ダイズ

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大豆
W daizu4111.jpg
ダイズ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ダイズ属 Glycine
: ダイズ G. max
学名
Glycine max
和名
ダイズ
英名
: Soybean: Soya bean
大豆の花
ダイズ(mature seeds, raw)
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 1,866 kJ (446 kcal)
炭水化物 30.16 g
- 糖分 7.33 g
- 食物繊維 9.3 g
脂肪 19.94 g
- 飽和脂肪酸 2.884 g
- 一価不飽和脂肪酸 4.404 g
- 多価不飽和脂肪酸 11.255 g
タンパク質 36.49 g
- トリプトファン 0.591 g
- トレオニン 1.766 g
- イソロイシン 1.971 g
- ロイシン 3.309 g
- リシン 2.706 g
- メチオニン 0.547 g
- シスチン 0.655 g
- フェニルアラニン 2.122 g
- チロシン 1.539 g
- バリン 2.029 g
- アルギニン 3.153 g
- ヒスチジン 1.097 g
- アラニン 1.915 g
- アスパラギン酸 5.112 g
- グルタミン酸 7.874 g
- グリシン 1.88 g
- プロリン 2.379 g
- セリン 2.357 g
水分 8.54 g
ビタミンA相当量 1 μg (0%)
- βカロテン 13 μg (0%)
- ルテインおよびゼアキサンチン 0 μg
ビタミンB1 0.874 mg (67%)
ビタミンB2 0.87 mg (58%)
ビタミンB3 1.623 mg (11%)
パントテン酸(ビタミンB5 0.793 mg (16%)
ビタミンB6 0.377 mg (29%)
葉酸(ビタミンB9 375 μg (94%)
コリン 115.9 mg (24%)
ビタミンB12 0 μg (0%)
ビタミンC 6 mg (7%)
ビタミンD 0 IU (0%)
ビタミンE 0.85 mg (6%)
ビタミンK 47 μg (45%)
カルシウム 277 mg (28%)
鉄分 15.7 mg (126%)
マグネシウム 280 mg (76%)
マンガン 2.517 mg (126%)
セレン 17.8 μg (25%)
リン 704 mg (101%)
カリウム 1797 mg (38%)
塩分 2 mg (0%)
亜鉛 4.89 mg (51%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
大豆100g中の主な脂肪酸の種類[1]
項目 分量(g)
脂肪 19.94
飽和脂肪酸 2.884
14:0(ミリスチン酸 0.055
16:0(パルミチン酸 2.116
18:0(ステアリン酸 0.712
一価不飽和脂肪酸 4.404
16:1(パルミトレイン酸 0.055
18:1(オレイン酸 4.348
多価不飽和脂肪酸 11.255
18:2(リノール酸 9.925
18:3(α-リノレン酸 1.33
100g中の食物繊維[2]
項目 分量
炭水化物 28.2 g
食物繊維総量 17.1 g
水溶性食物繊維 1.8 g
不溶性食物繊維 15.3 g

大豆(学名 Glycine max)は、マメ科一年草種子は食用となる。未成熟の種子は枝豆と呼ぶ。

特徴[編集]

農作物として世界中で広く栽培されている。日本には縄文時代に存在したと思われる大豆の出土例があり、『古事記』にも大豆の記録が記載されている。

ダイズ種子には苦み成分であるサポニン(ダイズサポニン)が多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一に匹敵するだけのタンパク質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。日本・ドイツでは「畑の(牛)肉」、アメリカ合衆国では「大地の黄金」とも呼ばれている。また、日本料理やその調味料の原材料として中心的役割を果たしている(後述)。

