スペースシャトル

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スペースシャトル
STS-120におけるディスカバリー号の発射
STS-120におけるディスカバリー号の発射
機能 一部再使用型有人宇宙船
製造 ユナイテッド・スペース・アライアンス(合衆国宇宙開発同盟)
サイオコール/アライアント・テックシステム(固体燃料補助ロケット担当)
ロッキード・マーチン(外部燃料タンク担当)
ロックウェル/ボーイング(軌道船担当)
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
大きさ
全高 184フィート (56.1m)
直径 28.5フィート (8.69m)
重量 4,470,000ポンド (2,030トン)
段数 2
積載量
LEOへのペイロード 24,400kg (53,600ポンド)
ペイロード
GTO
3,810kg (8,390ポンド)
打ち上げ実績
状態 退役
射場 ケネディ宇宙センター第39複合発射施設
ヴァンデンバーグ発射基地SLC-6発射台(未使用)
総打ち上げ回数 135回
成功 133回
失敗 1回(発射失敗、チャレンジャー号)
その他 1回(大気圏再突入時に空中分解、コロンビア号)
初打ち上げ 1981年4月12日
特筆すべきペイロード 追跡およびデータ中継衛星(TDRS
宇宙実験室
大規模観測計画
ガリレオ探査機
マゼラン探査機
国際宇宙ステーション建設資材
補助ロケット (Stage 0) - 固体燃料補助ロケット
補助ロケット数 2
エンジン 固体燃料1
推力 1,270トン(1機あたり海面推力) (12.5MN)
比推力 269秒
燃焼時間 124秒
燃料 固体燃料
第1段 - 外部燃料タンク
エンジン なし
(軌道船に3機のメイン・エンジンを搭載)
推力 555トン (5.45220MN)
比推力 455秒
燃焼時間 480秒
燃料 液体酸素/液体水素
第2段 - 軌道船
エンジン 軌道操縦ロケット2機
推力 真空推力5.4トン (53.4kN)
比推力 316秒
燃焼時間 1250秒
燃料 モノメチルヒドラジン/四酸化二窒素

スペースシャトルSpace Shuttle)は、アメリカ合衆国NASA宇宙輸送システム(Space Transportation System, STS)の一環として、有人宇宙飛行のために使用していた宇宙船である。

目次

[編集] 概要

初飛行は1981年、二回目の飛行は1982年で、2011年7月の135回目の飛行をもって退役した。主な使用目的は、数々の人工衛星宇宙探査機の打ち上げ、宇宙空間における科学実験、国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)の建設などである。シャトルはNASAだけでなく、国防総省欧州宇宙機関ドイツなどの軌道実験にも使用されてきた。STSの開発とシャトルの飛行は、アメリカの資金によって行われた。

シャトルには全体でおよそ250万個もの部品が使われており、人間がこれまでに製造した中で最も複雑な機械であると言われている[1]

発射時には、全体はオレンジ色の外部燃料タンク(External Tank, ET) [2][3]、2本の白色で細長い固体燃料補助ロケット(Solid Rocket Boosters, SRB)、そして宇宙飛行士と貨物を搭載する軌道船によって構成される。搭載物はSTSのために開発された2種類の補助ロケット(1段目はPAM、2段目はIUSと呼ばれる)を使ってさらに高い軌道に乗せることができる。

シャトルは通常のロケットと同じように、発射台からは垂直に離陸する。その際の推力を発揮するのは2本のSRBと3機のメイン・エンジン(Space Shuttle Main Engine, SSME)で、SSMEの燃料液体水素酸化剤液体酸素は外部燃料タンクから供給される。上昇の手順は、すべてのロケットが噴射される第一段階とSSMEだけで推進される第二段階に分かれていて、発射からおよそ2分後にSRBは切り離され、パラシュートで海に着水し再使用のため船で回収される。機体はその後も上昇を続け、軌道に到達するとSSMEが燃焼を停止してETが切り離される。タンクは通常は大気圏に再突入して空気抵抗によって消滅するが、様々な用途に使用することは可能である[4]。軌道船はその後さらに軌道操縦システム(Orbital Maneuvering System, OMS)を噴射して、目標の軌道へと向かう。

軌道船は飛行士や宇宙ステーションの建設資材などを、地球周回低軌道大気圏上層部、さらに熱圏などに運ぶことができる[5]。通常は5名から7名の飛行士が搭乗するが、最も初期の頃に行われた4回の試験飛行(STS-1からSTS-4)のように機長と操縦士の2名だけで飛行することも可能である。シャトルが持つ従来の宇宙船とは際だって違う特徴の一つに、胴体部分のほとんどを占める貨物搭載室と、そこを覆うドアがある。これによってハッブル宇宙望遠鏡のような大きな搭載物を軌道に投入したり、逆に軌道上で衛星を回収して地球に持ち帰ったりすることができるようになっている。

任務が終了すると、軌道船はOMSを逆噴射して速度を落とし大気圏に再突入する。降下している間、シャトルは大気の様々な層を通過し、主に空気抵抗によって極超音速状態から機体を減速させる。大気圏下層部に到達し着陸態勢に入ると姿勢制御用ロケット(Reaction Control System, RCS)を使用してグライダーのように飛行し、フライ・バイ・ワイヤ方式の操縦系統で油圧によって動翼を制御する。着陸の際には、長い滑走路が必要とされる。シャトルの形態は、帰還時に旅客機のような低速飛行と極超音速飛行をしなければならないという二律背反する要求を満たすために作られた妥協の産物で、その結果として軌道船は着陸寸前に普通の航空機には見られないような高い降下率を経験することになる。またその際、動翼は界面圧力が低くなりすぎてほとんど効かなくなるため、機体の制御はもっぱらRCSによって行う。

[編集] 初期計画

シャトルの設計と製造は1970年代初頭に始まったが、その概念はそれより20年も前、1960年代のアポロ計画よりも早い段階に存在していた[6][7]。宇宙から宇宙船を水平に着陸させるという構想は1954年に国立航空宇宙諮問委員会(National Advisory Committee for Aeronautics, NACA)が描いていたもので[7]、それは後にX-15航空工学実験調査機として実現することになった。NACAに対してこの提案を行ったのは、ヴァルター・ドルンベルガーであった[7]

1957年、X-15をさらに発展させたXシリーズ宇宙往還機計画が提案された。宇宙飛行士ニール・アームストロングはX-15とX-20両方のテスト・パイロットに選抜された[7][8]が、X-20は計画されただけで実機が飛行することはなかった[8]

X-20は実現されなかったが、同様のコンセプトを持つHL-10実験機は数年後に開発され、1966年1月にNASAの元へと届けられた。HLとは、「Horizontal Landing(水平着陸)」の意味であった[9]

1960年代半ば、空軍は次世代宇宙輸送システムに関する一連の極秘調査計画を行い、一部再使用型の宇宙船こそが最も安上がりな方法であるとの結論に達した。彼らの提案では、使い捨て型の宇宙船とロケット(クラスI)の開発に直ちに取りかかり、それに続いて一部再使用型(クラスII)の開発を続け、最終的には完全再使用型(クラスIII)に達するべきであるとのことであった。1967年、NASA長官ジョージ・ミューラー(George Mueller)は幹部80人を集め、将来的な選択肢に関する1日間の討論会を開催した。会議では、初期の頃の空軍のX-20計画を含む様々な提案がなされた。

