統計力学

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統計力学(とうけいりきがく、statistical mechanics)とは、系の微視的な物理法則を基に、巨視的な性質を導き出すための学問であり、統計物理学統計熱力学とも呼ばれる。歴史的には系の熱力学的な性質を原子論の立場から演繹することを目的としてボルツマンマクスウェルらによって始められた。系のアンサンブルに応じてミクロカノニカルアンサンブル(小正準分布)、カノニカルアンサンブル(正準分布)、グランドカノニカルアンサンブル(大正準分布)等がある。

[編集] 解説

N(\gg 1)個の粒子から成る古典的な系での任意の物理量Aの時間平均値は

\bar{A}=\lim_{T\rightarrow{}\infty}\frac{1}{T}\int_0^T A(\{p_i\},\{q_i\})dt

と与えられる。\{p_i\}_{i=1,\dots,3N},\{q_i\}_{i=1,\dots,3N}は系の微視的状態を指定する正準変数である。系が熱平衡状態に達するならばこの値は収束する。この\bar{A}熱力学に現れる巨視的な物理量Aである。 系の微視的状態の(任意の)分布ρ({pi},{qi},t)リウヴィルの定理により時間に関して不変である。

\frac{d\rho}{dt}=0

このことから、時間tに依存しない平衡状態において、{pi},{qi}で指定される微視的状態がある確率dPをもつ確率集団(アンサンブル)を考えると物理量Aの平均値は

\left\langle A \right\rangle=\int{}A(\{p_i\},\{q_i\})dP=\frac{\int{}A(\{p_i\},\{q_i\})
\rho{}(\{p_i\},\{q_i\})d\Gamma}
{\int{}\rho{}(\{p_i\},\{q_i\})d\Gamma}

で与えられる。この集団平均\langle{}A\rangleと時間平均\bar{A}が等しいと仮定することが統計力学の原理であり、これをエルゴード仮説とよぶ。ただし、エルゴード仮説は統計力学の基礎付けとは無関係という主張も専門家によってなされている(田崎晴明氏による解説および大野克嗣氏による解説(Statistical Mechanics, Japanese versionというpdf))。

孤立系の確率集団は{pi},{qi}で指定される微視的状態が等しい確率をもつミクロカノニカル集団である。これを等重率の原理という。

孤立系(エネルギーE、体積V、粒子数N)のエントロピーS(E,V,N)を系の微視的状態の数W(EE,V,N)をもちいて定義する。

S=k\ln{}W\simeq{}k\ln\Omega

これをボルツマンの関係式という。kボルツマン定数と呼ばれる。巨視的に識別不可能である微視的なエネルギー差ΔEの間の微視的状態の総数がエネルギーEの孤立系の微視的状態の数である。それは等重率の原理により、

W(E)=\int_{E<H(\{p_i\},\{q_i\})<E+\Delta{}E}d\Gamma\simeq\Omega(E)\Delta{}E

で与えられる。Ω(E)はエネルギーEの状態密度である。このエントロピーを熱力学的エントロピーに完全に一致させるには微視的状態を量子力学によって記述する必要がある。その場合の統計力学を量子統計力学といい、量子統計力学の古典的極限として古典統計力学が正確に構築される。

エネルギーEの孤立系の物理量Aの平均値は

\left\langle A \right\rangle_E=\frac{\int_{E<H(\{p_i\},\{q_i\})<E+\Delta{}E}A(\{p_i\},\{q_i\})d\Gamma}{W}

で与えられる。

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