ダイズ種子貯蔵タンパク質アミノ酸残基組成は、含硫アミノ酸であるメチオニンシステイン残基が少なく、それらは制限アミノ酸となっていると言われたことがある。そのため、タンパク質の有効利用効率を示すアミノ酸スコアプロテインスコアを下げていると言われていた。しかし、これらは成長期のラットに基づく数値であり、その後、ヒトに基づく数値に置き換えられ、具体的には、大豆のアミノ酸スコアが1973年には86点だったものが、1985年には100点と変更された。大豆は、牛乳と同等の良質なタンパク質であるとの評価を得ている[5]

多くのマメ科植物の種子と同様に、ダイズ種子中には有毒なタンパク質性のプロテアーゼインヒビタートリプシン・インヒビター、セリンプロテアーゼ・インヒビター)やアミラーゼ・インヒビターやレクチンが含まれているため、生食はできない。そのため、加熱してプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターを変性失活させて消化吸収効率を上げている。なお、加熱してもプロテアーゼ・インヒビターの失活は十分ではないので、納豆菌などを繁殖させて納豆菌の分泌するプロテアーゼによってダイズ種子中のタンパク質を分解させると、タンパク質の消化吸収効率が増大する。

古くからの在来種、固定種が多く現存しており、マメ科の特性もあり、両性花で自家受粉可能であるため自家採種のしやすい植物である。その反面、連作障害を起こしやすいため、次の年は輪作を行ない、違う作物を作付けし、連作を避けるか、連作を行なうために消毒や土壌改善を行う等の対策を練らねばならず、日本国内においては、この事が栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。

根粒菌との共生[編集]

ダイズを含む一部のマメ科植物は根粒もしくはに茎粒を持ち、根粒菌という細菌が共生している。根粒菌は植物からリンゴ酸などの効率のいい栄養分をもらって生活の場を提供して貰う代わりに、大気中の窒素を植物にとって使いやすい硝酸塩に転換(窒素固定)する。窒素は植物にとって必須元素であり、肥料として取り入れる成分の一つであるが、自然界では一部の細菌と雷などでしか使用可能形態に転換できない。特に根粒ではその能力が高いため、それを持つ植物は自ら肥料を作ることのできることになり、そのような植物はやせている土地でもよく育つものが多い[6]。このダイズの窒素固定能を有する根粒菌との共生により十分な量の窒素分を吸収し、豊富なアミノ酸を産生でき、ダイズはその種子に他の植物には見られないような豊富なタンパク質を含有させている。

共生成立までの過程に於いて、Nodファクターと受容体による経路[7][8]III型分泌系による経路[9]の複数の経路が有ることが解明されている。

原産地・世界への伝来[編集]

説が各種あり、定かではないが、原産地は中国東北部からシベリアとの説が有力で、日本にも自生しているツルマメが原種と考えられている。

栽培の歴史も諸説あるが、約4000年前に中国でツルマメの栽培が始められ、ダイズとして作物化されたと考えられている。日本には朝鮮半島を経由して、縄文時代後期中頃[10][11]に伝来したと考えられている。日本列島においては縄文時代においてアズキリョクトウなどの炭化種実が検出されているためマメ類の利用が行われていた可能性が考えられており、縄文農耕論の観点からも注目されている。近年はダイズに関して九州地方や中部地方においてを土器内部の植物圧痕として確認された例があり、縄文中期から後期にかけては日本列島における存在が確認されている[12]

これらの発見により日本列島においては縄文中期中葉段階で栽培種ダイズが存在し、この時期以前に大陸から栽培種ダイズがもたらされたか、あるいは日本列島において独自にツルマメからの栽培化が起こった可能性が考えられている。また、山梨県の酒呑場遺跡から出土した土器のダイズ圧痕は蛇体装飾の把手部分から検出されており、これは偶然混入したものではなく意図的に練りこまれた可能性が想定されており、その祭祀的意図をめぐっても注目されている。

