製品は、様々な利便性をユーザーに提供するタブレットコンピュータとしての地位を確立していった。
ほぼ同時期にはスマートフォン用に開発された、Android[8]やBlackBerry OS [9]を搭載したタブレット型の機器が相次いで発表、発売されるようになってきており、2011年にはこういった機器が多数リリースされるようになって、前述の「タブレット端末元年」の言葉に代表されるような、一大市場への成長が期待されている。
OS [編集]
2012年現在の時点においては、携帯電話のうちスマートフォンなど携帯機器向けのオペレーティングシステム (OS) を流用した製品と、パーソナルコンピュータ向けのOSを流用したものが見られる。以下にあげるのは、携帯機器向けのOSである。
- Android - Android社を買収したGoogleが開発しているOS。LinuxカーネルやWebKit、Dalvikと呼ぶ独自の仮想マシンなどで構成される。
- BlackBerry Tablet OS - 企業利用を念頭に、遠隔管理とアクセス、メッセージングに重点をおいたOS。
- iOS - アップルが開発した自社ハードウェア専用のOS。XNUカーネルやCocoa Touch、WebKitなどMac OS Xと共通するコンポーネントから構成されるが、UIは大きく異なり、バイナリ互換性はない。
- Microsoft Windows RT - Windows 8のARM版。同社のスマートフォン向けOSは別系列のWindows Phoneであり、Windows RTはほぼタブレットに特化したOSといえる。
主要製品 [編集]
- アップル・iPad
- Google・Nexus 7/10
- 富士通・ARROWS
- 東芝・REGZA Tablet
- ソニー・Xperia Tablet
他
「iPad」以外はすべてAndroidを搭載した機種で、一部を除き2万円から5万円程度で入手可能である。
Windows 8を搭載した機種もあるが、一般的なノートパソコンに比べて高額(7万円程度から10万円以上)となる。
その他、俗に「中華タブレット」とも呼ばれる、中国メーカのAndroid搭載機が数千円から1万数千円で売られているが、インターネット上のコミュニティにおいて安定性や品質面での低い評価が多く見られる。
脚注 [編集]
- ^ タブレット端末元年日経ビジネスオンライン2011年1月
- ^ Form Factors Exploration (The Chromium Projects)
- ^ 笠原一輝のユビキタス情報局/ネットブック市場を侵食したARMのタブレットPC Watch2012年1月20日
- ^ 13年にノートPCを逆転か タブレット出荷予測MSN産経ニュース、2013年1月14日</
- ^ タブレット:必要ないのになぜ売れる?WIRED.jp2011年4月
- ^ 登場しては消えていった電子ブック (PDF)工場からの発信
- ^ インプレス・ケータイWatch2002年11月
- ^ サムスン、7インチ液晶のAndroidタブレット「GALAXY Tab」
- ^ RIM、7インチディスプレイのタブレット端末「PlayBook」