飛行機

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(ボーイング737-700型機)

飛行機(ひこうき、英語:airplane、aeroplane、plane)とは、一般に、航空機の一種で、動力によって推力を得て前進するとともに固定翼によって揚力を得ることで飛行するものをいう[1][2][3]

「飛行」という表現は、森鴎外が「小倉日記」1901年(明治34年)3月1日条に記したのが初出だとされる[4]

飛行機の飛行の原理[編集]

簡単にいえば、飛行機は、エンジンを用いて前進することで、その翼に対する空気の強い流れを作り、これにより飛行機の重さより大きな揚力を得ることで上昇する。水平飛行の時は飛行機の重さと揚力が釣り合っている場合である[5]。なお、一部には「飛行機がなぜ飛ぶかという原理は、科学的に解明されていない」とする風説があるが、これは誤りで、実際には100年以上も前に解明されている[6]

飛行機を支える揚力というのは、空気の流れの(あるいはの)の一種である[7]

静止した物体にある速さの風が当たる場合と、ある物体が同じ速さで反対方向に進む場合では、風の力の生じ方は変わらない[7]。例えば静止した空気の中をジェット機が250m/sという速さで飛べば、250m/sという、ものすごい速さで風が前方から機体に当たってきている。風の力というのは風速の2乗に比例しており、台風の風速50-60m/sの風ですら家屋を破壊するような巨大な力を持っていることを思えば、ジェット機に働く風の力の大きさを想像できるようになる。翼の揚力は、同じ迎え角であると、速度の2乗に比例して増加する、また同一の速度であると、迎え角が大きくなるほど揚力は増加する。飛行機は、ある高さを保って水平飛行を続ける時は、揚力が重力とつりあい、かつ、推進装置の推力と飛行機全体に働く抗力がつりあうようにしなければならない。よって(水平に飛ぶ時は)、高速で飛ぶ時は迎え角を小さくし、低速で飛ぶ時は迎え角を大きくして、揚力と重力がつりあうように調整して飛んでいる[7]

なお、上記の説明だけだと、翼の迎え角をどんどん大きくしてゆくと速度を落としても水平飛行可能ということになってしまうが、実際には迎え角がある限界に達した段階で失速という現象が起きる[7]。よって飛行機には安全に飛行できる最小速度というものがあり、それを「最小速度」や「失速速度」と呼んでいる[7]。それは例えば、ジェット輸送機だと一般に200-250km/h程度になる。つまりこの場合、(かつての)新幹線の最高速度程度以上の速度は出さないと安全に飛べないのである[7]

機体の構造[編集]

機体の構造の説明のしかたは様々である。平凡社『世界大百科事典』(1988年版)では「推進装置操縦装置胴体降着装置」を挙げた[8]。『飛行機の基本と仕組み』によると、飛行機を形作っている部品の数はエアバス等の場合300万点を超えるが構造物として大別すればいずれの飛行機も胴体・主翼・尾部の3つの部位に分けられる[9]

なお上記は飛行機の代表的な構造についての説明であり、それとは異なった構造の機種もある。例えば、「B-2」のような胴体と尾翼を持たない全翼機も(少数ではあるが)実用化されている。

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主翼[編集]

大型ジェット旅客機の主翼と各装置類、1ウイングレット・2補助翼(低速用)・3補助翼(高速用)・4フラップトラックフェアリング・5前縁フラップ・6スラット・7後縁フラップ(内側)・8後縁フラップ(外側)9スポイラー・10スポイラー(エアーブレーキ用)

主翼はその周りに循環を発生させて飛行方向に垂直な力(揚力)を発生する部位である。一般に、低亜音速機に用いられる翼断面形(翼型)は上側が膨れた凸状であるが、飛行速度や用途によってさまざまな翼型がある。翼型と翼平面形(上から見た主翼のカタチ)は飛行特性に大きな影響を与える。効率的に揚力を発生させるには細長い平面形状が適する。主翼の縦と横の比率をアスペクト比(縦横比とも)と呼んで平面形状の目安としている。高く遠くへ飛ぶ飛行機は主翼のアスペクト比を大きく設定した細長い翼が有利である[10]。東大教授の鈴木真二によると、ライト兄弟の時代からアスペクト効果は理解されていたという[11]。ただし、あまりアスペクト比を大きくすると強度の問題等が出てくる。

