原子力発電
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原子力発電(げんしりょくはつでん)とは、原子核反応時に出るエネルギーを利用した発電。ここでは地上の核分裂を利用した主に商業用の原子力発電について説明する。
- 原子力発電の施設に関しては原子力発電所を参照
- 核分裂反応を安全に維持する装置については原子炉を参照
- 核融合炉に関しては核融合炉・原子核融合・トカマク型・ヘリカル型・レーザー核融合を参照
- 軍用の推進機関としての原子炉については原子力空母、原子力潜水艦、原子力船を参照
- 宇宙での核反応を使った発電については原子力電池を参照
目次 |
[編集] 原子力発電とは何か
[編集] 総説
原子力とは、原子核反応により得られるエネルギー(核エネルギー)のことである。原子核反応には核分裂反応と核融合反応の二種類の反応があるが、現在原子力エネルギーとして実用化されているのは核分裂反応のみであり、そのため、単に「原子力発電」と言う場合には核分裂反応のエネルギーを用いた発電方法を指す。
原子力発電には、大きく分けて三つの要素が必要である。核分裂反応を起こす元となる核燃料、核分裂反応を起こさせる原子炉、そして原子炉から取りだした熱で発電を行う発電施設である。
核燃料は、天然鉱石である閃ウラン鉱から作られる。閃ウラン鉱に含まれるウランの放射性同位体であるウラン235は、容易に核分裂反応を起こすため、原子力発電に用いられている。しかしこの中にはウラン235が0.7%程度しか含まれていないため、21世紀初頭現在の一般的な原子炉で核燃料として利用するには、ウラン濃縮工程とよばれるウラン235の濃縮作業が必要となる。
核分裂反応とは、何らかの要因で中性子を捕捉した原子が2つないしそれ以上に分裂することをいう。このとき、その原子は中性子を放出することがある。そして放出された中性子がまた別の原子に捕捉され、さらにまたその原子が分裂を起こし、そしてそこからまた中性子が放出され…、という連鎖反応が起きることがある。こうした連鎖反応により核分裂反応が持続している状態を臨界と呼ぶ。原子炉において初めて臨界が達成された時を初臨界といい、これはその原子炉が実際に稼働した最初の時とされる。
原子には、中性子を捕捉して分裂するものと、捕捉しても分裂しないものがあることが知られている。分裂するものとして代表的なものは、ウラン235、プルトニウム239である。しかし、プルトニウム239は天然にはごく微量しか存在しないため、核燃料としてはウラン235が使われる。また、分裂しないものとしては、ウラン238が知られている。しかしウラン238は、中性子を捕捉することによってプルトニウム239に転換でき、核燃料として使用することができる。このことから、ウラン238に人為的に中性子を当て、プルトニウム239を生産することが考えられた。これを核燃料サイクルといい、プルトニウムの生産に使われる原子炉を高速増殖炉という。
原子力発電における核分裂反応において必要なことは、核分裂反応を制御することである。核分裂反応の制御とは、開始、持続(臨界)、そして停止である。原子力発電においては、これらが自由に制御されなければならない。この、核分裂反応を制御できるということが、原子力発電と原子爆弾を分ける大きな違いである。
原子力発電に使用される原子炉には様々な種類がある。原子炉の種類は、減速材と呼ばれる中性子の制御を行う素材と、冷却材と呼ばれる原子炉から熱を運び出す素材の二つによって分類される。減速材としては、黒鉛、重水、軽水[1]などがある。冷却材としては、炭酸ガスや窒素ガスなどのガス、重水、軽水などがある。現在一般的な商用原子力発電では、減速材、冷却材のどちらとも軽水を使用している。これは軽水炉と呼ばれる。
原子力発電で一般的に使用されている軽水炉はさらに二種類に分けられる。沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)である。
原子力発電は、核分裂反応で発生する熱を使って水を沸騰させ、その蒸気で蒸気タービンを回すことで発電機を回して発電する。一方、火力発電では石油や石炭、液化天然ガスといった化石燃料を燃やして熱を作り出して蒸気を発生させ、発電を行っている。つまり、原子力発電と火力発電では、発生した蒸気でタービンを回し発電機で発電するという点で、同じ仕組みを利用しているといえる。
原子力発電所の象徴として、冷却塔の写真が使われることが多いが、これは発電に使用できなかった余りの熱を外部へ水蒸気として排出するためのものである。蒸気による発電では、熱力学第二法則により、発生した熱のすべてを発電に利用することは出来ず、必ずある程度の廃熱が発生してしまうことが分かっている。冷却塔はその廃熱を処理するためのものである[2]。