1968年、NASAは地球と宇宙を往復することを目的とした「統合往還機(Integrated Launch and Re-entry Vehicle, ILRV)」の研究を開始し、同時に複数の企業に対して主エンジン(SSME)の開発を競わせた。またヒューストンハンツビルにあるNASAの事務局は共同で、宇宙に貨物を運ぶだけでなく大気圏を滑空して地球に帰還できるような宇宙船の設計を公募した。その中の一つに、巨大なロケットと小型の軌道船によって構成されたDC-3と呼ばれた案があった[10]

1969年ニクソン大統領はスペースシャトル計画を進行させることを正式に決定した[11]

1973年8月、X-24Bが飛行に成功したことにより、大気圏に再突入した宇宙船が水平に着陸するのが可能であることが証明された。

[編集] 詳細

スペースシャトルは、再使用することを目的に設計された初めての宇宙船である。シャトルは様々な搭載物を低軌道に運び、ISS(国際宇宙ステーション)の人員を交代させ、飛行計画を提供することができる。また軌道船は地球を周回する人工衛星その他の物体を回収し、地上に持ち帰ることもできる。各軌道船は100回の飛行もしくは10年間の使用に耐えられるように設計されているが、後にその期間は延長された。STS(宇宙輸送システム)の設計責任者は、マーキュリー計画ジェミニ計画、アポロ計画などにおいても宇宙船の設計を担当したマキシム・ファゲット(Maxime Faget)である。軌道船の大きさや形状を決定する際の最も重要な要素となったのは、計画されていた商業衛星や秘密衛星の最大のサイズのものを搭載できるようにすることと、極軌道から一周回で離脱するという空軍の秘密計画に対応できるような飛行範囲を持っていることであった。また固体燃料補助ロケットと使い捨て型の燃料タンクの併用という方式が選択されたのは、衛星を宇宙空間に配置するための高い搭載能力が欲しいという国防総省の要求と、再使用できる機器を持つ宇宙船を開発することによって宇宙開発予算を削減したいというニクソン政権の要求に応えるためだった。

Sts-127 landing.ogg
エンデバー号(STS-127)帰還の動画

飛行可能な機体は6機製造された。初号機エンタープライズは宇宙に行けるようには作られてはおらず、もっぱら滑空試験のためのみに使用された。実用化されたのは、コロンビアチャレンジャーディスカバリーアトランティスエンデバーの5機である。当初はエンタープライズも進入着陸試験が終了した後に実用機として改造される予定だったが、構造試験のために製造されたSTA-099をチャレンジャー(OV-099)に改造したほうが安上がりだと判断された。チャレンジャーは1986年、発射から73秒後に爆発事故を起こして機体が失われたため、構造試験に使用された材料を集めて新たにエンデバーが製作された。コロンビアは2003年空中分解事故を起こして消滅した。

エンデバーの製作にかかった費用は約17-18億ドルで、シャトルの一回の飛行にかかる費用は2002年の時点で約4億5,000万ドルだった。コロンビアの事故以降は費用が上昇し、2007年には1回の飛行につき約10億ドルを要するようになった[12][13]

シャトルは再使用型宇宙往還機であり、再使用可能な軌道船、ET(外部燃料タンク)、SRB(固体燃料補助ロケット)の三つの部分によって構成されている[14]。ETとSRBは上昇中に切り離され、軌道船のみが地球周回軌道に到達する。発射時には機体は通常のロケットと同じように垂直に打ち上げられるが、軌道船は水平に滑空して着陸し、再使用のために整備される。SRBはパラシュートで海に落下し船で回収され、推進剤を再充填して次回の飛行に利用される。

政治学者のロジャー・A・ピールケ・Jr.(Roger A. Pielke, Jr.)は、2008年度初頭までにシャトル計画にかかった費用は総額で1,700億ドル(2008年度換算)ほどであったと算定している。これによれば打ち上げ一回あたりのコストは15億ドルということになる[15]が、1985年発射のSTS-61-Aと1993年発射のSTS-55はドイツの資本で行われたもので、管制センターはバイエルン州のオーバーファッフェンホーフェン(Oberpfaffenhofen)に置かれた[16][17]

時として軌道船自体を「スペースシャトル」と呼ぶことがあるが、技術的に見ればこれはいささか誤称であり、真の意味での「宇宙輸送システム(スペースシャトル)」とは軌道船・外部燃料タンク・固体燃料補助ロケットが組み合わさったものを指す。これらが結合されて、はじめてシャトルは完成状態となるのである。機体の製造はスペースシャトル組立棟で行われるが、この建物は元々はアポロ計画のサターン5型ロケットを組み立てるために作られたものであった。

[編集] 軌道船

軌道船は通常の航空機と似たような形状をしており、主翼は内側が81°、外側が45°の後退角を持った二重デルタ翼で、垂直尾翼の後退角は50°である。主翼の後端には4枚の動翼が取りつけられている。また垂直尾翼後端には空力ブレーキも兼ねた方向舵が設置されていて、降下と着陸の際に高揚力装置(フラップ)とともに作動して機体を制御する。

胴体部分のほとんどは直径4.6m、長さ18mの貨物搭載室が占めていて、観音開きの保護ドアによって覆われている。搭載物は通常は機体が水平の状態にあるときに格納され、その後機体とともに発射台上に垂直に設置される。無重力の宇宙空間では、搭載物は飛行士が操縦するロボットアームや船外活動によって放出される。また搭載物自体が持っているロケットによって、さらに高い軌道へと投入されることもある。

機体の後端には、メイン・エンジンが三角状に配置されている。エンジンのノズルは上下方向に10.5°、左右方向に8.5°傾けることが可能で、上昇中に推力の向きを変えて機体の進行方向を制御する。軌道船の機体構造は主にアルミニウム合金によって作られているが、エンジン部分の支持構造にはチタニウム合金が使用されている。

軌道船は飛行目的に応じて、軌道実験室(アストロテック社が製作したスペースラブなど)、搭載物をより高い軌道に投入するためのロケット(内蔵型上段ロケット、搭載物補助機器など)、軌道滞在期間延長機器、多目的補給モジュールカナダ・アームなど様々な追加機器を搭載することができる。

製造された機体の中で実際に宇宙に行くことができたのは、OV-099チャレンジャー号、OV-102コロンビア号、OV-103ディスカバリー号、OV-104アトランティス号、OV-105エンデバー号の5機であった[18]

主な追加機器の画像

[編集] 外部燃料タンク

外部燃料タンク(ET)の主な機能は、軌道船のメイン・エンジンに燃料の液体水素と酸化剤の液体酸素を供給すると同時に、2本のSRBと軌道船を接続し、全体を支える骨組みとなることである。ETはシャトルの中では唯一再使用されない部分で、飛行のたびに投棄されているが、軌道に投入して(宇宙ステーションに接続するなどして)利用することは可能である[4][19]

[編集] 固体燃料補助ロケット

固体燃料補助ロケット(SRB)は2機合計で発射時に必要とされる推力の83%、約1,250万ニュートン(1,276.8トン)を発揮し[20]、発射から2分後、高度約15万フィート(46km)に達したところで切り離され、パラシュートで海に着水して回収される[21]。外殻は厚さ13mm鋼鉄でできている[22]。SRBは何度も再使用されるもので、一例を挙げれば2009年に試験発射されたアレスI ロケットは、過去48回のシャトルの飛行で使用されたSRBの部品を寄せ集めて作られたものであり、その中には1981年の初飛行(STS-1)で使われたものも含まれていた[23]

[編集] 飛行制御系統

初期のシャトルはグリッド・コンパス(GRiD Compass)と呼ばれる、世界で最も初期の頃に作られたラップトップコンピュータを使用していた。コンパスはせいぜい8,000ドル程度で売られていた安価なものであったが、その重量や大きさに比して不釣り合いなほどの性能を発揮し[24]、NASAはその重要な顧客の一つであった[25]。なお、グリッド・コンパスは飛行制御系統には関係しない。