翼を長くすると揚力の面では優位であるが、当然の結果として翼の付け根の負荷が増大することは避けられない。高速で飛ぶ飛行機の主翼には、高速での空気抵抗が少ない後退翼が採用される。つまり、後退角を付けると主翼の前縁に音速付近での直角方向速度成分が少なくなり、衝撃波の抗力を少なくできる利点がある(この利点から主翼以外にも後退翼が採用される)。 さらに揚力と速度の間の関係から、超音速機は速度が速い分翼が小さくて済む。このため、超音速機はではアスペクト比が極端に少ないデルタ翼やオージー翼が採用される。逆に揚力の面を重視する場合、例えば航続距離世界記録機の航研機や、高々度を滑空飛行するスパイ偵察機「 U-2」ではアスペクト比(縦横比)の大きい翼が採用される[12]

翼の構造には、強度と軽量性を両立させるため、後述する胴体と同じくセミモノコック構造が採用されることが多い[13]

  • スパー(桁): 翼の長方向の曲げ荷重を主に受け持つ部材。小型機では片翼につき1本が多い。大型機では2~3本のものや、もっと多くのものもある(マルチスパーあるいはマルチストリンガ構造)。補助的なものはストリンガと呼ばれる。
  • リブ(小骨): 桁と直交する薄い板で、翼型をしている。翼幅方向に多数が配置される。
  • スキン(外板): リブの表面を覆う薄い板。引っ張り・圧縮荷重の一部を受け持つ。

スパー・リブ・スキンによってボックス構造を構成し、曲げやねじりに強くなっている。翼に発生する揚力などの空気力は、スキン → リブ → スパー → 胴体と伝わる。 桁の太さ・スキンの厚さと材質はその部分にかかる応力に応じて設定され、翼の先端近くでは桁は細くスキンは薄く設定される。最近ではこれらの構造を大きな金属槐から直接削り出す工法も採用されている。飛行中は主翼を上に曲げる方向に揚力が働くため、下面外板には引っ張りに強い素材、上面外板には圧縮に強い素材を選定する。戦闘機のような薄翼では、各場所にかかる応力に応じて素材を組み合わせて使う複合材料が多用される。

主翼内部の空所を密閉構造にして燃料タンクに使うことが多く、この方式をインテグラルタンクと呼ぶ。また主翼にエンジンや主脚などの降着装置を装備することが多い。攻撃機などでは主翼に爆弾ミサイル増加燃料タンクをずらりとぶら下げているが、いずれの場合も主翼には充分な強度が要求され、脚や兵装の取り付け部は充分な補強が実施されている。

現代の飛行機は、特殊な場合を除き主翼は左右各1枚(単葉)である。主翼後部(後縁部)にはエルロン[14]や、主翼の前部と後部には、離着陸の低速時に揚力を増大させるフラップやスラットなどの高揚力装置が装備される。主翼上面には、着陸滑走時や飛行中にエアーブレーキを掛ける際や主翼の揚力を減らすためのスポイラーを備えるものもある。また、主翼端に抵抗を減らすためのウイングレットを装着するものもある。

操縦装置(補助翼、昇降舵、方向舵)[編集]

飛行機の操縦装置は、機体の3軸まわりの姿勢(ピッチング・ヨーイング・ローリング)を変化させるための主操縦翼面である補助翼・昇降舵・方向舵を操作する主操縦装置と、エンジン・スロットルの操作や、フラップ・エアーブレーキ・タブ・スポイラ・スラットなどの補助操縦翼面を操作する副操縦装置とに分けられる。

また、操縦装置の種類は人力操縦装置動力操縦装置ブースター操縦装置フライ・バイ・ワイヤ操縦装置に大別される。人力操縦装置は、操縦席と操縦翼面の間をケーブル、滑車、またはロッド、レバー等を利用したリンク機構で繋ぎ、操縦翼面を人力だけで操作するものである。動力操縦装置は、操縦席と操縦翼面の間に設けたリンク機構を介して飛行機の主油圧系統から供給される高圧油圧により作動する油圧サーボ・アクチュエータを作動させることにより、操縦翼面を作動させるものである。ブースター操縦装置は、動力操縦装置の一種であり、操縦席と操縦翼面の間は、人力操縦装置と同じリンク機構を介して直接操作するが、操縦者の操舵力に比例した力を高圧油圧とサーボ・バルブにより倍力して、油圧アクチュエータによりその力を操縦翼面に加えるものである。フライ・バイ・ワイヤ操縦装置は機械的なリンクに代え電線が操作量を伝達するものであり、操縦装置への入力が発信器で電気信号に変換され、その電気信号が、電線と加速度と傾き検知するセンサーとコンピュータを組み込んだ飛行制御コンピュータを介して、油圧サーボ・アクチュエータに伝達されて操縦翼面を作動させるものである。

