日本大百科全書

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日本大百科全書:ニッポニカ』(にほんだいひゃっかぜんしょ)は小学館から出版された書籍としての百科事典である。

日本日本人について徹底的に、かつ広範囲にわたって一層の記述をすること」を目的として、10年の準備期間を経て、130,000を超える項目と500,000を超える索引が五十音順で23,000を超えるページに編成された。1984年に初版の頒布が開始され、5年の歳月をかけて1989年に全25巻の刊行が成された。最新版である1994年版では、独立した巻となっている索引と補巻を含めて26巻から構成される。現在は絶版である。

小学館と百科事典[編集]

創立当初(1922年)の小学館は、小学校児童向けの学習参考書と雑誌に特化した出版社だった。『日本百科大事典』(1962年)が小学館最初の百科事典で、それ以来、小学館は継続的に百科事典を出版してきた。1965年の『世界原色百科事典』、1967年の『大日本百科事典ジャポニカ』、1970年の『こども百科事典』、1972年の『万有百科大事典』などである[1]

主題[編集]

6,000人を超える権威が日本大百科全書に記事を寄稿した。主題の範囲は社会科学自然科学人文科学レジャーからライフスタイルにまでわたり、日本の社会環境と文化を強調している。地方とその歴史に焦点を当て、日本の地名に関する3,325の項目を持つ。同時に、諸外国、文化、歴史、社会についても、特に日本との関係に焦点を当てて解説している。

記事の長さは記事によって異なる。一段落しかないものもあるが、2ページを超えるものもある。記事には署名されている。5万以上の図版が読者の理解を助けている。とくに、科学と芸術の記事はグラフ、図表、地図、衛星画像、年表、芸術作品の写真、および肖像画を含んでいる。

目立った特徴[編集]

各項目に加え、この百科事典はいくつかの学術分野からの権威が各自のさまざまな学術的視点を組み合わせた「コラボレーション」を含む。

他には、従来の百科事典に見られなかった動詞項目が『日本大百科全書』の特徴である。それらの項目は動詞の単純な意味を説明するばかりでなく、それらの文化的、社会的、科学的な側面も記述している。たとえば、「歩く」の項目は人間と動物の両方についての歩く方法や理由と、歩行に関する医学実験を説明している。

電子化[編集]

ソニー株式会社からの働きかけで、1996年にソニーの電子ブックプレーヤー「データディスクマン」用の“日本大百科全書”がプレーヤーとソフトのバンドル形態で販売された。再生機器がモノクロ表示であるため、テキストデータをプレーヤー上で参照し、カラーの写真、図録は付属の冊子を参照する形をとった。

つづいて、同社は1998年、「日本大百科全書+国語大辞典―スーパー・ニッポニカ CD-ROM Windows版」を開発・販売した。

当時、小学館はマイクロソフトとBookShelfを共同開発するなど協力関係にあったが、「スーパー・ニッポニカ」はマイクロソフトの「エンカルタ総合大百科」の競合商品となるため協力を得ることができず、小学館が独自にコンテンツのデータベース化を行うこととなった。

国語大辞典と併せてテキスト38万項目、動画80、画像8,000、アニメーション90、音声350、バーチャルリアリティ画像60の膨大なコンテンツ量を誇る、本格的な純国産の電子百科事典が誕生した。多段組表示、ヒラギノ書体採用、CD-ROM4枚組という点でも、ニッポニカは世間の耳目を集めたが、製品化は困難を極めた。

2000年にはウェブ展開も開始。同社の関連会社が運営する知識活用支援サイト「ジャパンナレッジ」において、ニッポニカは「キラーコンテンツ」として現在もその中核的役割を果たしている。しかし、ネット上では無料・自由参加型の新興百科事典ウィキペディアが台頭しており、平凡社「ネットで百科」と合わせ、割拠する状況にある。

Yahoo!百科事典[編集]

2008年11月、「Yahoo! JAPAN」との提携で「Yahoo!百科事典」として、ウェブ・サイト上でデジタル化された全てのコンテンツの無料公開を開始。各分野の権威が編纂した百科事典を自由に利用できるサービスを謳った。

しかし、ネット事典の収益化は難しく[2]「Yahoo!百科事典」も2013年12月3日、サービスを終了した。

ウィキペディア日本語版との比較[編集]

2009年9月末のウィキペディア日本語版[3]と『日本大百科全書』を対象とし、同辞典の「日本の政治問題」に相当するウィキペディアの項目で定量比較を行った研究がある。全体的な傾向としてはひとつの記事の平均記述量は日本大百科全書1083.3文字に対してウィキペディア3531.5文字[4]であるが、「日本の政治問題」に含まれた132項目に相当する記事がウィキペディアで全く見つからないケースが15項目あった。また、「日米安全保障条約」「教科書裁判」のような記事でも当時は日本大百科全書の方が長い記述文字数で、ウィキペディアの方は、ユーザーの関心や適切な参考文献を得にくい記事は短くなる傾向にあると推定されている[5]

ニッポニカの電子版の一覧[編集]

  • 小学館/ソニー『日本大百科全書』DD-2001バンドル版(EBXA)
  • 小学館/ソニー『日本大百科全書[第2版]』DD-2001MK2バンドル版(EBXA)
  • 小学館/ソニー『日本大百科全書』DD-S1000バンドル版(S-EBXA)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ [総合版] 日本大百科全書+国語大辞典』 (1998)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ 〔ライト版〕 日本大百科全書+国語大辞典』 (1999)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ2001 〔DVD-ROM版〕 日本大百科全書+国語大辞典』(2001)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ2001 〔ライト版〕 日本大百科全書+国語大辞典』(2001)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ2002 〔DVD-ROM版〕 日本大百科全書+国語大辞典』(2002)
  • 小学館『スーパー・ニッポニカ2003 〔DVD-ROM版〕 日本大百科全書+国語大辞典』(2003)

脚注[編集]

  1. ^ 沿革・歴史”. 会社案内. 小学館. 2013年11月26日閲覧。
  2. ^ 先行する「エンカルタ百科事典」(マイクロソフト社)もオンラインサービスを2009年に終了した。エンカルタの項目を参照。
  3. ^ 当時の項目数は約60万項目以上
  4. ^ 共に解説文テキストの抽出を主眼とし、見出し、関連項目、外部リンク等は抽出対象外
  5. ^ 相良佳弘「『ウィキペディア』の特性」-日本の政治問題に関する項目の定量的分析-」『聖徳大学言語文化研究所論叢』17巻 2009年
    なお、固有名詞の出現頻度を高い側から観察すると両者の傾向は類似し、『日本大百科全書』で殆ど出現しないがウィキペディアでは高頻度で出現するのは新聞や雑誌などメディアの固有名称であった。

関連項目[編集]