Adobe InDesign

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
Adobe InDesign
Adobe InDesign icon.png
開発元 アドビシステムズ
最新版 CS6 (8.0) / 2012年5月11日(日本語版)
対応OS Mac OS XMicrosoft Windows
種別 DTP
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.adobe.com/jp/
テンプレートを表示

Adobe InDesign(アドビ インデザイン)は、アドビシステムズが販売するDTPソフトウェアである。

概要[編集]

アドビシステムズが販売するDTPソフトの名称。元々は紙媒体の印刷物の版下作成のため、文章や画像などのレイアウトを行うページレイアウトソフトと位置づけられていた。しかしながら最近ではデジタル端末の普及に伴い、FLASHコンテンツや音声や動画なども含まれるデジタルコンテンツの作成も行えるように進化している。

アドビシステムズは、以前Adobe PageMakerというDTPソフトを販売していたが、デファクトスタンダードとなった後発のQuarkXPressの牙城を崩すことができなかった。その状況を変えるため、PageMakerでは対応しきれないニーズに応えるため、1999年、自社製品であるAdobe IllustratorAdobe Photoshopとの強力な連携性を持つInDesignを新たに開発し、投入した。

ライバルであるQuarkXPressのMac OS X対応が遅れる中、Mac OS XおよびOpenTypeフォントに完全対応し、高度な組版能力とデザインの自由度を兼ね備えたAdobe InDesignは大いに話題となり、一定のシェアを獲得した。InDesign CS3(5)以降、日本市場のデファクトスタンダードの地位を着々と築きつつある。

2012年8月現在の最新バージョンは「InDesign CS6(8.0)」。これは「Adobe Creative Suite 6」という、複数のアプリケーションを統合させた協調動作製品の一部になったことを示している。InDesign CS6は単体で発売されているほか、統合パッケージの Creative Suite 6 Design Standard, 同 Design & Web Premium および 同 Master Collectionに含まれている。 また、従来からあった製品版とは別に、Creative Cloudという月額料金を支払って使用するという販売形態も加わり、InDesignはそれにも含まれている。

DTPのさきがけとなったPageMakerやInDesignを含め元来はAldus社の製品やプロジェクトであったが、同社との合併により、製品はアドビシステムズからリリースされることとなった。当初アドビシステムズはAdobe PageMakerをやめてInDesignに移行したわけではなく特徴に応じて使い分けていく、としていたが、InDesign 2.0リリース以降、PageMakerの新規開発は行われず、Mac OS Xに対応したバージョンは開発されなかった。

米Adobe社では既存のAdobe PageMakerユーザ向けにPMDファイルからInDesign CS1(3)へのファイル変換機能やトレーニングソフトなどを含むAdobe InDesign CS1(3) PageMaker Editionという製品も発売していた。InDesign CS3(5)発売にあたり、PageMaker6.0/6.5/7.0ユーザー向けに、アップグレード価格でInDesign CS3(5)の優待版が販売されていた。優待版とアップグレード版は別々のパッケージで、添付されるシリアル番号が異なる。現在でもPageMaker 7.0ユーザー向けに、アップグレード価格でInDesign CS5(7)の優待版が販売されている(InDesign CS4(6)についてもかつてはこれと同様に、優待版へのアップグレードパスが用意されていた)。

特徴[編集]

グラフィック処理能力が他のDTPソフトよりも強力。他DTPソフトでは画像を挿入する時にはEPS形式やTIFF形式などのデータでなければならない事が多いが、InDesignではIllustratorやPhotoshopのネイティブデータをそのまま表示、出力することができる。これができるのはほかにCorelDRAW(ただしバージョン形式の対応が遅れる、一部条件で変換に失敗することがある)などしかない。

リンクだけでなく、それらのデータをドラッグ&ドロップ操作によってInDesignの中に取り込むことも可能。半透明の画像も扱うことができ、ドロップシャドウ処理を施した文字の再編集が容易な点などは、デザイナーの支持を集める要因となっている[要出典]

日本語版のCS2(4)・CS3(5)・CS4(6)では「SING外字ソリューション」(外字作成機能)が存在し、Illustratorで作成した自作の外字(グリフレット)を、コンバートソフトのSING Glyphlet Managerで文字として認識させ、InDesignに追加することができるようになっていた。Adobe-Japan1-6規格(2万3058グリフ)のOpenTypeフォントのラインナップの充実やこの最新文字セット規格の定着により、この機能の意義が薄れ、CS5(7)以降はこの機能が削除された。CS5(7)ではCS4(6)で作成した、SING Glyphlet Managerで文字として認識させたファイルの読み込み自体は可能である。

