EPUB

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
EPUB
拡張子 .epub
MIME Type application/epub+zip
開発者 International Digital Publishing Forum (IDPF)
初版 2007年09月 (2007-09)
最新版 3.0 / October 11, 2011[1]
種別 電子書籍ファイル・フォーマット
包含先 OEBPS Container Format (OCF) (ZIP)
派生元 Open eBook, XHTML, CSS, DTBook
公式サイト www.idpf.org
テンプレートを表示

EPUB(イーパブ)は、電子書籍の規格の1つである。米国の電子書籍の標準化団体の1つである国際電子出版フォーラム (International Digital Publishing Forum, IDPF) が普及促進している公開された仕様の電子書籍用ファイル・フォーマット規格である。「EPUB」は"Electronic PUBlication"の意味を持ち「epub」「ePub」などと表記される場合もある。そのオープン性と単純さから、対応する電子書籍のハードウェアアプリケーションソフトウェアは多く、電子書籍用ファイルの標準規格となっている。

概要[編集]

EPUBは、HTMLウェブブラウザのオープン性を保持しつつ、インターネット接続が切断された状態の携帯情報端末 (PDA) やノートパソコンなどでも電子書籍の閲覧が継続できるようにダウンロード配信を前提にパッケージ化された、XHTMLのサブセット的なファイル・フォーマット規格であり、画面の大きさに合わせて表示を調整する「リフロー機能」が特徴である(固定する設定も可能)。

EPUBが標準となる以前の電子書籍用ファイル・フォーマットは、独自仕様であって電子書籍を読むハードウェアに固有のものが大半であり、出版社や著者が電子書籍用ソフトウェアを作るにはその会社から制作ツールライセンスを入手する必要があったが、XMDFの様に制作ソフトは無料だが、出版する場合に規格の利用料を払う必要がある場合や[2]、会社が存在しなくなれば、それまで構築したソフトウェア製作用の環境と経験は無駄となることも考えられる。なにより専用フォーマットに対応するハードウェアが販売されなければ、過去の製作済み電子書籍ソフトウェアの価値も著しく失われる危険性があった。

IDPFではこのような依存性を排除し、公開された共通規格による電子書籍用ファイル・フォーマットとしてEPUBを提供することで、電子書籍用ソフトウェアの製作を希望する誰でも自分の作品を作ったり関連アプリケーションが開発できるように、世界標準の規格化を進めている。

歴史[編集]

  • 2007年9月にIDPFはEPUBを公式の規格にした[3]
  • 2010年6月にIDPFサイトにEPUB2.01のドラフト規格が公開された[4]
  • 2011年10月にIDPFはEPUB3を公式の規格にした[5]

ファイル構造[編集]

EPUB形式の電子書籍のファイル構造は、XHTML形式の情報内容(コンテンツ)が、指定の形でZIPによって圧縮された後、ファイル拡張子が「.epub」に変更されたものである。

図版・数式・細かいレイアウトの多い作品への対応[編集]

元々、小説作品の電子化を念頭に標準規格化が始められたEPUBではあるが、HTMLでサポートされる一般的なビットマップ画像データやCSSによる最小限のデザイン制御に加え、SVG 1.1もサポートしているため[6]、図版や数式などを多用する作品への対応度は高い。

日本語への対応[編集]

2013年現在、最新版であるEPUB 3.0は、縦書き・ルビも含む日本語組版に対応しており、多くのEPUBリーダがこれらを実装している。しかし、EPUBリーダごとに挙動が異なること、出版側の意図した通りの結果にならないことは存在する。これらの問題点に対応するため、ガイドライン作成や、EPUBリーダのテストなどが盛んに行われている。

日本語組版、とくに縦書きと禁則処理については、CSS3の草案で提案されていたプロパティを、-epub-というプレフィックスを追加して採用している。

2.01の仕様上の問題[編集]

  • 縦組みを指定することはできず、縦中横もできない。
  • 圏点を指定することはできない。
  • 割注(本文1行分の空間内に小さな文字で2行が詰め込まれた注)を指定することはできない。
  • 漢文の返り点を指定することはできない。

これらの問題点は、"EPUB 2.0.1"のベースとなっているXHTML 1.1CSS2に起因する。

3.0で仕様に追加されたもの[編集]

日本語組版の基本的な機能はカバーされていると言える。

縦組みと縦中横
CSS3のWriting Modesモジュールを利用する(Working Draftの段階[7])
圏点と禁則処理
CSS3のTextモジュールにあるtext-emphasis-styleプロパティ等を利用する。(Working Draftの段階[8])
ルビ
HTML5にあるruby要素を用いる。(Working Draftの段階[9])

CSSのWriting ModesモジュールとTextモジュールがW3C勧告になるまでに、構文も意味も変わる可能性がある。EPUBでは、-epub-プレフィックスをつけた構文を採用する[10]ことによって、構文の不安定さを避けている。ただし、意味については最新版のW3C仕様に従うので変わる可能性がある。その最大のものは、縦書きのときどの文字が直立し、どの文字が寝るかである。

