CGS単位系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

CGS単位系(シージーエスたんいけい)は、センチメートル(centimetre)・グラム(gram)・(second)を基本単位とする物理学単位系である。"CGS"は基本単位の頭文字をつなげたものである。

この単位系は、1832年にドイツの天文学者カール・フリードリヒ・ガウスが提唱したのに始まり、1874年ジェームズ・クラーク・マクスウェルウィリアム・トムソンが電磁気の単位を追加して拡張した。多くのCGS単位系の単位の大きさは実用上不都合であることが次第にわかってきたため、CGS単位系は電磁気学以外の分野では広く用いられなかった。CGS単位系は20世紀中頃までにより実用的なMKS単位系(メートル・キログラム・秒を基本単位とする単位系)に徐々に取って代わられ、さらにそれを発展させた現在の国際単位系(SI)に至っている。

CGS単位系は今日でも古い技術書、特にアメリカの電気力学天文学の分野の本で見ることができる。

SIでは球に関する電磁気の方程式にはが含まれる。コイルではが含まれ、直線状の導線ではπが含まれない。これは電気工学の分野においては最も便利な選択であった。球に関する公式を多用する分野(例えば天文学)においては、表記についてはCGS単位系の方がわずかに便利であると主張された。

1940年代のMKSA単位系、1960年代の国際単位系の国際的な採択により、科学技術分野でのCGS単位系の使用は世界規模で次第に見られなくなっていった。アメリカ合衆国では他の国よりも移行はゆるやかに行われた。もはやCGS単位系は、多くの科学雑誌や教科書などでは受け入れられていない。

しかし、主要な単位系としてのCGS単位系の使用は弱まったものの、CGS単位系の個々の単位はSIのサブセットとして今でも有効なままであり、それらは教育機関での力学実験の実習などに使われている。多くの卓上での実験は、実世界の現象をスケールダウンした状況で行われる。そのときに、長さにセンチメートル、質量にグラムを使うと、実験に使用している装置のスケールと一致する。さらに、運動量(g·cm/s)や慣性モーメント(g·cm²/s²)のような組立単位の場合には、スケールダウンの効果がより大きくなる。類似した現象は、微量化学の実験による初歩の化学の実習にも見られる。このような場合にも、キログラムよりグラムを用いた方がわかりやすい。このような用途では、CGS単位系はしばしば"LAB units"と呼ばれる。

長さ・質量・時間だけが関わる物理量では、CGS単位系とSI単位系は 10 の整数乗をかければ互いに変換できることが多い。ところが、電磁気学に関連する単位についてはSI単位系とCGS単位系ではかなりの違いが生じる。電磁気の単位を参照。

[編集] 単位

CGS単位系の単位を以下に示す(主として静電単位系)。

上記リスト中の 2998×105, 3336×1011, 1113×106, 8988×1013 は近似値である。これらは光速度に由来するもので、正確には 299792458, 333564095198152, 1112650056, 89875517873681764 となる。

静電容量の単位としての「センチメートル」は、真空中における半径1cmの球と無限遠点との間の静電容量である。半径 R, r の2つの球の間の静電容量 C は次式で表される。

C = \frac{1}{\frac{1}{r}-\frac{1}{R}}

ここで、R が無限大に近づくにつれて、 C の値が r の値に近くなっていくことがわかる。

[編集] 関連項目