イヌリン
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| イヌリン | |
|---|---|
| 化学式 | (C6H12O6)n |
| CAS | 9005-80-5 |
| PubChem | |
| 特記なき場合、データは常温(25 ℃)・常圧(100 kPa)におけるものである。 | |
イヌリン (inulin) は自然界においてさまざまな植物によって作られる多糖類の一群である。炭水化物の一種、果糖の重合体である。キク科の植物は球根に栄養源を貯蔵するための手段として利用している。イヌリンを合成・貯蔵する植物は、多くの場合デンプンのような他の物質を貯蔵することはない。イヌリンの名称は、キク科オグルマ属の植物 (Inula) から抽出されたことに由来する[1]。
イヌリンは栄養上の性質に優れることから、食物製品に使用されることが近年増えてきている。薄味のものから甘めのものまで広範に使用されており、砂糖や脂肪、小麦粉の代わりに用いられることもある。これは次の点において有利であるとされる。すなわち、イヌリンは砂糖や他の炭水化物と比較して3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含まず、脂肪と比べても6分の1から9分の1程度のエネルギーしか含まない。さらに、カルシウムの吸収を促進し、おそらくはマグネシウムの吸収も促進する。また、腸におけるバクテリアの活動を増進させる。
栄養学的には可溶性繊維の一種であり、多量に摂取すると(特に、過敏な人あるいは不慣れな人にとっては)腹部膨満を来す可能性があることに注意が必要とされる。血糖にはほとんど影響を及ぼさず、糖尿病患者の血糖値を適切な水準に調節する効果がある。そのため、血糖値の異常によっておこる病気の治療への応用が期待されている。
目次 |
[編集] 生化学
イヌリンは主に果糖の重合体であり、普通は末端にブドウ糖が結合している。果糖はイヌリン中でβグリコシド結合をしている。植物中に存在する場合はおよそ2から140個の果糖を含む。
イヌリン類のうち最も単純なものは1-ケストース (1-kestose) であり、これは2つの果糖と1つのブドウ糖からなる。
[編集] 使用による人体への効果
イヌリンは人体においてデンプンを消化するために分泌されるアミラーゼとプチアリンという酵素によって消化されない。そのため、人間の消化器官をそのままの状態で通過してしまうことになる。ただし、結腸においてはバクテリアによる代謝が行われ、かなりの量の二酸化炭素またはメタンに変換される。特に慣れていない人にとって、イヌリンを含む食物を多量に摂取するとガス化する可能性があるので、最初のうちは適度に摂取するのが望ましい。しかしながら、たいていの場合は摂取を繰り返すうちに消化が行われるようになってゆく。
通常の消化過程ではイヌリンが単糖類にまで分解されることはないので血糖値が上昇せず、糖尿病患者にとってはその治療に有効性があると考えられている。
イヌリンは非常に効果的なプレバイオティクスでもあり、腸内において人体に有益な細菌を増やすのに貢献する。既に述べたように、イヌリンは消化されることなく胃と十二指腸を通過し、腸内の細菌にとって有益な物質となる。このことは、乳酸菌が腸にコロニーを形成することができるようになるまでに、消化管を通して非常に過酷な環境に耐えなければならないことと比較しても非常に対照的である。
伝統的な食事には、最高で1日当たり20グラムのイヌリンまたはオリゴ糖を含むものもある。チコリーやニンニク、リーキといった食材はもともと多量のイヌリンあるいはオリゴ糖を含むため、何世紀にもわたって健康への刺激剤と考えられてきた。
医療の現場においては、イヌリンを用いて細胞外液量の総量の測定をすることで腎機能の診断に役立てられてきた。
[編集] イヌリンを含む植物
次の植物は高濃度のイヌリンを含む。
[編集] その他
イヌリンは糸球体において完全にろ過され、腎臓によって分泌されることも再吸収されることもないため、重要な腎機能(特に糸球体濾過量)の測定を行う指標物質として使用され続けてきた(イヌリンクリアランス)。
慢性腎臓病患者の大多数に対して、EDTA(エチレンジアミン四酢酸、エデト酸)、クレアチニンクリアランスといった項目を調べることで糸球体濾過量を実際に測定できることが可能であると確認されており、それはイヌリンの測定よりも単純な方法で可能であるために広く行われるようになっているのであるが、それでもなお、イヌリンの検査をすることで糸球体濾過量を測定することは標準であるとされている。
[編集] 脚注
- ^ Oxford Dictionary of English, Oxford University Press, 2003.
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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