白亜紀

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白亜紀(はくあき、白堊紀、Cretaceous period)とは、地球地質時代のひとつで、およそ1億4550万年前から6550万年前を指す。ジュラ紀に続く時代であり中生代の終わりの時代でもある。次の時代は新生代古第三紀暁新世である。

白堊の堊(アク; アとよむのは慣習)は粘土質な土、則ち石灰岩のことであり、石灰岩の地層から設定された地質年代のため白堊紀の名がついた。白堊を白亜とするのは常用漢字にないからで、亜(亞)には土の意味は無い。

目次

概要 [編集]

白亜紀は温暖な気候と高海水準で特徴付けられる時代である。他の地質時代と同様に白亜紀の開始と終了の地層には際立った特徴があるものの、正確な年代については、数百万年程度の誤差が見受けられる。白亜紀の終わりを示すK-T境界においては、イリジウムが大量に含まれた粘土層が世界中に見つかっている。これは、6,568万年前にユカタン半島およびメキシコ湾にある巨大なチクシュルーブ・クレーターを作った隕石の衝突によりその破片が地上に降り積もった物と考えられている。この隕石の落下が引き起こした気候変動が、白亜紀末の大量絶滅に関係あるという学説は、現在では地質学者、古生物学者らの間で広く支持されている。

白亜紀は以下のように11の時代に分けられている。

白亜紀と周辺の地質時代
周辺の時代
新生代 第四紀
新第三紀
古第三紀 漸新世
始新世
暁新世
中生代 白亜紀 マストリヒシアン(マーストリヒト期) 7060万年 - 6550万年前
カンパニアン(カンパン期) 8350万年 - 7060万年前
サントニアン(サントン期) 8580万年 - 8350万年前
コニアシアン(コニアク期) 8930万年 - 8580万年前
チューロニアン(チューロン期) 9350万年 - 8930万年前
セノマニアン(セノマン期) 9960万年 - 9350万年前
アルビアン(アルブ期) 1億1200万年 - 9960万年前
アプチアン(アプト期) 1億2500万年 - 1億1200万年前
バレミアン(バーレム期) 1億3000万年 - 1億2500万年前
オーテリビアン(オーテリーブ期) 1億3640万年 - 1億3000万年前
バランギニアン(バランジュ期) 1億4020万年 - 1億3640万年前
ベリアシアン(ベリアス期) 1億4550万年 - 1億4020万年前
ジュラ紀
三畳紀
古生代

気候と生物 [編集]

気候 [編集]

ジュラ紀から白亜紀の境目に大きな絶滅などはなく、白亜紀も長期にわたり温暖で湿潤な気候が続いた。前期白亜紀において、一時的な寒冷化が見られるものの、同時期の表層海水温に関する研究では、低緯度地域で32 ℃、中緯度地域で26 ℃と現在より高い海水温で安定していたことがわかっている[1]。末期には気候帯が現われ、植物相にも変化が見られた。

植物 [編集]

植物は主流であった原始的な裸子植物シダなどが減少し、被子植物が主流となって進化、繁栄を遂げた。スギなどの針葉樹現代と同じ形まで進化し、イチジクスズカケノキモクレンなどが現在とほぼ同じ形となった。

地上動物 [編集]

白亜紀は超大陸パンゲアの分裂が一層進んだが、これによって地理的な隔離が起きたため、陸上の生物の多様性を更に高めることとなった。地上の動物は恐竜ワニなどの爬虫類が支配的地位を占め、ジュラ紀に続いて全盛期であった。地上、海洋、空を含め多種多様な進化を遂げている。白亜紀前期まではジュラ紀に栄えた恐竜の系統も依然健在であったが、後期においては、その多くは姿を消した(広義のアロサウルス類、広義のディプロドクス類、ステゴサウルス類など)。代わってジュラ紀にはあまり目立たなかった系統の恐竜が新たな進化を遂げ、放散することになる。白亜紀後期の恐竜、及び翼竜の代表的なは、ティラノサウルストリケラトプスプテラノドンなど。しかし末期には恐竜は衰退を始める(後述)。また、翼竜類においては特に翼指竜亜目が白亜紀前期に多様化のピークを迎えていたが、白亜紀後期には鳥類の発展と対照的に中・小型の翼竜類が衰え、プテラノドンやケツァルコアトルスなど大型種だけが残る状況となっていた。有鱗目 においてヘビ類が地中性もしくは水中性のトカゲ類から進化したのも、白亜紀であるとされる。

哺乳類はこの時代に形態を大きく進化させ、胎生を持つようになり、また有袋類有胎盤類への分化を遂げた。中には恐竜の幼体を襲っていた種もある。ただし形態は小さな形の種にとどまっていたものが多い。有胎盤類は白亜紀後期には既に多くの系統へと分岐していたようである。

