ビアポン
ビアポン(Beer Pong)は、テーブルの両端に置かれたビールもしくは水で満たされたカップに、ピンポン玉をテーブルの両端から投げ入れあう競技である。通常、1チーム2人から4人で構成され、2チームによって競われる[1]。統一されたオフィシャルルールはなく、ローカルルールが無数に存在する。しかし、通常、プラスチックカップを6個、もしくは10個、テーブルの両端に三角形に配置し競技される。
競技相手よりも早く相手陣地に配置された全てのカップに、ピンポン玉を投げ入れることが基本ルールとなる。通常、カップは、ビールもしくは水により、カップの4分の1、もしくは3分の1程[2]で満たされている。玉がカップに入った場合、入れられた側のチームはカップを規定の位置から外し、カップのビールを全て飲まなければならない。
負けたチームは残ったカップ全てのビールを飲み干さなければならない[1]。投げる順番は、ローカルルールによって異なる。通常、1チームの2人が投げ、次にもう一方のチームの2人が投げるという形で進められる[3]。
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現状 [編集]
今日、ビアポンは、世界各地に広め、パーティのテーブルゲームに限りなく、スポーツとして競技されている。北米では、年齢制限によって飲酒が禁止されている高校生間でも競技されている
ビアポンが生まれた当初からの共通ガイドラインはあるが、ルールは修正、加筆が加えられており、国、州、また家によって異なるものが存在する。
日本では2010年に国内での普及を目指して「日本ビアポン協会」が設立された。
2012年、「東京ビアポン倶楽部」が成立、”水曜PONGでしょう!”というビアポンを広めるイベントを毎週水曜日に東京都内で行い、定期に公式大会も開催している。
起源と名称 [編集]
この競技は、パドルを使ったビアポンから発生したものである[4]。起源は、1950年代、60年代のダートマス大学内同好会の飲酒文化にあると言われている。ビアポン誕生当初は卓球に酷似しており、卓球そのものに、両端に配置した1個、もしくは2個のカップにボールを入れるという要素が加わったものであった[5]。その後、パドルを使わずに行う競技が誕生し、1980年代アメリカで、ビアポンとベイルート (Beirut) という競技名が付けられた[6][7]。
ベイルートとビアポンは同義語であり、パドルを使わないビアポンを意味する競技名として使われている。地域によっては、ビアポンをパドル付きの競技、ベイルートをパドルなしの競技として利用されている。しかし、カレッジヒューマーの調査は、ベイルートよりもビアポンの方がパドルなしの競技として共通的に使われている競技名であることを示している[8]。ベイルートという競技名の起源については論争がある。2004年に発行された、プリンストン大学の学生誌「デイリープリンストニアン」の署名記事では、レバノンの首都であるベイルートが多くの戦いの場となったレバノン内戦発生時に、バックネル大学、もしくはリーハイ大学で名づけられたとしている[9]。他の説は、リーハイ大学の同好会メンバーが、全てのパドルを壊してしまった後に、始めた競技だとしている[10]。リーハイ大学のライバル校であるラファイエット大学の数名の学生は、近代のパドルを使わないビアポンはラファイエット大学で開発されたと主張しているが、同大学の学生新聞は、その主張には証拠がないとしている[11]。
セットアップ [編集]
チーム [編集]
通常、ビアポンは2人/1チームが2チーム集まり競技されるが、1人/1チームや2人以上/1チームの構成で競技することも可能である。ゲームは、それぞれのチームが、カップが配置されたテーブルの両端に立って開始される[1]。
競技環境 [編集]
競技は通常卓球台、もしくは折りたたみ式テーブル上で行われるが、熱狂的競技者は友人や来客との利用のために個人仕様のテーブルを作ることもある。一般的にテーブルはベニア板を定型のサイズに合わせて加工して作られる。テーブルにはスポーツ、学校、同好会のシンボルをペイントした後、防水加工処理される[12][13][14]。いくつかの企業がテーブルを販売しており[15]、その中の数社は折りたたみ式のポータブルテーブルや膨らませることができるテーブルを製造している[16]。平たい面の上であれば競技することができるため、ドアやダイニングテーブルで行われることもある。
