シンチレータ

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様々なシンチレーション検出器に囲まれたシンチレーション結晶

シンチレータ(: scintillator)は、放射線の入射により蛍光(シンチレーション光)を発する物質の総称である。

歴史[編集]

シンチレータを最初に用いたのは、1903年 ウィリアム・クルックスでZnS(硫化亜鉛)を使ってアルファ粒子を観測。

発光原理[編集]

放射線のエネルギーを蛍光体が吸収して、蛍光体の内部で励起あるいは電離が起こる。この吸収したエネルギーの一部が可視光紫外線として発せられる。

材質[編集]

目的や用途によって使い分けられれ、材質には有機物プラスチック)、無機結晶液体があり放射線検出器やポジトロン断層法装置など放射線利用機器に用いられる。

理想的なシンチレータ材料とは、次のように考えられている。

  1. 荷電粒子の運動エネルギーを高効率で検出可能な光エネルギー(シンチレーション光)に変換する。
  2. 入射エネルギーと変換されたエネルギーが直線的な正の相関を持つ。
  3. シンチレーション光の減衰時間が短く、高速の信号パルスを発生する。
  4. 発生した光を吸収や散乱しない。
  5. 結晶の場合はガラス(SiO2)の様な光学的性を持ち、加工が容易。

有機物[編集]

代表的な物質は、アントラセンスチルベン

プラスチック[編集]

プラスチックの中に数種類の有機発光物質を溶かしたもので、取扱が容易で加工性がよい。しかし、電荷(Z)が低くアルファ線ベータ線には向くが、ガンマ線には適さない場合がある。

無機結晶[編集]

CsI(Ti)結晶

結晶または単結晶体を作成し利用する。以下に主な物を列挙する。

  • GSO - ケイ酸ガドリニウム (Ce添加Gd2SiO5) X線天文衛星「すざく(ASTRO-E2)の硬X線検出器(HXD)に使用。
  • ヨウ化セシウム - 括弧内の物質を微量添加物とし特性の向上を図る。
    • CsI : 純ヨウ化セシウム
    • CsI (TI) : タリウム活性化ヨウ化セシウム
    • CsI (Na) : ナトリウム活性化ヨウ化セシウム
  • ゲルマニウム酸ビスマス(ビスマスジャーマネイト)BGO - (Bi4Ge3O12)
  • ケイ酸ルテチウム LGO - (Ce添加Lu2SiO5 )
  • タリウム活性化ヨウ化ナトリウム - NaI(Tl)
  • フッ化セリウム - CeF3
  • タングステン酸鉛 - PbWO4
  • フッ化バリウム - BaF2
  • フッ化鉛 - PbF2
  • LiI(Eu) - ユーロピウム活性化ヨウ化リチウム
  • LYSO - Lu2(1?x)Y2xSiO5: Ce 放射性Luが含まれる為、環境放射線(バックグラウンド)程度の弱い放射線は測定できない。
  • LGSO (Lu,Gd)2SiO5[1]
  • コランダム - Al2O3ルビー[2]

結晶によっては、潮解性を有しているため取扱に様々な制約が生じる。

液体[編集]

個体構造で無い為、強い放射線照射でも損傷を受けにくい[3]

気体[編集]

キセノンは、ダークマター観測のための実験装置「XMASS」で使用。

脚注[編集]

  1. ^ LGSOシンチレータの性能評価 RADIOISOTOPES Vol.47 (1998) No.9 P673-677
  2. ^ ルビーシンチレータの発光特性II (PDF)
  3. ^ 有機液体シンチレータの発光機構 応用物理 Vol.42 (1973) No.6 P635-640

関連項目[編集]

出典[編集]

外部リンク[編集]