シャトルはコンピュータ制御されたフライ・バイ・ワイヤ方式のデジタル飛行制御システムを採用した、初期のころの機種の一つである。これは飛行士が操作する操縦桿やペダルと、機体の操縦翼面や姿勢制御用ロケットの間に機械的なリンクや油圧系統などが一切存在しないということを意味する。飛行士が入力した操作は電気信号に変換され、電線(ワイヤ)を介して操縦装置に伝えられる。

フライ・バイ・ワイヤ方式の最大の懸念は信頼性の問題であり、シャトルのコンピューターシステムについては多くの研究開発が行われた。シャトルは IBM製の5台のAP-101と呼ばれる、それぞれ独立して冗長性を持ち、組み込みシステムを構成する32ビット汎用コンピューターを使用している。このうち4台は主飛行電子ソフトウェアシステム(Primary Avionics Software System, PASS)という特製のソフトウェアで稼働し、残りの1台はこれとは別の、バックアップ飛行システム(Backup Flight System, BFS)というソフトを使用している。またこれらを総称して「データ処理システム」(Data Processing System, DPS)と呼ぶ[26][27]

シャトル用DPS設計の到達目標は、フェイルセーフを達成して信頼性を向上させることであった。DPSは、もし5台のコンピューターのうち1台が故障しても安全に離陸でき、また2台が故障しても安全に着陸できるように設計されている。

4台の汎用コンピューターは、相互に監視し合いながら稼働している。もし1台が他と違う司令を出した場合は、3台が「投票」を行い、違う司令を出している1台を機体の制御から除外する。残りの3台のうち1台がまたもや違う司令を出した場合は、残った2台が投票をしてその1台を除外する。また極めて稀な場合だが、もし4台の「主張」が2対2に別れた場合は、どちらか一方のグループが無作為に選ばれる。

着陸直前、一般の航空機と同じように降着装置をおろすアトランティス号

BFS(バックアップ飛行システム)は5台のコンピューターの中で独立して開発されたソフトで、4台の主システムが故障した時にのみ稼働する。BFSが開発されたのは、主システムはハードウェア的には冗長性を持たせているものの全く同じソフトで稼働しているため、もし何らかのエラーが発生した時には4台すべてが故障してしまう可能性があるからである。埋め込み式アビオニクスソフトは、一般の商用ソフトとは全く違う環境のもとで開発されている。コードラインの数は商用ソフトに比べればごく限られたもので、変更がなされることは滅多になく、広範な試験が行われ、ほんのわずかなコンピューターコードのために開発要員や試験要員も含めて多くの人員が関わっている。しかしながら、どんなに万全を尽くしても故障というのは常に起こりうるものであり、そのような不測の事態に備えてBFSは存在しているのである。BFSは今後もPASSとともに稼働していくであろうが、今日に至るまでのすべてのシャトルの飛行の中で、実際にBFSが操縦を引き継ぐような事態が発生したことはただの一度もなかった。

シャトルのコンピュータのソフトウェアは、PL/Iに似たHAL/Sと呼ばれる高級プログラミング言語で書かれている。これはリアルタイム組み込みシステム環境のために、特別に設計されたものである。

IBM製AP-101コンピュータは、もともと1台あたり約424KB磁気コアメモリを持ち、CPUは毎秒40万回の計算を行うことができた。ハードディスクはなく、ソフトは磁気テープカートリッジからロードした。

1990年、AP-101はAP-101Sという上位機種に置きかえられた。記憶容量はこれまでの2.5倍の約1MBに、演算速度は3倍の毎秒120万回に向上し、さらに記憶装置磁気コアメモリからバックアップ電池つきの半導体メモリに改良された。

シャトル計画の表象

[編集] 機体の塗装と表象

操縦室の窓と貨物搭載室ドアの間の機体側面には、軌道船の名称が書かれている。また搭載室ドア後部の下側には、NASAの表象と「United States」の文字および星条旗が描かれている。国旗は右側主翼にももう一つある。文字に使用されている書体はヘルベチカである[28]

[編集] 改良

STS-101の操縦席。アトランティスでグラスコックピットが初めて採用された。

シャトルは1970年代に開発された宇宙船[29]であるため、その当時から安全面における性能や信頼性を向上させるべく多くの改良や改造が施されてきた。内部構造のほとんどは初期に設計されたものとそれほど変わってはいないが、アビオニクス(飛行用電子機器)は大きく変貌した。たとえばコンピューターのアップグレード(性能向上)に関して言えば、初期の頃のアナログ式のメーター類は廃止され、最新型のエアバスA380ボーイング777に使われているような、グラスコックピットと呼ばれるフルカラーの液晶表示板に改められた。HP-41Cのようなプログラム入力可能な電卓も、依然として使われている。ISS(国際宇宙ステーション)の登場により、ISSに補給物資を届ける飛行でより大きな貨物を中間デッキに搭載できるよう、軌道船の船外活動用ハッチは外部ドッキングシステムに置きかえられた。このドッキングにはロシアのアンドロジナスドッキング機構を採用している為、ISSには自動ドッキングが可能である。

SSME(メイン・エンジン)もまた、信頼性と出力を向上させるべく何度も改良を施されてきた。このことは、発射時に「エンジンの出力を104%に上げる」という言い回しがあることでも理解できる。これは安全上の限界を超えてエンジンを噴射するという意味ではなく、100%というのは初期の頃に設定された値なのである。長い開発期間のうちに製造元のロケットダイン社は、安全出力を当初の設計値の104%にまで向上させることができた。しかしながらもしこの新規の値を100%と設定してしまうと、それまでに作成した膨大な量の文書やソフトを書き直さなければならなくなる。そのため104%という言い回しが残ることとなったのである。SSMEの進歩の歴史は、ブロックI、ブロックII、ブロックIIAのような「ブロック番号」となって残されている。これらの改良によってエンジンの信頼性・メンテナンス性・性能は大きく向上し、2001年にはブロックIIエンジンを109%の推力にまで到達させることができた。ただし通常使用される最大推力は104%までで、106%または109%が実現されるのは緊急事態が発生して飛行が中止される時だけである。

最初の二回の飛行STS-1とSTS-2では、外部燃料タンクが太陽光を吸収して内部の温度が上昇するのを防ぐため全体が白色に塗られた。しかしながら地上での試験で必要ないことが分かったので次回からは廃止され、その塗料の分だけ軌道に投入できる搭載量が増えることとなった[30]。他のところでは、液体水素タンク内部の桁のいくつかも不要なことが判明したため、軽量化のために取り除かれた。改良を施された軽量タンクはほとんどの飛行で使用されてきたが、STS-91からは超軽量タンクに置きかえられた。改良型の超軽量タンクにはアルミニウム/リチウム合金2195が使用されていて、最終型の軽量タンクに比べ3.4トンの減量に成功した。シャトルは無人では飛行できない設計になっているため、これらは実際の飛行で試してみる以外に手段がなかった。

SRB(固体燃料補助ロケット)もまた、何度も改良されてきた。代表的なところではチャレンジャー号爆発事故の後、本体接合部分の密閉性を確保するOリングが三重に強化された。

