酸素
提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
|||||||||||||||||||||||||
| 一般特性 | |||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 名称, 記号, 番号 | 酸素, O, 8 | ||||||||||||||||||||||||
| 分類 | 非金属 | ||||||||||||||||||||||||
| 族, 周期, ブロック | 16 (VIB), 2 , p | ||||||||||||||||||||||||
| 密度, 硬度 | 1.429 kg·m−3, no data | ||||||||||||||||||||||||
| 単体の色 | 無色 淡青色(液体酸素、オゾン) ![]() |
||||||||||||||||||||||||
| 原子特性 | |||||||||||||||||||||||||
| 質量 | 26.561 x 10-24 g | ||||||||||||||||||||||||
| 原子量 | 15.9994 u | ||||||||||||||||||||||||
| 原子半径(計算値) | 60 (48) pm | ||||||||||||||||||||||||
| 共有結合半径 | 73 pm | ||||||||||||||||||||||||
| VDW半径 | 152 pm | ||||||||||||||||||||||||
| 電子配置 | [He]2s22p4 | ||||||||||||||||||||||||
| 電子殻 | 2, 6 | ||||||||||||||||||||||||
| 酸化数(酸化物) | −2, −1(中性酸化物) | ||||||||||||||||||||||||
| 結晶構造 | 六方晶系 | ||||||||||||||||||||||||
| 物理特性 | |||||||||||||||||||||||||
| 融点 | 50.35 K (−218.79 °C, -361.82 °F) |
||||||||||||||||||||||||
| 沸点 | 90.18 K (−182.96 °C, -297.31 °F) |
||||||||||||||||||||||||
| モル体積 | 17.36 × 10−3 m3·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
| 気化熱 | 3.4099 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
| 融解熱 | 0.22259 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
| 蒸気圧 | no data | ||||||||||||||||||||||||
| 音の伝わる速さ | 317.5 m·s−1(293 K) | ||||||||||||||||||||||||
| その他 | |||||||||||||||||||||||||
| クラーク数 | 49.5 % | ||||||||||||||||||||||||
| 電気陰性度 | 3.44(ポーリング) | ||||||||||||||||||||||||
| 比熱容量 | 920 J·kg−1·K−1 | ||||||||||||||||||||||||
| 導電率 | no data | ||||||||||||||||||||||||
| 熱伝導率 | 0.02674 W·m−1·K−1 | ||||||||||||||||||||||||
| イオン化エネルギー | 第1: 1313.9 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
| 第2: 3388.3 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
| 第3: 5300.5 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
| 第4: 7469.2 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
| (比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
| 注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 | |||||||||||||||||||||||||
酸素(さんそ、英:Oxygen、羅:Oxygenium)は、原子番号が8の非金属元素で、元素記号はOである。周期表では第16族元素(カルコゲン)および第2周期元素に属し、電気陰性度が大きいため反応性に富み他のほとんどの元素と化合物(特に酸化物)を作る。標準状態では2個の酸素原子が二重結合した無味無臭無色透明の二原子分子である酸素分子 O2 として存在する。宇宙では水素、ヘリウムに次いで3番目に多くの質量を占め[1]、地球の地殻では1番に多くの質量を占める[2]。気体の酸素分子は大気の体積の20.9%を占めている[3]。
目次 |
[編集] 歴史
酸素は、スウェーデンの薬剤師、カール・ウィルヘルム・シェーレによって1771年に発見された。しかしこの発見は、その場で気づいたものではなく、その後1774年にジョゼフ・プリーストリーがそれとは独立して発見した後に広く知られるようになった。
酸素の名称(英: Oxygen)はギリシャ語の oxys (酸)と gennan (生む)に由来するもので、これは酸素が酸の元であるとの誤解によるものである(HClなど酸素を含まない酸も多数存在する。一般に、水溶液中での本当の酸の元は水素イオンである)。酸素の命名は1774年、アントワーヌ・ラヴォアジエによるものである。
[編集] 性質
[編集] 化学的性質
酸素は、フッ素に次いで2番目に電気陰性度が大きい元素であり、ほとんどの元素と化合物をつくる(希ガスであるキセノンも、XeO3などの化合物を作ることが知られている)。
[編集] 物理的性質
同位体については、3種類の安定同位体と10種の放射性同位体(いずれも半減期3分未満)が知られている。
