地球の大気
地球の大気(ちきゅうのたいき)とは、地球の大気(重力によって地球を取り囲むように保たれている気体)を言う。地球の大気圏(ちきゅうのたいきけん)とは、地球の大気の球状層を言う[1]。大気圏と宇宙空間との境界は、何を基準に考えるかによって幅があるが、便宜的に高度80kmから120kmあたりとされている。
地球科学で大気圏とは、地球環境を大気圏、水圏、陸圏(地圏, 岩石圏)、生物圏に区分したうちのひとつ、という位置づけである。
また、地球科学の諸分野で「地表を覆う気体」としての大気を扱う場合は「大気」と呼ぶが、一般的に「身近に存在する大気」や「一定量の大気のまとまり」等としての大気を扱う場合は「空気」と呼ぶ。
目次 |
[編集] 地球大気の区分
[編集] 地球大気の鉛直構造
| 熱圏 (80km-800km) |
| 中間圏 (50km-80km) |
| 成層圏 (9/17km-50km) |
| 対流圏 (0km-9/17km) |
大気は、温度変化を基準にして、鉛直方向に四つの層に区分されている。これを「地球大気の鉛直構造」という。鉛直方向に区分するのは気象現象等を考えやすくするためであり、大気が主に水平方向に運動し1つの層内で循環していること、水平方向に比べて鉛直方向のほうが温度変化が激しいことなどが理由と考えられる。
- 対流圏(Troposphere)
- 0-9/17km。高度とともに気温が低下。さまざまな気象現象が起こる。赤道付近では17km程度と厚く、極では9km程度と薄い。成層圏との境界は対流圏界面と呼ぶ。
- 成層圏(Stratosphere)
- 9/17-50km。高度とともに気温が上昇。オゾン層が存在する。中間圏との境界は成層圏界面と呼ぶ。
- 中間圏(Mesosphere)
- 50-80km。高度とともに気温が低下。熱圏との境界は中間圏界面と呼ぶ。
- 熱圏(Thermosphere)
- 80-800km。高度とともに気温が上昇。
成層圏と中間圏をあわせて中層大気(ちゅうそうたいき)とも呼ぶ。熱圏のさらに上部に外気圏をおく場合もある。
[編集] その他の区分
鉛直構造とは別の視点から命名されているものもある。
- 電離圏 (電離層 Ionosphere)
- イオンを含む層。中間層と熱圏の間(80km-500km)に存在する。
- 外気圏 (Exosphere)
- 熱圏の電離圏よりも上。
- オゾン層 (Ozonoshpere)
- 高度約10-50km。成層圏に含まれる。
- 磁気圏 (Magnetosphere)
- 地球磁場と太陽風の圧力がつり合う境界の内側。高度1000km以上。太陽側は高度6 - 7万km、太陽とは逆側に100万km以上の尾を引く。電離圏とは磁力線でつながる。
- プラズマ圏 (Plasmasphere)
- 低温のプラズマがほぼ地球の自転とともに回転している、赤道で高度2万km程度以下の領域。
- ヴァン・アレン帯 (Van Allen radiation belts)
- 太陽からの高エネルギー荷電粒子の密度が高い領域。特に赤道上空。
[編集] 大気の成分
| 地球大気組成 (体積比,地表) | |
|---|---|
| 気体 | 割合 |
| 窒素 | 78.088% |
| 酸素 | 20.949% |
| アルゴン | 0.93% |
| 二酸化炭素 | 約0.04% |
| 一酸化炭素 | 1×10-5% |
| ネオン | 1.8×10-3% |
| ヘリウム | 5.24×10-4% |
| メタン | 1.4×10-4% |
| クリプトン | 1.14×10-4% |
| 一酸化二窒素 | 5×10-5% |
| 水素 | 5×10-5% |
| オゾン | 約2×10-6% |
| 水蒸気 | 0.0~4.0% |
「空気」も参照
地表面上の大気の主な成分は、窒素が 78.1%、続いて酸素が20.949%、アルゴンが0.9%、二酸化炭素が0.04%。水蒸気の濃度は場所によって大きく変動する。水蒸気の影響を除くため、一般的に地球大気の組成は「乾燥空気」での組成で表される。また、二酸化炭素の濃度も場所によって多少異なる[2]。
なお、水蒸気の濃度は、鉛直方向にも大きく変化する。二酸化炭素やオゾンの濃度も変化するが、それ以外の主成分の濃度は均一で、鉛直方向でも中間圏界面付近まではほとんど変化しない。
[編集] 地球大気の「進化」
地球大気の歴史については、確証は得られていないが、以下のようなことが考えられている。
地球が誕生した46億年前頃の原始大気は、主にヘリウムと水素からなり、高温高圧だった。これは現在の太陽の大気と似た成分である。また、水蒸気も含まれていて、その温室効果が原始地球を高温高圧に保っていたという説もある。しかし、これらの軽い成分は、原始太陽の強力な太陽風によって数千万年のうちにほとんどが吹き飛ばされてしまったと考えられている。
やがて、太陽風は太陽の成長とともに次第に弱くなってくる。この頃には、地表の温度が低下したことで地殻ができ、地殻上で多くの火山が盛んに噴火を繰り返していた。この噴火にともなって、二酸化炭素とアンモニアが大量に放出された。水蒸気と多少の窒素も含まれていたが、酸素は存在しなかった。この原始大気は二酸化炭素が大半を占め、微量成分として一酸化炭素、窒素、水蒸気などを含む、現在の金星の大気に近いものであったと考えられている。100気圧程度と、高濃度の二酸化炭素が温室効果により地球が冷えるのを防いでいたと考えられている。
古い変成岩に含まれる堆積岩の痕跡などから、43~40億年前頃に海洋が誕生したとみられる。この海洋は、原始大気に含まれていた水蒸気が、火山からの過剰な噴出と温度低下によって凝結して、雨として降り注いで形成されたものであった。 初期の海洋は、原始大気に含まれていた亜硫酸や塩酸を溶かしこんでいたため酸性であったが、陸地にある金属イオンが雨とともに流れ込んで中和されたと考えられている。中和されると二酸化炭素が溶解できるようになるため、原始大気の半分とも推定される大量の二酸化炭素を吸収していった。 水蒸気が紫外線を受けて光解離することで酸素が生成されてはいたが、鉄などの酸化によりすぐに吸収されたため、大気中にはほとんど残らなかった。
やがて生命が誕生し、二酸化炭素と自ら光合成を行う生物が誕生すると、それらは水を分解して酸素を発生するようになる。さらに、二酸化炭素が生物の体内に炭素として蓄積されるようになり(炭素固定)、長い時間をかけて過剰な炭素は化石燃料、生物の殻からできる石灰岩などの堆積岩といった形で固定される。植物が現れて以降は酸素が著しく増え、二酸化炭素は大きく減少する。大気中の酸素は初期の生物の大量絶滅とさらなる進化を導いた。
また、酸素は紫外線に反応しオゾンをつくった。酸素濃度が低かったころは地表にまで及んでいたオゾン層は、濃度の上昇とともに高度が高くなり現在と同じ成層圏まで移動した。これにより地表では紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられた。
[編集] 脚注
[編集] 参考文献
- 小倉義光 『一般気象学』 東京大学出版会、1999年、第2版。ISBN 4-13-062706-6。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 小林憲正 (2010年2月). “特集2.アストロバイオロジーと化学進化”. ゑれきてる. 東芝. 2011年2月15日閲覧。
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