波
波(なみ)とは、
- 水面の高低運動のこと[1]。浪(なみ)とも表記することがあり、波浪(はろう)などとも言う。本記事で詳述。
- 物理的で周期的な現象のこと。上記の水面の現象とのアナロジー(類比)で言葉を転用。(→本記事、および波動、波形の項で詳述)
- 社会的、心的な要素も含めて、様々な変動のこと。例:「時代の波」「感情の波」『第三の波』。
- 日本語表記における記号のひとつ。波線「〜」のこと。 → 波ダッシュ
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[編集] 水の波
波とは、水面の高低運動である[2]。浪(なみ)とも書く。波浪(はろう)とも言う。
[編集] 波の種類
波は、起きる原因によって分類することも可能である。風によって起きる波を波浪と呼ぶ。船舶などが航行することによって船舶の後方にできる波は引き波と呼ばれる。[※ 1] 地震によって起きる波は津波と呼ばれる(この津波という言葉は日本語が世界に広がり英語などでもTsunamiと呼ばれている)。このように波ができる原因はいくつもあるが、最も一般的な原因は風である[3]。
[編集] 波浪(風浪とうねり)
波浪とは風によって起こる波のことである。波浪には風浪(ふうろう)とうねりの2種類がある。通常、「波の高さ」とは有義波高(100波のうち高い33波の平均値)をいい、天気予報などでの「波の高さ」もこの値の予報値である。有義波高は100波のうち高い33波の平均値であるから、最大ではこの2倍程度の波が押し寄せることもありうる。
[編集] 風浪
その場で吹いている風によって引き起こされた波は風浪あるいは風波(ふうは、かざなみ)と呼ばれる。風が海面に当たると、風と海水の摩擦で海面が波立つ[3]。風浪は、波の上部が尖った三角形に近い形をしている[3]。
風が強くなるほど風浪の高さは大きくなる傾向があり見た目の形状も変化する。波の無い状態から、強い状態まで順を追って解説すると、凪(なぎ =無風状態)だと風浪は消え、海面の質感としてはほぼ平坦になる。このような状態は「鏡のような海面」などと表現されることが多い。実際、海面でありながら自身の顔を映して確認することができる。風がかすかに吹くと、小さな波(さざ波)が立ちはじめる。風速が数メートル程度になると、波頭(なみがしら、=波の頂上部分)の水が風に飛ばされ、視野を広く見ると海面全体に白い部分がチラチラ、ピョコピョコと動いているように見え始める。日本では地域によってはこの状態を「ウサギが跳ぶ」と表現する。その表現を聞けば誰でも、なるほどそのとおりだ、と思えるような状態なのである。つまり、風と風浪の形状の関係を知っていれば、風浪を見ておおよその風速を知ることができる。ウィンドサーフィンのベテランなどには、風浪の状態を一瞥しただけでかなりの精度で風速を言い当てることができる人もいる。
[編集] うねり
他の海域で風によって起こされた波が伝わってきた波はうねりと呼ばれる。うねりは、長距離を伝わってゆく。例えば日本近海で発生したうねりはハワイにまで到達する。気象庁では風浪やうねりによって災害が引き起こされると予測される場合は、警報や注意報を発表し、注意を促している。土用波も参照。
[編集] 波浪の地形などへの影響
波浪は、海岸の地形に大きな影響を及ぼしている。砂浜の形状は波浪の影響を受けて絶えず変化している。岩壁に絶え間なく打ち寄せつづける波浪は岩壁を侵食してゆく。また、波浪は、海岸の生物、生態系にも大きな影響を与えている。波が打ち寄せる場所を波打ち際と言う。
[編集] 津波
津波は、地震によって引き起こされる波のことである。長波の性質を持ち、その進行速度は重力の加速度と、水深の積の平方根となる。気象庁では、地震が起こると直ちに震源地、震源の深さ、地震の強さなどを計算し、津波が予測される場合は、津波の程度により、大津波警報、津波警報、津波注意報を出す。
[編集] 波高と確率
天気予報で波の高さが「波の高さは2mになるでしょう」などと伝えられることがあるが、天気予報で伝えられる波の高さというのは「有義波高」という、ある特別な方法で数値をはじいたものである[4]。通常、波は大小が入り混じっていて、その大きさをひとつの数字で言い表すことはできない。だが、だからと言って最大波高や最小波高を用いたりすると、人間の実感ともかけはなれる[4]。平均波高を使っても、平均波高より高い波が数多く打ち寄せるので(そして波は高さが2倍になるとパワーが4倍になるので)平均波高を用いるのも防災上よろしくない[4]。そうした配慮から考え出されたのが「有義波高」で、平均波高を集めて、それらを高いほうから並べ、上位1/3の平均値を「有義波高」としている[4]。