放射線

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放射線の透過能力:上からそれぞれアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線の透過能力の図。アルファ線は紙1枚程度で遮蔽できる。ベータ線は厚さ数mmのアルミニウム板で防ぐことができる。ガンマ線は透過力が強く、コンクリートであれば50cm、であっても10cmの厚みが必要になる。中性子線は最も透過力が強く、やコンクリートの厚い壁に含まれる水素原子によってはじめて遮断できる。

放射線(ほうしゃせん、radiation)とは、放射性元素の崩壊に伴い放出される粒子線あるいは電磁波のこと[1]。主にアルファ線ベータ線ガンマ線の3種を指す[1]。また、それらと同程度のエネルギーを持つ粒子線宇宙線を含めることもある[1]。広義には、様々な粒子線や電磁波の総称である[1]電離作用を持つ電離放射線について考えることが多く、励起なども起こり、これらに基づいて、物理作用、生理作用のほか、化学作用も現れる[2]

  • 日本の法律「原子力基本法」の放射線の定義は「電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるもの(原子力基本法第3条第5号)」を言い、2012年現在政令で定められているものは「一.アルファ線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線二.中性子線三.ガンマ線及び特性エックス線(軌道電子捕獲に伴って発生する特性エックス線に限る。)四.1メガ電子ボルト以上のエネルギ一を有する電子線及びエックス線(以上同法第4条による)」である。


目次

概要[編集]

放射線の中で電離を起こすエネルギーの高いものを電離放射線とし、非電離放射線と分けられる[3]。一般に放射線とは、エネルギーの高い電離放射線を指す。

放射線には、

  1. 原子核反応や原子核の壊変によって発生するもの
  2. 原子のエネルギーレベルの変化によって発生するもの

がある[4]。どちらも、直接的あるいは間接的に物質中の原子や分子を電離[注 1]、また、物質を発光させたり、化学変化を起こしたりする[4]

紫外線は電離作用を有するが放射線に含めないことが多い。また、一般的に高エネルギーであることが条件とされるが、中性子線に限っては低エネルギーであっても放射線扱いされることが多く、定義は必ずしも完全ではない。

報道などで「放射能」という言葉が使われることがあるが、本来それの意味するところは「放射線を出す能力」であり、放射能を持つ物質である放射性物質と混同している場合がある。たとえば、「放射能漏れ」を伝える場合、「放射能」が「放射性物質」を指している場合と「放射線」を指している場合がある。放射能は実質放射性物質と同義語で用いられているが、それを認めたとしても、放射性物質と放射線は全くの別物であり、未だ区別できていない人も多いが、これらは明確に区別されねばならない[5]。放射性物質を放射能物質、放射線物質などと表記したりするのも誤りである。放射線源も参照せよ。

放射線は人体に悪影響を及ぼす可能性があり[6]、防止と安全性の確保に各国で法律が制定されている。ただし、どの程度(線量)でどのような害があるかについては様々な見解がある。

害が目につく一方で、工業、農業、医療その他の分野で有効利用されている。

放射線は人間の五感では感じることができないため、放射線測定のための測定器を用いて検出や測定を行う[7]

種類・分類[編集]

電離放射線と物質との相互作用を表した図 (記号の意味は、―;粒子線、~;電磁波、○;電離作用)。上からアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線と物質との相互作用を表している。 荷電粒子線(ここではアルファ線、ベータ線)が物質に衝突すると電離が起こるが貫通力は小さい。アルファ線は放出したほうの核も運動エネルギーを持ち、反跳・リコイルなどと呼ばれる。ベータ線が電離させた電子もまた電離作用を有するがこれをデルタ線という。更にベータ線は減速に伴って制動放射が起こる。一方、X線・ガンマ線や中性子線は電荷を持たないため、直接は電離作用をせず、間接的な電離作用も荷電粒子線に比べ小さいが、貫通力は大きい。中性子は水素などの軽元素と衝突すると反跳陽子(図中の赤丸)を生じ、この陽子が電離作用を持つ。非弾性散乱では衝突しただけでガンマ線を発生させる。また中性子捕獲が起きた場合にもガンマ線が放出される。

放射線は、以下のように分類される[要出典]

また、粒子線のうち特に電荷を持つものを荷電粒子線と呼ぶことがある。

一言で放射線と言ってはいても、その透過力はその種類によって異なり、α線よりもβ線、β線よりもγ線、γ線よりも中性子線のほうが透過力が強い。

電離放射線と非電離放射線[編集]

