ストロー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ピンクのストローを挿したコップ入り飲料

ストロー: Drinking straw)は、冷たい飲み物などを飲む際に用いられる器具[1]コップなどの容器に入った飲料を飲む際に用いられる細い筒状の道具であり、飲料水に挿したストローの先端を吸うことで、コップを持って傾けたり、直接口をコップに付けたりせずに飲料水を口に運ぶ事が出来る。

ポリプロピレンなどのプラスチックで作られる場合が多く、紙製あるいはプラスチック製の袋に封入されている製品もある。市販されている小型の紙パック入りの飲料ではストローがプラスチック製の袋に封入された上で商品に付属されている場合が多い。

名称と歴史[編集]

英語でstrawは本来麦わらの意味であるが、元々ストローの原材料は麦の穂を切り取った残りの麦稈(ばっかん)すなわち麦わらそのものが利用されていたためこの名前で呼ばれる。今日ではstraw単体でもDrinking strawの省略形として同じ意味を持ち合わせている。

日本でも昭和30年代前半頃までは喫茶店やカフェで麦わらが使われており、紙封入りの麦わらを、冷えた飲み物のコップに付着した水滴を利用して縦に貼り付け、ウエートレスが席へ運ぶ姿が見られたものである。日本で麦を裏作として栽培しなくなり、より低価格で調達できるものが登場するにつれ、その原材料が製のものやプラスチック製のものへと変遷してきたが、麦わらを模した中空の形状や用法は変わっていない事から現在でも変わらぬその名で呼ばれ続けている。「ストローハット」の語も本来は麦藁帽子を指すが、現代では多種多様な素材が存在し、総じて形状からストローハットと呼ばれているように本来の意味が曖昧になっている。

なお、調理用語において「ストロー」とは麦わら程度の太さに切ることを指す(ストローポテトなど)[1]。またストローの「吸い上げる」という意味合いから、交通機関の発達により人口が移動し偏る現象はストロー現象と呼ばれている。

日本では岡山県寄島町が発祥の地と言われ、歴史的には紀元前からストローのような物は存在したといわれている[要出典]

形状と太さ[編集]

ストローの形状は単に直線に細長い筒状のもの(ストレートストロー)が一般的であるがこのほかに、中間に特殊な蛇腹加工を施する事で折り曲げとその角度固定を自由とし仰向けの状態でも容易に使用可能な「曲がるストロー」(ステイストロー、フレックスストロー)や、中間をいくつかに分割しさらに入れ子式にする事で収納時にコンパクトになる「伸びるストロー」といった機能的に長けたデザインのものや、先が二つに分かれており二人で同時に吸わないと飲めない「アベックストロー」、中間を長くとり曲げ加工や膨張収縮させて意匠的デザインに長けたものなど、あるいはそれらの複合デザインのものなどが挙げられる。また、もっぱらかき氷に用いられるストローとして、先端をスプーン状に開いた「スプーンストロー」がある。

様々な太さ 数字の単位は㎜

太さに関しては通常の太さ以外に、カクテルなど主にマドラーの代用としても使用されるより細く強いストローや、タピオカ果実などの固形物が入っている飲料に使用される太いストローなど、用途に合わせた内径の違いが存在する。またストローの太さは液体を汲み上げるために必要な吸引力の差を生む。

細ければ細いほど小さな吸引力ですむが一度に汲み上げる量が減り、また太ければ太いほどより多くの吸引力が必要となるが汲み上げられる量も多くなる。例えばマクドナルドのストローは通常よく使われるタイプの物より太いが、これは飲む際に最もおいしいと感じさせるために必要な吸引力を独自研究した上での計算された太さでありマーケティング戦略の一環であると言われている。

ストローの作用原理[編集]

Sipahh - girl.jpg

ストローの上方から空気を吸引することで液体を重力に逆らって持ち上げることが出来る。この作用原理には、大気圧の力が関係している。

液体をストロー上方へ運ぶ直接的な力は、コップ内の液体にかかっている空気の重さ、すなわち大気圧の力そのものである。ストローを吸う行為は直接的にはストロー内の空気を吸い出すという行為であり、外部の大気圧に対してストロー内部の気圧を低くするだけの行為である。これによりストロー内部に密着している液体表面だけが大気からの圧力より開放されるが、それ以外の液体表面には依然として大気圧の重みがかかっている状態になる。常に大気圧に押さえ付けられている液体はより低い気圧のほうへ押し出されざるを得ないが、結果的にそこはストロー内部の空間となる。

これは、歯磨き粉のチューブを絞ると内部の歯磨き粉が飛び出してくるのとよく似た現象で、異なるのは実際にチューブを絞るのは使用者ではなく大気圧であるという事、大気圧は常にチューブを絞り続けているという事、そして使用者が行っている行為はチューブのフタを開け閉めする行為に相当するという3点のみである。

別の言い方をすれば、液体には常に大気圧がかかっており、ストロー内を減圧する事で大気圧とストロー内気圧の間に差異が発生し、この差異の力の分だけ液体がストロー内を上へ押し上げられる。よって、ストローの作用原理ではその液体にかかっている大気圧以上の吸い上げ能力は原理上持ち得ない。つまりストローや同様の原理のポンプには持ち上げ能力の絶対限界が存在する。

それは最大減圧である真空を作り出した場合に得られる最大差異と同一であり、すなわち空気の重さそのものである。その持ち上げる力の限界は海抜0m地点の1気圧の場合で、対象の液体がの場合は垂直に10.3m持ち上げる力であり、水の約14倍の質量を持つ水銀の場合では約14分の1の0.76m持ち上げる力となる。

Fifty-fifty - something better than rolling Easter eggs.jpg

また、持ち上げ能力が大気圧に依存しているという関係上、標高の違いで結果に違いが生じる。気圧の上昇・低下に比例してその汲み上げ能力が増減する事になるため、標高の高い地域では気圧が低いために持ち上げ能力も減少し、逆に海抜0m以下では気圧が高いために持ち上げ能力は上昇する。仮に大気圧が2分の1になれば水を垂直に吸い上げられる限界距離も2分の1の5.15mに減少する。

これの極限状態として大気圧がゼロとなる宇宙空間を想定すると、もはやストローは全く持ち上げ能力が存在しない事になる。ただしスペースシャトル内などの居住スペースにおいては重力が存在しなくとも人工的に気圧が存在しているため、この場合は有効である。自然界においてストローの作用原理は気圧の存在下、すなわち空気の存在する重力圏内でしか一般に起こり得ない現象といえる。

脚注[編集]

  1. ^ a b 『料理食材大事典』主婦の友社 p.441 1996年

関連項目[編集]