ヨーロッパやアメリカに伝わったのは意外にも新しく、ヨーロッパには18世紀、アメリカには19世紀のことである。ヨーロッパにダイズの存在を伝えたのはエンゲルベルト・ケンペルだといわれており、彼が長崎から帰国した後、1712年に出版した『廻国奇観』において、ダイズ種子を醬油の原料として紹介した。shoyu(醬油)bean(豆)からSoybean。ヨーロッパでは1739年フランスでの試作、アメリカでは1804年ペンシルベニア州での試作が最初の栽培とされている。ベンジャミン・フランクリンの手紙の中に、1770年イギリスにダイズ種子を送る旨が記してある。ヨーロッパでそれ以前にダイズの存在を知られていなかった理由として、既に他の豆類が栽培されていた事や、土壌が合わなかったこと、根粒菌が土壌にない場合があったことなどが挙げられている。

ダイズが伝播した後も、専ら搾油用やプラスチックの原料など、ダイズ種子の工業用途が主な栽培理由であった。1910年代以前は、ダイズはアジア圏以外では重要な作物とはみなされていなかった。ヘンリー・フォードもプラスチックの原料を安く調達するために大豆農園を作っていた。食料として注目されるようになったのは1920年代以降の事であり、ヨーロッパで食料として初めて収穫されたのは1929年の事とされる。アメリカで本格的にダイズが栽培されるようになったのは、1915年ワタミハナゾウムシ英語版の侵入によってアメリカ南部綿花が大打撃を受け、それまでアメリカの製油業の中心であった綿実油が不足してからである。ワタに代わる新たな製油材料として、それまでも徐々に栽培を拡大させてきたダイズは一気に脚光を浴びることとなった。1920年代には製油用や飼料用としての需要の高まりにより、さらに大規模に栽培されるようになった[13]。タンパク質含有量の高いダイズ種子は用途が広く、レシチンなど、様々な食品の製造に加工された。

日本では非常に重用され、(ひえ)・豆(大豆)を五穀とし、節分には大豆による豆まきが行なわれるほどである。

利用[編集]

ダイズ種子(大豆)はタンパク質や脂肪鉄分カルシウムなど、ミネラルを多く含む。

食用[編集]

日本では色々な形に加工され、利用されている。まず、大豆を暗所で発芽させるとモヤシ、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でると枝豆、さらに育てて完熟したら大豆となる。大豆を搾ると大豆油、煎ってにするときな粉、蒸した大豆を麹菌と耐塩性酵母発酵させると醬油味噌、また蒸した大豆を納豆菌で発酵させると納豆となる。熟した大豆を加水・浸漬・破砕・加熱したものを搾ると液体は豆乳、その残りはおから、豆乳を温めてラムスデン現象によって液面に形成される湯葉にがりを入れて塩析タンパク質を固めると豆腐、豆腐を揚げると「油揚げ」「厚揚げ」、焼くと「焼き豆腐」、茹でて「湯豆腐」、凍らせて「凍み(高野)豆腐」となる。大豆にはサポニン等水溶性の低分子化合物やタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターやレクチンなどの有毒成分が含まれており、これらの加工には有毒成分の除去や解毒の意味もある。

食用大豆の用途別使用量/1000 t (食料産業局食品製造卸売課の推計[1])
みそ 醤油 豆腐・油揚げ 納豆 凍豆腐 豆乳 煮豆・惣菜 きなこ その他 合計
1997 165 26 494 122 30 3 33 14 132 1,019
1998 162 26 495 128 30 4 33 16 152 1,046
1999 166 30 492 127 29 6 33 17 117 1,017
2000 166 30 492 122 29 7 33 17 114 1,010
2001 149 32 492 129 29 9 33 17 125 1,015
2002 149 35 494 141 29 11 33 17 126 1,035
2003 138 38 494 137 30 19 33 17 128 1,034
2004 139 37 496 139 33 29 33 18 129 1,053
2005 141 40 494 131 33 32 33 18 130 1,052
2006 140 40 492 130 33 30 33 18 130 1,046
2007 139 40 497 130 30 25 33 19 132 1,045
2008 137 39 496 129 29 25 33 19 130 1,037
2009 131 39 490 125 27 29 33 19 100 993
2010 127 39 480 123 26 32 33 19 97 976
2011 126 35 465 122 24 34 31 18 95 950
2012 124 33 450 123 22 40 30 17 93 932