酸素は、地球の地殻(質量比で約46.7%)およびマントルに最も多く含まれている元素であり、多くは岩石中に酸化物・ケイ酸塩・炭酸塩などの形で存在する。
地球外でも酸素は多量に存在している。主な存在形態である氷は地球以外の惑星や、彗星、小惑星などにもみられる。火星の極には固体の二酸化炭素、すなわちドライアイスがみられる。星が生まれる元となる分子雲では一酸化炭素が分子の中で2番目に存在量の多い分子である。酸素の起源は恒星核におけるヘリウムの核融合であり、酸素のスペクトルが検出される恒星も存在している。超新星爆発の際に大量に放出されることから、酸素とその化合物は宇宙に広く存在するとの説もある[要出典]。
約90Kで液体、約54Kで青みがかった固体となる。ダイアモンドアンビルなどで100万気圧を超えた高圧下では金属光沢を持ち、125万気圧、0.6Kでは超伝導金属となる。
[編集] 酸素分子
酸素分子(さんそぶんし、dioxygen、化学式: O2)は、常温常圧では無色無臭で助燃性をもつ気体として存在する。沸点 −183 °C、融点 −218.9 °C。液体酸素はライトブルーの色を示す。基底状態の三重項状態では不対電子を持つため常磁性体である。また活性酸素の一種で反磁性である励起状態の一重項酸素も存在する。
空気の主要な構成要素(窒素に次いて2番目に多い。約21%)。
[編集] 特徴
熱力学的に反応性が高く不安定な分子ではあるが、地球上では初期には光合成を行なう嫌気性菌により、後の時代には植物の光合成によって生成され続けているため多量に存在する。酸素呼吸を行なう生物によって消費される。実際、生命が発生する以前の原始大気では酸素分子は存在せず、二酸化炭素など他の原子と結合した状態であり、現在の大気中の酸素分子はすべて光合成由来であると考えられている。
酸素は、呼吸をする生物によっては必須であるが、同時に有害でもある。呼吸の過程や光反応などで生じる活性酸素は、DNAなどの生体構成分子を酸化して変性させる。純酸素の長時間吸引は生体にとって有害である。未熟児網膜症の原因になったり、60%以上の高濃度酸素を12時間以上吸引すると、肺の充血がみられたりし、最悪の場合、失明や死亡する危険性がある。
液体酸素は液体空気を分留して得られ、強い酸化剤である。液体空気を放置すると、沸点の低い窒素が先に蒸発するため、酸素分子が濃縮される。1リットルの液化酸素が気化すると約800リットルの酸素ガスになる。
酸素は紫外線や無声放電などによってオゾン (O3) へと変換される。 また、酸素分子のイオンとしてスーパーオキシドアニオンO2-とジオキシゲニルO2+が知られている。
[編集] 生産
実験的には過酸化水素を触媒で分解することで得られる。触媒としては二酸化マンガンまたは、カタラーゼおよびそれらを含むレバーやジャガイモなどが利用できる。工業的には空気の分留で得られる。酸素が圧縮充填されているボンベは内部圧力が 14.7MPa で、容器の色は黒と定められている(特に高純度品は表面積の半分を超えない範囲で水色も加えられる)。液体充填されている容器は断熱構造をしており圧力は 1MPa 以下(おおよそ 700KPa)程度であり色は地金(ステンレスやアルミ合金の場合)か灰色に黒の帯を配したものである。
[編集] 用途
- 酸化剤
- 化学工業などでは最も安価な酸化剤として多用される。
- 吸入用
- 呼吸に不可欠な元素であるため、医療分野での酸素吸入に使われている。また傷病人に限らず、空気中の酸素濃度が低い場所での呼吸を助けるために、飛行機や青海チベット鉄道などの酸素放出装置や、高山に登る時などのボンベの中身にも使われている。他にテクニカルダイビングにおいて、減圧用ガスとして用いられる。
- 助燃剤
- ガス溶接や鉄鋼の製造工程で助燃剤として使用されている。アセチレンを酸素とともに吹き出してえられる酸素アセチレン炎は 3000 – 4000 °Cもの高温が得られ、鉄材の溶接や切断に利用されている。特に液体酸素はロケットエンジンの推進剤の酸化剤として用いられている。
酸素ガスの2004年度日本国内生産量は、10,422,238,000m3、工業消費量は4,093,787,000m3、液化酸素の2004年度日本国内生産量は855,476,000m3、工業消費量は68,215,000m3である[4]。
[編集] 酸素の化合物
酸素は、電気陰性度が高く、ほとんどあらゆる元素と化学結合をする。多くの有機化合物は構成元素として酸素を含み、無機化合物の酸素化合物は酸化物として多方面で利用されている。具体的な物質については 酸素の化合物のカテゴリ を参照。
[編集] 酸素の同素体
地球上での主な同素体は酸素分子 O2 であり、その結合長は121 pm、結合エネルギーは498 kJ/molである[5]。酸素分子は生物の複雑な細胞呼吸に使われている。
三酸素(O3)はオゾンとしてよく知られる非常に反応性の大きい単体で、吸入すると肺組織を破壊する[6]。オゾンは高層大気において、酸素分子が紫外線によって分裂した酸素原子と別の酸素分子が結合することによって生成している[7]。オゾンは紫外領域を強く吸収するため、高層大気にあるオゾン層は地球を放射線から保護するシールドとして機能している[6]。地表近くでもオゾンは生成しているが、これは自動車の排気ガスなどとして生成されている大気汚染物質である[8]。
準安定状態分子である四酸素(O4)が2001年に発見されたが[9][10]、これは固体酸素の6種の相のうちの1種として存在が仮定されていた。2006年にこの相が証明され、O2を20 GPaに加圧することで合成されたが、実際には菱面体晶のO8クラスターであった[11]。このクラスターはO2やO3よりも強力な酸化剤であるためロケットの推進剤としての用途が考えられている[9][10]。1990年には固体酸素に96 GPa以上の圧力を与えると金属状態となる事が分かり[12]、1998年にはこの相を超低温条件におくことにより超伝導となることが発見された[13]。
[編集] 酸素の同位体
詳細は「酸素の同位体」を参照
[編集] 脚注
- ^ Emsley, John (2001). "Oxygen". Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements. Oxford, England, UK: Oxford University Press. pp. 297–304. ISBN 0198503407.
