原子力

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[編集] 定義

原子力(げんしりょく)とは原子核変換により得られるエネルギー核エネルギー)のこと、またはそのエネルギーを得る方法のこと。

[編集] 説明

原子核変換原子核崩壊原子核反応に分類され、また原子核反応は原子核融合反応および原子核分裂反応に分類される。

原子核反応により発生するエネルギーは、化石燃料の燃焼などの化学反応により発生するエネルギーに比べて桁違いに大きく、エネルギー資源として有用とされている。

しかし、原子力の利用により、放射線、放射線を放出する能力(放射能)を持った物質(放射性物質放射性廃棄物)が発生する。放射線は、その量や強さに応じて生物に対して悪影響を与える(放射線障害と呼ぶ)ため、これを適切に防護(放射線防護と呼ぶ)する必要がある。放射線防護についての国際的な研究機関としてはICRPがある。

また原子力の利用目的には、平和利用および軍事利用がある。平和利用としては原子力発電所があり、軍事利用としては核兵器がある。原子力の利用目的を平和利用に限るための国際機関としてIAEAがある。

[編集] 歴史など

1999年には世界の発電所で425基の原子炉が稼動し、年間で35,943万kW年の電力が発電された。この他にも原子力空母原子力潜水艦で動力用原子炉が使用されている。2003年には日本の発電所では52基の原子炉が稼動し、年間で3,357万kW年の電力が発電された。これまでの原子爆弾の使用実績は2発であるが、2003年の世界の原子爆弾保有数は約3万発である。

核融合発電の実用化は100年後とされている。

[編集] 原子力発電の社会的側面

原子力の技術には長所と短所が数多くあり、人によりどの点を重要視するかによって肯定的な立場や否定的な立場をとる。2000年前後の時点で日本人は肯定する人と反対する人の割合に大きな偏りはないとされるが、しかし圧倒的に大多数の人が無関心である。関心を持つ人の間ではしばしば、原子力技術の将来の発展性、大事故の可能性、など科学的な評価の難しい論点が取り上げられ、事実よりはむしろ想像に基づく議論が展開される。

原子力に対する肯定、否定の態度は最初に原子力の情報に触れた時に得た印象で方向付けられる傾向があるとされる。しかし原子力に関するほとんどの情報は肯定否定いずれかの立場で活動する者から発信されているので初学者は注意が必要である。

国家レベルの政策決定の問題としては、多くの先進国で推進派と撤退派の対立が激化している。原子力政策の議論では原子力産業という経済的な側面や安全性に関する技術的な側面だけではなく、エネルギー保障軍事保障といった政治的な側面も同時に勘案する必要があり、国によって事情が異なる。近年ではさらに環境問題資源問題といった新しい論点も加わり、これらが混乱を深めている。いずれにしても政策決定は様々な側面のトレードオフ問題なので万人が納得できる結論はないと考えられる。また不確実性の下での意思決定問題なので失策の可能性は常に存在する。

日本の場合、原子力発電所の立地地域と電力の消費地域が地方と都市部に分極しているので、原子力災害のリスクに曝露される人と原子力の受益者が一致していない。この差を是正するために電源三法交付金制度のような行政上の措置がとられているが、公平性の不十分さと制度整備の不十分さが社会的なひずみを生じさせている。一方で原子力は産業としてそれ自体が地域経済を活性化する効果もある。

なお1980年代までは、通産省(当時)、電力会社とも、「原子力発電は、あらゆる安全対策を採っているので絶対安全」というスタンスで国民に対して説明していたが、90年代に入り、美浜原発もんじゅの事故などが発生し、最近ではそういう論調での説明はされなくなっている。また電力会社による相次ぐ事故隠し、文書改ざんなどにより原子力に対する信頼は揺らいでいる。

[編集] 雑学

日本語では「原子力」と「」という2つの類似の概念を動力用、兵器用といった文脈で使い分けることがある。英語では、「原子力」を「atomic energy」、「核」を「nuclear power」と呼ぶが、動力用・兵器用という区別ではない。

不安定な原子核である不安定核種の、核壊変と呼ばれる長期持続的で小規模な核反応による発熱から電力を得る原子力電池というデバイスが人工衛星や離島の灯台などに用いられており、これも原子力の一種である。

不安定核種はすなわち放射性物質であり、打ち上げの途中で失敗すると上空から放射性物質をばら撒くことになるので人工衛星への搭載は民間では積極的には行われない。

しかしながら、軍用衛星では事情が異なる。特に電力を使う軍用衛星はレーダー衛星である。レーダーを照射し、地形・高度・森林中の構造物・地下構造物・潜水艦などを発見する。運用効率の問題などから、太陽電池では全く電力不足になるため原子力電池(又は原子炉)を使う。特に旧ソ連のコスモス・シリーズでは原子炉搭載型が多かった。問題は軍用偵察衛星の高度が低いことである。空気抵抗が大きく落下しがちなので姿勢制御用の燃料を大量に消費する。また姿勢制御自体が難しい。そのため落下の危険が大きい。実際に何基か落ち放射性物質をばらまいている(コスモスに関する米国の発表)。それを防ぐためには、寿命が来たら燃料を噴射して、何万年も落ちてこない遠くの軌道に移している。


発電以外の利用では原子力推進が研究されている。

これはまず、アメリカ合衆国空軍で原子力飛行機という技術が考案されていた。原子力飛行機NB-36Hによる原子力搭載前飛行実験が行なわれたが開発は見送られた。

平和利用としてはNASAで核分裂反応を利用するNERVA(Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)計画でロケット飛翔体応用原子力エンジン(原子力ロケット)という技術が考案されていた。原子力ロケットは燃焼実験(核反応でも燃焼と言う)も行われていた。原子力ロケットの発展系である核融合ロケットを用いた場合、試算では太陽系の隣の恒星であるアルファ・ケンタウリまで37年で行けるらしい。SFレベルでは核融合反応を利用した核融合ロケットも考案されており、アーサー・C・クラークの小説『2001年宇宙の旅』に登場する。

地球が誕生してから46億年が経過した現在でも地球内部が高温であるのは、地球を構成する物質に含まれる不安定核種が核壊変による発熱を続けているからである。地球にある水素以外の物質は、地球誕生以前にこの周辺に存在した恒星の核反応の後の燃えカスである。美しく言えば原子力の利用は星くずを集めて残り火にあたる営みである。汚く言えば地球は大きな放射性廃棄物である。

鉄腕アトムはその名の通り原子力(後に核融合)で動いている。あのボディに小型の原子炉を搭載している。エイトマンも。ガンダムも小型核融合炉を搭載している。ドラえもんは食べた物を体内の原子炉で分解してエネルギーとしている。

[編集] 関連項目

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