門 (分類学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

(もん、: phylum, division: phylum, divisio)は、生物分類リンネ式階層分類における基本的分類階級のひとつであり、またその階級に属するタクソンのことである。生物全体はおよそ100の門に分類されているが、この数字は分類学者によって大きく異なる。の下・の上に位置しており、門の下に亜門(あもん、: subphylum, subdivision)を置く場合もある。

位置[編集]

門はリンネが『自然の体系』で用いた分類階級ではなく、19世紀以降に綱をさらにグループ化する階級として導入された。必要に応じて(界)・亜界・下界・上枝・・亜枝・下枝・上門・(門・亜門)・下門・上綱・(綱)などを適宜使う。

後生動物では慣例的に、基本的な体制が共通しているタクソンが門とされ、約30の門に分類されている。たとえば、ヒト脊索動物門に属する。後生動物の門の完全なリストは動物#動物の分類を参照。

呼称[編集]

従来、英語などでは門を、動物学ではphylumと呼び、植物学では国際植物命名規約(現在の国際藻類・菌類・植物命名規約)に基づきdivisionと呼んだ。東京規約(国際植物命名規約の1994年の版)から、植物学でもphylumと呼ぶことが認められたが、現在でもdivisionと呼ぶことが多い。

phylumの語源はギリシア語のphylaiで、原義は古代ギリシアの都市国家において血縁に基づき決められた投票グループのことである。ヘッケルGenerelle Morphologie der Organismen (1866) で導入した語であるが、概念としてはキュヴィエが用いたembranchement(「分岐」)と同義である。divisionの原義は「分ける」である。

命名法[編集]

門・亜門に対する命名法は一般にあまり強く規制されていない。国際藻類・菌類・植物命名規約国際動物命名規約国際細菌命名規約のいずれでも、優先権を必ずしも守る必要がなく、タイプの名前を元にして作る必要もない。国際藻類・菌類・植物命名規約では、タイプの名前を元にして命名する場合には科名の語尾を統一語尾に変えることが規定されているが、説明的な名前の場合にはその必要はない。なお、植物学では上門・下門はほとんど使われない。国際動物命名規約や国際細菌命名規約にはそもそも門以上の階級に対する規定はないため統一語尾は存在しないが、慣例的にほとんどは‐aで終わり、とくに動物は‐zoa、細菌は‐bacteria、古細菌は‐archaeotaが多い。ウイルスには現在のところ門・亜門などの階級は存在しない。

門名の語尾
階級 陸上植物 藻類 菌類 細菌 動物
-phyta -phycota -mycota

亜門 -phytina -phycotina -mycotina

関連項目[編集]