MOX燃料

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MOX燃料(モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、原子炉使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウム再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めたものである[1]

主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、既存の軽水炉燃料ペレットと同一の形状に加工し、核設計を行ったうえで適正な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル利用と呼ぶ。

MOXとは(Mixed OXide 「混合された酸化物」の意)の頭文字を採ったものである。

特徴[編集]

プルサーマル用に加工することにより、既存の原子力発電所にそのまま搭載でき、普通の燃料と比べ、高出力である。クリープ速度が速いため、PCMI(核燃料と被覆管の間の相互作用)の影響が緩和される。

また、使用済み核燃料からプルトニウムを抜かずに埋めるワンススルーだと、プルトニウムを垂れ流したも同然となり、「今まで何のためにプルトニウムを封じ込めてきたのか判らない状態」になる。そのため、半減期数万年のプルトニウムを、使用済み核燃料から抽出除去し、普通の原子炉である軽水炉で焼却(核分裂)させて、半減期30年前後の灰(核分裂生成物)に変換し、プルトニウム消滅させる手段として、プルトニウムと劣化ウランの混合焼結燃料が考案された。

利点[編集]

もしワンススルーにするならば使用済み核燃料は数万年間にわたる管理期間が必要だが、使用済み核燃料から、再処理・群分離で、プルトニウムを含む超長半減期核種を分別抽出し、MOXで核分裂させてしまえば半減期30年の核分裂生成物に変換できる。

問題点[編集]

作業員への被ばくの危険性[編集]

ウラン新燃料に比べ放射能が高い(特にアルファ線、中性子線が著しく高い)ため、燃料の製造については遠隔操作化を行い、作業員の不要な被曝に十分配慮して行う必要がある。

再処理の困難[編集]

二酸化ウラン中に二酸化プルトニウムを混ぜることにより、燃料の融点が上がるが、熱伝導率が下がり、電気抵抗率が上がり、これにより燃料温度が高くなり溶けやすくなる。(尚、酸化物燃料ではなくプルトニウム・ウラン窒化物燃料にすると、ウラン酸化物燃料より熱伝導は大幅に改善する)核分裂生成物が貴金属側により、またプルトニウム自体もウランよりも硝酸に溶解しにくいため、再処理が難しい。

管理の問題[編集]

FPガスとアルファ線(ヘリウム、ガス状)の放出が多いため、燃料棒内の圧力が高くなる。性質の違うウランとプルトニウムをできる限り均一に混ぜるべきであるが、どうしてもプルトニウムスポット(プルトニウムの塊)が生じてしまう。国は基準を設けて制限しているが、使用するペレット自体を検査して確認することはできない。

搭載実施状況[編集]

新型転換炉への搭載[編集]

  • ふげん(実験を終了し、現在は廃炉)

高速増殖炉への搭載[編集]

少量で試験運転を実施した軽水炉[編集]

少数体のMOX燃料の健全性を確認する試験運転を、1986年1995年に行っている。

今後、本格的に搭載される軽水炉[編集]

搭載が計画されている軽水炉[編集]

プルサーマル計画の遍歴[編集]

軽水炉濃縮ウランの代わりにMOX燃料を使用するプルサーマル計画は、当初予定よりも十年以上遅れている。

関連用語[編集]

参考文献[編集]

  • 小林圭二・西尾漠『プルトニウム発電の恐怖』創史社

外部リンク[編集]

脚注[編集]

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