ノルウェーのビール

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ノルウェーのビールでは、ノルウェーで製造されるビールの概要について記す。

なお、ノルウェー語でビールは「Øl(ウル)」と呼ばれている[1]

歴史[編集]

10世紀頃に北欧の古詩を集めて作られた『ハヴァマール』には、エール蜂蜜酒を醸造していたことが判る記述もあり、ノルウェーにおけるビールの歴史は古い。

900年頃には、農民にはクリスマス(ユール)にクリスマスビール(ユールウル)を醸造することが義務化されており、違反した者は教会から厳しい罰則が科せられた[2]

1500年代に蒸留酒がノルウェー国内に伝わり、1800年代半ばまでにはノルウェー国民は依存症と呼べるようなレベルまで酒の消費が増え、犯罪率も増加するなど、大きな社会問題に発展した[2]。その結果、1917年には蒸留酒、ワイン、ビールを含む禁酒令が施行された[2]。この禁酒令は、1926年の国民投票によって翌1927年に廃止されたが、ノルウェー国民にコーヒー好きという嗜好を根付かせることになった[2]。なお、禁酒令廃止後も、禁酒令ほどではないが、酒類への厳しい規制は続いている[2]

ノルウェーでのビール販売[編集]

1975年に定められた規制によって、ビールを含むアルコール類の商業広告をノルウェー国内で行うことは一切禁止されている[3]。ノルウェー国内の醸造業社も、企業の公式サイトでノルウェー語による商業的な運営が禁止されているため、ノルウェー国外のドメインを使用し、英語を用いたウェブサイトが一般的となっている[3]

スーパーや飲食店では販売可能な酒類のアルコール度数による規制があり、アルコール度数の高い酒類は国営の専売公社でのみ販売が許可されている[3]。また、販売可能な時間の規制もあり、平日の夜間、日曜日、祝祭日、指定された祭りの日や選挙の開催日は酒類の販売が行えない(レストランやバーなど、店で飲む分には販売可能)[4]

ノルウェーのビールの銘柄[編集]

リングネス英語版
ノルウェー最大規模のビールブランド。1876年創業。2004年にデンマークカールスバーグ傘下となる[5]
トップシェアを誇るビールブランドのひとつ[5]

デンマークからの輸入ビールとなるツボルグカールスバーグも人気が高い[5]

ノルウェーでもマイクロブルワリーが醸造する地ビールの人気は年々高まっており[1]ハーンブリッゲリーエ英語版エーギルブリッゲリー英語版ヌグネ・エウ英語版などが代表的である[6]

ノンアルコールビール[編集]

ノルウェーでもノンアルコールビール(ノルウェー語: Alkoholfritt øl)が販売されている。ノルウェーの法律では、アルコール度数が0.7%未満ならば、ノンアルコールを名乗っても良いことになっているため、ノンアルコールビールと表記されている飲料でも多量に飲むと酔うこともある[7]

アルコールがまったく含まれない飲料には、vørterølと記載されている。

その他[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 鐙麻樹 (2013年12月17日). “北欧の酒 ノルウェーで買うビールのお土産”. All About. p. 1. 2018年3月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e 鐙麻樹 (2013年12月19日). “ノルウェーの酒事情/消費税・販売時間・ルールなど”. All About. 2018年3月16日閲覧。
  3. ^ a b c 鐙麻樹 (2013年12月19日). “ノルウェーの酒事情/消費税・販売時間・ルールなど”. All About. p. 2. 2018年3月16日閲覧。
  4. ^ 鐙麻樹 (2013年12月19日). “ノルウェーの酒事情/消費税・販売時間・ルールなど”. All About. p. 3. 2018年3月16日閲覧。
  5. ^ a b c 鐙麻樹 (2014年7月16日). “これを飲まずに帰れない! ノルウェーのビール”. All About. 2018年3月16日閲覧。
  6. ^ a b c 鐙麻樹 (2013年12月17日). “北欧の酒 ノルウェーで買うビールのお土産”. All About. p. 2. 2018年3月16日閲覧。
  7. ^ 鐙麻樹 (2013年12月17日). “北欧の酒 ノルウェーで買うビールのお土産”. All About. p. 3. 2018年3月16日閲覧。

外部リンク[編集]