競技道具 [編集]
- カップ
- 一番よく使われるのは、16オンスの使い捨てプラスチックカップである。カップには溝(ライン)が付けられており、注がれるビールの量を正確に測ることができる。各チームは、カップをテーブルの両端に正確な三角形に整え、三角形の先端を相手チームに向けるよう調整する[1]。通常各チーム6個、10個、もしくは12個のカップを利用し[1]、ボールを洗浄するためのカップを1個使う。
- ボール
- 33mm、もしくは40mmの卓球玉(ピンポン玉)が通常利用される。
アルコール [編集]
数ゲームのうちに大量のビールを消費するため、安価なペールビールかアルコール度数3.2%-5%のライトビールが好まれる[17]。学内でのアルコール摂取が禁止されているユタ州立大学では、飲酒しない人は、ビールを使わなくてもよいとしている。その場合、ルートビールが代わりに利用される[18]。ビールの代わりに水で競技することもでき、水を飲まなくてもよいが、別カップにビールは用意されている。ダートマス大学寮では、水中毒になる可能性があるため、1年生による水ポンは禁止されている[19]。
競技方法 [編集]
いくつかのオフィシャルルールが存在する。通常、競技者は所属する大学、地域(例:「アイビーリーグルール」、「ウェストコーストルール」)で利用されるハウスルールに従い競技するが、個人個人によりルールが変わることもある[20]。カップの数量、バウンドが許容されるか否か、アルコール量、等全てが変わりうる。
場所によっては、競技者はカップに入れられた瞬間にカップに入ったビールを飲み干さなければならない。飲み干すことができなければ、ビールの追加、もしくはゲームを失う等のペナルティが課される[21]。いくつかのルールでは、「再配置」(「再調整」や「再整理」等とも呼ばれる)が認められている。「再配置」とは、入れられたカップを規定位置から除いた後の、残ったカップを再度規定位置に整理することである。「再配置」のタイミングについては、各ルールによって異なる。例えば、3つのカップが投げ入れるカップとして残っているチームは、「再配置」とリクエストし、バラバラになっているカップを1つの三角形にすることができる[22]。
あるハウスルールでは、ボールがカップに当たりバウンドした場合やカップをスピンし飛び出してきたボールを、はたき落としてもよいとしている。他のルールは、もし1チームの2人が1つのターンでカップに投げ入れることに連続で成功した場合、もう一回投げるチャンスを得るとしている。これを「レポ」もしくは「ロールバック」と呼ぶ[23]。WSOBPのルールでは、レポ/ロールバックはボールを一回投げることができるとしている。この3回目のボールがカップに入った場合、3連続成功となり、「スプラッシュトリック」と呼ばれる。
各チームは、ボールを投げた後、洗浄を目的としてピンポン玉を水に勢いよく投げ入れてもよい。洗浄したとしても、ウォッシュカップ自体に大腸菌のような細菌が含まれていることは留意するべき点である[24][25]。
ショット技術 [編集]
ビアポンには、アーク、ファーストボール(もしくは、レーザー)、バウンスショット、という3つの投げ方がある。最も一般的な投げ方は、アークショットである。親指と人差し指でピンポン玉を持ち、肘にある一定の角度を付け、ボールを上に向ける。そして、やわらかく肘を使い、上腕をテーブルに平行にしたまま投げる[20]。
ファーストボールを利用する競技者も存在する。目標とするカップに対し、早いモーションでボールを投げる。ボールは一直線にカップへ向かう[20]。倒れてしまったカップはテーブルから排除するというハウスルールで、かつ強く投げればカップが倒れるような場合は、ファーストボールは歓迎されない。
バウンスショットはボールをカップ目掛けてバウンスさせることで実現される。ハウスルールによってはバウンスショットに関しては、受け側がはたきおとしても良いとしている場合がある。その場合、バウンスショットは成功した際には1カップ以上の価値がある[20]。バウンスショットが許されていないルールもあれば、必要とするルールもある。
勝敗 [編集]