中央に見えるのが軌道船の3機のメイン・エンジン。その両脇にある2機の小さいロケットが軌道操縦システム。さらにその上にあるのが垂直尾翼。

SRBには他にも性能や安全性を高めるためのいくつかの改良が試みられたが、実現されることはなかった。その中の一つに、より簡略かつ低コストで、安全面や性能においても格段の向上を果たしたと考えられる発展型SRB(Advanced Solid Rocket Booster, ASRB)があった。ASRBは1990年代半ばに宇宙ステーション計画支援のため製造が開始されたが、開発費が22億ドルにまではね上がったため中止が決定された[31]。この代替案として、搭載能力を向上させるために超軽量タンクが開発されたのだが、安全性の向上においては何も進歩があったわけではなかった。また空軍は独自に、(分割式ではない)一体成形型の軽量SRBを開発していたのだが、こちらもまたキャンセルされた。

1995年、発射台上で準備作業をしていたディスカバリー号のETの発泡断熱材キツツキが穴を空けたため、発射が遅れるという事態が発生した。この時以来、NASAは発射台周辺に市販の鳥よけのためのフクロウの模型や風船を配置するようになった。ちなみにこれらは打ち上げの直前にすべて取り除かれる[32]。ET断熱材は発泡スチロールのようにもろい物質であるため、発射の際の衝撃や空気抵抗ではがれ落ち、軌道船を大気圏再突入の熱から保護する耐熱タイルを傷つける事故がこれまでにもたびたび発生してきた。断熱材の崩落は2003年2月1日に発生したコロンビア号空中分解事故の原因になったことは間違いないが、NASAはこれらの問題はISS建設のスケジュールを遅らせる原因にはならないとしている。

人間が搭乗せず、搭載物だけを宇宙に送る無人の発射計画も1980年代以来何度も提案されてきたが、そのたびに却下された。「シャトルC」と呼ばれるこれらの計画は、シャトルで蓄積されてきた技術を応用し、再使用という特性を放棄することとひきかえに、大幅なコストの削減が期待できるはずであった。

最初の四回の飛行では、飛行士は離陸時と帰還時には完全密閉型のヘルメットを着用し、空軍の高々度用与圧服を改良した宇宙服を着た。その後宇宙服は廃止され、飛行中は作業服のみを着るようになったが、1988年チャレンジャー号事故による2年間の中断の後に再開された飛行からは、離着陸時にはよりスリムに改良されたヘルメットつきの部分与圧服を着用するようになった。1995年からは、60年代半ばのジェミニ計画で使用された宇宙服に似た、完全与圧式の改良型脱出服(Advanced Crew Escape Suit)が導入された。

また軌道船がISSとドッキングして宇宙に滞在できる期間を延長するために、ステーション・シャトル電力転送システム(Station-to-Shuttle Power Transfer System, SSPTS)が導入された。SSPTSはISSが発生した電力を使用して軌道船の消耗品の消費を抑えるもので、STS-118から実用化された。

[編集] 技術的詳細

軌道船解剖図
軌道船解剖図
主翼解剖図
ボーイング747シャトル輸送機で運ばれるアトランティス号。1988年(NASA)
シャトル輸送機で運ばれるエンデバー号
軌道船とソユーズ宇宙船比較図(同サイズ)
STS-79で、移動式発射台上に設置されるアトランティス号。両主翼上部に見える灰色の箱状のものは、軌道船に燃料や電力などを注入する供給機。
2004年、ケネディ宇宙センター39番発射台で行われた騒音軽減装置の試験の様子。発射時には、爆音で機体が損傷することを防ぐために41秒間で1,100m³の水が放出される。
2009年、2機のシャトルが発射台で待機する様子。この状況はSTS-125(アトランティス号)がハッブル宇宙望遠鏡の修理のみに使用され、ISSの緊急救助用の機体を別に待機させておかなければならなくなったために生じた。

軌道船諸元[33](OV-105エンデバー号)

  • 全長:37.237m
  • 全幅:23.79m
  • 全高:17.86m
  • 空虚重量:78,000kg[34]
  • 離陸時総重量:111,000kg
  • 最大着陸重量:100,000kg
  • 主エンジン:ロケットダイン社製ブロックII-SSMEエンジン3機。1機あたり海面推力1.752MN(178トン、104%推力発生時)
  • 最大搭載量:25,060kg
  • 貨物室寸法:4.6m×18m
  • 運用高度:190~960km(100~520海里
  • 最大速度:秒速7.743km(時速27,870km)
  • 軌道範囲:2,009km(1.085海里)
  • 定員:飛行によって異なる。初期の頃は最小人員の2名で飛行したが、後の多くの飛行では5名になった。現在では7名(船長、操縦手、数人の搭乗運用技術者、まれに航空機関士)で構成するのが一般的である。STS-61-AとSTS-71の2回の飛行では8名が搭乗した。STS-3xxと呼ばれる緊急救助飛行では、11名まで搭乗可能である。

外部燃料タンク諸元(超軽量タンク)

  • 全長:46.9m
  • 直径:8.4m
  • 燃料容量:2,025m³
  • 空虚重量:26,535kg
  • 発射時重量:756,000kg

固体燃料補助ロケット諸元

  • 全長:45.46m[35]
  • 直径:3.71m[35]
  • 空虚重量(1機あたり):68,000kg[35]
  • 発射時総重量(1機あたり):571,000kg[36]
  • 推力(発射時、海面推力):12.5MN(1,281,360kg)[20]

完成型詳細

  • 全長:56m
  • 発射時総重量:2,000,000kg
  • 発射時総推力:30.16MN(3,091,680kg)

[編集] 飛行手順の詳細

[編集] 発射

シャトルの発射は、すべてケネディ宇宙センターで行われる。発射時に適用される天候基準は以下のとおりであるが、これだけに限定されるものではない。まず第一に、発射台周辺や飛行経路に一切の降雨があってはならない。第二に、気温摂氏2℃以上37℃以下でなければならない。第三に、高度2,400mに上昇するまでの間に機体の姿を隠してしまうようなが存在してはならない。第四に、高度9,000mに到達するまでの間、が発生する確率が20%を超えてはならない[37]。特に落雷が起きる可能性がある場合には、シャトルは絶対に発射されない。航空機はしばしば雷の直撃を受けることがあるが、構造が伝導体であることや、電気的に接地されていないために電流が空気中に放電されることなどにより、機体が悪影響を受けることはない。これに対してシャトルは、機体構造は通常のジェット旅客機と同じように伝導性のアルミニウムで作られているので内部機器が電流の影響を受けることはないのだが、発射時に噴射される噴煙が機体と地面をつなぐ電線の役目を果たしてしまうのである。このためNASAの基準では、周辺10海里以内に積乱雲が発生している場合には発射を行ってはならないことになっている[38]。当日は気象担当官が発射台周辺のみならず、大西洋を越えた緊急着陸地点やSRB(固体燃料補助ロケット)の回収点の天候なども監視し、最終的に発射を行うかどうかを判断する[37][39]。シャトルは雷に対してはまず安全だとは思われるが、アポロ12号が発射された時には実際に落雷で船内が一時停電する事故が発生したため、NASAはこの件については特に慎重になっている。

飛行の概略図

長い間、シャトルは12月と1月をまたがっては飛行できなかった。1970年代に開発されたシャトル用のソフトウェアは年度の更新ができるようには設計されておらず、もし飛行中にそれを強行するとコンピューターをリセットしなければならなくなり、予測できないようなエラーが発生する可能性が生じるからである。NASAの技術者がこの問題を解決したのは2007年のことで、これによってようやくシャトルは年度を越えて飛行できるようになった[40]

発射当日は打ち上げ9分前に最後の一時停止が行われた後、いよいよ最終的な準備段階に入り、管制センターに設置された地上発射進行装置(Ground Launch Sequencer, GLS)が秒読み作業を引き継ぐが、もしシャトルに搭載された機器に重大な問題が発生した場合には秒読みは自動的に停止される。発射31秒前には、「オート・シークエンス・スタート(Auto Sequence Start)」と呼ばれる作業工程によって秒読み作業がGLSからシャトルの主コンピューターに手渡される。

