ケツァルコアトルス

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?ケツァルコアトルス

Quetzalcoatlus
保全状態評価
絶滅(化石
地質時代
約8,400万- 約6,500万年前
中生代白亜紀後期
カンパニア階- マーストリヒト階
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 鳥頸上目 Ornithodira
: 翼竜目 Pterosauria
亜目 : 翼指竜亜目 Pterodactyloidea
上科 : アズダルコ上科 Azhdarchoidea
: アズダルコ科 Azhdarchidae
: ケツァルコアトルス属
Quetzalcoatlus
学名
Quetzalcoatlus
Lawson, 1975
和名
ケツァルコアトルス
  • ケツァルコアトルス・ノルトロピ
    Q. northropi Lawson, 1975 (模式種)
  • ケツァルコアトルス(未記載種)
    Q. sp. vide Kellner et Langston, 1996

ケツァルコアトルスQuetzalcoatlus)は、中生代の終わり、白亜紀末の大量絶滅期の直前の時代を生きていた翼竜の一種()。 翼指竜亜目(プテロダクティルス亜目)中のアズダルコ上科- アズダルコ科分類される。 約8,400万年前(中生代白亜紀後期カンパニア階)から約6,500万年前(同・末期マーストリヒト階)にかけての約1,900万年を、海進時代の北アメリカ大陸に生息していた。

現在知られる限りで史上最大級の翼竜であり、同時に、史上最大級の飛翔動物である。 かつてそれらは「最大級」ではなく「最大」と、すなわち「史上最大の飛翔動物」とされていた[1]

目次

[編集] 呼称

属名 Quetzalcoatlus (ケツァルコアトルス)は、アステカ神話に登場する羽毛の生えた形の神 Quetzalcōātl (ケツァルコーアートル)に因む。

種小名 northropi (ノルトロピ)は、全翼機の先駆者であり、航空機メーカー・ノースロップの創業者であるジャック・ノースロップ(ジョン・ヌーデセン・ノースロップ、John Knudsen Northrop)の空気力学航空力学を含む)に対する功績を讃えての献名で、第二変化名詞の属格語尾 la<en> -ī によって、「ノースロップ(氏)の」という意味になっている。

模式種のラテン語発音を仮名転写すれば「ケツァルコーアートル・ノルトローピー」であろうが、生物学分野の慣習により長音を省略される。

英語発音は「音声資料:Quetzalcoatlus - howjsay.com」を参照[2]

中国語Quetzalcoatlus は「風神 + 翼竜」との意訳で「風神翼龍」、Quetzalcoatlus northropi古ノルド語由来の英語姓 Northrop の原義「北の囲い地、北村」から採って「北方風神翼龍」と記す。

[編集] 発見

ほぼ完全な形で出土した Quetzalcoatlus sp. の頭蓋骨化石の図

最初の化石は、1971年の夏に米国テキサス州ビッグ・ベンド国立公園内の白亜紀地層を調査中であったテキサス大学の学生ダグラス・ラーソンによって発見された[3]。 それは翼の骨の一部分であり、この生物は翼開長[4] が12mにも及ぶと判断され、1975年、新種 Quetzalcoatlus northropi として記載された[5]

加えて、未だ記載の無い種が1996年、同じくテキサスからケルナーとラングストンによって報告されている[6]Quetzalcoatlus sp. と仮称されるこちらは、翼開長約5.5m(18ft)と模式種の半分程度の大きさであった[7]

また、2002年モンタナ州のヘル・クリーク累層 (Hell Creek Formation) より発見のアズダルコ類の脊柱化石(見本BMR P2002.2)も、ケツァルコアトルス属の1種である可能性ありとされている。推定翼開長約5- 5.5m(16.5- 18ft)[8]

[編集] 分布

ケツァルコアトルスが生息していた地域は、亜熱帯と温帯の海と湿地ラグーンに満たされていたであろう白亜紀海路Cretaceous Seaway (Western Interior Seaway))にあたる(化石の分布だけで言えば Western Interior Seaway と重なる)。 当時の大陸の様子はリンク先の画像にて確認のこと。

  • 本種の出現より約600万年前の約9,000万年前(Late Cretaceous (90Ma) [9])の北アメリカ大陸は白亜紀海路によって中央を分断され、多くの水域が広がっていた。
  • 中生代が終わる約6,500万年前(K-T (65Ma))の北アメリカ大陸では白亜紀海路が閉じて、現世に通じる一大陸塊となっている。この時期に本種は絶滅した。
ケツァルコアトルス・ノルトロピの全身骨格化石標本(ドイツはフランクフルト・アム・マインのセンケンベルク博物館〈Senckenberg Museum〉)

[編集] 形態

[編集] 巨大な翼

ケツァルコアトルス1属2種とヒトの大きさ比較(緑=Q. northropi青=Q.sp.)

ケツァルコアトルス・ノルトロピは史上最大級の翼竜であるが、翼開長の上限に関してはまだ相当な討論がある。 最大の説では18mに達すると主張する学者がおり、米国・ミネソタ州にはその説に基づいた展示を行っている博物館がある。 しかし、そのような翼開長は生物学的に飛翔できる限界を超えているとの異論もある[要出典]。 もっとも、約9m(約30ft)の翼開長を持つプテラノドンの最大種・ステルンベルギは、ケツァルコアトルス発見以前には生物学的に飛翔できるサイズを超えているとされていた。 複数の科学者は、この議論に関しては約12m(約40ft)という説に賛成している(長さの比較資料1 E1 m)。 ところが中国で発見されたアズダルコ科翼竜のほぼ完全な全身骨格から、アズダルコ類は身体の割に前肢が比較的短いプロポーションを持つことが分かってきた。そのため近年の推定では、ケツァルコアトルス・ノルトロピの翼開長を平均約10- 11m(約33- 36ft)と修正する説が有力となってきてもいる。12mという数値はこれを最大級の個体の記録とするものである。 この問題に対する解答は、まだ明確になっていない。