電離性の有無によって区別する時には、電離性を有している放射線を電離性放射線、電離性を有していない可視光線などを「非電離放射線」と呼ぶ。ただし、通常「放射線」と言う時は、電離放射線のことを指していることが多い[3]。電離放射線は特に生体破壊作用が大きいのでそれについての説明が中心となることが多いのである。だが、だからといって非電離放射線に害がないというわけではなく、非電離放射線も種類や強さによっては生体破壊作用や健康被害はある。

電離放射線にはα線β線γ線X線中性子線陽子線陽電子線重イオン線などが含まれる[3]

非電離放射線には、電子レンジで使われている極超短波携帯電話PHSで用いられている電波赤外線可視光などがある[3]

紫外線は電離放射線と非電離放射線の境界に位置すると考えられることがある。周波数の高い紫外線は電離作用があり、生体破壊作用はある。

単位[編集]

放射線の計測単位を次に示す。放射能の強度(単位時間あたりの放射壊変数)は放射能の項に詳しい。

ベクレル[編集]

ベクレルは1秒間に放射線を出す回数。国際単位系では、放射能の単位にはベクレル(Bq)を用いる。以前はキュリーを使っていた。1キュリーは3.7×1010ベクレルに等しい。

グレイ[編集]

グレイは吸収した放射線のエネルギーの総量(吸収線量)を表すSI単位である。表記はGyである。単位質量当たりの物質が放射線によって吸収したエネルギーを表す。この単位はすべての物質、あらゆる放射線に適用される。1グレイ=1J/kgのエネルギー吸収と定義される。

1989年(平成元年)4月以前は吸収線量の単位としてラド (rad) が用いられていた。1グレイ = 100ラドに相当する。

シーベルト[編集]

シーベルトは放射線防護の分野で使う。人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位である。表記はSvである。吸収線量値(単位、グレイ)に放射線の種類ごとに定めた係数を乗じて算出する等価線量と、影響する体の部分ごとへの影響にもとづいて定めた定数を乗じて算出する実効線量とがある。

1989年(平成元年)4月以前はレム (rem) が使用された。1シーベルト = 100レムに相当する。

レントゲン[編集]

レントゲンとは、照射した放射線の総量(照射線量)を表す古い形式の単位である。空気中にX線ないしはγ線を照射すると原子がイオン化される。イオン電荷の総量を計測し、電荷の計測区画に含まれる空気の質量で割った値である。1レントゲンは0℃、1気圧の空気中で、2.58×10-4クーロン/kgの電離を発生させる照射線量。

この単位は国際単位系 (SI) に採用されず、日本国では1989年(平成元年)4月の国際単位系への切り替え以降使われなくなった。

ラド[編集]

ラドは、吸収した放射線の総量(吸収線量)を表す古い形式の単位である。表記はradである。単位当りの物質が放射線を吸収し発生したエネルギー(温度上昇)で計測する。

1ラドは0.01J/kgに相当し、国際単位系では吸収線量はグレイ (Gy) で表す。1グレイ = 100ラドに相当する。

レム[編集]

レムは、人体への影響度(被曝量もしくは線量当量)を表す古い形式の単位である。表記はremである。人体が吸収した放射線量(単位、ラド)に放射線の種類ごとに定められた係数を乗じて算出する。

国際単位系では線量当量はシーベルト (Sv) で表す。0.01シーベルト = 1レムに相当する。

放射線の検出、検出器の種類[編集]

放射線は肉眼にも見えず熱くもないので、検知するために特別な測定器具を用いる。測定したい線種と目的に応じて適切な器具を選ばなければならない。

よく用いられる検出器を以下に示す。

環境放射線[編集]

生活環境にある放射線を環境放射線という。環境放射線には自然放射線人工放射線が含まれている。自然放射線とは自然界にもともと存在している放射線であり、人工放射線とは人間が人工的に作り出した放射線のことである。

(平時に)一人の人が受ける自然放射線と人工放射線の割合は、世界と日本では大きく異なっていて、世界平均では自然放射線の割合が 3/4 ほどで自然放射線の割合が大きいが、日本を含む医療先進国では医療被爆が自然放射線による被曝を上回ってきている。

また、原子力発電所の事故などが発生すると、それによって漏れた放射性物質の分布は一様にはならず、何らかの原因によって偏りや局地的に高濃度になることが知られており、それの影響により人工放射線の線量も高くなる場所があり、「ホットスポット」などと呼ばれている。

核実験核兵器の実使用や原子力事故が起きていない場所・年代の、世界平均のデータで判断すれば)一般公衆の生活環境中における外部被ばく線量の大半は自然放射線によるものである[8]核実験核兵器の実使用や原子力事故が起きている時・場所では、自然放射線と人工放射線の比率は大きく変化することになる。