補助翼[編集]
エルロン(補助翼)の動きとそれに伴うローリング運動。

補助翼は主翼の左右、後ろ側の縁に、ヒンジによって付けられている。補助翼というのは、一方を上げると他方が下がる仕組みになっている。例えば、右側を下げるとそれと連動して左側が上がり、左側を下げるとそれと連動して右側が上がる。例えば左側を下げ、右側の補助翼を上げると、左側の翼の揚力が増し、右側は減るので、機体を右に傾ける向きのモーメントが働く。このモーメントによって、機体を右に傾けることも可能であるし、左に傾きすぎていた機体を水平に戻すことも可能となる。また、大型のジェット機の場合には、主翼の外側に低速用の補助翼と内側にあるフラップの間に全速度用の補助翼の2つの補助翼を装備しており、低速での飛行の際には2つの補助翼が作動し、高速での飛行の際には外側の低速用の補助翼はロックされ、内側の全速度用の補助翼だけが作動する。両者とも、補助翼の作動と同時に傾ける側の主翼の上部に装備されたスポイラーを作動させて機体を傾かせる。また、補助翼は機体を旋回させる際には必ず使用され、旋回する前に補助翼により機体を傾かせてから方向舵を作動させて旋回する。

尾翼[編集]

上下方向に装備されるものを垂直尾翼、左右に伸びるものを水平尾翼と呼んでいる。垂直尾翼は、胴体に固定された部分を垂直安定板、その後ろの可動部分を方向舵(あるいはラダー)と呼ぶ。水平尾翼は同様に水平安定板と昇降舵(エレベーター)からなるのが一般的で、後者は主翼からの洗流(Down・washと呼ばれる)を考慮して、胴体への取付角度を水平よりやや上向きとしている。尾翼は一般に、モーメントを確保するために主翼から十分に離れた位置に置かれる。多くは胴体後端に設置されるが、胴体前部に設置した先尾翼機(エンテ型飛行機)もある。尾翼の構造は主翼に準じるが、主翼に比べ強度上の問題も小さく簡素である。尾翼(両方もしくは水平尾翼のみ)の無い飛行機は無尾翼機と呼ばれる。また、固定の水平安定板を持たず水平尾翼面全体が可動のフライング・テールと呼ばれる方式もある。この場合、水平尾翼はスタビレーター(スタビライザー + エレベーター)と呼ばれる。この方式は第一次世界大戦から現在まで、運動性を要求される戦闘機に採用されることが多い。一方、翼面全体が動翼となり効率が高いため、小さく軽い尾翼で済むという利点から小型機にも多く採用されている。亜音速領域を飛行するジェット旅客機で動力操縦装置を取付けている機体には、水平尾翼のトリム・タブが使用できないので、水平安定板の取付角度を変えてトリム調整がきるようになっており、調整式安定板と呼ばれている。この場合は、水平安定板は長期的なピッチ姿勢の安定(トリム)、水平尾翼は短期的なコントロールに使用する。

エンジン[編集]

翼に揚力を発生させるには、正面から当たってくる空気の流れの抵抗に打ち勝って、飛行に必要な速度を機体に与える推進装置が必要である[8]

現在の飛行機用エンジンは、レシプロエンジンディーゼルエンジンガソリンエンジンのうちピストンを持つもの)と、ガスタービンエンジン(いわゆるジェットエンジン)とに大別される。

レシプロ機はエンジン出力軸の回転数を減速し、プロペラを駆動して、各プロペラブレードに生じる前方向きの揚力で推進する方式がほとんどであるが、ガスタービンのものは、推進力を得る方式の違いにより以下がある。

このうち、ターボジェットエンジンは、タービン軸から機械的に駆動力を取り出す方式との区別のため、「ピュア・ジェットエンジン」と呼ばれることもある。それぞれは、その特性を生かし、用途により使い分けられている。

その他、過去に採用されたことがあるエンジンとしては、第二次世界大戦の前から終戦までのドイツでは、クルップユンカースによる上下対向式(de)2サイクルディーゼルエンジンユモ 205やユモ 207を搭載したドルニエ Do 18ドイツ語版)やブローム・ウント・フォス BV 138BV 222水上輸送機巡航ミサイルV1に用いられたパルスジェットエンジンのほか、やはりドイツで大戦末期に登場した戦闘機、Me 163や、アメリカの超音速実験機ベルX-1などのロケットエンジンがあった。このうち、ディーゼルエンジンについては、地球温暖化防止に効果があるとして、近年再興の可能性が出てきた。