[編集] 最大ではなく最大級に

ケツァルコアトルス・ノルトロピと乗用車の大きさ比較

翼開長が12mにもなる翼竜として以前から知られていたのはケツァルコアトルス・ノルトロピのみであったから、この種が単独で「史上最大の翼竜」とか「史上最大の飛翔動物」と呼ばれていたわけである。 しかし近年では、ヨルダンから発見された同じアズダルコ科のアランボウルギアニア(アランボーギアニア、Arambourgiania)やルーマニア産のハツェゴプテリクスHatzegopteryx)など、12m以上の翼開長を持つ可能性のある翼竜が報告されている[10]。 ゆえに正確には、現在のケツァルコアトルス・ノルトロピは「既知で史上最大級の翼竜」と形容されるべきである。

[編集] どれほど軽量であったのか

体は他の翼竜と同様に骨の内部が空洞になっており、軽量化されていた。 成体でも70kg程度しかなかったとされる。 とは言え、飛行体にとって肝心なのは大きさと質量のバランスであり、軽すぎると風に翻弄されるので、反って不利を生むと考えられる。 いかに軽かったかではなく、その生物飛行体が実在するのであれば、大きさに見合った質量がどの程度であるかを推算しなければならない。

[編集] 地にあってはキリン並み

翼竜もこれほどの大きさになると、地上にあって四肢で這っているとき、その体高はキリンの体高(平均約5.3m)に匹敵すると思われる。 おそらく(くび)はキリンに比してより長く、しかし体格はずっとスリムで、体重にいたっては比較にならないほど軽かった(キリンは1t 強)。 ケツァルコアトルスはそのような動物であったと考えられる。

[編集] 生態

地上を歩きながら獲物を探すケツァルコアトルス・ノルトロピの想像図

ケツァルコアトルスは約50- 60km/hで飛翔していたことが分かってきた。

足跡の化石も発見されており、地上においては恐らく四つ足で歩いていたと思われる。

生態については、水上を滑空しつつ水面をスキミングする[11]ことで魚を捕食するという、大型の翼竜類で多く言われる説もあれば、長く細い頚椎柱と歯の無い長い(くちばし)を具えていることから、現生鳥類のアオサギのようなもっと多様な生態を持つ魚食動物であったとする説もある。 また、コウノトリ目の鳥類のように平原湿地を主たる生息域として地上を歩き、さまざまな小動物を啄(つい)ばんでいたとする新説も唱えられた。 同じコウノトリ類様でも、アフリカハゲコウen:Marabou Stork)と相似をなすような死肉漁(あさ)りであった可能性を主張する研究者も多い。

今日では、彼らは上昇気流の助けを借りることなく自力のみで離陸することができたと推測されている。 しかしその仮説を容れた場合でも、飛び立つには多くの時間を要したであろうことを、ずっと言われ続けてきた。 ところがこれにも反証的新説が提示されている。 彼ら翼竜類に独特の可動域の広い翼支骨と前皮翼が「円弧翼」を形作るため、ケツァルコアトルスが約40km/hに達しない速度での助走しかできなかったとしても、比較的たやすく揚力を得て飛び立つことができたのではないか、とする推論である。 円弧翼とは、下部がフラットであるのに対して上部が円弧を描く構造になっている空気力学的基本形と言える翼のことで、鳥や飛行機の翼にも共通の、大きな揚力を生み出すことができる構造体である。

[編集] その他

1980年代に1/2スケールの無線操縦の模型が作られ飛行実験に成功した。このプロジェクトの一部始終はアイマックス映画『オンザ・ウイング』で見ることができる。1987年天王寺博覧会、2007年から各地で巡回開催された世界最大の翼竜展でレプリカが展示された。


[編集] 脚注・出典

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  1. ^ 今日(2008年時点)もなおそのように紹介されることが多い。
  2. ^ 赤字にカーソルを合わせれば繰り返し聴取可能。
  3. ^ Witton, M.P., and Naish, D. (2008). "A Reappraisal of Azhdarchid Pterosaur Functional Morphology and Paleoecology." PLoS ONE, 3(5): e2271. doi:10.1371/journal.pone.0002271Full text online
  4. ^ 翼を全開した状態での左右の翼先端の距離・長さ。
  5. ^ Lawson, D. A. (1975). "Pterosaur from the Latest Cretaceous of West Texas. Discovery of the Largest Flying Creature." Science, 187: 947-948.
  6. ^ Kellner, A.W.A., and Langston, W. (1996). "Cranial remains of Quetzalcoatlus (Pterosauria, Azhdarchidae) from Late Cretaceous sediments of Big Bend National Park, Texas." Journal of Vertebrate Paleontology, 16: 222–231.
  7. ^ Buffetaut, E., Grigorescu, D., and Csiki, Z. (2002). "A new giant pterosaur with a robust skull from the latest Cretaceous of Romania." Naturwissenschaften, 89: 180–184
  8. ^ Henderson, M.D. and Peterson, J.E. "An azhdarchid pterosaur cervical vertebra from the Hell Creek Formation (Maastrichtian) of southeastern Montana." Journal of Vertebrate Paleontology, 26(1): 192–195.
  9. ^ Mollewide Plate Tectonic Maps - Dr. Ron Blakey
  10. ^ Buffetaut, E., Grigorescu, D., and Csiki, Z. (2002). "A new giant pterosaur with a robust skull from the latest Cretaceous of Romania." Naturwissenschaften, 89(4): 180-184. Abstract
  11. ^ (液体を)すくい取ること。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
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