発射16秒前(Tマイナス16)、騒音防御装置が作動し、猛烈な音響で機体が損傷を負わないようにするために移動式発射台やSRB排気ガスの誘導坑に1,100m³の水が放出されはじめる[41]

発射10秒前(Tマイナス10)、SSME(主エンジン)内に停滞している水素ガスを除去するために、ノズルの下で電気の火花が飛ばされはじめる。エンジン内にこれらのガスが残っていると、点火する過程で検知機が誤作動し、異常な加圧を招いたり爆発したりする可能性がある。またこの時、SSMEのターボポンプが作動して燃焼室内に液体酸素や液体水素を供給しはじめる。この間、軌道船の4台のコンピューターは相互に司令を交わし、点火に必要なすべての動作を制御する。

2001年、夕方に発射されたアトランティスの写真。太陽がカメラの後方にあるため、排煙の影が月と交差している。

発射6.6秒前(Tマイナス6.6)、SSMEの点火が始まる。点火司令は軌道船のGPC(汎用コンピューター)を経由して、3番エンジン(右側)、2番エンジン(左側)、1番エンジン(中央)の順に120ミリ秒の間隔を置いて送られる。またGPCはSSMEの推力を90%にまで到達させると同時に、ノズルの向きを所定の位置に固定する[42]。エンジンに点火されると、騒音防御装置の水が蒸発して大量の水蒸気となり、南側に向かって噴出される。3機のSSMEの推力はそれから3秒以内に100%に達しなければならず、もしそれが実現しなかった場合はGPCがエンジンを緊急停止させる。逆に正常に推力が発生されていることが確認されれば、機体を発射台に固定している8本の爆発ボルトが吹き飛ばされ、SRBに点火される。この時間こそが「Tマイナス0」と規定されている発射の瞬間であり、この直後に機体は上昇を開始する。そしてSRBは、いったん点火されたら燃料をすべて消費するまで燃焼を停止することはできない[43]。SRBの排気ガスは北側に向かって掘られた火炎坑に沿って音速に近い速度で噴出され、しばしば衝撃波を発生させる原因となる。GPCは、4台の汎用コンピューターに設定された「発射手順制御装置(Master Events Controller)」と呼ばれるプログラムを介して点火の手順を実行する。上昇中に様々な異常事態が発生したときの緊急対応手順(中止方法)は、広範囲なものが用意されている。その大部分を占めるのは最も複雑で大きな負荷がかかるSSMEに関するものであるが、SRBが原因でチャレンジャー号爆発事故が発生した後には、緊急対応手順はより拡充されたものになった。

SSMEに点火されSRBが発射台から解放されるまでの間、機体はエンジンの推力によって機首下げの方向にわずかに(操縦席付近で約2m)傾く。この運動は、NASAの隠語で「うなずき(nod)」あるいは「はじき(twang)」などと呼ばれている。その後機体は約6秒かけてまた元の位置に揺れ戻ってきて、完全に垂直になった瞬間にSRBに点火されて上昇が開始するのである。

発射整備塔を離れた直後、シャトルは予定軌道に対応するためロール運動とピッチ運動を開始し、ETとSRBが上になった裏返しの姿勢になる。機体はゆるやかな弧を描きながら上昇し、燃料はどんどん消費されて重量が軽くなっていくため、加速度は徐々に増加していく。発射直後の加速度は1.2Gで、SRBが切り離される直前は2.5Gに増大し、SRB切り離し直後はいったん0.9Gに落ち、その後SSMEが燃焼を停止する直前には3Gにまで達する。地球周回軌道に乗るためには垂直方向よりもむしろ水平方向への加速がより多く必要とされるが、機体が視界から消える前はほぼ垂直に上昇していくため、水平方向への運動はほとんど確認することはできない。ISSが周回している高度380km付近での周回速度は秒速7.68km、時速27,650kmで、地表付近ではマッハ23に相当する。ISSは赤道に対して51.6°の傾斜角をもって地球を周回しているので、シャトルがランデブーをするためにはその角度に合わせる必要がある。

速度マッハ2.46、高度約20,000mに達した頃の機体表面の圧力図。気圧が低い部分から高くなるに従って青から赤へと色分けされている。また灰色は機体をとりまく空気の密度を表している。「オーバーフロー(Overflow)」というソフトを使用して作成。

空力負荷が最大になる「最大空力温度(マックスQ)」と呼ばれる速度付近では、機体の、特に主翼などの弱い部分にかかる空気力学的圧力を抑えるため一時的にSSMEの推力が65%にまで絞られる。この時、機体が音速を超えることで空気が圧縮されベイパーコーン(vapor cone、水蒸気の円錐)という雲が発生する、プラントル・グロワートの特異点と呼ばれる現象が起こる。

発射126秒後、SRBをETにつなぎとめていたボルトが爆薬で切断される。SRBは分離用小型ロケットを噴射して機体の後方へと押しのけられ、残った推力を偏向し180度のターンを行い燃焼を完全に終了し、真下を向いて落下する。SRBはパラシュートで海に着水して再使用のため回収されるが、シャトルはSSMEの推力でなおも上昇を続ける。この時点では、機体はSRBがなくなったことで推力と重量の比は1を下回っているため、SSMEの力だけでは地球の重力を振り切ることはできなくなる。しかしながら燃焼を続けるうちに燃料が消費されて徐々に機体が軽くなり、やがて推力:重量比は再び1を超え、最終的に軌道に到達するまで二度と1を下回ることなく加速を続けるのである。 機体はその後も機首をやや上に向けた姿勢で徐々に軌道を水平に近づけ、SSMEの力で加速する。発射から約5分45秒後、地上との直接通信が終了し、背面が宇宙空間に向いた姿勢になるよう機体を反転させる。地上との交信は、その後は追跡およびデータ中継衛星(Tracking and Data Relay Satellite, TDRS)を介して行われる。

最後の10秒間には機体は相当に軽くなっているため、飛行士に負担をかけないよう加速度が3G以下になるように推力が絞られる。

主エンジンは空転すると機器を傷める可能性があるので、燃料が完全に空になる前に停止される。また液体酸素は液体水素よりも前に供給が停止される(液体酸素はより過激に反応する傾向があり、また停止直後の加熱した金属部分に触れると爆発するかもしれないからである)。ETはエンジン停止後に爆発ボルトで切り離され、大部分は大気圏内で消滅してわずかな部品がインド洋または太平洋に落下するが、どこに落ちるかは飛行によって異なる[33]。タンク内の配管はすべて密閉されており、また圧力を解放するような装置は設けられていないため、ETは大気圏下層部で内圧によって破裂する。また大気圏再突入時に表面の断熱材が焼失すると、内部に残っていた液体酸素や液体水素を熱から保護する手段がなくなるため、急膨張して爆発の大きな要因になる。このような手段によって、地上に大きな破片が落下するのを防いでいるのである。

分離直後は、軌道の近地点はまだ大気圏を離れてはいないので、そのままではまた大気圏に再突入することになる。そのため軌道船は軌道操縦システム(Orbital Maneuvering System, OMS)のロケットを噴射し、近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止する。一部の飛行(ISSとのドッキングなど)では、OMSは主エンジンがまだ燃焼をしている時に平行して使用されることもある。軌道をこのように設定しているのは、ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するためなのだが、安全上の理由もある。もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できるからである。