前時代に恐竜から分岐した鳥類ではこの時代に真鳥類が出現している。しかし大勢を占めたのは古鳥類であり、陸上性では孔子鳥エナンティオルニス類 (反鳥類,Enantiornithes) が繁栄した。なお、海鳥では真鳥類のヘスペロルニスイクチオルニスなどが栄えた。しかし白亜紀に全盛を迎えたこれらの鳥類のグループは白亜紀末期にほとんどが絶滅した。この時期に現生鳥類の直系の祖先も出現している。多くの目は白亜紀後期には分化していたようだ。

海洋動物 [編集]

海洋では1億2000万年前に現在のオントンジャワ海台を形成した大規模な海底火山噴火が南太平洋で発生した。魚竜、海生ワニ類、大型のプリオサウルス類(首長竜の一群)が絶滅したのは、この影響ともされる。代わってモササウルス類、エラスモサウルス類をはじめとする首長竜などが繁栄した。軟骨魚類では現在見られる型のエイサメ硬骨魚類ではニシン類が現れ、軟体動物では狭義のアンモナイトなどが進化を遂げた。

ジュラ紀中期に誕生した浮遊性有孔虫およびココリスなどのナンノプランクトンは、この時期に生息域を大きく拡大させ、その遺骸は白亜紀の名称の元となった石灰岩層を形成した。

K-T境界の大量絶滅 [編集]

地上・空・海で繁栄していた爬虫類も、白亜紀の末には減り始めた。

白亜紀末には、地球史の上で5回目の、規模としては古生代ペルム紀末期の大絶滅(P-T境界)に次ぐ大規模な絶滅が起きた(K-T境界)。この大量絶滅では、陸上生物の約50%、海洋生物の約75%[2][3]、生物全体で約70%が絶滅した[4]と考えられている。哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅した。また、海洋においても、カメカンプソサウルスチャンプソサウルス)類以外の全ての海棲爬虫類、すべてのアンモナイト類が絶滅している。しかし、アメリカで、この大量絶滅から70万年後とされる地層からアラモサウルスの化石が発見され、議論を呼んでいる。この発見は、カナダのアルバータ大学などの研究により確認され、論文がアメリカ地質学協会の専門誌に掲載された[5]

現在では絶滅の直接の原因は隕石(小惑星)の衝突によるものであるという説が広く知られており、2010年3月5日には12ヶ国の研究機関による研究チームが同説が絶滅の直接の原因であると結論づけた。ただし、それ以外の説も依然として存在する。

地質 [編集]

白亜紀の終わりにかけて、パンゲア大陸は完全に分かれ、配置は異なるものの現在ある大陸と同じ構成になった。ローラシア大陸北アメリカヨーロッパにわかれて大西洋が広がり、ゴンドワナ大陸南極大陸オーストラリア大陸アフリカ大陸南アメリカ大陸に分割された。インドマダガスカルはまだアフリカと陸続きであったが末期には分裂し島大陸となっていた。北アメリカ大陸に食い込むようにしてあった浅い海は石炭層に挟まれて陸地となり、海の堆積物を多く残した。この他で重要な白亜紀の地層の露出は中国とヨーロッパで見られる。また、インドのデカントラップにある大量の溶岩の地層は白亜紀から暁新世にかけての物ということがわかっている。

脚注 [編集]

  1. ^ Littler, K. et al.(2011)
  2. ^ Thierstein, H.R. (1982)
  3. ^ Sheehan, P.M.,Fastovsky, D. E. (1992)
  4. ^ パウエル (2001)
  5. ^ 2011年1月30日付朝日新聞朝刊36面

参考文献 [編集]

  • Thierstein, H.R. (1982). “Terminal Cretaceous plankton extinctions: A critical assesment.”. Geol. Soc. Am. Special Paper 190: 385-399. 
  • Sheehan, P.M.; Fastovsky,D.E. (1992). “Major extinctions of land-dwelling vertebrates at the Cretaceous-Tertiary boundary, eastern Montana.”. Geology 20: 556-560. 
  • ジェームズ・ローレンス・パウエル 『白亜紀に夜がくる-恐竜の絶滅と現代地質学』 寺嶋英志・瀬戸口烈司訳、青土社、2001年ISBN 4791759079
  • Littler, Kate; Robinson, Stuart A., Bown, Paul R., Nederbragt, Alexandra J., Pancost, Richard D. (2011). “High sea-surface temperatures during the Early Cretaceous Epoch”. nature geoscience 4 (3): 169-172. doi:10.1038/NGEO1081. 

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

  • 仲田崇志 (2009年10月29日). “地質年代表”. きまぐれ生物学. 2011年2月14日閲覧。