フルクトース

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D-フルクトース
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識別情報
CAS登録番号 [57-48-7 [57-48-7
KEGG C02336
特性
化学式 C6H12O6
モル質量 180.16
外観 白色の固体
融点

104

特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。

フルクトース (fructose)、または果糖(かとう、fruit sugar)は、の一種であり、単糖の一つである。水溶性の白色の結晶であり、全ての糖の中で最も多く水に溶ける[3][4]。フルクトースは、ハチミツ、木に成る果実ベリー類、メロン、ある種の根菜に多量に含まれている。毎年240,000トンの結晶フルクトースが合成されている[5]

目次

[編集] 化学的性質

フルクトースの平衡
フルクトースのd-およびl-異性体(鎖状構造)。

1847年、フランスのオギュスタン=ピエール・デュブリュンフォー (Augustin-Pierre Dubrunfaut) が初めてフルクトース分子を有機化学的に発見した[6]。フルクトースは6炭素のポリヒドロキシケトンである。グルコース異性体であり、化学式はグルコースと同じC6H12O6であるが、構造が異なる。結晶性フルクトースはヘミケタールの安定性と分子内水素結合のため六員環構造をとる。この構造は形式的にD-フルクトピラノースと呼ばれる。水溶液中では、β-フルクトピラノース (57%) とフルクトフラノース (31%) および少量の鎖状構造を含むその他の構造との間で平衡の状態にある[7]

[編集] 反応

[編集] アルコール発酵

フルクトースは、酵母およびバクテリアによって、アルコール発酵される[8]。酵母の酵素がフルクトースをエタノール二酸化炭素に変換する[9]。発酵により発生した二酸化炭素は発酵室が開封されない限り水に溶け込み続け、炭酸との間で平衡となる。溶存した二酸化炭素と炭酸により炭酸発酵飲料となる。

[編集] メイラード反応

フルクトースはアミノ酸によりメイラード反応を受け非酵素的に褐色化する。フルクトースはグルコースよりも開環構造での存在が大きいため、グルコースよりも迅速にメイラード反応の初反応が起こる。したがって、フルクトースはケーキを焼くときの過度の褐色化や体積と柔軟性の減少および変異原物質の形成など食品のおいしさならびにその他栄養学的影響の変化に寄与している可能性がある[10]。 

[編集] 脱水

フルクトースは容易に脱水し、ヒドロキシメチルフルフラール (HMF) を与える。この機構は今後、ガソリン軽油の代替燃料として低コストなカーボンニュートラル系の一部となる可能性を持っている[11]

[編集] 還元性

2位にケトン基があり還元性がなさそうに見えるが、塩基性水溶液中ではロブリー・ドブリュイン-ファン エッケンシュタイン転位による異性化によりアルドースに変化し銀鏡反応フェーリング反応を示す。中性・酸性下では酸化剤と反応しない。

[編集] 異性体

D体L体光学異性体が考えられるが、生物にはD体のものしか存在しない。

鎖状構造のD-フルクトースのC2のケトン基は、C5もしくはC6のヒドロキシ基と容易に分子内ヘミアセタールを形成し、環状構造に変化する。 環状構造の形成に伴い、C2炭素の不斉化が起こり、α, β異性体が生成する。

その結果、D体のフルクトースの環状構造には、「C5で環状化またはC6で環状化」と「α型またはβ型」の組み合わせにより、

  • α-D-フルクトピラノース (α-D-fructopyranose)
  • β-D-フルクトピラノース (β-D-fructopyranose)
  • α-D-フルクトフラノース (α-D-fructofuranose)
  • β-D-フルクトフラノース (β-D-fructofuranose)

の計4種類の構造が存在することになる。

水溶液中では,これらは鎖状構造を経由して相互に変換する。すなわち、水溶液では鎖状構造を含め、計5種類の構造の平衡混合物となる。

フルクトースが低温でより甘くなるといわれるのは、このうち最も甘味の濃いβ-D-フルクトフラノースの平衡時での割合が、低温では高く、高温では低くなるためである[12]

[編集] 物理的、機能的性質

[編集] 甘味

フルクトースが商業的に食品や飲料に使われる主な理由は、そのコストの低さと相対的に強い甘さである。フルクトースは天然に存在する糖の中では最も甘く、スクロースの1.73倍甘いとされている[13][14]。その甘さはフラノース型のものであり、ピラノース型のものは砂糖と同程度の甘さである。フルクトースは暖めるとピラノース型が形成される[15]

糖と甘味料の相対的な甘さ

フルクトースの甘さはスクロースやデキストロースよりも早く知覚され、味の感覚は、スクロースに比べより早く、より強いピークに達し、早く減衰する。フルクトースは他の風味を強めることもできる[13]

[編集] 出典・注釈

  1. ^ Levulose comes from the Latin word laevus, levo, "left side", levulose is the old word for the most occurring isomer of fructose. D-fructose rotate plane-polarised light to the left, hence the name.[1].
  2. ^ Fructose - Merriam Webster dictionary
  3. ^ Hyvonen, L., & Koivistoinen, P (1982). “Fructose in Food Systems”. In Birch, G.G. & Parker, K.J. Nutritive Sweeteners. London & New Jersey: Applied Science Publishers. pp. 133–144. ISBN 0-85334-997-5 
  4. ^ 20°Cでの溶解度は375.0 g/100g H2O、40°Cでは538.0 g/100g H2Oである。
  5. ^ Wolfgang Wach "Fructose" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2004, Wiley-VCH, Weinheim.doi:10.1002/14356007.a12_047.pub2
  6. ^ Fruton, J.S. Molecules of Life 1972, Wiley-Interscience
  7. ^ フルクトース(果糖)の構造”. 2011年4月12日閲覧。
  8. ^ McWilliams, Margaret. Foods: Experimental Perspectives, 4th Edition. ISBN 0130212822. 
  9. ^ Keusch, P. “Yeast and Sugar- the Chemistry must be right”. 2011年4月12日閲覧。
  10. ^ Dills, WL (1993). “Protein fructosylation: Fructose and the Maillard reaction”. Journal of Clinical Nutrition 58: 779–787. 
  11. ^ Huber, G. W.; Iborra, S.; Corma, A. Chem. Rev. 2006, 106, 4044 - 4098. doi:10.1021/cr068360d
  12. ^ Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28
  13. ^ a b Hanover, LM; White, JS (1993). “Manufacturing, composition, and application of fructose”. Journal of Clinical Nutrition 58: 724s-732. 
  14. ^ Oregon State University. "Sugar Sweetness". Last accessed May 5, 2008. http://food.oregonstate.edu/sugar/sweet.html アーカイブ 2008年5月16日 - ウェイバックマシン
  15. ^ Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28

[編集] 外部リンク

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