日没

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日没の数分前の太陽

日没(にちぼつ、Sunset)とは、太陽系自転する惑星衛星において、一日に一回太陽地平線の下に沈む現象である。本項では、ことわりのない限り地球の自転によって起こる地球での日没について述べる。

日没時刻は、太陽の縁が西の地平線の下に沈んだ瞬間として定義される。大気による日光反射により、沈むゆく太陽の光線の経路は地平線付近で大きく曲がるため、実際の日没はおおよそ太陽の直径分だけ地平線下に沈んだ頃に起こる。日没は、太陽が地平線下約18度の時に起こり、空が暗くなり始める薄暮(はくぼ)とは異なる。日没と薄暮の時間を合わせて黄昏(たそがれ)と呼ぶ。

現象[編集]

日没時刻は、観測者の緯度経度、高度により、一年を通じて変化する。毎日の小さな変化や季節ごとの変化は、地軸の傾き、地球の自転、公転、月の影響等のためである。夏期には昼が長くなり、夏至の日まで日没時刻も徐々に遅くなる。北半球では、最も遅い日没は6月21日頃の夏至の日に起こる訳ではなく、6月下旬から7月上旬になる。日没が最も遅い日は、正確には観測者の緯度に依存する。同様に、日没が最も早い日は冬至ではなく、やはり観測者の緯度に依存して、2週間程度前の12月上旬に起こる。同様の現象は南半球でも生じる。赤道上でも、日出時刻、日没時刻は、日中時刻にあわせて数分間前後する。これらの効果をプロットしたものは、アナレンマと呼ばれる[1][2]

地軸の傾きのため、日没の際にはいつでもどこでも、春分点秋分点の間は北西の方角、秋分点と春分点の間は南西の方角になる。分点の日には、地球上のどこからでも正確に真西に見える。

日出と日没は、どちらも太陽の中心ではなく縁で計算されるため、「昼」の長さは「夜」の長さよりも若干長くなる。さらに日光は大気差により屈折するため、太陽が地平線の下に沈んだ後も見ることができる。また別の錯視効果によって、地平線上の太陽はより大きく見える。

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サンフランシスコの日没後の赤い空

日出や日没の空の赤色や橙色の強い色相は、空気分子や大気中の微粒子による日光の散乱が原因である。光の波長よりずっと小さな分子や微粒子による散乱(レイリー散乱)の強さは、波長に依存する。紫色や青色のような波長の短い光は、黄色や赤色等の波長の長い光に比べて強く散乱され、青色の成分が消える。この効果は、太陽が高い位置にある時に比べて日光が通過する大気の層が厚くなるため、日出や日没の際により強く影響する。大気中の微粒子は分子よりも強く散乱するため、日没の色に大きく関係する。強い雨が降った後等、対流圏に微粒子がほとんどない時には、空気分子だけが日光を散乱することになる。通常、朝の空と比べて夕方の空には微粒子やエアロゾルの量が多いため、日没の色は日出の色よりも鮮やかで強い。夜の大気は冷たくて風が少ないため、大気中の塵や微粒子は地表に落ちてしまう為である。しかし夜間に火事や噴火、砂塵嵐等が起こった場合には、日出の色は日没の色よりも強くなる。1991年のピナトゥボ山や1883年のクラカタウの噴火では、世界中で日出の色や日没の色が鮮やかになった。

日出の直前や日没の直後に、グリーンフラッシュという現象が観測される場合もある[3][4][5]

他の惑星[編集]

火星の日没

他の惑星上での日没は、太陽との距離や大気の組成の違いによって、かなり異なって見える。

火星は地球と比べて太陽までの距離が長いため、太陽は地球から見た時の3分の2の大きさにしか見えない[6]。また火星の大気には酸素や窒素がなく、強風によって赤い塵がしばしば大気中に巻き上げられるため、地球と比べると日没はより長くて赤い[7]。ある研究によると、黄昏後、日光は2時間も留まっているとされる[7]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Starry Night Times - January 2007 (explains why Sun appears to cross slow before early January)
  2. ^ The analemma, elliptical orbit effect. 'July 3rd to October 2nd the sun continues to drift to the west until it reaches its maximum "offset" in the west. Then from October 2 until January 21, the sun drifts back toward the east'
  3. ^ Red Sunset, Green Flash”. 2010年9月21日閲覧。
  4. ^ Selected Papers on Scattering in the Atmosphere, edited by Craig Bohren ~SPIE Optical Engineering Press, Bellingham, WA, 1989
  5. ^ Science Made Simple”. 2010年9月21日閲覧。
  6. ^ NASA, This article incorporates text from this source, which is in the public domain.
  7. ^ a b NASA, This article incorporates text from this source, which is in the public domain.

外部リンク[編集]