なお、21世紀初頭現在の原子力発電における熱効率はおよそ30%程度である。これは、原子力発電では、発生した熱の30%程度しか発電に利用することができず、残りはすべて廃熱としなければならないということである。
冷却塔は原子力発電所以外にも設置されることがあるが、その多くは原子力発電所に設置されている。発電にともなって発生する熱量が非常に大きく、その分だけ比較的巨大な廃熱施設が必要となるためである。なお、一部の原子力発電所は海や川のそばに建設し、熱を温水の形で海や川に排出することで冷却塔を省いている。日本国内の原子力発電所は全てこのようにして冷却塔の必要がない構造となっている。
[編集] 原子力発電プラントの基本要素(PWR)
汽力発電の一種である原子力発電も原理はランキンサイクルであるため、作動流体である冷却材のサイクルを形成する4要素が中心となる。
原子炉(炉心、燃料棒集合体、制御棒)、蒸気タービン、復水器、ポンプ
またこのほかに補助的な役割を果たす多くの機器や設備が必要となる。
発電機、変圧器、送電線、発電機建屋、圧力容器、格納容器、燃料交換装置とクレーン、原子炉建屋、一次冷却水配管系、二次冷却水配管系、緊急炉心冷却装置、熱交換器、加圧器、非常用ポンプ、非常用発電機、燃料プール、センサー類、冷却水フィルター、空気フィルター、各種圧力逃がし弁、復水器冷却水系設備、コントロールルームと操作機器・記録装置類・通信機器類、消火装置、放射性管理区画ゲート等
原子力発電プラントで特徴的な設備は気体・液体・固体の放射性廃棄物処理設備や放射線を検出するための環境センサー類、放射線管理区域の出入りを管理する設備である。
[編集] 火力発電所との違い
一般的には、わかりやすく「原子力発電所でも火力発電所でも、蒸気タービンによる発電方式ということでは同じである」と説明されることがある。しかし、詳細には以下の点で違いがある。
- 蒸気の違い
タービンを回す蒸気が原子力発電所では 280-290度、6.9MP であり、火力発電所の蒸気の 600-610度、31MP よりも温度・圧力が低く設計されている。そのため火力発電に比べて熱効率が劣ってしまう。
- 蒸気の温度と圧力を低く設計しなければならない理由は、核燃料棒の被覆に使われているジルコニウムが比較的高温に弱いために一次冷却水を高温には出来ないためである。
- 火力発電所では超臨界流体である超臨界蒸気が使用されている。超臨界流体とは、液体の性質と気体の性質を持った非常に濃厚な蒸気であり、熱を効率良く運ぶことが出来るが高温高圧状態が必要なため、原子力発電ではこれを利用することはできない。
- タービンの違い
原子力用タービンの回転数は1500rpm又は1800rpmであるが、火力用タービンは3000rpm又は3600rpmである。
熱力学第二法則により、熱効率は入出力の温度差によって決まることが分かっている。そのため、熱効率を上げるには発電に使用する蒸気の温度を高くすることが必要である[3]が、以上のように原子力発電では蒸気の温度を上げることには限界があり、現在以上に熱効率を上げることがほとんど不可能となっている。これは火力発電と比べて不利な点である。
[編集] 原子力発電の歴史
史上初の原子力発電は、1951年、アメリカの高速増殖炉EBR-Iで行われたものである。このときに発電された量は、200ワットの電球を4個灯しただけであった。
本格的に原子力発電への道が開かれることとなったのは、1953年12月8日にアイゼンハワー大統領が国連総会で行った原子力平和利用に関する提案、"Atoms for Peace"がその起点とされている。これは、従来核兵器だけに使用されてきた核の力を、原子力発電という平和利用に向けるという大きな政策転換であった。
アメリカではこの政策転換を受け、1954年に原子力エネルギー法が修正され、アメリカ原子力委員会(AEC)が原子力開発の推進と規制の両方を担当することとなった。
1954年6月27日、ソ連(当時)のオブニンスク原子力発電所が、実用としては世界初の原子力発電所として発電を開始し、5MWの発電を行った。
1955年に、科学者と技術者の集会としては世界最大となる国連のジュネーブ会議が開催され、原子力技術の発展について討議した。
1956年に、世界最初の商用原子力発電所としてイギリスセラフィールドのコルダーホール発電所が完成した。出力は50MWであった。アメリカでの最初の商用原子力発電所は、1957年12月にペンシルベニアに完成したシッピングポート原子力発電所である。
1957年にはEEC諸国によりユーラトム(EURATOM)が発足した。同年に国際原子力機関(IAEA)も発足した。