[編集] 軌道上

軌道に乗ると、シャトルは様々な、しばしば相互に関連した任務をこなす。1980年代から90年代にかけては、NASAとヨーロッパ宇宙機関が共同開発した宇宙実験室(Spacelab)などを含む宇宙科学計画や、多種多様な衛星や科学探査機の発射に使用されてきた。90年代から2000年代にかけては衛星発射の任務は減少し、計画の焦点はもっぱら宇宙ステーションの建設に移った。ほとんどの飛行は数日から2週間程度で終了するが、軌道滞在期間延長機器(Extended Duration Orbiter)を搭載したり国際宇宙ステーションにドッキングすれば、滞在期間をさらに延長することもできる。

[編集] 大気圏再突入および着陸

シャトルの大気圏再突入の過程では、降着装置をおろすのと気圧計の探査針(probe)を展開する作業以外はすべてコンピューターが自動で行うが、もし何か緊急事態が発生した場合は手動で再突入することも可能である。滑走路への進入と着陸も自動操縦装置に任せることはできるが、大抵は手動で行われる。

再突入の作業は、まず軌道船を上下逆さまにし、機尾を前方に向けることから始まる。その姿勢でOMSロケットを進行方向に約3分間噴射し(逆噴射)、軌道周回速度を322km/hほど減速する。これにより、軌道の近地点が大気圏上層部に接触することになる。逆噴射の間にかかる加速度は約0.1Gである。その後軌道船は機首を下げ(地球から見れば裏返しになっているので機首を上げるように見えるが)、進行方向に正対する。逆噴射は、着陸地点のケネディ宇宙センターから見てほぼ地球の反対側の、オーストラリア西部インド洋上空あたりで行われる。

高度約120kmの熱圏下層部にさしかかる頃、機体にかかる空気抵抗が顕著になりはじめる。この時の速度はマッハ25(時速30,000km、秒速8.3km)ほどである。シャトルは40°ほどの迎角をとりつつ姿勢制御用ロケットと動翼を併用して機体を制御し、長い航跡を引いて速度だけでなく熱も減少させながら次第に降下していく。空気抵抗が増加するにつれ、シャトルは宇宙船から次第に航空機としての性格を現すようになる。直進している間は、機体には機首を下げるかもしくは40°よりも高い迎角をとらせようとする力が働く。軌道船は途中で4回、70°以上の深いバンク角をとったS字飛行をする。この間迎角は40°を保ったままで、それぞれの飛行は数分間で終了する。この操作を行うことで、機体の運動エネルギーを上下方向ではなく左右方向に分散するのである。またこのS字飛行が始まるのは熱負荷が最も強烈になる時間帯で、この間熱保護シールドは灼熱化し、加速度は最大となる。最後のターンが終わる頃には軌道船は完全に航空機となっており、機首を下げて機体を水平にし、着陸施設への進入作業が開始される。

軌道船の最大滑空比/揚抗比は速度によって相当に変化し、極超音速域では1:1、超音速域では2:1で、滑走路への進入と着陸を行う亜音速域では4.5:1にまで低下する[44]

大気圏下層部では、軌道船は毎秒50m(時速180km)という高い降下率を除けば通常のグライダーのように飛行する。速度がマッハ3程度にまで低下したところで、機体の対気速度を検出するため、胴体前方下部の左右両側に設置された気圧測定用の探査針が展開される。

高度3,000m、滑走路端まで12kmに達したところで、進入および着陸操作が開始される。飛行士は空力ブレーキを作動させ、機体の速度を682km/hから着陸速度の346km/hにまで減速させる(一般的なジェット旅客機の着陸速度は260km/h程度である)。430km/hで降着装置がおろされ、343km/hあたりでタイヤが接地する。空力ブレーキを補助するために後輪または前輪が接地したところで直径12mのドラグシュートが展開されるが、どの段階で開くかはその時の状況によって異なる。ドラグシュートは機体が110km/h以下になった段階で投棄される。

着陸後、有毒なヒドラジン(姿勢制御用ロケットや、3台ある補助動力装置の燃料として使用される)を抜き取る作業が終わり、表面の温度が飛行士が下船できる程度に下がるまで、軌道船は滑走路上で待機する。

[編集] 着陸施設

シャトルの着陸は、常にケネディ宇宙センターで行われるように計画されている[要出典]。同基地の天候が不順な場合は回復するまで宇宙で待機することができるし、あるいはカリフォルニア州エドワーズ空軍基地やその他世界中に配置されている代替基地に着陸することもできる。ただしケネディ以外の施設に着陸するのは、その後シャトル輸送機ケープ・カナベラルまで運ばれて来なければならないことを意味する。STS-3ではコロンビア号がニューメキシコ州のホワイト・サンズ空軍基地に着陸したが、NASAの技術者たちはこの時は滑走路の砂が機体表面に損傷を与えた可能性があると考えているため、同基地に着陸するのはこれが最後であろうとされている。

代替着陸施設は多数あるが、エドワーズ空軍基地とホワイト・サンズ空軍基地を除き、未だかつて使用されたことはない[45][46]。エドワーズ空軍基地についても、シャトルの大陸横断に掛かる多額のコストのため近年はできるだけ利用しない方針が採られており、日本人最後の乗務で知られるSTS-131の着陸時にも一時は使用が決定していたが[47]、最終的にはケネディ宇宙センターへの着陸となった。

[編集] 飛行記録

主なシャトルの飛行記録は以下のとおりである。

1977年、シャトル計画の一環である進入着陸試験で、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地のドライデン飛行研究センターに向けて初飛行するエンタープライズ号(OV-101)
スペースシャトル主飛行記録
日時 軌道船 主なできごと/注記
1977年2月18日 エンタープライズ シャトル輸送機に搭載されての初飛行
1977年8月12日 エンタープライズ 初の単独滑空飛行。ロジャース乾湖に着陸。
1977年10月12日 エンタープライズ 三度目の飛行。尾部保護カバーを取り除いての初飛行。ロジャース乾湖に着陸。
1977年10月26日 エンタープライズ エンタープライズ最後の滑空試験。エドワーズ空軍基地のコンクリート滑走路への初着陸。
1981年4月12日 コロンビア 宇宙空間への初飛行(STS-1
1982年11月11日 コロンビア 4名の飛行士を搭乗させての初の実用飛行(STS-5)
1983年4月4日 チャレンジャー チャレンジャー初飛行(STS-6
1984年8月30日 ディスカバリー ディスカバリー初飛行(STS-41-D)
1985年10月3日 アトランティス アトランティス初飛行(STS-51-J)
1986年1月28日 チャレンジャー 発射73秒後に機体が爆発(チャレンジャー号爆発事故)(STS-51-L)。7名の飛行士全員が死亡。
1988年9月29日 ディスカバリー チャレンジャー号事故後の初の再開飛行(STS-26
1989年5月4日 アトランティス シャトルを使用しての初の探査機発射(マゼラン、STS-30)
1990年4月24日 ディスカバリー ハッブル宇宙望遠鏡発射(STS-31
1992年5月7日 エンデバー エンデバー初飛行(STS-49)
1996年11月19日 コロンビア 17日間と15時間にわたるシャトルの最長宇宙滞在記録(STS-80)
2000年10月11日 ディスカバリー シャトル100回目の飛行(STS-92
2003年2月1日 コロンビア 大気圏再突入時に空中分解STS-107)。7名の飛行士全員が死亡。
2005年7月25日 ディスカバリー コロンビア号事故後の初の再開飛行(STS-114
2010年2月8日 エンデバー 最後の夜間発射(STS-130
2010年5月14日 アトランティス アトランティスSTS-132
2011年2月24日 ディスカバリー ディスカバリー最後の飛行(STS-133
2011年4月29日 エンデバー エンデバー最後の飛行(STS-134
2011年7月8日 アトランティス アトランティスおよびスペースシャトル計画最後の飛行(STS-135[48]

