宇宙航空研究開発機構

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独立行政法人宇宙航空研究開発機構(うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう)は、日本の航空宇宙開発政策を担う研究・開発機関である。英文名称 Japan Aerospace eXploration Agency, JAXA(ジャクサ)。総務省文部科学省所管の独立行政法人で、同法人格の組織では最大規模である。2003年10月1日付けで日本航空宇宙3機関、文部科学省宇宙科学研究所(ISAS)・独立行政法人航空宇宙技術研究所(NAL)・特殊法人宇宙開発事業団(NASDA)が統合されて発足した。本社は東京都調布市(旧・航空宇宙技術研究所)。報道では宇宙機構宇宙開発機構宇宙航空機構などの略称が用いられることもある。

目次

[編集] 目的

本法人は、主務官庁である文部科学省の管理下にあり、宇宙開発委員会により宇宙開発の計画・評価を、航空科学技術委員会により航空科学技術研究の計画・評価を受ける。今後、2008年8月27日施行の宇宙基本法により内閣府に設置された宇宙開発戦略本部が、本法人の位置付けの検討・見直しをおこなうことになっている。具体的には、各省庁毎に分かれている宇宙開発政策を統合して、一元的な宇宙開発を推進することを目的とする。

現在の法人設置における根拠法令になる独立行政法人宇宙航空研究開発機構法4条によれば以下の通り。

「大学との共同等による宇宙科学に関する学術研究、宇宙科学技術(宇宙に関する科学技術をいう〔……〕)に関する基礎研究及び宇宙に関する基盤的研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用並びにこれらに関連する業務を、平和の目的に限り、総合的かつ計画的に行うとともに、航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発並びにこれらに関連する業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする」

[編集] 歴代理事長

[編集] 組織

吉信射点

現在は、次の4本部及び3グループ体制で運営されている。

宇宙輸送ミッション本部
宇宙輸送システムの研究開発、H-IIAロケットをはじめとするロケットの打ち上げおよび、国際宇宙ステーション (international space station) 計画への取り組みや有人宇宙技術の研究や蓄積など。(旧・宇宙開発事業団
宇宙利用ミッション本部
人工衛星システムの研究開発と利用の促進など。(旧・宇宙開発事業団)
研究開発本部
航空宇宙技術の基盤研究・将来に向けた技術開発や各プロジェクトへの技術支援など。(旧・宇宙開発事業団技術開発部門・宇宙科学研究所技術研究部門・航空宇宙技術研究所技術研究部門の統合)
宇宙科学研究本部(ISAS)
惑星探査機、天体観測衛星、工学試験衛星の開発及び運用など。総合研究大学院大学に参加している。(旧・宇宙科学研究所)
航空プログラムグループ
次世代超音速旅客機など先端航空技術の研究開発など。(旧・航空宇宙技術研究所)
有人宇宙環境利用ミッショングループ
国際宇宙ステーションの日本実験モジュール「きぼう」に関する研究開発や利用の促進など。
月・惑星探査プログラムグループ
月(月周回衛星「かぐや」)や惑星(小惑星探査機「はやぶさ」)探査などを担う。愛称はJSPEC (JAXA Space Exploration Center)。

各部門毎に本部長以下、各組織に分かれ各研究テーマや開発業務を行っている。

[編集] 沿革

H-IIA ロケット及び改良型

[編集] 統合時の状況

国の行政改革の一環としての合併のみならず、相次いで発生した宇宙開発のトラブルの原因として各機関の連携不足が挙げられたこともあり、日本の宇宙開発事業の信頼回復を懸けて発足した組織であるが、統合直後に臨んだH-IIAロケット6号機(元は事業団が9月中に打ち上げる予定だった)は上昇途中にトラブルを起こし、地上からの指令で爆破される結果に終わった。さらに、宇宙科学研究所が打ち上げた火星探査機のぞみ」を火星周回軌道に乗せる事にも失敗し、発足後は試練の連続となった。これらは統合とは直接関係なかったが、JAXAが抱える組織的な問題が顕著に表れたとされている。また、近年は技術の伝承がなされず、組織が肥大化して官僚化しているとの指摘も出始めている。

[編集] 統合後の実績

2005年(平成17年)2月26日にはH-IIAロケット7号機を打ち上げ、MTSAT-1R(運輸多目的衛星新1号)の軌道投入に成功、MTSAT-1Rは「ひまわり6号」と命名された。7月10日にはM-VロケットによるX線天文衛星「すざく」の打ち上げにも成功した。10月10日には小型超音速実験機NEXST-1による飛行実験に成功した。