日本での航空機エンジンの数え方は、「発動機」に由来した「発」であらわされる。これは戦前からの慣習であるが、現在でもそのまま使われている。一基装備の機体を「単発機」(略して単発)、二基のものを「双発機」(双発)と呼び、それ以上はエンジンの数にそのまま「発機」を付けて呼ぶ。

ジェット戦闘機に代表される速度と運動性を重視する機体では、機体に対して大きなエンジンは空気抵抗低減と質量 (mass) 集中のため、単発、双発とも、エンジンは胴体内に置かれる。民生用の小型~中型機では、キャビン容積を重視して、主翼の上か下、もしくは尾部に置かれる。大型機では尾部にまとめるか、主翼下にパイロンで吊り、並列に配置するものが多い。

重量と体積の大きいレシプロエンジンでは、エンジン搭載位置の自由度は低くなり、単発機はもちろん、奇数発機のエンジンのうちのひとつは、機首や機尾、パラソル式(支柱支持高翼配置)の主翼上など、平面視での機体中心線上に置かれる。左右非対称の機体(BV 141)でも、尾翼の付いた胴体側(操縦席の無い方)の中心線上にある。双発以上の偶数発機では、多くが主翼前縁に配置される。強度上の理由で、エンジンをまとめて設置するために2基一組にしたもの(ドルニエ Do X)や、速度を追求し、前面投影面積を増やさずに2基エンジンとしたもの(ドルニエ Do 335)ではタンデム配置のものもある。また、隣合う二つのエンジンをギアで連結し、2基のエンジンでひとつのプロペラを駆動するもの(ハインケル He 177)も見られたが、これらは全てドイツ生まれである。

レシプロ機はライト兄弟の1号機から使われている方式。現在では趣味で乗る自家用機のほか、飛行訓練・写真撮影・農薬散布・アクロバット飛行・遊覧飛行・水上タクシー等に使用されている。

比較的近距離の路線で頻繁に離着陸する中型~小型の機体は、ジェット機よりも離着陸性能の良いターボプロップ機の方が適している。そのため、コミューター機と呼ばれる10人~50人乗りの旅客機や、条件の悪い飛行場での運用を考慮した軍用輸送機はターボプロップ機が多い。自家用機程度の小型機でターボプロップエンジンを積むものもある。

中型から大型の旅客機や、高速を要求される軍用機は全てジェット機である。その中でも純粋にジェットの排気エネルギーで推力をまかなう方式をターボジェットと呼ぶが、騒音が大きく、燃料の消費も非常に多い。経済性や航続距離、環境性能が重視させる旅客機では、現在、燃費も良く、騒音も比較的少ないターボファン方式が主流である。これはエンジン内最前部にファンを設け、タービン軸出力でこのファンを回して得た推力と、ジェット排気の推力の両方を利用する方式。空港でジェット旅客機のエンジンを正面から見ると、多数の羽根(ファンブレード)を有するファンが回っているのが良く見える。詳しくはジェットエンジンを参照。

胴体[編集]

胴体には、パイロットを含む乗員・乗客・荷物(貨物)を搭載する。また前脚を格納する[15]。さらに燃料タンク・主脚を搭載するものもある。操縦席部分は「コックピット」、客室部分は「キャビン」、床下貨物室部分は「ベリー」と呼ぶ。単発機や3発機では胴体の最前部または最後部に1発のエンジンを搭載する。最初の飛行機には胴体と呼べるものは無く、操縦席は木製骨組みの上に簡素なイスを載せたものであった。その後木製の骨組を丈夫な帆布で覆った構造になり、現在は縦横に組み合わせた骨組の表面にアルミ合金や繊維強化プラスチック製の薄い板を張ったセミモノコック構造が主流。なお空気の薄い(したがって酸素の薄い)高空を飛ぶ飛行機は、胴体内部の気圧を地上に近い状態に保っている(これを「与圧」と呼ぶ)。

セミモノコック構造の胴体は、主に以下の部材からなる。

  • ストリンガ(縦通材): 胴体の長手方向の曲げ荷重を主に受け持つ部材。小型機でも数本、大型機では円周上に何十本も配置される。特に強度の大きなものはロンジロンと呼ばれる。
  • フレーム(円きょう): ストリンガと直交する部材で、胴体形状を保つ。円形のものはリングフレームとも。
  • スキン(外板): フレームの外側に張られる薄い板。引っ張り・圧縮荷重の一部を受け持つ。