出展:NASA発射声明[49]、NASAスペースシャトル公文書記録[50]

[編集] 事故

1986年1月28日、スペースシャトルチャレンジャー号が発射から73秒後に右側Oリングの故障が原因で空中分解し、搭乗していた7名の飛行士全員が犠牲になった。機体の最重要機器の一つであるOリングが、異常寒波が原因の低温により損傷したのである。現場の技術者は再三にわたり12℃以下の気温でのOリングの安全性は保障できないと警告したのだが、NASAの幹部はこれを無視した[51]

2003年2月1日、スペースシャトルコロンビア号が発射の際に主翼前縁の強化カーボン・カーボン断熱材が損傷したことにより、大気圏再突入時に空中分解した。地上管制室の技術者たちは損傷の広がりをより明確に把握できるよう、国防総省に対して三回にわたって高解像度の写真を撮影するよう要求し、NASAの熱保護システムの技術主任はコロンビアに搭乗している飛行士たちに耐熱タイルのダメージを調査させるべく船外活動の許可を求めた。NASAの幹部は国防総省の支援の動きに介入してこれを停止させ、船外活動の要求も拒否した[52]。その結果、飛行士が自ら修理に赴くことや、発射準備作業中であったアトランティスで救援に向かうことの実現性は、ついにNASA幹部によって考慮されることはなかった[53]

[編集] 退役

2011年7月8日(日本時間9日未明)に打ち上げられたアトランティスSTS-135をもって、30年あまりに及んだスペースシャトル計画を終了した[54]。当初の予定では2011年2月26日の打ち上げが最後になる予定であったが、後に追加予算が認められて、非常時の救援ミッションのために待機していたアトランティスをISSの補給ミッションに転用する形で同年7月の打ち上げが認められた[55]

シャトル退役による宇宙開発計画の間隙を埋めるべく、飛行士や搭載物をISSに運ぶだけでなく、地球を離れて火星まで到達できるような宇宙船が現在開発中である[56]。当初「有人開発船(Crew Exploration Vehicle)」と呼ばれていた計画概念は、その後オリオン宇宙船コンステレーション計画へと発展した。しかし2010年にオバマ政権はコンステレーション計画の予算を打ち切り、今後は低軌道への衛星発射の事業は民間企業に委託することを提案した[57]。次世代の宇宙船が登場するまでは、飛行士がISSに到達しまた帰還するためにはロシアのソユーズ宇宙船か、または開発中のアメリカの民間商用宇宙船に頼る以外に手段がなくなる。オバマ大統領の提案はアメリカ合衆国議会によって承認されたが、次の宇宙船が開発されるまでの5年間にシャトルを延長して使用する可能性を含む対抗案は、2010年に議会で検討された[58]

退役後は、ディスカバリーはスミソニアン博物館国立航空宇宙博物館別館、アトランティスはケネディ宇宙センターの一般公開施設、エンデバーはロサンゼルスのカリフォルニア科学センターにそれぞれ展示される。また現在国立航空宇宙博物館別館に展示中のエンタープライズは、同館にディスカバリーが展示されることに伴い、ニューヨークのイントレピッド海洋航空宇宙博物館に移されることになっている[59]。2010年4月、タイム紙は「2010年に最も影響を与えなかった人々」のリストの中にスペースシャトルを挙げ、その理由を「シャトルは従来のロケットのように格好良くないから」とした[60]

[編集] 民間商用宇宙船への交代

2008年12月23日、NASAは国際宇宙ステーションへの商業軌道輸送サービスに関する契約を、スペースX社およびオービタル・サイエンシズ社と取り交わしたことを発表した[61]。スペースXはファルコン9ロケットドラゴン宇宙船[62]、オービタル・サイエンシズはトーラスIIロケットシグナス宇宙船を打ち上げる予定である。

[編集] シャトル派生型打ち上げ機

サターン V, スペースシャトル, アレス I, アレス V, と アレス IV.の比較

シャトル派生型打ち上げ機Shuttle-Derived Launch Vehicleまたは単純にシャトル派生機Shuttle-Derived Vehicle(SDV)はスペースシャトル計画で開発された技術を基にしたロケットで幅広い機種がこれまで提案されてきたが現時点(2011年の執筆時点)においてはどれも実用化には至っていない。SDVは既にNASAで複数回、提案されては廃案になるという事を繰り返してきた。[63]1980年代末から1990年代初頭にNASAは公式に貨物専用のシャトル-Cを研究してきた。

2005年にNASAは月と火星の有人飛行計画のためにスペースシャトルの部材を大幅に流用したアレスIアレスVの開発を決定した。[64][65] 同様に3番目のアレスIVも研究した。2011年4月の時点でNASAはスペースシャトルの代替としてのSDVはスペース・ローンチ・システムである。

[編集] 概念

1978年にチオコール社で提案された直列型シャトル派生機の絵

SDVの概念はシャトル自体が飛行を開始した当時から提案された。SDVの概念には以下を含む:

  • 有翼のオービターを無人化された使い捨ての貨物ポッドに交換する。("側面搭載型" SDV)
  • オービターを取り除いて外部燃料タンクの上部に上段と貨物部を備える。("直列型" SDV)
  • かさばる貨物を打ち上げる為に大型の貨物コンテナを外部燃料タンクの後部に備える (後部貨物輸送機)
  • 固体燃料補助ロケット(SRB)を回収用有翼"フライバック"液体燃料補助ロケットに換装する。
  • 1本かそれ以上の本数の固体燃料補助ロケットに新開発の上段を開発して載せる。
  • 耐用回数の末期のオービターから主翼を除いてスペースシャトルの外部燃料タンクを軌道上に投入して組み合わせて宇宙ステーションとして利用する。
  • 2005年に明らかに前例のない1本の固体燃料ロケット(後に大幅に改良された"延長型"SRB)と新開発の2段目を使用するアレスIが発表された。

これらの案に共通するのは既存のスペースシャトルの構成要素を流用する事で開発費を抑え、より廉価に新型の重量物を軌道に投入する能力を持つ打ち上げシステムを開発しようという意図である。しかし、実際には個々の構成要素は新しい目的別には最適化されておらず、従来の構造体を流用する事によって補強が必要になるなど構造重量の増加の一因ともなり、最適化の障害となっている。また、有人飛行用としての高度な安全性を備え、再利用を前提としたシステムを使い捨てとして使用しようとした場合、過剰な安全装置等が貨物打ち上げには不要である場合も多い。その為、結局、新技術を盛り込んで最適化された構造の完全新規開発の機体と比較して無駄が多い事は否めず、生産、運用の過程において高くつく可能性が指摘されている。

[編集] シャトルC

シャトルCの夜間打ち上げの想像図

シャトルCNASAが提案したスペースシャトルの構成要素を流用した無人貨物打ち上げロケットである。外部燃料タンク固体燃料補助ロケット(SRB)と主エンジンを備えた貨物用モジュールを組み合わせて使用される予定だった。複数のシャトルCの概念が1984年から1995年にかけて提案された。[66]

