アルファ粒子

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手前から奥に向かう磁場の中では、正の電荷を持つアルファ粒子は図のように回転運動する
ベータ線の実態である電子ガンマ線と異なり、ヘリウム4の原子核であるアルファ粒子は一枚の紙すら通過できない。
原子核がアルファ崩壊してアルファ粒子を放出している

アルファ粒子(アルファりゅうし、α粒子、: alpha particle)は、高い運動エネルギーを持つヘリウム4原子核である。陽子2個と中性子2個からなる。放射線の一種のアルファ線(α線、: alpha ray)は、アルファ粒子の流れである。

固有の粒子記号は持たず、ヘリウム4の2価陽イオンとして He2+(より厳密には 4He2+)と表される。

性質[編集]

アルファ粒子は不安定核アルファ崩壊にともなって放出される。+2の電荷を帯びており、ローレンツ力によって電場磁場で屈曲される。

α線の速さは核種によって違うが、おおむね1.5~2.0×107m/s(秒速1万5000キロから2万キロ)程度である[1]。光速は2.99792458×108m/sであるので、α線の速さは光速の数%程度にも達するということになる。

電離作用が強いので透過力は小さく、紙や数cmの空気層で止められる。しかし、その電離作用の強さのため、アルファ線を出す物質を体内に取り込んだ場合の内部被曝には十分注意しなければならない。

検出[編集]

アルファ粒子を観測するには、電離作用が利用される場合が多く、古典的には帯電した箔検電器ガイガーカウンター霧箱などが利用されたが、近年はシンチレーション検出器などが利用される場合が多い。ガイガーミュラー管の場合はマイカ窓式のもの、シンチレーション検出器の場合測定部位には硫化亜鉛がよく用いられる[2]

用途[編集]

アルファ粒子は蛍光物質を励起するので、ごく微量のアルファ線源を添加した蛍光物質は夜光塗料として利用される場合もある。

また、アルファ粒子のイオン化作用を利用するために、分析化学機器の検出器にアルファ線源を利用するものも多い。キャンプ用のランタンに微量のトリウムを含有させて、イオン化により炎を安定化させる利用法もある。

関連記事[編集]

出典[編集]

  1. ^ 渡辺久夫 (2003). 親切な物理 (下). 復刊ドットコム. p. 378. ISBN 978-4-83-544069-9. 
  2. ^ α線検出器メーカーのサイト(英文)