生薬[編集]

蒸した黒豆(黒大豆)を発酵させてから乾燥させたものは、香豉(こうし、別名:(ずし))という生薬であり[14][15]陶弘景校定による『名医別録』には「」として収載されている[14]。香には発汗作用、健胃作用があるとされ、香を含有する漢方薬には梔子湯、瓜蔕散などがある[14][15]。本来、黒豆の発酵・乾燥品を用いるが、現在では納豆を乾燥させたものを代用する[15]

大豆油・大豆インキ[編集]

大豆から作られる大豆油は、かつては燃料としても用いられたが、現在最も安い食用油として発展途上国で、大量に消費され、ダイズ世界消費の87%を占めている。大豆から疎水性成分をヘキサンで抽出し、ヘキサン画分を減圧するとヘキサンを回収でき、粗油成分が残る。粗油成分を精製すると大豆油となる。油の搾り粕は醤油の原料や家畜飼料となる。近年では大豆インキ環境に優しいなどとして利用が増加している。

飼料[編集]

飼料としての大豆はタンパク質源として良質で、肉牛を肥えさせたり、鳥の産卵率を上昇させるのに大きく寄与している。ただし、含有タンパク質中のメチオニンやシステイン残基含量が少ないため、タンパク質の有効利用効率を上げるために、メチオニンやシステインを多く含む他の飼料と混合して利用されている。近年、特にBSE問題によって飼料のタンパク質源として肉骨粉の利用が規制されたため、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の需要は増している。 かつては温帯・亜熱帯でしか栽培可能でなかったが、技術の向上により、栽培できる地域が拡大した。

生産[編集]

大豆世界生産上位15ヶ国(2009年)[16]
 順位   生産量 
(トン)
 順位   生産量 
(トン)
   1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国    91.417.300    9 ウクライナの旗 ウクライナ    1.043.500
   2 ブラジルの旗 ブラジル    56.960.732    10 ウルグアイの旗 ウルグアイ    1.028.600
   3 アルゼンチンの旗 アルゼンチン    30.993.379    11 インドネシアの旗 インドネシア    974.512
   4 中華人民共和国の旗 中国    14.500.141    12 ロシアの旗 ロシア    943.660
   5 インドの旗 インド    10.217.000    13 ナイジェリアの旗 ナイジェリア    610.000
   6 パラグアイの旗 パラグアイ    3.855.000    14 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国    516.000
   7 カナダの旗 カナダ    3.503.700    15 イタリアの旗 イタリア    468.200
   8 ボリビアの旗 ボリビア    1.499.376     世界総計    222.268.904


大豆の主な輸入国と輸入量 (百万トン)[17]
輸入国 2006
/7
2007
/8
2008
/9
200
9/0
2010
/1
2011
/2
備考
中国 28.7 37.8 41.1 50.3 52.3 2004/5年度は25.8百万トンで倍増している。
メキシコ 3.8 3.7 3.3 3.7 3.5
オランダ 4.0 4.0 3.5 3.3 3.2
スペイン 2.5 3.3 2.9 3.2 3.1
日本 4.1 4.0 3.4 3.4 2.9 2004/5年度から2007/8年度は
4百万トン前後の輸入であった[18]
ドイツ 2.8 2.7 2.5 2.4 2.6
台湾 2.4 2.1 2.2 2.5 2.5