2006年(平成18年)には1月から2月にかけての一ヶ月以内に、初めて連続3機のロケットを打ち上げた。これらはいずれも成功し、搭載衛星もおおむね正常に機能した。また、この際打ち上げたMTSAT-2「ひまわり7号」は久々に成功した国産商用衛星であった。事業団時代の1990年(平成2年)に米国との協定によって、日本は国内で使用する商用衛星も国際競争入札にしなければならなくなり、大量生産していないために高コストの国産衛星は、大量生産によって低価格を実現した欧米の商用衛星に太刀打ちできず、技術試験衛星などの製作でかろうじて技術を保持し続けてきた。ひまわり7号は、衛星の機構をほかの用途の衛星でも共用できるようにして低価格を実現し、欧米の衛星に対抗することとなった。ただし、ひまわり7号の開発には事業団は関わっていない。

[編集] 予算規模から見る比較

2004年度の宇宙開発予算は先進国で比較すると、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が約1兆7,000億円(さらに、同規模の予算が軍事費から支出されている)、欧州宇宙機関 (ESA) が約3,500億円であるのに対し、JAXAはわずか1,800億円とNASAの10分の1程度である。また、ESAで主力となっている大型ロケットアリアン5には開発費用に約1兆500億円を注ぎ込まれているがH-IIおよびH-IIAには約3分の1となる約3,900億円であり、小規模で競争力に乏しいというのが現実である。なお、中華人民共和国の宇宙開発予算は軍事費との関係が明らかでなく詳細な内容は不明であるが、日本との物価の差もあり、日本では予算上も困難な有人宇宙飛行を実施している。

[編集] 今後のあり方

ロケット打ち上げ民営化や衛星商業化など、機構を取り巻く状況の変化に加え、宇宙基本法(2008年8月施行)では「独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発に関する機関について、その目的、機能、組織形態の在り方等について検討を加え、必要な見直しを行うものとする」とされている。しかしながら、民間への技術移転などを通じて、より高度かつ競争力の高い宇宙開発戦略を実現するための支援を行うことになる。

[編集] 打ち上げ衛星

衛星名 命名前 用途 打上ロケット 打上日 備考
ひまわり6号 MTSAT-1R 運輸多目的衛星 H-IIAロケット7号機 2005年2月26日 RSCサービス
すざく ASTRO-EII X線天文衛星 M-Vロケット6号機 2005年7月10日 ISAS(宇宙科学研究本部)
きらり OICETS 光衛星間通信実験衛星 ドニエプルロケット 2005年8月24日
れいめい INDEX 小型科学衛星 ISAS ピギーバック衛星
だいち ALOS 陸域観測技術衛星 H-IIAロケット8号機 2006年1月24日
ひまわり7号 MTSAT-2 運輸多目的衛星 H-IIAロケット9号機 2006年2月18日 RSCサービス
初の1ヶ月以内連続打上げ
あかり ASTRO-F 赤外線天文衛星 M-Vロケット8号機 2006年2月22日 ISAS
K2 情報収集衛星光学2号機 H-IIAロケット10号機 2006年9月11日 発足直後のH-IIA6号機打ち上げで
軌道投入に失敗した衛星の代替機
ひので SOLAR-B 太陽観測衛星 M-Vロケット7号機 2006年9月23日 ISAS
LDREX-2 大型展開アンテナ
小型・部分モデル2
アリアンVロケット
(ESA)
2006年10月14日 ETS-VIIIの大型展開アンテナ (LDR) 試験用
きく8号 ETS-VIII 技術試験衛星VIII型 H-IIAロケット11号機 2006年12月18日 初のH2A204型での打ち上げ。
衛星も5.8トンと過去最も重い。
R2
K3
情報収集衛星レーダー2号機
および 光学3号実証機
H-IIAロケット12号機 2007年2月24日
かぐや SELENE 月周回衛星 H-IIAロケット13号機 2007年9月14日
きずな WINDS 超高速インターネット衛星 H-IIAロケット14号機 2008年2月23日
ISS日本実験棟「きぼう」 (JEM) の船内保管室 ISS日本実験棟「きぼう」 (JEM) の船内保管室 スペースシャトルエンデバー号 2008年3月11日 土井隆雄宇宙飛行士が搭乗し組み立てミッション(1J/A)を行う。STS-123
ISS日本実験棟「きぼう」 (JEM) の船内実験室とロボットアーム ISS日本実験棟「きぼう」 (JEM) の船内実験室とロボットアーム スペースシャトルディスカバリー号 2008年6月1日 星出彰彦宇宙飛行士が搭乗し組み立てミッション(1J)を行う。STS-124
いぶき GOSAT 温室効果ガス観測技術衛星 H-IIAロケット15号機 2009年1月23日 他、小型衛星7機同時打ち上げ

