運動エネルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
古典力学
歴史

運動エネルギー(うんどうエネルギー、kinetic energy)は、運動している物体が持つエネルギー。運動している物体の速度を変化させるために必要なエネルギー(仕事)である。

目次

直線運動の運動エネルギー [編集]

ニュートン力学的(非相対論的、古典的)には、運動をする物体の運動エネルギー K は、質量 m と速さ v の2乗に比例する。すなわち、

K = \frac{1}{2}mv^2

質量 m の質点が、時刻 0 \to t で、速度が \mathbf{v}_0 \to \mathbf{v}_1 と変化したとすると、そのときに質点にした仕事 W は

W = \int_0^t \!\!dt\,\frac{d\mathbf{x}}{dt}\cdot\mathbf{F}
=\int_0^t \!\!dt\, \mathbf{v}\cdot m\frac{d\mathbf{v}}{dt}
\qquad\qquad\Bigl(\mathbf{F}=m\frac{d\mathbf{v}}{dt}\Bigr)
=\int_0^t \!\!dt\, \frac{d}{dt}\Bigl( \frac{1}{2}m|\mathbf{v}|^2 \Bigr)
=\frac{1}{2}m|\mathbf{v}_1|^2-\frac{1}{2}m|\mathbf{v}_0|^2

以上より、

K(v_1)=K(v_0)+W(v_0\to v_1)

つまり、物体の運動エネルギーの変化量は、その物体に加えられた仕事量に等しい

また、このとき、位置が  \mathbf{x} \to \mathbf{x}+\Delta \mathbf{x} と変化したとすると、

\frac{1}{2}m\mathbf{v}_1^2 - \frac{1}{2}m\mathbf{v}_0^2
 = \mathbf{F}\cdot\Delta\mathbf{x}

これはエネルギー積分とも呼ばれる。

一方、上述の数学的証明がなされる以前、ガリレオによって、物体の振り子運動の観察により、物体の速度をv、高さをh、重力加速度をg、とすることで、

2gh = v^2

という関係が発見されていた。

回転運動の運動エネルギー [編集]

同様に回転運動をする物体の運動エネルギーは、慣性モーメント I と角速度 ω の2乗に比例する。であるから

K = \frac{1}{2}I \omega^2

解析力学における運動エネルギー [編集]

ラグランジュ力学の出発点となるラグランジアン L は運動エネルギー K とポテンシャルエネルギー V の差として定義される。

L(q,\dot{q};t)=K-V

この際、ラグランジアンの引数は一般化座標 q(t) とその時間微分 \dot{q}(t)、及び時間 t である。 多くの場合、一般化座標として位置 x や 回転角 \theta とするので、運動エネルギーは

K=\sum_i \frac{1}{2}m_iv_i^2+\sum_j \frac{1}{2}I_i\omega_j^2

となる。

ハミルトン力学の出発点となるハミルトニアン H はラグランジアンから、

H(q,p;t)=\sum p\dot{q}-L

として定義される。ハミルトニアンの引数は一般化座標 q(t) と一般化運動量 p(t) である。元のラグランジアンでポテンシャルが \dot{q}(t) に依存せず、運動エネルギーが上の形をしていれば、

p_i(t)=\frac{\partial L}{\partial v_i}=m_iv_i
l_j(t)=\frac{\partial L}{\partial \omega_j}=I_j\omega_j

( l は回転角度 θ に共役な角運動量)となり、運動エネルギーは

K=\sum_i\frac{1}{2m_i}p_i^2+\sum_j\frac{1}{2I_j}l_j^2

となる。

関連項目 [編集]