メタン

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メタン
識別情報
CAS登録番号 74-82-8
PubChem 297
ChemSpider 291
日化辞番号 J2.380I
特性
分子式 CH4
モル質量 16.042 g/mol
外観 常温で無色透明の気体
密度 0.717 kg/m3 気体
415 kg/m3 液体
融点

-182.5 °C, 91 K, -297 °F

沸点

-161.6 °C, 112 K, -259 °F

への溶解度 3.5 mg/100 mL (17 °C)
log POW 1.09
構造
分子の形 正四面体
双極子モーメント 0 D
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −74.81 kJ mol−1[1]
標準燃焼熱 ΔcHo −890.36 kJ mol−1
標準モルエントロピー So 186.264 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 35.309 J mol−1K−1
危険性
EU分類 非常に強い可燃性 F+
NFPA 704
NFPA 704.svg
4
1
0
Rフレーズ R12
Sフレーズ S(2) S9 S16 S33
引火点 −188 °C
関連する物質
関連物質 メタノールクロロメタン蟻酸ホルムアルデヒドシラン
出典
国際化学物質安全性カード
NIST webbook
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メタン: Methan[† 1]: methane[† 2])は最も単純な構造の炭化水素で、1個の炭素原子に4個の水素原子が結合した分子である。化学式は CH4。和名は沼気(しょうき)。分子は炭素が中心に位置する正四面体構造をとる。CAS登録番号は [74-82-8]。カルバン (carbane) という組織名が提唱されたことがあるが、IUPAC命名法では非推奨である。

物性[編集]

常温常圧で無色、無臭の気体。ヒトに対する毒性はない。融点は −183 ℃、沸点は −162 ℃。空気に対する比重は 0.555。

光などの刺激によって励起されハロゲン元素と反応し、水素原子がハロゲン原子に置換される。この反応は激しい発熱反応である。例えば塩素との混合気体を常温中で直射日光に曝すだけで発火する。

製法[編集]

メタンは天然ガスから得られるほか、一酸化炭素水素を反応させることで工業的に大量に生産されている為(記事 C1化学に詳しい)、実験室においてもガスボンベで供給されることが普通であるが、実験室で発生させる方法がいくつか知られている。

  • 炭化アルミニウムに室温でを反応させて加水分解する。
    • \rm Al_4C_3 + 12H_2O \longrightarrow 3CH_4 + 4Al(OH)_3
    • なお、この反応は不純物のため強烈な臭いを伴う。
  • 酢酸塩を強塩基の存在下に強熱して脱炭酸させる。 
  • メタン菌による嫌気発酵。
    • いわゆるバイオガスの製法。強い嫌気度を要求する。なお、自然界で発生するメタンの殆どはメタン菌により合成されている。
    • \rm 4H_2 + HCO_3^- + H^+ \longrightarrow CH_4 + 3H_2O
    • \rm CH_3COO^- + H_2O \longrightarrow CH_4 + HCO_3^-

用途[編集]

大きな用途の1つは燃料用のガスとしてであり都市ガスなどに使用されている。もう一つはC1化学プロセスに使用する原料としてである。また、メタンは高温の水蒸気との反応で一酸化炭素と水素の混合気(合成ガス)を生じ、この混合気そのもの、あるいは単離した一酸化炭素や水素を各種化学プロセスの原料として使用する。

\rm CH_4 + H_2O \longrightarrow CO + 3H_2

置換基[編集]

メチル基
メチレン基、メチリデン基
メチン基、メチリジン基

メタンが置換基となる場合、メチル基(1価)、メチレン基(2価)、メチン基(3価)と呼ばれる。

メチル基 (methyl group)
メタンから水素が1個取れたアルキル基がメチル基 (CH3−) である。項目: メチル基を参照。
メチレン基 (methylene group)
メタンから水素が2個取れたアルケン基がメチレン基 (−CH2−) である。
原子価の相手は同一原子でも(X=CH2 のような構造)、異なっていても(X−CH2−Y のような構造)良い。前者の場合には、メチリデン基 (methylidene group) とも呼ばれる。
メチン基 (methine group, methyne group)
メタンから水素が3個取れたアルキン基がメチン基 (−CH<) である。
ただし原子価の相手が同一原子である HC≡X のような構造を持つ場合には、メチリジン基 (methylidyne group) とも呼ばれる。

