放射線医学総合研究所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
放射線医学総合研究所
正式名称 放射線医学総合研究所
英語名称 National Institute of Radiological Sciences
略称 放医研、NIRS
組織形態 独立行政法人
所在地 日本の旗 日本
263-8555
千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号
予算 年間約150億円(2012年度予算)
人数 800名(2012年4月1日時点)
理事長 米倉義晴
活動領域 放射線全般
設立年月日 1957年昭和32年)
所管 文部科学省(一部の業務については原子力規制委員会共管)
ウェブサイト http://www.nirs.go.jp/
テンプレートを表示
放射線医学総合研究所

独立行政法人放射線医学総合研究所(ほうしゃせんいがくそうごうけんきゅうじょ、National Institute of Radiological Sciences(NIRS))は、1957年昭和32年)に発足した放射線医学に関する総合研究所。

発足当時は科学技術庁所管の国立研究所。平成13年に、文部科学省所管の独立行政法人に改組された。

目的[編集]

あくまで研究機関であり、医療機関ではない。 独立行政法人放射線医学総合研究所法第3条によれば、以下のとおり。

「放射線の人体への影響、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療並びに放射線の医学的利用に関する研究開発(研究及び開発をいう。以下同じ。)等の業務を総合的に行うことにより、放射線に係る医学に関する科学技術の水準の向上を図ることを目的とする。」

放射線の生体影響と放射線障害の診断・治療、社会的対策、放射線や同位元素を用いた疾病の治療と診断などについての研究を行っていて、総務部等の事務部門、人材育成課の養成部門の他、以下の5つの研究センターが中心となり様々な放射線の影響や放射線の利用についての研究活動をしている。

理化学研究所神戸研究所とともに、文部科学省が推進する分子イメージング研究プログラムの拠点として機能している。
  • 放射線防護研究センター:放射線の人体・環境への影響、その防護を目指した総合的な研究
  • 緊急被ばく医療研究センター:放射線による人体の障害に関する診断と治療に関する研究
  • 基盤技術センター:先端的な研究開発、実験動物の供給の他、研究設備の整備、安全業務

概要[編集]

  • 所在
  • 理事長:米倉義晴

年譜[編集]

  • 1971年 千葉県内にある造船所で使われていた非破壊検査に用いる放射線源を紛失。それを偶然拾い持ち帰った男性、およびその友人ら6人が入院
  • 1999年 JCO東海事務所・転換試験棟で起きた臨界事故で被曝した作業員3人がヘリで搬送される
  • 2006年 IAEAの協力センターに認定[1]
  • 同年 同研究所内重粒子医科学センターで実施している重粒子線治療の登録患者数が治療開始以来延べ3000人を突破
  • 2007年 同研究所内重粒子医科学センター病院で電子カルテシステムに手のひら静脈認証装置を導入
  • 2011年 福島第一原子力発電所事故で3号炉の復旧作業に従事していた作業員3名が福島県立医大より搬送され、収容される(関電工社員2名、下請会社作業員1名)
  • 同年 同事故により飛散した放射能による健康被害が懸念される福島県内住民の、被曝調査が福島県の依頼により当所および日本原子力研究開発機構で6~8月にかけて行われた。[2][3][4]

重粒子線がん治療のメリットと可能性[編集]

2007年当時、実際に治療を行っている重粒子線がん治療施設は、世界に3ヵ所(放射線医学総合研究所内の重粒子医科学センター病院、兵庫県立粒子線医療センタードイツのダルムシュタットの重イオン科学研究所)しかなく、今[いつ?]世界では、スイスフランスイタリアアメリカ中国韓国でも計画が進行している。2007年当時で、3,200人以上が治療を受けていた放医研センター病院は、世界的にも最も進んだ重粒子線医療施設で、今年までに累計5,400人を超える治療が行われている。また、世界で4番目、日本国内で3ヵ所目の施設として、群馬大学重粒子線医学研究センターが治療を開始した。ここでは巨大な加速器を小さくすることに成功しており、今後の重粒子線がん治療の可能性を、大きく広げるものとして注目を集めている。放医研センター病院では、約65m×120mだった加速器を、約45m×65mと小さくすることに成功。その中に、重粒子を最高での70%程度の速度まで加速する、直経約20mのシンクロトロン加速器と、3つの治療室を持つ。放医研が主体となって研究開発を進めて来た、「普及小型重粒子線照射装置の技術機第1号」と位置づけられ、群馬大学では群馬県との共同事業として、2010年3月の治療開始に至る。

重粒子線がん治療は、正常な組織への放射線障害を最小限に止め、がんの部位のみを狙い撃ちができ、通常の放射線治療では治癒することが困難な、「放射線抵抗性のがん」にも威力を発揮するとされている。また、「切らずにがんを治す」治療法で、臓器の機能や形態が温存できることから、治療成績の向上のみでなく、患者の治療後の社会復帰や、生活の質(QOL)の向上も期待できる治療法である。放医研での重粒子線治療の治療成績は、5年生存率で見ると、前立腺がん=約95%、手術不能Ⅰ期肺がん=約70%、頭頸部悪性黒色腫=約50%、体幹部・進行骨肉腫=約50%、再発進行肝がん=約50%、Ⅲ-Ⅳ期進行子宮頸がん=約45%などの報告がなされている。最も治療の難しい骨肉腫では、腫瘍が消失した後に正常骨組織が再生するなど、がんが制御されるばかりか、機能や形態まで温存される、劇的な治療効果も得られていると言う。また、重粒子線治療は、通常では1~4回の照射で済み、入院期間も比較的に短く、苦痛も大幅に軽減されることからも、優れたがん治療法であると言われている。治療コストは、幾らか生命保険が対応するようになったが、先進医療指定の為に健康保険の適用にならい、かなり高額な治療費314万円が負担となることは、2007年当時と変わらない。

脚注[編集]

外部リンク[編集]