一方のチームが最後のカップに投げ入れることに成功した場合、ハウスルールによるが、もう一方のチームが全てのカップを次のターンで入れない限り、その入れられた側のチームの敗北となる。この入れられたチーム側の行為を償還(リデンプション)と呼ぶ[26]。ルールによっては、一方のチームがラストカップに2回連続で入れた場合、相手チームにはリデンプションの機会が与えられないとしているものもある[20][22]。
完封ルールは、通常競技前、もしくは完封の流れになった競技の最中に決定される。完封が実現された場合、敗北したチームは、全裸で公共の場を走らされる、大量のビールを飲まされる等、勝利チームの決定に従わなければならない[22]。
健康への影響 [編集]
この競技には健康問題が付きまとう。アルコール消費を伴う他のアクティビティと同様に、ビアポンは競技者をアルコール依存症にする可能性や、泥酔後急性アルコール中毒にしてしまう可能性がある。洗浄効果が期待されるウォッシュカップの存在もカップ内の細菌により相殺されてしまう[24][25]。
数人のライターは、ビアポンは、大学での制御不能な飲酒を助長するものであるとしている[27][28]。
2009年、報道は、米疾病対策センター(CDC)の研究により、ビアポンのカップを共有する行為が、ヘルペス、単核症やその他病原菌の拡散を助長していることがわかったと伝えた。CDCは即座に、そのような研究はしていないと反応したが[29][30]、米国立予防衛生研究所(NIH)は、伝染性ウィルスの拡散を防ぐため、飲食に利用する用具の共有は避けるべきと忠告している[31]。
法的な制限 [編集]
いくつかの地方自治体及び州は、全面的に、もしくはバーから、ビアポンを規制することを試みている。マイアミ大学が位置するオハイオ州オックスフォードでは、市議会がビアポンを屋外ですることを規制しようとした[32]。バージニア州アーリントン[1]及びイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校[33]付近では、バーのオーナー達がバーでのビアポンを禁止するよう求められた。2007年秋には、ジョージタウン大学が、ビアポン道具の一式(改良を加えたテーブルや多くのボールを持つこと)を規制対象とした[34]。
タイムマガジンは2008年7月31日、「ビアポンを巡る戦争」という題で記事を書き、規制や大学等で禁止になったことを記載した[19]。
トーナメントとリーグ [編集]
ビアポンのトーナメントはアメリカの、地域、州、全国レベルで開かれている。
BPONG.COMが開催するWorld Series of Beer Pong (WSOBP)が、世界で一番大きな大会となっている。WSOBP IVは、2009年1月にネバダ州ラスベガスのフランミンゴホテル&カジノで開催され、賞金5万ドルが掲げられ、800人の参加者がアメリカ全土及びカナダから集まった[35]。WSOBP Vは、2010年1月に開催され、1,000人以上の競技者を集めた。自国でのビアポンをスポーツとして普及させるという志を持ったアイルランド人、スコットランド人、ドイツ人、そして日本人も参加し、大いに盛り上がった。World Beer Pong Tourも同様に、多くの都市でトーナメントを開催している[36]。
最も一般的なビアポン競技の団体は、地域に根ざしたリーグである。通常、熱狂的なビアポン競技者が集まりチームを作り、週末互いを相手にして競技する。それらのリーグは、ウェブサイト、ランキングや統計情報[37]を持っていることもある。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の「イスラビスタビアポンリーグ」[38]や、ニューヨーク大学では、学内の大会が開かれている[39]。
メディア [編集]
ウォールストリートジャーナル、タイムやその他のメディアは、ビアポン道具(テーブル、マット、カップ、衣服等)の販売ビジネスが増加してきていると報道している[2][15]。Last Cup: Road to the World Series of Beer Pong[40]は、何人かのビアポン競技者にスポットを当てたドキュメンタリーで、WSOBP IIのために準備していき、最後はお互いに$20,000の賞金を賭けて戦うというもの。ディレクターはダン・リンゼイで、2008年6月13日に開かれたシネベガスフィルム祭で、最優秀賞を獲得した。WSOBP Vは更にメディアの注目を集め、マキシムマガジンのライター、ESPNマガジン関係者の出席、そして、1月8日のThe Jay Leno Showでは、特番が組まれた。2010年1月11日に放映された、G4's Attack of the Showでも特番が組まれた。