日本は現在大部分を輸入に頼っているため、2003年に世界的不作から価格が高騰したときには大きな影響を受けた。最大の生産国はアメリカ合衆国、次いでブラジルアルゼンチン中華人民共和国と続く。アメリカの大豆生産量は増減が激しいが、近年アルゼンチンとブラジルの大豆生産量が大きな伸びを示している。輸出国は、アメリカ合衆国、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイカナダの順である。日本の輸入量は、中華人民共和国、EU 27カ国に次ぐ世界第3位である。中華人民共和国では経済成長に伴う食生活の変化により消費量が増加しており、これからも増え続けると見られている[19]。この需要に応えるため、ブラジルでは天然林伐採を伴う大豆農地の拡大が進んでおり、問題視されている。また、ダイズ農場は一つの農場当りに必要とされる労働者が少ないため、失業問題にも繋がっている。

日本国内のダイズ生産量は平成22年度で222800トンであり、県別では北海道が57100トンで最大産地となっており、以下宮城県の18100トン、佐賀県の17700トン、福岡県の16100トンと続く。日本でダイズ生産量が1万トンを超えるのはこの4道県のみである[20]

消費[編集]

2007年のダイズの世界消費は、大豆油製造用が87%と圧倒的多数を占め、ついで飼料用が7%、食用が6%となっている[21]。また、ダイズから油を絞った後のダイズ搾りかすも飼料として価値が高く、世界の穀物取引の中心であるシカゴ商品取引所にはダイズとダイズ搾りかす(大豆ミール)がともに上場され、盛んに取り引きされている。日本国内のダイズ消費量は2005年度に534万8000トンであり、このうち大豆油用が429万6000トン、食用が105万2000トンである。ダイズが基幹食料となっている日本では食用消費の占める割合が世界消費に比べかなり多くなっているが、それでも20%弱に過ぎない。日本国内の食用消費の内訳は、豆腐が49万6000トンで半数近くを占め、ついで味噌・醬油用が17万1000トン、納豆用が13万6000トン、煮豆や惣菜用が3万3000トン、その他が21万5000トンとなっている。国産大豆は油脂用にはまったく使用されていないが、食用消費の21%を占めている[22]

語源[編集]

英語の「soy bean」の由来は、大豆がまず醤油の原料として知られた事に由来する。

タイプ[編集]

用途別
  • 蛋白大豆=食用
  • 油大豆=油用
  • 枝豆用

主な品種・ブランド[編集]

様々な大豆

さまざまな大豆加工食品[編集]

豆腐の味噌汁。豆腐と味噌はともに大豆から作られ、日本の食生活の根幹を成している
納豆
枝豆

現在日本でよく知られている大豆加工食品には以下のようなものがある。

大豆の原形をとどめるもの
  • 乾燥大豆 - 大豆を保存する際の基本形であり、数時間以上水にもどしてから調理に用いる。また節分時のようにそのまま「炒り豆」にすることも。
  • 煮豆 - 味をつけずに煮た「水煮」はやはり調理に用いられる。保存のきく缶詰レトルトパックに個装されて市販もされている。枝豆も参照。
  • 甘納豆
大豆を粉砕したり搾ったりしたもの
  • 大豆油
  • きな粉
  • ずんだ - 未成熟の青い大豆を粉砕し、仕立てにしたもの
  • 打豆(かち豆)- 大豆を粗く粉砕して乾燥させたもの。さまざまな調理に用いる。
  • 大豆粉 - 乾燥大豆(主に、すずさやか)を炒らないで微粉末にしたもの。低糖質パンや低糖質スイーツなどの原料として注目されている。
  • 呉 - 水煮した大豆を摩砕した状態のもの(豆乳とおからに分離する前段階のもの)
大豆を発酵させた加工食品
主な大豆食品
(ダイズの若芽)モヤシ
(未成熟のもの)枝豆
(乾燥)乾燥大豆
(粉砕せず加熱) (炒る)炒り豆
(煮る)煮豆
(砂糖で味付)甘納豆
(粉砕・乾燥) きな粉
打ち豆
(圧搾・抽出) 大豆油
(水とともに摩砕) (圧搾した液体)豆乳 (加熱した皮膜)湯葉
(にがりで凝固)豆腐 (揚げる) 油揚げ
生揚げ、厚揚げ
がんもどき
揚げ出し豆腐
(凍結・乾燥)高野豆腐
(発酵)豆腐腐乳臭豆腐
(葛粉で凝固)ごどうふ
(発酵)豆汁
(圧搾した残り)おから
(発酵) 醬油
もろみ
ケチャップマニス
味噌
納豆
テンペ