HTML5についてもW3C勧告になるまでに、構文も意味も変わる可能性があり、EPUBもその影響を受ける。

2.0.1[編集]

2011年初頭現在の版である"EPUB 2.0.1"は以下の3つから構成されている。

  • Open Publication Structure (OPS)
  • Open Packaging Format (OPF)
  • Open Container Format (OCF)[11]

3.0[編集]

日本電子出版協会は2010年4月に、EPUB日本語組版についての最低限の要求事項(縦書きや句読点の禁則処理、ルビ表記)をまとめ、Minimal Requirements on EPUB for Japanese Text Layoutを公表した。この文書の内容は、2009年6月4日版のW3C 技術ノート日本語組版処理の要件から電子書籍に必要なものを抜き出したものになっている。その後に、IDPFが新しいWGのチャータ(綱領)を出版したが、そこではMinimal Requirements on EPUB for Japanese Text Layoutが参照されていた。この時点で、日本語組版への対処がIDPFの重要な課題として位置づけられた。

その後、WGの第一回会議において日本電子出版協会村田真がEnhanced Global Language Supportサブグループのリーダに選出された。このサブグループが札幌会議と台北会議を経て、EPUB国際化のための要求事項をとりまとめ、仕様にどんな機構を入れるべきかをWGに提案した。これを受けてEPUB WGは、EPUB 3.0の国際化を完成させた。 EPUB 3.0では日本語だけではなく台湾や香港の縦書き、右から左へ書くアラビア語およびヘブライ語にも対応した[12]。2011年5月23日にIDPFから"EPUB 3.0 Proposed Specification"が[13]、同年10月10日に"EPUB 3.0 Final Specification"が公開された[14]

EPUB 3 作成ソフト[編集]

プロプライエタリ[編集]

  • 一太郎 - 2012以降でEPUB出力に対応している。
  • FUSEe - ver.1.3以降でEPUB入力・出力に対応している。

フリーソフト[編集]

  • Sigilは2009年12月にGoogleがバージョン0.1.7を開発した[15]。2012年12月時点では、バージョン0.6.1でSigilサイトからダウンロードする[16]
  • epubpackイーストが2011年6月に無償公開したEPUBファイル生成クラウドサービスである[17][18]

対応プラットフォーム[編集]

対応する電子書籍リーダー[編集]

対応するブラウザ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Specifications”. IDPF. 2011年10月28日閲覧。
  2. ^ 電子書籍規格の戦い (3:XMDFの踏ん張り)…”. RandDManagement.com (2003年11月7日). 2012年8月9日閲覧。
  3. ^ IDPF (2007年10月15日). “OPS 2.0 Elevated to Official IDPF Standard”. IDPF. 2012年12月6日閲覧。 Internet Archiveより
  4. ^ IDPF (2010年7月4日). “DB10 Presentations to be available June 3, 2010”. IDPF. 2012年12月6日閲覧。 Internet Archiveより
  5. ^ IDPF (2011年10月11日). “EPUB3”. IDPF. 2012年12月6日閲覧。
  6. ^ 漫画雑誌学術論文などといった分野では、EPUBが持つSVGが活用が期待できる。
  7. ^ Elika J. Etemad, Koji Ishii: “CSS Writing Modes Module Level 3” (英語). W3C (2012年5月1日). 2012年8月1日閲覧。
  8. ^ Elika J. Etemad, Koji Ishii: “CSS Text Level 3” (英語). W3C (2012年1月19日). 2012年8月1日閲覧。
  9. ^ Elika J. Etemad, Koji Ishii: “HTML5” (英語). 4.6.20 The ruby element. W3C (2012年1月19日). 2012年8月1日閲覧。
  10. ^ Markus Gylling, William McCoy, Elika J. Etemad, Matt Garrish: “EPUB Content Documents 3.0” (英語). 3 EPUB Style Sheets. IDPF (2011年10月11日). 2012年8月1日閲覧。
  11. ^ 米IDPFの公式サイトCurrent Specificationsより
  12. ^ 世界標準、日本語も対応 EPUB縦書き可能に”. 毎日jp (2010年12月29日). 2011年1月9日閲覧。
  13. ^ EPUB 3 Proposed Specification Released - IDPF (2011年5月23日付)
  14. ^ EPUB 3 Becomes Final IDPF Specification - IDPF (2011年10月10日及び11日付公表、2011年10月12日閲覧)
  15. ^ Google. “Dublin Core in HTML and new releases”. Sigil development blog. 2012年12月6日閲覧。
  16. ^ Google. “Sigil”. 2012年12月6日閲覧。
  17. ^ EAST. “プレスリリース2010年6月20日”. 2012年12月6日閲覧。
  18. ^ ※2013年12月サービス終了しました。
  19. ^ 中井浩晶 (2011年11月14日). “【REVIEW】Web上のEPUB書籍を直接開けるFirefox拡張機能「EPUBReader」”. 窓の杜 (Impress Watch Corporation). http://www.forest.impress.co.jp/docs/review/20111114_490320.html 2012年8月1日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]