C1化学[編集]

炭素数1の化合物には化学工業において原料として重要な化合物が多く存在する。これらの多くがメタンから直接誘導される。これらの工業的な合成法については C1化学に詳しい。

以下に代表的なものを挙げる。

天体[編集]

天王星海王星はその大気に2%程度のメタンを含む。これらの星が青く見えるのはメタンの吸収による効果によると考えられている。土星の衛星であるタイタンはその大気に2%程度のメタンを含むだけでなく、地表に液体メタンの雨が降り、海や川もあることが分かっている。また火星の大気もメタンを痕跡量含む。このメタンの発生源となる微生物がいる可能性があるものの、まだ確認もされていない。

資源[編集]

1996年アメリカ地質調査所の調査によるハイドレートの分布図
黄色の点がガスハイドレートを示す。

メタンは、油田ガス田から採掘されエネルギー源として有用な天然ガスの主成分である。20世紀末以降の代替エネルギーとしてバイオガスメタンハイドレート新エネルギーとして注目されている。

メタンハイドレート[編集]

メタンは排他的経済水域大陸棚といった海底地上永久凍土層内にメタンハイドレートという形で多量に存在する。

2008年3月、カナダ北西部のボーフォート海沿岸陸上地域にて永久凍土の地下1,100mから連続生産に成功。2013年3月12日には、愛知県三重県の沖合で海底からのメタンガスの採取に成功した。

バイオガス[編集]

メタンはメタン産生菌の活動などにより放出されるため自然界に広く存在し、特に地などに多く存在する。和名の沼気はこれが語源。大気中には平均 0.00022% 含有されている。このメタン産生菌を用いて生ごみ発酵させてメタンを得て、資源として利用することも実用化されつつある。実際にバイオガスの供給事業も始まっており[2]、国内のバイオガス化市場規模は最大約2,300億円と推計されている。

温室効果ガス[編集]

メタンは強力な温室効果ガスでもあり、同量の二酸化炭素の21~72倍の温室効果をもたらすとされている[3][4]

産業革命以来、人工的な温暖化ガスの排出量が急激に増加しており、温暖化が加速度的に進行していると国際的な社会問題となっている。このまま気温が上昇すれば、海底や永久凍土に閉じ込められているメタンハイドレートが放出されると懸念する意見がある。

また、など、草食動物げっぷには大量のメタンが含まれており、そのからもメタンが発生するため、牛が増えると大量のメタンガスが発生し、温室効果を助長するとして、大量の牛肉を使用、そして廃棄しているハンバーガー販売企業バッシングされたこともあった。人口の10倍以上の家畜を抱える酪農国のニュージーランドでは、や牛のげっぷを抑制するという温暖化対策を進めようとしたが、農民の反対を受けている[5]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ドイツ語発音: [meˈtaːn] (メターン)
  2. ^ アメリカ英語発音: [ˈmeθeɪn]セイン)、イギリス英語発音: [ˈmiːθeɪn]ミーセイン)。

出典[編集]

  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 兼松株式会社 (2007年10月12日). “バイオガス供給事業の開始について”. 2009年11月23日閲覧。
  3. ^ 温室効果ガスの種類,気象庁
  4. ^ 温室効果ガス排出量の算定方法について,横浜市 メダンの地球温暖化係数は21
  5. ^ 弘前大学農学生命科学部畜産学研究室 (2003年9月2日). “羊などの家畜に「げっぷ税」 NZ、温暖化対策研究費に”. 2009年11月23日閲覧。 朝日新聞社asahi.com2003年9月2日より引用

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

C0:
水素
直鎖アルカン C2:
エタン