運動量

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運動量(うんどうりょう、momentum)とは、物体の運動の状態をあらわす物理的な指標で、一般には質量 m と速度 v の積として定義される。

\mathbf{p} = m \mathbf{v}

物理学では位置の正準共役量であり、速度よりも基本的な量として用いられる。ニュートンはこの量の関係として物体の運動の仕組みを提示し、力は特に言及していないなど歴史的にも重要な指標として扱われている。日常生活においては、動いている物体の止めにくさとして体感される。つまり重くて速い(運動量が大きい)物体ほど静止させるのに大きな力積が必要になる。

目次

[編集] 正準運動量

解析力学において、一般化座標 qi に対する一般化運動量 pi は以下で定義される。

p_i := \frac{\part L}{\part \dot{q}_i}

ここで、L はラグランジアンであり、運動エネルギー K、ポテンシャル U とすると、

L = KU

である。三次元デカルト座標(x,y,z)においては、ポテンシャルが速度(位置の微分)に依存しないときには

L = \frac{m}{2}(\dot{x}^2+\dot{y}^2+\dot{z}^2)-U(\mathbf{x})
p_x = \frac{\part L}{\part\dot{x}} = m\dot{x}
p_y = m\dot{y} \qquad p_z = m\dot{z}

であり、質量と速度の積となっている。

一般化座標として二次元極座標( r,θ)を選ぶと、ラグランジアン及び r , θ に共役な運動量はそれぞれ

L = \frac{m}{2}(\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2)-U(\mathbf{x})
p_r = \frac{\part L}{\part\dot{r}} = m\dot{r}
p_\theta = \frac{\part L}{\part\dot{\theta}} = mr^2\dot{\theta}

となる。ここで、r に共役な運動量は“普通の”運動量であるが、θ に共役な運動量は角運動量となっている。

ポテンシャルが速度に依存するときもある。例えば電磁場が存在し、物体と相互作用がある場合である。 ラグランジアンは具体的に

L = \frac{m}{2}\mathbf{v}^2 - e\phi + e\mathbf{v}\cdot\mathbf{A}

である。ここで e は物体の持つ電荷、φ はスカラーポテンシャルAベクトルポテンシャルである。このとき、正準運動量は

\mathbf{p} = m\mathbf{v} + e\mathbf{A}

となる。ここで、eA の項は場との相互作用による運動量である。


[編集] 相対性理論

相対性理論において運動量とエネルギーミンコフスキー空間における四元ベクトルを為し、

p^\mu = m \frac{dx^\mu}{d\tau}

(m 質量、τは固有時間)である。これの空間成分は

p_j = m \frac{dx_j}{dt}\frac{dt}{d\tau} = \frac{mv_j}{\sqrt{1-v^2/c^2}}

となる。非相対論的極限( v/c →0 )において前述の運動量(質量と速度の積)に一致する。

運動量とエネルギーは

-m^2 c^2 = -\frac{E^2}{c^2} + \mathbf{p}^2

の関係を満たしている。運動量が0の場合は有名な E = mc2 の式になっている。

[編集] 量子論

光(或いは電磁波)は波であるが、実験によりエネルギーと運動量を持つ粒子でもあると考えられている。 そのエネルギーと運動量は

E = h\nu = \hbar\omega
p = \frac{h\nu}{c} = \frac{h}{\lambda} = \hbar k

である。(ここで hプランク定数、ν は振動数、ω は角振動数c光速、λ は波長k波数である)

前述のエネルギーと運動量の関係式にこの関係を入れると、ω = ck からこの粒子の質量は 0 であることが分かる。この質量 0 の粒子を光子という。

量子力学では、上記の古典論的運動量 p は、波動関数 ψ(t,x) = ψ(t,x, y, z) に対する、

\mathbf{p} \rightarrow \frac{\hbar}{i}\mathbf{\nabla} = \left( 
\frac{\hbar}{i}\frac{\partial}{\partial x},
\frac{\hbar}{i}\frac{\partial}{\partial y},
\frac{\hbar}{i}\frac{\partial}{\partial z}
\right)

という演算子であるとみなされる。ここに、i虚数単位、∇はナブラである。 或いはエネルギーとまとめて四元ベクトルで表すと、

p_\mu \rightarrow \frac{\hbar}{i}\frac{\partial}{\partial x^\mu}

である。これらは対応原理と呼ばれ、解析力学における作用積分 S の汎関数微分

\frac{\delta S}{\delta x^\mu} = p_\mu

であることなどから類推された。

また、正準量子化という方法によれば、位置と運動量は正準交換関係

[x^\mu,p_\nu]=i\hbar \delta^\mu_\nu
[x^\mu,x^\nu]=0 \, ,\, [p_\mu,p_\nu]=0

を満たす物理量として量子化される。

[編集] 関連項目