降着装置[編集]

現在ほとんどの機種は前輪式と呼ばれる「脚柱(ストラット)+ 車輪(ホイール)」からなる脚が3個所に付いている形態を採用している。胴体前部にノーズギア(前脚)と呼ばれる小ぶりの脚があり、重心より少し後方の左右に一対の主脚が配置されている。主輪は機体重量の90%を支持している上に、着陸時にはさらに大きな負荷がかかるため、軽量且つ堅牢な構造と緩衝サスペンションが求められる。現在では、小型機を除く多くの飛行機は、空気抵抗を軽減するために、飛行中に降着装置を折りたたんで胴体や主翼に格納する「引き込み脚」を備えている。フロートを有した水上機や積雪地用にスキーを装備するものもある。

着陸滑走時に使用するブレーキは油圧作動のディスクブレーキである。小型機の場合ディスクは1枚が多いが、大型機では複数のディスクを使用するセグメンテッド・ロータ方式が多い。アンチスキッド機能を有するものも多い。また車輪のタイヤは大型機では一本の脚に四輪や八輪のタイヤを装着している機体もある。多くのタイヤを並べて接地時のショックの分散を図り衝撃に耐えさせている。さらに不測のパンクにも備えるためである。いずれにしても過酷な条件で使用されるため寿命が短く、各機種ごとに着陸回数に応じてタイヤ交換やゴムの巻き代え時間が定められている[16]

飛行機の歴史[編集]

世界初の飛行機 (ライトフライヤー)

1903年12月17日に米国でライト兄弟ライトフライヤー号による有人飛行を行い、1906年10月22日にはヨーロッパでサントス・デュモンが「14-bis号」で飛行を行った。この時代、骨組は木製、翼は布張りが一般的であった[17]

飛行機の種類[編集]

「飛行機の種類」と言っても、分類するための単なるグループ分け、といった程度のものである。ここでは既存の入門書などに倣って、用途と大きさに着目した分類、さらに外観に注目した分類を示す。[18]付記として代表的な機体を例示する[19]

用途別種類分類[編集]

民間機[編集]

  1. 旅客機
    1. エアバス[20]DC-10ボーイング747
    2. コミューター[21]ブリティシュノーマンBN-2アイランダー
    3. ジェネラルアビエーション[22]三菱MU-2ムーニー
  2. 作業用機=セスナ 172
  3. 観測機PZL-104ウィルガ

軍用機[編集]

戦闘機の例 (F-35)

本稿では武器を積んでいない非武装機でも軍事目的として利用されている場合は軍用機としている。

  1. 戦闘機F-15 イーグルミラージュ2000MiG-21
  2. 爆撃機アブロ バルカンツポレフTu-22MバックファイヤーロックウェルB-1
  3. 偵察機ロッキードSR-71
  4. 早期警戒機グラマンE-2Aホークアイ
  5. 輸送機川崎C-1ロッキードC-130ハーキュリーズ
  6. 空中給油機ボーイングKC-135ストラトタンカー
  7. 対潜哨戒機新明和PS-1ロッキードP3Cオライオン
  8. (マルチロール機)=F-16以降現在主要各国戦闘機は多用途機化が進んでいる。

形状別種類分類[編集]

翼の数[編集]

複葉機単葉機三葉機多葉機

翼の位置[編集]

航空機の主翼の形状(薄緑の部分)
左から矩形(テーパー)翼P-51
後退翼F-100
前進翼X-29
三角翼F-102
可変翼F-111
可変翼(斜め翼)(AD-1)

単葉機における分類。詳細は単葉機を参照。

低翼・中翼・高翼(貨物の出し入れが容易なため輸送機に多い)・パラソル翼(飛行艇に多い)

主翼の形[編集]

平面形での分類=矩形・後退・前進・三角・可変・楕円・オージー。

エンジンの数[編集]

単発の場合通常ジェット機は胴体内、レシプロでは機体の最前部もしくは最後部に取り付けられる。双発以上の場合ほとんど位置は主翼か胴体後方である。現在軽飛行機以外は故障のリスクを考えエンジンは双発以上である。
単発機・双発機・三発機・四発機・多発機

エンジン種類[編集]

  1. レシプロ
  2. ジェット(ターボ、ターボファン、ターボブロップ、ラム、パルス)
  3. ロケット[23]音速機実験機ベルX-1Me-163コメート秋水ナッターナッターは邀撃ミサイルではあるが有人有翼であるので飛行機として例示記載。