[編集] 打ち上げ予定

赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)」

打ち上げが予定されているロケットと衛星・探査機。状況に合わせて順番などは変更されることがある。

2009年(平成21年)度

2010年(平成21年)度以降

[編集] 検討・提案段階の探査計画

  • セレーネ2計画:月着陸、サンプルリターン計画
  • はやぶさMK.2計画、マルコ・ポーロ計画:小惑星からのサンプルリターン、ヨーロッパ宇宙機関と共同研究中
  • 有人月面拠点システム:将来の国際月有人研究拠点構築に向けた、日本の参加形態のありようなどの検討を実施。

[編集] 「JAXAビジョン2025」に盛り込まれた将来計画
  • 火星探査計画: 火星探査への再挑戦計画。
  • 木星探査計画:長期深惑星探査における国際共同研究テーマ。国際会議などで議論中。

[編集] 検討・提案段階の科学衛星

  • X線天文衛星 NeXT (ASTRO-H):「すざく」での経験をふまえて、X線・ガンマー線の精密観測を行う。(2013年度打ち上げ目標)
  • 赤外線天文衛星 SPICA: 光学式天体望遠鏡を軌道上に展開して、赤外線での宇宙観測を行う(国立天文台との共同研究)。

[編集] 継続予定の宇宙技術

  • リモートセンシング衛星(地球観測衛星)
  • 高度通信技術衛星(衛星間通信衛星等)
  • 宇宙観測技術衛星(スペースVLBI、赤外線探査、紫外線探査、高エネルギー線探査)
  • 国際宇宙ステーション滞在実験
  • ペイロードの余裕から打ち上げできるピギーパック衛星打ち上げ(宇宙事業協力協議会、各大学の宇宙工学研究室との連携。公募型小型衛星のコンテストなど)。

[編集] 継続予定の航空技術

[編集] 施設・事業所

[編集] 事務・駐在員(宇宙飛行士を含む)関係部署

宇宙航空研究開発機構本社(東京都調布市)

[編集] 有人宇宙利用関連駐在事務所

[編集] 宇宙航空研究開発・打ち上げ・管制実務担当施設

[編集] 射場

[編集] 実験場・観測施設・管制施設・宇宙通信施設

[編集] 実験・開発施設
  • 能代多目的実験場(秋田県能代市) - 主に固体ロケットモーターの試験、振動実験や破壊型実験等を行う施設。
  • 角田宇宙センター(宮城県角田市) - 液体燃料ロケットエンジン開発を実施している施設。打ち上げ前エンジン燃焼試験等を行う施設を併設。

[編集] 大気圏観測・宇宙観測施設

[編集] 宇宙通信施設
  • 勝浦宇宙通信所(千葉県勝浦市) - 地球軌道上にある衛星の追跡・管制を行う施設。
  • 増田宇宙通信所(鹿児島県熊毛郡中種子町) - 打ち上げ後のロケットの追跡、地球軌道上にある衛星の追跡・管制を行う施設。
  • 沖縄宇宙通信所(沖縄県国頭郡恩納村) - 地球軌道上にある衛星の追跡・管制を行う施設。

[編集] 打ち上げ管制施設
  • 小笠原追跡所(東京都小笠原村父島) - 打ち上げ後のロケットを追跡を行う施設。
  • クリスマス島臨時追跡所(キリバス共和国クリスマス島) - 静止軌道への衛星の投入の際に衛星本体を追跡し通信を行う施設。JAXAの公式ホームページからは削除。静止衛星投入時のみ、借受運用を実施。

[編集] 深宇宙ミッション用臨時通信施設

電波通信施設を借り受け運用中。

[編集] 関連団体

[編集] 管理運営先

[編集] 加盟団体・事務局

[編集] 業務委託・提携先

[編集] 加盟団体

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
  • JAXAに関連したサイト
    • JAXAクラブ(JAXAキッズを引き継ぐ形で2007年7月スタート)

[編集] 参考資料

条約・協定・法令・政令関係
  • 原典宇宙法(JAXA内サイト)
  • 内閣府, 宇宙計画委員会資料
  • 日本学術会議、第3部資料
  • 省庁間連絡会議、宇宙利用推進協議会
研究開発関連
各国宇宙航空研究開発公開資料
データ集
  • 国立天文台(編)、理科年表、丸善
宇宙開発ポータル