放射線による害の有無、害防止のための基準値[編集]

広島市への原子爆弾投下で浴びた放射線により急性放射線症候群を発症し、皮膚障害が生じた少女。

人体が多量の放射線を一度に浴びると、線量に応じてなんらかの症状があらわれる[6]。この影響についてある線量(しきい値)を超えた場合に確実にその影響が線量に応じて現れる確定的影響(脱毛、白内障から死に至るまで)と、遺伝子などが受けた損傷を修復しきれずに何年も後にがんなどが現れる確率的影響(がん、白血病、遺伝的影響)があるとされる[9]

人体が放射線にさらされることを被曝という[10]。被曝には放射線を身体の外部から受ける外部被曝と、放射性物質を体内に取り込んでしまい、その取り込んでしまった放射性物質から放射線を受けてしまう内部被曝がある[8]

「内部被曝に関して言えば、天然の放射性物質の多くについては生物は体内への蓄積を回避するような仕組みを(長年の進化の結果)得ているのだが、それに比して人工の放射性物質については(近年まで生物はそのような物質をほぼ経験したことがないので)蓄積を避ける仕組みができておらず、二つは生体内では概して挙動が異なっており、結果として、環境中に存在する人工放射性物質は、容易に人体内に蓄積・濃縮される傾向があり、人工放射性物質のほうが強い内部被曝に繋がりやすく重大な害を及ぼすことが傾向がある。」といった主旨のことを市川定夫は指摘した[11]

ICRP国際放射線防護委員会)の勧告では、「事故などによる一般公衆の被曝量[注 2]は、年間1mSv(ミリシーベルト)を超えないように」とされた1990年勧告による。[12](なお、放射線を扱う作業者については諸事情を考慮して)、5年間で100mSvを超えてはならないとされた[12])。2007年の勧告では、これに追加する形で、個人が直接利益を受ける状況では1から20mSv以下とし、事故発生時等の被曝低減対策が崩壊している状況下では20から100mSv以下とした[13][14]

放射線は生物だけでなくコンピューターにとっても有害であり、コンピューターは放射線を浴びることによってソフトウェアがエラーを起こしたり、半導体としての機能が失われたりする。人工衛星は宇宙空間で被爆することを前提として高い放射線耐性のあるシステムで作られている。ロボットが放射能漏れを起こしている原子炉内部で作業する場合にはコンピューターが放射線で破壊される危険があり、特殊な放射線耐性を持った電子機器でなければ正常に動作できない。

放射線の利用[編集]

工業利用[編集]

高分子のプラスチックやゴムなど有機材料にガンマ線や電子線を照射すると、分子鎖の間で結合する反応(架橋)や分子鎖が切れて小さな分子になる反応(切断)が起こる。 これら高分子が架橋型か崩壊型かはその高分子(プラスチック、天然ゴムなど)の分子構造に依存する(最初から性質として決まっている)。

タイヤ製造[編集]

タイヤの製造工程の途中でタイヤの形に成形された合成ゴムに電子線を照射して、ゴム分子間に架橋を作り強度を増すのに利用される[15]。従来、架橋には硫黄が用いられたが、電子線照射導入後の廃タイヤは(他の問題は残るが)焼却後も硫黄酸化物 (SOx) を生じなくなった。


自動車部品[編集]

この架橋型の分子構造をもつ高分子用いて放射線を利用して力学的特性や耐熱性を向上させるため、電子線加速器を用いて自動車のプラスチック製やゴム製部品にも放射線が当てられて、エンジンルームなどの高温環境にも耐えられる製品が作られている。

また、自動車のプラスチック製内装部品の多くには、その製造過程で放射線が当てられている。ドアやシートに使われる緩衝材や断熱材などは、型に入れられたプラスチック基材の外側から放射線が当てられて外形が固められ、その後の加熱処理で内部に発泡を作ることで表面と内部を張り合わせなどを必要とせずに異なった性状で作ることが可能となっている。

非破壊検査[編集]

自動車の最終検査においては人間用の100倍程度の強いX線を使った断層撮影によって、車体全体を一度に検査することが可能になっている。航空機の溶接状態や、半導体チップの破損検査にも使用する。

煙感知器[編集]

火災報知設備の煙感知器の中には、アメリシウム241のアルファ線を用いているものもある。

医療利用[編集]

放射線を医療に利用するもの。

放射線診断[編集]

X線撮影X線CT検査

放射線療法[編集]