- ^ "Oxygen". Los Alamos National Laboratory. http://periodic.lanl.gov/elements/8.html. Retrieved 2007-12-16.
- ^ Cook, Gerhard A.; Lauer, Carol M. (1968). "Oxygen". in Clifford A. Hampel. The Encyclopedia of the Chemical Elements. New York: Reinhold Book Corporation. pp. 499–512. LCCN 68-29938.
- ^ 日本国 経済産業省・化学工業統計月報
- ^ Chieh, Chung. "Bond Lengths and Energies". University of Waterloo. 2007-12-16 閲覧。
- ^ a b Stwertka, Albert (1998). Guide to the Elements (Revised ed.). Oxford University Press. p.48 ISBN 0-19-508083-1.
- ^ Parks, G. D.; Mellor, J. W. (1939). Mellor's Modern Inorganic Chemistry (6th ed.). London: Longmans, Green and Co.
- ^ Stwertka, Albert (1998). Guide to the Elements (Revised ed.). Oxford University Press, p.49 ISBN 0-19-508083-1.
- ^ a b Cacace, Fulvio; Giulia de Petris, and Anna Troiani (2001). "Experimental Detection of Tetraoxygen". Angewandte Chemie International Edition 40 (21): 4062–65. doi:10.1002/1521-3773(20011105)40:21<4062::AID-ANIE4062>3.0.CO;2-X.
- ^ a b Ball, Phillip (2001-09-16). "New form of oxygen found". Nature News. Retrieved 2008-01-09.
- ^ Lundegaard, Lars F.; Weck, Gunnar; McMahon, Malcolm I.; Desgreniers, Serge and Loubeyre, Paul (2006). "Observation of an O8 molecular lattice in the phase of solid oxygen". Nature 443: 201–04. doi:10.1038/nature05174. Retrieved 2008-01-10., 201–04
- ^ Desgreniers, S; Vohra, Y. K. & Ruoff, A. L. (1990). "Optical response of very high density solid oxygen to 132 GPa". J. Phys. Chem. 94: 1117–22. doi:10.1021/j100366a020.
- ^ Shimizu, K.; Suhara, K., Ikumo, M., Eremets, M. I. & Amaya, K. (1998). "Superconductivity in oxygen". Nature 393: 767–69. doi:10.1038/31656.
[編集] 関連項目
| 1 | 元素の周期表 | 18 | ||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | H | 2 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | He | ||||||||||
| 2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | ||||||||||
| 3 | Na | Mg | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | Al | Si | P | S | Cl | Ar |
| 4 | K | Ca | Sc | Ti | V | Cr | Mn | Fe | Co | Ni | Cu | Zn | Ga | Ge | As | Se | Br | Kr |
| 5 | Rb | Sr | Y | Zr | Nb | Mo | Tc | Ru | Rh | Pd | Ag | Cd | In | Sn | Sb | Te | I | Xe |
| 6 | Cs | Ba | * | Hf | Ta | W | Re | Os | Ir | Pt | Au | Hg | Tl | Pb | Bi | Po | At | Rn |
| 7 | Fr | Ra | ** | Rf | Db | Sg | Bh | Hs | Mt | Ds | Rg | ... | ||||||
| * | La | Ce | Pr | Nd | Pm | Sm | Eu | Gd | Tb | Dy | Ho | Er | Tm | Yb | Lu | |||
| ** | Ac | Th | Pa | U | Np | Pu | Am | Cm | Bk | Cf | Es | Fm | Md | No | Lr | |||
|
|||||
|
|||||