健康への影響[編集]

大豆はタンパク質カルシウムを多く含むため、栄養源として重要である。大豆の可食部乾燥重量100g中に、417kcal、水分12.5g、タンパク質35.3g、脂質19.0g、炭水化物28.2gの栄養価がある[24]

さらに、大豆に含まれるゲニステインダイゼイングリシテインなどのイソフラボン大豆イソフラボンと総称され、弱い女性ホルモン作用を示すことから骨粗鬆症更年期障害の軽減が期待できる[25][26][27]。これらの作用から、大豆製品の中には特定保健用食品に指定されている物もある。骨粗鬆症予防効果、更年期障害の緩和に加えて、抗動脈硬化作用の可能性もある。また、乳がん前立腺がん等の予防にも効果があることが、疫学的な調査で明らかになってきており、特にイソフラボン配糖体のゲニステインという物質に、腫瘍の血管新生を抑える効果があり、それにより腫瘍の増殖を抑制することがわかってきた[28]。大豆製品・イソフラボン摂取量について、イソフラボンは乳がん発生率減少と関連しており[29]、よく摂取するグループで限局性前立腺がんのリスクが低下し[30]喫煙経験のない男性ではイソフラボン摂取が多いほど肺がんになりにくく[31]、全体として大腸がんとの関連はみられず[32]、イソフラボン摂取量が多いグループの女性の肝がんリスクは高かった[33]

大豆をよく食べる女性グループで脳梗塞心筋梗塞のリスクが低下した[34]

順天堂大学の研究によれば、納豆の摂食頻度と月経状態・月経随伴症状は有意の関係がみられ、摂食頻度の増加は症状を軽減させている可能性があるとしている[35]

大豆イソフラボンはサプリメントとしても用いられる。イソフラボンはヒトに対する悪影響も懸念されており(詳しくはイソフラボンを参照)、内閣府食品安全委員会は食品とサプリメントを合わせた安全な一日摂取目安量の上限値を、一日あたり70 - 75mgに設定している[36]。なお日本人の食品由来の大豆イソフラボン摂取量は15 - 22mg、多い人でも40 - 45mg程度である。イソフラボンは甲状腺へのヨウ素の取り込みを阻害する作用があるため、ヨウ素欠乏の状態で大豆製品を多食すると、甲状腺肥大をもたらす可能性がある。通常の日本食では海藻類にヨウ素が含まれている[37]

雄の2型糖尿病マウスに大豆サポニンAグループと大豆サポニンBグループを別々に投与したところ大豆サポニンBグループに血糖値上昇抑制作用は認められたが大豆サポニンAグループにはその作用は認められなかった[38]。疫学調査では、大豆の摂取は肥満および閉経後女性で糖尿病発症のリスクが低下するものの、全体としては糖尿病発症との関連なしとされた[39]

全年齢では鶏卵38.7%、牛乳20.9%、小麦12.1%が3大アレルゲン(ピーナッツと魚卵を足し5大アレルゲン)であり大豆は1.5%の11位である[40]アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、アトピー喘息などアレルギー素因のある者は注意が必要である[41][42]

2006年3月27日、アメリカ合衆国の健康専門月刊誌『ヘルス』による世界の5大健康食品が発表され、スペインオリーブ油日本の大豆、ギリシャヨーグルトインドダール(豆料理)、大韓民国キムチの5品目が選出された。