推進方式[編集]

プロペラ機における分類。

推進式牽引式

降着装置[編集]

前輪式・尾輪式・尾橇式

スピードによる分類[編集]

音速を基準として亜音速[24]、遷音速(マッハ[25]0.75~1.25)、超音速(1.25以上)に分類。


出典・脚注[編集]

  1. ^ 広辞苑 第五版 p.2234 【飛行】内【飛行機】
  2. ^ 平凡社『世界大百科事典』23巻1988年版 p.409-417【飛行機】 項目執筆担当木村秀政・導入部p.409-410
  3. ^ 木村秀政編 『初歩の航空ハンドブック』 1951年、山海堂刊
  4. ^ この日、森(当時、第12師団軍医部長)を訪問した矢頭良一が「飛行機の沿革を説く」とある(明治時代に開発された我が国最初の計算機「自働算盤」(電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review Vol. 4 (2010) No. 2 P 105-112)p.111)。ただし構想していた飛行機械そのものは飛行船であった可能性もあると考えられている(「矢頭良一の機械式卓上計算機「自働算盤」に関する調査報告」(かはく技術史大系(技術の系統化調査報告書))p.286)。先行の二宮忠八は「飛行」という表現を用いていた。
  5. ^ 小林昭夫著『紙ヒコーキで知る飛行の原理』講談社1993年刊ISBN4-06-132733-x
  6. ^ 山中浩之 (2014年5月14日). “「飛行機がなぜ飛ぶか」分からないって本当?”. 日経ビジネス. http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140514/264597/ 2014年5月17日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f 平凡社『世界大百科事典』23巻2007年改訂版 p.412-421【飛行機】【飛行の原理】
  8. ^ a b 平凡社『世界大百科事典』23巻 p.415-420【飛行機】【性能と構造】
  9. ^ 中山直樹・佐藤晃共著『飛行機の基本と仕組み』秀和システム2005年13頁ISBN4-7980-1068-5
  10. ^ 小林昭夫著『紙ヒコーキで知る飛行の原理』講談社、1993年刊69頁
  11. ^ 鈴木真二『飛行機物語・中公新書1694』2003年刊126頁
  12. ^ 飯田誠一『飛ぶ・そのしくみと流体力学』オーム社、1995年
  13. ^ 中山直樹・佐藤晃共著『飛行機の基本と仕組み』秀和システム2005年14頁\ISBN4-7980-1068-5
  14. ^ 補助翼とも。胴体を回転軸とした左右への傾き(ロール、横揺れとも)を変えるための動翼
  15. ^ 降着装置の脚部は、ほとんど現在の飛行機は、前輪式の三支点輪取り付け方式である。主脚は重心位置の主翼に取り付けられるのが主流である。
  16. ^ 石川幹武編「日本航空整備㈱マニュアル」1959版
  17. ^ Telegram from Orville Wright in Kitty Hawk, North Carolina, to His Father Announcing Four Successful Flights, 1903 December 17” (1903年12月17日). 2013年7月21日閲覧。
  18. ^ 中山直樹・佐藤晃共著『飛行機の基本と仕組み』秀和システム2005年刊18-24頁ISBN4-7980-1068-5
  19. ^ 例示基準機体としては最もポピュラーな図典『大図典View』講談社1984年刊掲載機を優先した。
  20. ^ エアバスは旅客機のカテゴリであり(ワイドボディ機を指す)、A330等を制作しているエアバス社とは混同しないよう注意。ただし、近年はエアバス社の台頭により、他社のワイドボディ機をエアバスと表現しなくなってきている。
  21. ^ 座席数60以下で幹線空路を補完する航空輸送サービス路線
  22. ^ 民間が航空運送事業以外で使う機体。(航空写真ニュース取材等)自家用機も含む
  23. ^ 飛行機のエンジンはピストンエンジンかガスタービンエンジンに限るとした見解がある、従ってその場合はロケットエンジンを搭載している機器スペースシャトル等は飛行機の範疇外となる(※なおミサイルは当初から除外)。中山直樹 佐藤晃共著『飛行機の基本と仕組み』秀和システム2005年12頁
  24. ^ プロペラ機はこの範疇。ピストンエンジンの最高速度はマッハ0.55程度
  25. ^ 音速を基にした速度の基準気温15℃1気圧の地上で340.3m。時速約1,225㎞

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

航空ポータルサイト
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