原子力発電初期のキャッチフレーズは、"Too cheap To meter"であった。これは、『原子力発電で作った電気はあまりに安すぎるので、計量する必要がないほどだ』、という意味である。原子力発電はそれだけ安く大量に電気を供給できるものと期待されていた。
しかし現実はそうではなかった。最大の原因は1973年に発生した第一次石油危機以降の建設費の高騰である。原子力発電は他の発電に比べて設備費の割合が非常に大きいため、建設費が高騰するとその影響がより大きくなってしまった。
この建設費の高騰のため、アメリカでは1974年以降原子力発電の開発がストップした。原子力発電のコストが、石炭火力発電のコストより高くなったためである。[4]この年に建設を予定されていた原子炉は74基(うち着工済みは28基)あったが、すべて中止された。[5] なお、一部には、この建設費高騰は過剰な安全設備によるものとして批判する者もある。
また同年には、アメリカ原子力委員会(AEC)が推進と規制の両方を担当する事への批判から、AECを廃止し、推進をエネルギー研究開発管理部(ERDA、後にエネルギー省)、規制を原子力規制委員会(NRC)に分割することとなった。
1977年、アメリカでは民主党のカーター政権が誕生した。カーター政権は1977年4月に核拡散防止を目的としてプルトニウムの利用を凍結する政策を発表した。これによりアメリカでは高速増殖炉の開発が中止され、核燃料サイクルが中止された。これ以降アメリカでは核燃料は再処理されず、基本的にワンススルー利用されるものとなった。この政策は、日本の原子力政策にも大きな影響を与えることとなった。
1979年3月28日、スリーマイル島原子力発電所事故が発生した。この事故は、アメリカのみならず世界の原子力業界に大きな打撃を与えることとなった。特にこの事故は、ちょうど事故の直前にまるでこの事故を予言していたかのようなチャイナ・シンドロームという映画が封切られており、より一層大きな影響を与えることとなった。
[編集] 日本における原子力発電の歴史
日本における原子力発電は、1954年3月に当時改進党に所属していた中曽根康弘、稲葉修、齋藤憲三、川崎秀二により原子力研究開発予算が国会に提出されたことがその起点とされている。この時の予算2億3500万円は、ウラン235にちなんだものであった[6]。
1955年12月19日に原子力基本法が成立し、原子力利用の大綱が定められた。この時に定められた方針が「民主・自主・公開」[7]であった。そして基本法成立を受けて1956年1月1日に原子力委員会が設置された。初代の委員長は読売新聞社社主でもあった正力松太郎である。正力は翌1957年4月29日に『原子力平和利用懇談会』を立ち上げ、さらに同年5月19日に発足した科学技術庁の初代長官となり、原子力の日本への導入に大きな影響力を発揮した。このことから正力は、日本の「原子力の父」とも呼ばれている。
1956年6月に日本原子力研究所(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)が特殊法人として設立され、研究所が茨城県東海村に設置された。これ以降東海村は日本の原子力研究の中心地となっていく。
1957年11月1日には、電気事業連合会加盟の9電力会社[8]および電源開発の出資により日本原子力発電株式会社が設立された。
日本で最初の原子力発電が行われたのは1963年10月26日で、東海村に建設された実験炉であるJPDRが初発電を行った。これを記念して毎年10月26日は原子力の日となっている。
日本に初めて導入された商用発電炉は同じく東海村に建設された。運営主体は日本原子力発電である。原子炉の種類は世界最初に実用化された英国製のガス冷却炉であった。しかし経済性等の問題によりガス冷却炉はこれ1基にとどまり、後に導入される商用発電炉はすべて軽水炉であった。
[編集] 原子力発電の現状
[編集] 世界のエネルギー消費と原子力発電
2004年の実績では、原子力発電によって世界中のエネルギーの3.5%、世界中の電力の15.7%が供給されており、米国、日本、フランスで世界中の原子力による電力の57%が発電されている。[9]
2007年には、国際原子力機関 (IAEA) は世界中で435基の原子力動力炉が31か国で運転されている[10]と報告している。[11] [10]
米国は最も多くのエネルギーを原子力によって生産しており、原子力発電によって総電力の20%をまかなっている。フランスにいたっては、発電量に占める原子力発電の割合が世界で最も高いウェートを示しており、2006年の実績では80%もの電気エネルギーを原子炉から得ている。[12][13] 欧州連合 (EU) 全体では、電力の30%を核エネルギーから得ている。 [14]