環境への影響[編集]

BSE問題が顕在した結果、それまで畜産飼料として利用されていた肉骨粉の利用が規制され、それに伴い、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の利用が急激に増えた[43]。需要が急増したため、南米諸国、特にブラジルやアルゼンチンでの栽培が増えた。その結果、アマゾンの熱帯雨林において、大豆生産のためのプランテーションの大規模な開発が行われており、それによる森林の消失が問題になっている[44]

日本文化[編集]

日本においては、節分の日に炒った大豆をまく「豆撒き」の風習がある。

参考文献[編集]

  • A・レウィントン 『暮らしを支える植物の事典』 八坂書房。

脚注[編集]

  1. ^ USDA栄養データベースUnited States Department of Agriculture
  2. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
  3. ^ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
  4. ^ [『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]
  5. ^ 大豆タンパクの高い栄養価─その新しい評価方法―”. 2012年11月16日閲覧。
  6. ^ Martin Crespi and Susana Gálvez (2000). “Molecular Mechanisms in Root Nodule Development”. Journal of Plant Growth and Regulation 19 (2): 155–166. doi:10.1007/s003440000023. PMID 11038225. http://www.springerlink.com/content/2y6pbrdwqtegml7c/fulltext.pdf. 
  7. ^ Nodファクターの認識・伝達機構
  8. ^ 土壌微生物由来の共生シグナル物質の受容と細胞内シグナル伝達経路の解明 植物共生機構研究ユニット
  9. ^ 根粒菌のダイズへの新規共生経路の発見 ~病原菌から共生菌への進化の解明に向けて~ かずさDNA研究所 (PDF)
  10. ^ 小畑弘己・佐々木由香・仙波靖子「土器圧痕からみた縄文時代後・晩期における九州のダイズ栽培」、『植生史研究』第15巻第2号、2007年、 97-114頁。 PDF
  11. ^ 松下嘉一、堀美佐子「民間薬の効用と料理法28:黒豆・黒大豆」、『月刊漢方療法』第5巻第9号、2001年、 p.p.748。
  12. ^ 中部地方ではレプリカ・セム法を用いた山梨県北杜市長坂町酒呑場遺跡から出土した縄文時代中期の蛇体把手付土器から検出されたダイズ圧痕の存在が確認(2008)、九州においては長崎県の大野原遺跡や礫石原遺跡、熊本県の三万田遺跡、上南部遺跡、石の本遺跡などにおいて縄文後期・晩期段階のダイズ圧痕が確認されている(2007)。
  13. ^ 『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典』2 主要食物:栽培作物と飼養動物、三輪睿太郎(監訳)、朝倉書店、2004年9月10日、第2版第1刷、pp. 461-462。
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  17. ^ 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「1.2 世界の油糧種子の貿易」
  18. ^ 資料の数値は2010年10月から2011年9月で東日本大震災の影響で数値が例年とは異なる可能性がある。
  19. ^ 「中国においては、所得水準の向上に伴い、肉類、油脂類の消費が増加するなど、食生活が変化してきている。このため、家畜の飼料として消費される穀物や大豆粕などが人口の伸びを上回って増加しており、特に大豆粕等についてはOECD-FAO のレポートによると、2008 年の見込みでは10 年前の1998年に比べ2倍強に増加し、さらにその10 年後の2018 年には1998 年に比べ3 倍強にまで増加すると予測されている。」、p. 57、海外食料需給レポート2009、平成22年3月、農林水産省
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  21. ^ 榎本裕洋、安部直樹 (2008年8月30日). 絵で見る:食糧ビジネスのしくみ. 柴田明夫(監修) (初版第1刷 ed.). 日本能率協会マネジメントセンター. pp. pp. 26-27. 
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  31. ^ イソフラボン摂取と肺がんとの関連について、現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
  32. ^ 大豆製品・イソフラボン摂取と大腸がんとの関連について、現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]