放射線を用いた方法としての放射線療法脳腫瘍皮膚がんなどの悪性腫瘍を治療するために、患部に照射しがん細胞のDNAやRNAを破壊して細胞分裂を抑止したりアポトーシス(細胞の自死)をより強力にすすめてがん細胞を減らしてゆく。一般的な照射の方法は、正常細胞の許容線量の限界(50-60Gy)までを分割(1日2Gy程度)して組織に照射し、正常細胞は遺伝子の破壊を修復して生き残るが、自己修復作用が正常細胞より遅いがん細胞は破壊された遺伝子を修復する以前に再度照射を受けて遺伝子を修復できないために死んでゆくことを利用して、がんを小さくするというものである。その他、重粒子線(炭素イオン線)、陽子線(水素イオン線)など、陽子を加速したものを利用する最新の治療法などが開発されている。粒子線治療器は粒子線の細胞に与える強い細胞破壊力とブラッグ・ピークの特性を利用してがんの治療にあたるものである[16]。ただし、粒子線治療器は サイクロトロン を必要とするため、施設が巨大で設備費用も膨大なものとなる欠点がある。さらに、放射性物質を利用した治療法として、放射線のでる釘(管)を病巣に挿入してがん細胞を死滅させる小線源治療法などがある。

輸血用血液[編集]

日本では2000年以降、移植片対宿主病(GVHD)の予防のために全ての他人血の輸血用血液へ放射線を照射することで、これを引き起こす細胞障害性Tリンパ球を含む血中のリンパ球を壊してから輸血しているために、この病気の実質的な根絶を達成している。

医療衛生器具の殺菌・滅菌[編集]

従来から医療衛生器具の殺菌・滅菌処理は「高圧蒸気処理」と「酸化エチレンガス処理」が行われているが、近年使用が増えるプラスチック製の使い捨て医療衛生用品は高温処理には適さず、また、金属製品でも、高圧蒸気釜での「ベイク処理」には時間・手間・費用が掛かる。酸化エチレンガスを使うには個々の器具を包装する前に行わねばならず、処理後に酸化エチレンガスが抜けた状態では再汚染の可能性があり、酸化エチレンガスが残留したまま包装すると医療従事者への健康被害が懸念される。

こういった解決索として、コバルト60からのガンマ線照射によって、出荷前のダンボール箱に詰められた形態でも内部を透過する放射線が生み出すフリーラジカルが内部の微生物の DNARNA を傷つけ生理活性を失わせることで滅菌を行う。専用の処理工程がある建物まで対象製品を運ぶ手間を除けば、ベルトコンベアでコバルト60の周囲を一周させるだけの処理は簡便であり、残留物も残らない。特にプラスチック製のチューブでは真空引き処理などの工夫を行わない限りガスが容易には内部に行き渡らないため、ガンマ線照射の利便性が生かされている。

医療用パッド[編集]

水に溶いたカルボキシメチルセルロース (CMC) のペーストにガンマ線を照射して、柔らかく床ずれ防止に有効な医療用パッドが製作されている。

食品加工[編集]

放射線を食品加工に利用するもの。ガンマ線を食品に照射することにより、香辛料ハーブなどの殺菌消毒や、ジャガイモの芽止めなどの処理を行う。食品照射が行われた食品は放射線照射食品と呼ばれる。ただし、日本では食品衛生法の規定により、食品に対する放射線照射は原則として禁止されている。例外としてジャガイモ(ばれいしょ)の発芽防止を目的とした照射などは認められているが、使用する放射線の線種、核種、線量などは定められた条件に従わなければならない。食品の保存(殺菌や静菌、消毒)を目的とした照射は厳に禁止されている。

農業利用[編集]

害虫駆除[編集]

不妊虫放飼法を使った農業害虫駆除に利用されている。

根絶[編集]

駆除進行中[編集]

他多数

タンザニアとエチオピアでの不妊虫放飼法を使ったツェツェバエの駆除はIAEAが主導して行われている。

品種改良[編集]

植物の品種改良に放射線照射が利用されている[17]

テロ対策[編集]

X線検査[編集]

アメリカ合衆国をはじめとする多くの出入国管理の現場では、テロ対策の一環として手荷物検査に厳重なX線を使った透視画像検査が行われている。

炭疽菌の殺菌[編集]

アメリカ合衆国でのアメリカ炭疽菌事件以降、50州の全ての郵便局で放射線照射装置によって郵便物の炭疽菌に対する殺菌処理を行っている。

核物質検査[編集]

核物質の密輸入などを防ぐために、半導体検出器などを用いた荷物の放射線スペクトルの分析などが行われることがある。

日本における法的規制[編集]