原子力政策はEU加盟の各国によって違いがあるが、いくつかのEU加盟国やオーストラリア、アイルランドなどの国では稼動中の原子力発電所は存在しない。反対にフランスでは59基もの原発が稼動しており、火力を含めた総発電量の18%をイタリア、イギリス、ドイツに輸出している。[15][16]
原子力エネルギーが高い割合を占める国では、原子力発電は発電出力の変更を行わないか極めて遅いため、調整力として揚水発電や電力輸出入を活用している事が多い。フランスの場合でも、ヨーロッパに張り巡らされた送電網、特に隣国ドイツとの電力輸出入が活用されている。
発電以外の原子力エネルギーの利用としては、複数国の軍隊の空母や潜水艦などや、旧ソ連の砕氷船にて、原子力推進を利用している。これらは原子力船と呼ばれる。
また、将来への研究として、「本質的に安全な原子力発電プラント」(en:Passive nuclear safety)や核融合炉の開発、高温電気分解(High-temperature electrolysis、HTE または steam electrolysis)による海水淡水化、地域の暖房供給などの研究が現在も世界各国で続けられている。
[編集] 原子力発電の今後
現在、世界的には二つの流れがある。すなわちエネルギー源としての原子力の利用を削減・廃止していこうとする流れと、エネルギー源としての原子力の利用を今後も追究していこうとする流れである。前者の立場に立つ主な国としてスウェーデン、ベルギー、ドイツなどが挙げられる。イタリアは1987年に原子力発電からの脱却が政策化されたが、2007年には国際原子力パートナーシップへの参加を表明するなど、その政策は不明瞭である。詳しくは原子力撤廃の項を参照されたい。
一方、アメリカは2006年に輸入化石燃料への依存量を減らすなど幾つかの目的を持つ新しいエネルギー政策「国際原子力パートナーシップ(Global Nuclear Energy Partnership、GNEP)」を発表。日本、フランス、中国、ロシアなどとの協力によってこの政策を推進してゆくことを発表した。2007年にはオーストラリア、ブルガリア、ガーナ、ハンガリー、ヨルダン、カザフスタン、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロヴェニア、ウクライナ、イタリア、カナダ、韓国がこの計画への参加を表明している。この計画の中心となるのは核燃料サイクルと高速中性子炉などの第4世代原子炉である。詳細は国際原子力パートナーシップの項を参照されたい。
[編集] 日本の現状
21世紀初頭現在の日本では経済性や安全性から軽水炉の2つのタイプ、沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)が使われている。現在、沸騰水型原子炉は、米ゼネラルエレクトリック(GE)の技術を導入した東芝と日立製作所で製造されており、加圧水型原子炉は米ウエスチングハウス(WH)の技術を導入した三菱重工業で製造されている。しかし、2006年に東芝がウエスチングハウスを買収することで業界再編が進んでいる。
日本の原子力発電は需要に合わせた電気出力の増減(負荷追従運転)は行わず、常時一定の電力供給を専門としている。これはチェルノブイリ原子力発電所の重大事故のもともとのきっかけが負荷追従運転の実験にあった点が影響していると言われている。[[1]] 夜間などの電力が余る時間帯の原子力発電電力を揚水発電所へ送って、上のダムへと水をくみ上げ昼間の発電に備える工夫も行っているが、負荷追従運転が出来ないのは経済性からいえば無駄である。現在フランスでは商用原子炉で負荷追従運転が認可されている。
増え続ける使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの処分方法とウラニウムの輸入量を減らすための解決策として、高速増殖炉計画が推進されていたが、技術的な困難さのために計画は頓挫した。現在はMOX燃料によるプルサーマル計画が進められているが、これには賛否両論が存在している。
2004年現在、日本における定格最大出力電力の約30%、電力量の約50%を担っている。一次エネルギーとしての原子力エネルギーは電力事業のみであり、日本での一次エネルギーに対する割合は15%程度となっている。
[編集] 原子力発電に関する諸議論
[編集] 利点
現行の原子力発電の利点として、以下の諸点が挙げられている。
- 地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない
- 酸性雨や光化学スモッグなど大気汚染の原因とされる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を排出しない
- 使用する燃料の重量・体積が化石燃料型の発電に比べて極端に少なくて済む