従来、デザイン性の高いレイアウトワークはIllustratorなどで行われることが多かったが、IllustratorはCS5.1(15.1)までのバージョンではページ管理機能を持っていなかったため、複数ページを持つデータの場合には手作業によるページ管理が必要であった。このため制作段階から製版段階に至るまで極めて煩雑でミスを招く原因となっており、そういったレイアウトワークをInDesignで行うことで、手間やミスを減少させることが期待された。なお、IllustratorのCS6(16.0.0)から、ひとつのデータ内で複数のページ(アートボード)を利用することが可能となったため、両ソフトの使い分けに関してユーザの選択により自由度が増している。

また単体でPDFEPUBの出力が可能なため、オンラインパブリッシングに向けた取り組みの中で注目する動きもある[要出典]

特に、CS5.5において、CS5では、EPUB書き出しやHTML書き出しの処理に外部javascriptを利用していたのに比べ、C++での内部関数に統合されたほか、アーティクル、オブジェクト書き出し、スタイルマッピングなど、電子出版制作に有効なオブジェクトやプロパティを実装し、これまでの紙ベースでの出版を前提とした組版・レイアウト処理から電子出版へのシフトが顕著となった。

バージョン[編集]

下記記載のリリース時期はアメリカで発売された英語バージョンのもの

  • InDesign Ver. 1.0 (コードネーム K2):1999年8月
  • InDesign Ver. 1.5 (コードネーム Sherpa):2001年4月
  • InDesign Ver. 2.0 (コードネーム Annapurna):2002年1月
  • InDesign CS(1) (Ver. 3.0) (コードネーム Dragontail) およびInDesign CS PageMakerエディション:2003年10月
  • InDesign CS2 (Ver. 4.0) (コードネーム Firedrake):2005年5月
  • InDesign Server:2005年10月
  • InDesign CS3 (Ver. 5.0) (コードネーム Cobalt):2007年4月
  • InDesign CS3 Server:2007年5月
  • InDesign CS4 (Ver. 6.0) :2008年12月
  • InDesign CS5 (Ver. 7.0) :2010年5月[1]
  • InDesign CS5.5 (Ver. 7.5) :2011年5月
  • InDesign CS6 (Ver. 8.0) :2012年5月

日本語版[編集]

Adobe InDesign日本語版は、日本でのニーズに合わせて大規模な改修が行われており、ことに日本語特有の多様な文字組みルールを実現している点で、「日本語ローカライズ製品」というよりも「日本市場用製品」といえる製品に仕上がっている。

このソフトはOpenTypeフォントの異体字切り替え機能を駆使することで多数の文字種に対応でき、また日本語組版で要求される(それも出版社によって異なる)複雑なルールに対処できるツールとして、従来のDTPソフト(主にQuarkXPressPage Makerを指す)や、写研などの電算写植システムからの乗り換えが起きている。

日本語を印刷物として版組するためには、禁則処理や文字組みなど、複数のルールが存在する。それらを処理するために、InDesignでは日本語専用のテキストエンジン(組版エンジン)という処理システムを持っており、これは本体のバージョンアップのたびに改良されている。テキストエンジンが変更されれば、同じ文章であっても組み付けが同じになるとは限らないため、出力結果が異なることがありえる。一般的なソフトウェアでは、バージョンアップしても以前のデータがそのまま利用できる上位互換が保証されることが多いが、上記のような理由から、InDesignでは上位バージョンでのデータの読み込みは保証されるが、出力結果が同一であることは保証されていない。下位互換については、通常のinddという拡張子とは異なる専用の形式で保存することで、直近もしくは数世代前までのバージョンでの読み込みのみ保証されるが、やはりレイアウトの同一性については保証されない。

このため、データの作成者と印刷会社で異なるバージョンを使用しているような場合には、当たり前のようにレイアウトの崩れなどの予期しない出力結果が発生することとなる。そのような状況を避けるため、データの作成に際しては印刷会社と製品のバージョンや使用するフォントについて細かい確認をとっておくことが必須となる。バージョンの移行がこのように簡単には行なえないことから、アドビシステムズでは製品のバージョンアップ後1年間は、並行して以前のバージョンを利用することができるとしている。しかしながら、それ以降も以前のバージョンが必要となる可能性が非常に高いため、利用者の中には製品はバージョンアップではなく、その都度新ライセンスで購入し、古いバージョンの製品も使い続けるという徹底した方針を取るところも少なくない[要出典]

CS6の発売直後である2012年7月から行われたInDesignの利用バージョンの調査では、最も多く利用されているのはCS4であり、以下CS3、CS5と続きCS6は10%にも満たない6位という報告もある[2]。この調査結果からは、Creative Suiteに含まれる他のアプリケーションと比べて、InDesignの新バージョンへの移行が遅れていることが読み取れるが、背景には上記のような事情があるものと思われる[要出典]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 英語版のダウンロード版は同年4月30日(米国時間)に先行発売された。
  2. ^ 株式会社吉田印刷所「DTP・デザインでよく使用するソフトのバージョン」アンケート結果

外部リンク[編集]