核分裂反応

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原子核物理学
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放射性崩壊
核分裂反応
原子核融合
核分裂反応 中性子を吸収したウラン235が、クリプトン92とバリウム141に分裂した例。この分裂の際、平均2 - 3個の高速中性子が放出される。この中性子が別のウラン235に再び吸収され、新たな核分裂反応を引き起こすことを核分裂連鎖反応という。
この連鎖反応をゆっくりと進行させ、持続的にエネルギーを取り出すことに成功したのが原子炉である。一方、この連鎖反応を高速で進行させ、膨大なエネルギーを一瞬のうちに取り出すのが原子爆弾である。

核分裂反応(かくぶんれつはんのう、英語:nuclear fission)とは、不安定核(重い原子核陽子過剰核中性子過剰核など)が分裂してより軽い元素を二つ以上作る反応のことを指す。発見者はオットー・ハーン

不安定核は主に次の3つの過程を経て別の原子核に変わる。

  1. 電子もしくは陽電子を放出して僅かに軽い核になる。
  2. He核(アルファ粒子)を放出して少し軽い核になる。
  3. He核より重い大きな核(重荷電粒子線)を一つ以上放出してかなり軽い核になる。

このうち 1, 2 は一般には原子核崩壊(それぞれベータ崩壊アルファ崩壊)といい、この核崩壊を起こす原子核は放射線を出す能力を持つ(放射能)。原子核分裂というと 2, 3 になるが、一般的には 3 の事を指す事が多い。

核分裂性物質の原子核が中性子を吸収すると、一定の割合で3の過程で核分裂を起こし、合わせて中性子を放出する。この中性子が別の核分裂性物質の原子核に吸収されれば連鎖反応が起こる。また、この崩壊過程は発熱反応である。この連鎖反応と発熱反応の性質を利用して一度に大量のを生成する事が出来る。これが原子力発電原爆の基本原理である。

目次

[編集] ウラン原子の核分裂

天然ウランには、核分裂を簡単に起こすウラン235と起こさないウラン234、ウラン238が含まれている。ウラン235に中性子を一つ吸収させると、ウラン原子は大変不安定になり、二つの原子核と幾つかの高速中性子に分裂する。

代表的な核分裂反応としては下記のようなものがある。

{}^{235}{\rm U} + {\rm n} \rightarrow {}^{95}{\rm Y} + {}^{139}{\rm I} + 2{\rm n}

イットリウム95 とヨウ素139 が生成されるが、上式で元素記号の左肩に示した質量数原子核の中に存在する陽子中性子の和であり、右辺と左辺の核子数は等しいことがわかる。しかし、実際の原子核の質量は一般に陽子と中性子の質量の総和よりも小さい。この質量差を質量欠損と呼ぶ。質量欠損の実体は、特殊相対性理論の帰結である質量とエネルギーの等価性 E=mc^{2} で質量に換算される原子核内部の核子の結合エネルギーに他ならない。よって、分裂前と分裂後の質量の差は結合エネルギーの差であり、核分裂を起こすとこの質量の差に相当するエネルギーが外部に放出される。上記の過程の質量差をエネルギーに換算すると、ウランの核分裂反応で放出されるエネルギーはウラン原子一つあたり約200MeVとなり、ジュールJに換算すると3.2×10-11Jとなる。1グラムのウラン235の中には、2.56×1021個の原子核を含むので、1グラムのウラン235が全て核分裂を起こすとおよそ8.2×1010Jのエネルギーが生まれる事になる。

このウラン235は、天然ウランに0.72%、原子炉で使用するウラン燃料に3% - 5%、原子爆弾に使用する高濃縮ウランには90%以上がそれぞれ含まれている。

[編集] 核分裂生成物

核分裂の過程で原子核が分裂してできた核種を核分裂生成物という。核分裂片ともいう。 通常は二等分になることはなく、一方が重く(質量数140程度)、一方は軽い(95程度)核になる。これは、分裂するときに魔法数(まほうすう)に近い安定な原子核になろうとするためだと解釈されている。

核分裂生成物がどの核種になるかはある確率で決まる。この確率を収率という。核分裂する核種によって異なる収率分布をもっているので、核分裂生成物を分析すれば核反応を起こした親核種が判る。

核分裂生成物は様々な核種の混合物であるが、総じて陽子数と中性子数との均衡を欠いており放射能を持つ。これらの放射性同位体は、陽子と中性子の均衡が保てるところまで放射壊変(主にベータ崩壊)を繰り返す。

核分裂生成物の中には中性子を良く吸収してしまう物質が含まれる。このような物質は、原子炉に蓄積して核分裂連鎖反応を阻害してしまうため、毒に例えて中性子毒あるいは単に毒物質と呼ばれる。原子炉を停止したり出力を変えた場合、放射性の毒物質の存在量は時間とともに変化するため、原子炉の挙動を不安定にしてしまう要因となる。

これらの崩壊速度は様々で、数秒から数ヶ月でほぼ崩壊しつくす短寿命の核種、100年単位の中寿命の核種、そして半減期すら20万年を超える長寿命の核種がある。 短・中寿命核種は盛んに放射線を放って崩壊するため少量でも放射能が大きく、例えば1945年原子爆弾で攻撃された広島市長崎市では、被爆者だけでなく家族や知人の行方を捜すため爆心地周辺に後日立ち入った人々が重篤な放射線障害を受けている。

一方、長寿命核種は放射能は小さいが、原子炉の使用済み核燃料のように大量に存在すると、人間社会の尺度では半永久的に放射線を放ち続けるやっかいな廃棄物となり、半減期の数倍から数十倍(つまり100万年単位)の期間、厳重に遮蔽して保管し続けなければならない。

ウラン235の核分裂による主な核分裂生成物
生成物 収率 半減期 特記
セシウム133 6.79% 安定 一部は中性子捕獲により半減期約2年のセシウム134になる
ヨウ素135 6.33% 6.57h 崩壊で生成するキセノン135は原子炉でもっとも主要な毒物質で10-50%が中性子獲得によりキセノン136になり、残りは半減期9.14hでセシウム135になる。
ジルコニウム93 6.30% 1.53My
セシウム137 6.09% 30.17y
テクネチウム99 6.05% 211ky
ストロンチウム90 5.75% 28.9y
ヨウ素131 2.83% 8.02d
プロメチウム147 2.27% 2.62y
サマリウム149 1.09% 安定 主要な毒物質のひとつ
ヨウ素129 0.66% 15.7My

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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