- 核燃料の交換頻度が低い事や核燃料物質の国際的な入手ルート・価格がほぼ確立し安定している為に、化石燃料型の発電に比べて相対的に安定した電力供給が期待できる
- 経済性が高い(発電量当りの単価が安い)とされている。(ただし、この場合廃炉や放射性廃棄物の半永久管理に関するコスト(現状では見積もり不能)は考慮されていない)
- 化石燃料資源の乏しい国でも比較的少量の核燃料を繰り返し使用する再処理技術(=核燃料サイクル)の確立により核燃料物質の入手に関わる制約が圧倒的に緩和できる
- 技術力のあることが国際的にアピールできる
- 優秀な原発技術は海外へ売り込むことができる。
- 海水からのウラン採取が実現すれば燃料はさらに豊富となる
- 原子力発電所ができると、地元には一定の雇用が期待できるほか、電源立地地域対策交付金などの電源三法交付金、固定資産税、法人税などの税収も確保できる。
[編集] 問題点
現行の原子力発電には以下の問題点が指摘されている。
- 原子力発電所の稼動中に発生する放射線への対処が難しい。
- 炉の運転に伴い発生する中性子線やガンマ線が、発電施設で働く作業者の健康にとって有害となる可能性がある。また、放射化した設備が放出するガンマ線への対処も問題となる。
- 原子力発電所内の作業者は、膨大な熱量による危険にも晒されている。
- 過去の原子力事故では被曝による生命の危機以前に熱死や焼死したケースもある。
- 重大事故が発生すると周辺環境に多大な被害を与え、その影響は地球規模に及ぶ(国土が狭い日本において、一旦チェルノブイリ級の事故が発生した場合、放射性物質による国土の汚染は日本国内の非常に広範囲に及ぶ)
- 放射性物質であり生物化学的な毒性もある放射性廃棄物が発生する。
- 放射性廃棄物の処分問題
- 原子炉の廃用に伴う諸問題
- 原子炉の解体処分は困難な問題であり、解体出来ても出来なくても長期にわたり電力を生まなくなった原子炉を維持管理しなければいけないが、今後半永久的に発生する廃炉や放射性廃棄物の永続的な維持管理コストについて信頼できる費用見積もりがなく、我々の子孫にそれらコストを付け回しているという点でも問題を抱えている。
- 原子力発電所の解体に必要な費用については、総合エネルギー調査会原子力部会の平成9年の原子力安全委員会月報によると、110万kW級原子力発電施設を解体した場合に発生する約50万トン~55万トンの廃棄物のうち、放射性廃棄物として適切な処理が必要な廃棄物はわずか1万トン前後で(総廃棄物の3%以下。すべて低レベル放射性廃棄物として処分可能と想定)、残りの97%以上(コンクリートや鋼材など約49~53万トン)はビル解体等の廃棄物と同様の扱いの一般産業廃棄物として処分可能と想定[[2]]。国内原子炉についてはそれら試算に基づいて廃炉費用の積み立てを1987年3月より「原子力発電施設解体引当金」として行っているが、電気事業連合会は、国内55基の原子力発電所の解体費用が、これまでの想定より、原子炉解体によりコンクリートや金属片などの放射性廃棄物が大量に発生するなどの理由で、想定してきた約2兆6000億円から約2兆9000億円に膨らむとの試算を2007年2月8日に経済産業省に示している。なお、すでに廃止措置が決まり、現在解体作業が進行している米国初期の原子炉であるメーンヤンキー原発では、コンクリートや原子炉構造物など廃棄物の半分が放射能を帯びている[[3]]結果となっており、2010年頃から徐々に本格化する、国内原子炉の原子炉老朽化による廃炉に伴う費用予測がそもそも正しい想定に基づいて試算が行われているのか疑わしいという意見もある。
- 高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決定していない。
- 発電施設および核廃棄物へのテロの危険
- ウラン資源の可採埋蔵量に由来する資源枯渇問題
- 地殻中のウラン235のみの利用を考えた場合、資源がそれほど豊富なわけではない。また、需要が多い中国などに海外での輸入の買い負けが指摘されている
- 軍事転用の問題
- 起動停止の所要時間が長い(通常停止)
- 炉の特性上、通常は負荷追従運転を行わない(日本の場合)
- 運転停止による損失が非常に大きく、運転率を極めて高い水準に維持し続ける必要があるため、夜間電力の利用促進など、需要の増減の調整能力がきわめて弱い
- 停止中の炉心冷却問題
- 現在の原子炉では運転停止中であっても残留熱除去系・余熱除去系による炉心の冷却が常に必要で、地震等の苛烈な事故発生時に発電所外部電力・自家発電電力の喪失時には、最悪の場合、炉心融解の可能性も示唆されている。
- 施設建設や周辺整備などに多大なコストがかかる
- 地方の寒村などに建設されることによる弊害