AP通信は、ビアポンやその他飲み会でのゲームを大学生の死の原因として引用している[41]。
タイムマガジンは、ビアポンの普及[2]についての記事と動画を自社のウェブサイトに載せた[42]。どちらも、競技者がビアポンは、ビリヤードやダーツと同じようにスポーツでありゲームではないと主張するものであった。
リック・レイリーは、ESPNマガジンに、WSOBP IVの特集記事を載せた[43]。
ビアポンは、Late Night with Jimmy Fallonでも取り上げられ、ファロンが、ゲストであるベティー・ホワイト、セリーナ・ウィリアムス、アンナ・クルニコワ、シャーリーズ・セロン、そしてジェシカ・アルバと競技をしているところが放映された[44]。
The Colbert Reportでも、特集が組まれた[45][46]。
In Road Trip: Beer Pong は、ビアポンに焦点が絞られた映画であった。映画が撮られたアンガススコット大学は、学生からの苦情があったため、映画の製作者・出演者・協力者・資料提供者等のリストへの大学名の提示を拒んだ[47]。
Episode 2 ("Hazed and Confused")では、2つの同好会間のビアポンが取り上げられた。
出版物 [編集]
2009年8月29日に、クロニコルブックスは、200ページに渡りビアポンを紹介する、The Book of Beer Pongを出版した[48]。
バドポン [編集]
バドポンとは、企業ブランド化されたバージョンのビアポンで、アンハイザー・ブッシュ社がバドワイザー等のビール類ではなく、水を飲むゲームだと主張するものである。2005年夏、アンハイザー・ブッシュ社が販促品である「バドポン」セットを卸業者に対して展開し始めた。ニューヨークタイムズは、消費者市場担当副社長フランシス・アイ・カッツが、プロモーションはバーで行われており、大学のキャンパスで行われてはいないため、バドポンは未成年者の飲酒を助長するものではないとのコメントを記載している。更にカッツはそこで、バドポンは暴飲を助長するものでなく、オフィシャルルールではビールではなく、水での競技としていると言及している[49]。
ニューヨークタイムズは、クレムソン大学付近に位置するいくつかのバドポン企画に関わったクラブの店員のコメントを載せている。「水で競技しているところは見たことがなく、通常通り、ビールでビアポンが行われていた」[49]。
アンハイザー・ブッシュ社のコメントに対して不信感を示した人間は複数存在した。ハーバード大学公衆衛生大学院の大学におけるアルコール研究室ディレクターのヘンリー・ウェクスラーは、「酒販売会社が何故水を飲むゲームを促進するのか?合理的ではない。」[49]とコメントしている。広告系ニュースを配信するAdjabは、「ビアポンを水でするということは、10代が、コンビニエンスストアで紙を購入してタバコを吸うようなものだ。」とコメントしている[50]。
ビデオゲーム [編集]
2008年7月、JV Games社がダウンロード可能なWiiウェア向けタイトルとしてFrat Party Games: Beer Pongをリリースした。その後、保護者や大学関係筋からの苦情が多く、Frat Party Games: Pong Tossとしてタイトル名を変更し、アルコールに関連する表現は取り除かれた[19][51]。
脚注・出典 [編集]
- ^ a b c d e f Shott, Chris (2005年10月7日). “The Pong Arm of the Law”. The Washington City Paper. 2007年7月27日閲覧。
- ^ a b c Haire, Meghan. "Beer Pong's Big Splash", Time, August 7, 2008
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外部リンク [編集]