この「有義波高」は人間が波を目視した実感にかなり近くて便利である[4]。だが、この便利な「有義波高」でも、それより大きい波、小さい波はくる[4]。例えば、10波に1波は有義波高の1.3倍、100波に1波は有義波高の1.6倍、1000波に1波は有義波高の2倍となるので要注意なのである[4]。このように、全体から見て割合としては小さいものの確率的には発生する波高の高い波を高波(たかなみ)と呼んでいる。「昨日 埠頭で(桟橋で)釣りをしていた人が、高波にさらわれ死亡しました」といったニュースは頻繁に流れている。海釣りをする時などは、そうした、数万回に一回来る高くて強い波のことも心の片隅に置いて注意しておかなければならないわけである。また逆に言えば、サーフィンをしている時は波が小さいと感じられても、あきらめずに根気強く待ち続ければ、半日に一回くらいは大きな波に出会えるかも知れないのである[4]。
[編集] 波と文化
また波は人間にとって、大切な遊び相手である。海水浴、サーフィン、ボディボード、ウィンドサーフィンなどで、波を体感して楽しむ人々も多い。なかでもサーファーの中には、波と恋愛をしていると言ってもいいような日々を過ごしている人たちがいる。
波は形(視覚的要素)でも人々を魅了する。世界的に見れば波をテーマとして追求している画家やカメラマンたちが多数存在する。大型書店には波の写真集が通常何種類も並んでいる。
また、波の音も人々を魅了する。波の音は波音(なみおと)という。波の音には適度な規則性と適度な不規則性、「ゆらぎ」が含まれている。おだやかな波音を聞いていると、そうでない時よりもずっと熟睡できる、という人も多いため、近年では海から離れて都会で暮らしている人々のために、波音を録音したCDも販売されている。
[編集] 自然科学的な理論
一部の分野では水の波、そのなかでも波が砕け散ったりしないようなものを「水面波」という用語で呼ぶこともある。水面波は、物理学的に説明する場合、波動の一種という位置づけになる。水面波も他の波動と同様に屈折、回折、反射、透過、減衰などの性質をもつ、とされる。
ここでは、主として海の波に関する理論を挙げる。
[編集] 波のパラメータ
- 波長 L、周期 T、波速 C (=L/T)
- 波高 H、振幅 a (=H/2)
- 水深 h
- 水面波形 η
[編集] 波の分類
波は、水深によって、深海波(沖波, Deep Water Wave)、浅海波 (Wave in Transitional Depth)、極浅海波(長波, Shallow Water Wave, Long Wave)に分類される。
水面変動の振幅が水深に対して十分小さい波のことを微小振幅波といい、その仮定における理論を微小振幅波理論という。それに対して、波高がそれほど小さくない場合、有限振幅波という。
[編集] 微小振幅波理論

は、ある仮定および境界条件のもとで解くことができる。すなわち、波の振幅が微小であること、海水が完全流体(非圧縮・非粘性)であることなどの仮定、および、水底・水面における力学的・運動学的境界条件から速度ポテンシャル φ(x, z, t) を求めると、

となる。H は波高、ω は角周波数(=2π/T)、k は波数(=2π/L) である。cosh については双曲線関数を参照。
速度ポテンシャルを微分すると速度が求められ、この式から、海水の水粒子は楕円軌道を描いて運動しており、深海波では円軌道に近くなることが分かる。
また、水粒子が水面から飛び出すことなく水面の動きに追随すること(水面における運動学的境界条件という)から、分散関係式
ω2 = gk tanh kh
が得られる。
[編集] 有限振幅波理論
[編集] 浅水変形
波は沖から岸に近付くにつれて形を変える。水深が小さくなるにしたがって、波高が大きくなり波長は短くなる。沖での波高をH0としたとき、Ks = H/H0 を浅水係数といい、波高の増減の具合を示す。
[編集] 他の媒体での波
水の波に類似した現象は自然界では広く見られる[5]
物理学などでは、音、光、電磁波などの波を「波動」という用語で表現している[5]。
「波動」も参照
[編集] その他の媒体関連
[編集] 注・出典
- 注
- ^ 船舶が波を作ることを造波(ぞうは)と言う。
- 出典
- ^ 広辞苑 第五版
- ^ 広辞苑第五版【波】
- ^ a b c 『風と波を知る101のコツ』p.102
- ^ a b c d e f g h 『風と波を知る101のコツ』p.109
- ^ a b c d e f 世界大百科事典 第21巻 p.162【波】 寺本俊彦 執筆。