シャトルCの概念は理論的にはシャトル計画で開発された再利用技術によって重量物打ち上げロケットの開発費を減らす事が期待された。提案は複数回行われ、いずれも既存のシャトルの構造体や使用回数限度の迫った主エンジンや航法コンピュータを流用するというものだった。中にはコロンビア号やエンタープライズ号を1回限りの貨物打ち上げ機として使用する案もあった。チャレンジャー号の事故の前にNASAは年間14回の打ち上げを期待していた。チャレンジャー号の事故の後にはこの打ち上げ頻度は複数の理由により非現実的である事が明らかになった。[67] シャトルCは無人であるので高い打ち上げ頻度でも整備費が安く安全性に関する要求水準が低いと考えられた。[68][69]

2段階の開発が計画された。第一段階として貨物輸送機の形状と大きさが検討された。NASAによる研究は小型だが最も打ち上げ効率の良い機能的な輸送機を示した。

1990年代初頭、NASAの技術者は火星探査用の宇宙船を組み立てる為に地球周回軌道へ80トンの使い捨ての6機のセグメントを打ち上げる為にシャトルCの設計を含む有人火星飛行計画を立案した。代替案は4機のサターンVを使用する案だった。ブッシュ大統領が2010年にスペースシャトルの運用を終了すると発表した後、これらの提案された仕様は検討対象から外された。

[編集] DIRECT

DIRECTはNASAのビジョン・フォー・スペース・エクスプロレーションで提案されたアレスIアレスVの代替案として提案された。元のシャトル派生打ち上げ機では"ジュピター"と称され、より野心的な"プロジェクト2"で重量物打ち上げロケットのレビタリアン、軌道周回支援ステーションオリンピアガロン重量貨物宇宙船、宇宙ステーションアルゴヘリオスと乗員貨物船アルテミスから構成され2011年に打ち上げる計画だった。 2008年9月現在, DIRECTチームは69人のメンバーで構成されるとされ、[70] NASAの技術者、コンステレーション計画でNASAと契約した技術者とマネージャー62人から構成され、グループの刊行物によると少数のNASAには属さないメンバーもいる。

計画の名称である"DIRECT"はスペースシャトル計画のハードウェアと施設を"直接"移行する事によって最大限流用する哲学に由来する。

DIRECTには3つの派生機種があり2009年5月に最新の3.0版が発表された。2009年6月17日にワシントンDCで開催された有人宇宙飛行計画委員会の公聴会で明らかになった。[71]

10月11日に2010年のNASAの権限法 (S. 3729)へのオバマ大統領による調印によってスペース・ローンチ・システムが義務化され、DIRECTチームは彼らの努力の成功を宣言した。彼らは新しい宇宙技術企業である: C-Star エアロスペース, LLC.へ組織変更した。[72][73]

[編集] スペース・ローンチ・システム

スペース・ローンチ・システム
2011年9月時点でのSLSの概念図
2011年9月時点でのSLSの概念図
機能 ロケット
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
大きさ
直径 8.4 m コア
段数 2段 (と補助ロケット)
積載量
LEOへのペイロード 70,000 kg (150,000 lb) - 129,000 kg (280,000 lb)
打ち上げ実績
状態  調査中
射場 LC-39, ケネディ宇宙センター
初打ち上げ 2017年
補助ロケット (Stage 0) - 固体燃料補助ロケット
補助ロケット数 2本
エンジン 1 固体
推力 それぞれ海面高度で離陸時12.5 MN (2,800,000 lbf)
比推力 269 秒
燃焼時間 124 秒
燃料 固体

スペース・ローンチ・システム,またはSLSはNASAがコンステレーション計画の中止に伴いスペースシャトルの代替として開発中のシャトル派生型打ち上げシステムの一種である。

2010年NASA権限法によってアレスIアレスVの機体設計を乗員と貨物輸送の両方に使用できる単体のロケットに一本化する構想である。より強力な機種に更新された。

[編集] 設計と開発

2011年2月のNASAのスペース・ローンチ・システム (SLS)の仕様

スペース・ローンチ・システムはシャトル派生型重量物打ち上げシステムである。当初の打ち上げ能力は上段を除いたコアのみで構成され低軌道へ70から100トンの投入能力を備える。更に地球離脱段を上段に加えることで130トン以上の打ち上げ能力を獲得する見込みである。[74][75]

[編集] ジュピター

ジュピター[76]
ジュピターの共通コアはスペースシャトルの主要な部材を流用した
ジュピターの共通コアはスペースシャトルの主要な部材を流用した
機能 有人ロケット
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
大きさ
全高 70.9–92.3m (233–303ft)
直径 8.41 m (27.6 ft)
重量 2,061,689–2,177,650kg (4,545,250–4,800,900lb)
段数 1または2段
積載量
LEO (185 km x 51.6°)への
ペイロード
60,282 kg (132,900 lb) (ジュピター-130)
LEO (241 km x 29°)への
ペイロード
91,670 kg (202,100 lb) (ジュピター-246)
関連するロケット
シリーズ SDLV
競合機 ナショナル・ローンチ・システム
打ち上げ実績
状態 開発中
射場 LC-39, ケネディ宇宙センター
特筆すべきペイロード オリオン乗員輸送船
アルタイル月面着陸機
段 - シャトル RSRM
エンジン 1 固体
推力 12,868–13,977kN (2,893,000–3,142,000lbf) (海面高度 - 真空)
比推力 237.0 - 269.1 秒 (海面高度 - 真空)
燃焼時間 123.8 秒
燃料 APCP/PBAN
1段目 段 (ジュピター-130) - 共通コアステージ
エンジン 3基 SSME-Block-II
推力 5,235–6,550kN (1,177,000–1,470,000lbf) (海面高度 - 真空; 3基のエンジンを組み合わせ)
比推力 361.4 - 452.2 秒 (海面高度 - 真空)
燃焼時間 524.5 秒
燃料 液体酸素/液体水素
1段目 段 (ジュピター-246) - 共通コアステージ
エンジン 4基 SSME-ブロック-II
推力 6,981–8,734kN (1,569,000–1,963,000lbf) (海面高度 - 真空)
比推力 361.4 (SL)
452.2 秒 (海面高度 - 真空)
燃焼時間 384.1 秒
燃料 液体酸素/液体水素
2段目 段 (ジュピター-246) - ジュピター上段
エンジン 6基 RL10B-2
推力 661 kN (149,000 lbf) (真空)
比推力 459 秒 (真空)
燃焼時間 609.9 秒
燃料 液体酸素/液体水素

ジュピターシリーズは現在計画中のDIRECTスペースシャトル派生ロケットの一つである。NASAがコンステレーション計画のために開発していたアレスIとアレスVの代替として企図された。出来るだけスペースシャトルの構成要素や施設を流用する事が予定される。

[編集] シャトル訓練機

C-11A シャトル訓練機

シャトル訓練機 (STA) はスペースシャトルの着陸訓練に使用されるNASAの練習機である。操縦特性が着陸進入時のスペースシャトルの挙動と合致するようになっており模擬的に着陸訓練を行うことが出来る。

[編集] 開発

この航空機の外観は飛行訓練中の高い空気力学的荷重に耐えられるように改造されている。再設計された操縦室はスペースシャトルのオービターの制御と座席の位置はスペーシャトルと同じ位置に固定されているので視界を忠実に再現している。

[編集] 運用の歴史

4機のSTAが通常はテキサス州エル・パソで飛行訓練を行い、ヒューストンで整備を行う。[77]STAは同様にフロリダ州のケネディ宇宙センターでも使用される。

[編集] 機体

  • N944NA (sn144)
  • N945NA (sn118)
  • N946NA (sn146)
  • N947NA (sn147)

[編集] その他の用途

T-38が使用できない場合にSTAはジョンソン宇宙センターとケネディ宇宙センター間の乗員輸送に使用される。

[編集] 注記

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[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 用語

[編集] 類似機

[編集] 外部リンク

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