放射線による障害(健康への害)を防止し、安全性を確保するために日本においては次のような様々な法律で規制されている。

原子力基本法
原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保することを目的とする。放射線障害防止法の適用から除外されている核燃料物質はこの法律で規制される(核燃料物質には臨界量が存在し、低比放射能で扱う量が桁違いに多く、他の放射性同位元素と一律の規制になじまない)。
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(放射線障害防止法または障防法と略す)
一般公衆を含めて放射線障害の防止を図るため、放射性同位元素(除く核燃料物質・核原料物質)と1MeVを超える放射線発生装置の使用・販売・賃貸・廃棄の規制を行っている。
電離放射線からの労働者の保護に関する条約 (第115号)
1960年6月に採択された国際労働機関による電離放射線を被曝しうる全ての労働者保護のための条約。16歳以下の者の雇用禁止、被曝量の限度の基準の設置、雇用者による事前と事後の健康診断や正当な医師の助言に反した作業の禁止が定められる。日本は1973年7月31日に批准している[18]
電離放射線障害防止規則(電離則)
厚生労働省所管。 放射線を扱う事業所で働く人の安全確保のための労働省令。放射線障害防止法では規制されない1MeV以下のX線発生装置も、この省令で規制される。
人事院規則一〇—五
電離放射線障害防止規則の国立機関版
船員電離放射線障害防止規則
電離放射線障害防止規則の船員版
医療法施行規則
厚生労働省所管。 医療分野では治療(放射線療法)という利益があるため、一般の使用とは若干異なった規制を適用する。さらに、薬事法に規定する医薬品としての放射性同位元素は、医療法及び薬事法により規制され、放射線障害防止法の施行令では適用除外とされている(ただし、同じ医薬品でも臨床研究に用いた場合は薬事法が適用されず、放射線障害防止法が適用される)。
放射性同位元素等車両運搬規則
国土交通省所管。 運搬時の安全と運転者の安全確保を目的とする。 放射線障害防止法と異なり、規制対象に広く核燃料物質も含む。

日本における関連資格[編集]

注・出典[編集]

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  1. ^ 電離作用:(原子の軌道電子をはじき飛ばすことによって、原子を陽イオンと電子に分離する作用)
  2. ^ 自然放射線や医療行為による被曝は含めないもの

出典[編集]

  1. ^ a b c d 広辞苑 第五版 p.2433【放射】-【放射線】
  2. ^ 玉虫文一ほか7名編集『岩波理化学辞典・第3版』岩波書店、1975年、1262頁
  3. ^ a b c d 「放射線の種類」(放射線科学センター)
  4. ^ a b Atomica【放射線】
  5. ^ 大塚 徳勝・西谷 源展著、『Q&A放射線物理 改訂新版』、共立出版、2007年、0章。ISBN 978-4-320-03453-2
  6. ^ a b Atomica「放射線の身体的影響」
  7. ^ #放射線の検出、検出器の種類
  8. ^ a b Atomica「放射線による外部被ばく」
  9. ^ 原子力百科事典 <大項目> 放射線影響と放射線防護 <中項目> 放射線による生物影響<小項目> 放射線の人体への影響<タイトル>放射線の確定的影響と確率的影響 (09-02-03-05)[1]
  10. ^ Atomica【被ばく】
  11. ^ 市川定夫『環境学-遺伝子破壊から地球規模の環境破壊まで (第三版)』藤原書店、1999、ISBN 4-89434-130-1
  12. ^ a b Atomica「ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え」
  13. ^ http://www.icrp.org/docs/ICRP_Publication_103-Annals_of_the_ICRP_37(2-4)-Free_extract.pdf
  14. ^ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/__icsFiles/afieldfile/2010/02/16/1290219_001.pdf
  15. ^ S. A. H. Mohammed; Walker (1986). “Application of Electron Beam Radiation Technology in Tire Manufacturing”. Rubber Chemistry and Technology. doi:10.5254/1.3538211. 
  16. ^ 独立行政法人 国立がん研究センター東病院 ホームページ 「陽子線治療について」 2012-05-11更新版より
  17. ^ 独立行政法人農業生物資源研究所放射線育種場
  18. ^ 電離放射線からの労働者の保護に関する条約 (第115号)

関連項目[編集]

関連文献[編集]

  • 舘野之男『放射線と健康』岩波書店、2001年
  • 東嶋和子『放射線利用の基礎知識:半導体、強化タイヤから品種改良、食品照射まで』講談社、2006年
  • 安斎育郎『放射線と放射能』ナツメ社、2007年