- 電力の生産地と消費地が離れて存在するため、長距離送電時の電力ロスが大きい、送電網のコスト、 また送電線事故での停電リスクが増大する
- 地質学的側面から、立地場所が限定される
- 原子炉を冷やすのに大量の海水を使い、原子炉で7℃近くも温められた大量の海水(温排水)が再び海に戻った時、海洋生物に何らかの悪影響があるのではないかとの懸念もある。
- 原発の運用や維持管理には高度な技術が必要不可欠
- 後進国や発展途上国で原発が建設された場合、安全性が懸念される
- 原子力発電所の新規建設数が減少していることからメーカーの原子力部門における技術の継承が困難となってきている
- 将来の原子力発電を担ってくれる若手技術者が減少傾向にある
[編集] 関連項目
[編集] 注釈
- ^ 原子炉においては、重水と区別するため、一般的な水は軽水と呼ばれる。
- ^ 同様に、廃熱のための施設は火力発電所でも必要となる。
- ^ 理論的には出力の温度を下げても熱効率を上げることが出来るが、外気温以下に温度を下げるにはエネルギーが必要となる。つまりこれは熱効率を上げるためにエネルギーを消費することになり、現実的には意味がない。
- ^ ある試算では、1970年代では建設費が1基1億7000万ドル程度だったものが、1983年には17億ドルになり、1980年代後半では50億ドルであったとされている
- ^ アメリカでは、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故により原子力発電の開発が中止されたと考える人が多いが、実際はそれ以前に既に開発が中止されていた。
- ^ この時の提出者の一人が、後にこう言ったとされている。
なお、この言葉は中曽根康弘が言ったものとされていたが、それは誤りであることが判明している。「学者がボヤボヤしているから、札束で頭をぶんなぐってやったんだ」
- ^ 原子力基本法 第2条-原子力開発利用の基本方針
平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。 - ^ 1957年当時。現在は沖縄電力も含めて10社。ただし現在でも沖縄電力は日本原子力発電に出資していない。
- ^ "Key World Energy Statistics" (PDF) International Energy Agency: 2006. 2006-11-08閲覧.
- ^ a b "World NUCLEAR POWER REACTORS 2005-06, 15/08/2006, Australian Uranium Information Centre" Template:Cite webの呼び出しエラー: 引数 accessdate は必須です。
- ^ NUCLEAR POWER PLANTS INFORMATION, by IAEA, 15/06/2005
- ^ "Impacts of Energy Research and Development With Analysis of Price-Anderson Act and Hydroelectric Relicensing" Nuclear Energy (Subtitle D, Section 1241). Energy Information Administration: 2004. 2006-11-08閲覧.
- ^ Eleanor Beardsley (2006). "France Presses Ahead with Nuclear Power" NPR. 2006-11-08閲覧.
- ^ "Gross electricity generation, by fuel used in power-stations" Eurostat: 2006. Template:Cite webの呼び出しエラー: 引数 accessdate は必須です。
- ^ EnerPub, , “France: Energy profile”, Spero News, 2007-06-08. 2007-08-25閲覧.
- ^ World Nuclear Association (August 2007). "Nuclear Power in France" 2007-08-25閲覧. (alternate copy)
- ^ フランク・フォン・ヒッペル 日本のプルトニウム政策
[編集] 参考資料
- JAIF資料
- 『わたしはなぜ原子力を選択するか 21世紀への最良の選択』 バーナード・L・コーエン著 近藤駿介監訳 ERC出版 1994年 ISBN 4900622052
- 『原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史』 有馬哲夫 新潮新書 新潮社 ISBN 9784106102493

