スペースシップツー

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スペースシップツー

スペースシップツーと母機ホワイトナイトツー

スペースシップツーと母機ホワイトナイトツー

スケールド・コンポジッツ モデル339 スペースシップツー (Model 339 SpaceShipTwo, SS2) は、開発中の宇宙旅行者向けの弾道飛行スペースプレーンである。スケールド・コンポジッツと、リチャード・ブランソンヴァージン・グループによるジョイントベンチャーであるスペースシップ・カンパニー英語版 により、Tier 1bプログラムの一部として開発されている。

宇宙航空会社のヴァージン・ギャラクティックは、民間宇宙飛行サービスを提供するために、この宇宙機を5機編成で運用する予定である[1]。同社は、20万米ドルで予約を受け付けている。同社が2013年8月に明らかにした情報によれば、625人が既に飛行を契約しているとのこと[2]。世界で最初の搭乗者100人はファウンダーと呼ばれ、日本人平松庚三稲波紀明ら3名である。ファウンダー以外では、山崎大地らが宇宙飛行を行う予定である。日本に於ける公式代理店はクラブツーリズムである。

設計[編集]

Trajectoire-White-Knight.png

世界初の民間宇宙船スペースシップワンは、ポール・アレンが出資し、スケールド・コンポジッツが実施したTier Oneプログラムの一部として開発された。スペースシップツーはその技術の一部を基に作られている。スペースシップ・カンパニーはポール・アレンのモハーヴェ・エアロスペース・ベンチャーズからライセンスを受けている。

スペースシップツーは、8人の乗員(6人の乗客と2人のパイロット)を乗せることができる。飛行軌道の遠地点はおよそ高度110 kmの熱圏内である。これはスペースシップワンの目標高度であるカーマン・ラインよりも10 km高い(もっとも、スペースシップワンの最後のフライトは112 kmに達している)。スペースシップツーは母機であるホワイトナイトツーから、高度15,200 mで発射され、1基のハイブリッドロケットにより4,200 km/hの速度に達する。客室は長さ3.66 m、直径2.28 mである。[3] 翼長は8.23 m、全長は18.29 m、尾翼の高さは4.57 mである。

開発[編集]

飛行試験中のスペースシップツー(2010年)

スペースシップツーのモックアップが最初に公開されたのは2006年のことである。機体の詳細が公表されるのは2008年以降になってからであるが、その間の2007年に、ロケットエンジンの地上燃焼試験において、3名の技術者が死亡する事故が発生している[4]

2009年12月7日、カリフォルニア州モハーヴェ宇宙港にて1号機VSSエンタープライズが公開され、2010年3月22日には母機ホワイトナイトツーに吊るされて初飛行を行った[5]

2010年10月10日に最初の有人滑空飛行試験を行い、2011年5月4日に初のフェザード(大気圏再突入のモード)での飛行を実施[6]、その後、2012年8月までに22回の滑空飛行試験を行った。2012年12月19日に初めてハイブリッドロケットエンジンを機体に搭載して本番に近い形での滑空試験を行った[7]2013年4月29日に初めてロケットエンジンを噴射しての飛行試験を実施。噴射時間は16秒間、高度16.7kmに到達、マッハ1.2を記録した[8]

2014年1月17日の滑空飛行試験後に母機のホワイトナイトツーの主翼に亀裂が発見される。後述するロケットエンジンの変更もあわさり、6か月以上に渡り試験飛行が中断する。[9]

ロケットエンジンの変更[編集]

スペースシップツーは当初、スペースシップワンと同様にシエラ・ネヴァダ・コーポレーション製のハイブリッドロケットエンジンを使用していたが、このハイブリッドロケットは開発が難航しており、スペースシップワンで使用したHTPB推進剤では燃焼振動が生じるため性能が出せず、高度100kmには到達できず、高度80kmにまでしか到達できないと2014年5月に報じられていた[10]

その後、ヴァージン・ギャラクティック社は、並行して開発を進めていたポリイミドベースの推進剤を使うハイブリッドロケットの地上燃焼試験の結果が良好なことから、こちらに切り替えるとの発表を行った[11]

一連のロケットエンジンの変更等を経て、2014年7月29日に滑空飛行試験が再開された。再開時、ヴァージン・ギャラクティック社は年内にも宇宙への飛行試験を行いたいとしていた。[9]

墜落事故[編集]

墜落した機体

2014年10月31日、カリフォルニア州モハーヴェ砂漠にて、試験飛行中の1号機VSSエンタープライズが墜落。パイロット1人が死亡、もう1人も重傷を負った[12]

墜落の原因は2014年11月現時点では特定されていない。この飛行は、前述のロケットエンジン変更後の初の動力試験飛行であったことから、当初エンジンの爆発が疑われた。しかし後の国家運輸安全委員会 (NTSB) の発表では、テレメトリーデータを分析した結果、機体のスピードがマッハ1.4を超えてからでなければ使用できないフェザリング・モードへの切り替えが、飛行開始直後のマッハ1.0の段階で行われてしまったことが原因ではないかとの見方を示している。切り替えの原因としては、死亡したパイロットによる操作ミスが疑われている。[13]

脚注[編集]

  1. ^ John Schwartz. “New Tourist Spacecraft Unveiled”. nytimes.com. 2008年1月23日閲覧。
  2. ^ “Virgin Galactic CEO Counts 625 Customers For Suborbital Trips”. Aviationweek.com. (2013年8月13日). http://www.aviationweek.com/Article.aspx?id=/article-xml/awx_08_13_2013_p0-606348.xml# 2013年9月4日閲覧。 
  3. ^ Rob Coppinger. “PICTURES: Virgin Galactic unveils Dyna-Soar style SpaceShipTwo design and twin-fuselage White Knight II configuration”. flightglobal.com. 2008年1月23日閲覧。
  4. ^ 宇宙船墜落、安全性に関する警告をヴァージンが無視か”. AFPBB (2014年11月3日). 2014年11月23日閲覧。
  5. ^ “VSSエンタープライズ“処女飛行””. ナショナルジオグラフィック ニュース. (2010年3月25日). http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2010032508&expand 2010年3月28日閲覧。 
  6. ^ ヴァージンの宇宙船「スペースシップツー」、初のフェザー飛行 | ヴァージン・ギャラクティック sorae.jp 2011-5-6
  7. ^ スペースシップツー、ロケットを装備しての初の滑空試験を実施”. sorae.jp (2012年12月22日). 2014年8月30日閲覧。
  8. ^ “VIRGIN GALACTIC BREAKS SPEED OF SOUND IN FIRST ROCKET-POWERED FLIGHT OF SPACESHIPTWO”. VIRGIN GALACTIC. (2013年4月29日). http://www.virgingalactic.com/news/item/virgin-galactic-breaks-speed-of-sound-in-first-rocket-powered-flight-of-spaceshiptwo/ 2013年4月30日閲覧。 
  9. ^ a b スペースシップツー、約6ヶ月ぶりに試験飛行を再開”. sorae.jp (2014年7月31日). 2014年8月30日閲覧。
  10. ^ “SpaceShipTwo Can’t Reach 100 Km Boundary of Space”. Parabolicarc.com. (2014年5月15日). http://www.parabolicarc.com/2014/05/15/spaceshiptwo-reach-100-km-boundary-space/ 2014年11月1日閲覧。 
  11. ^ “Virgin Galacticのロケットモーターマイルストーン”. Virgin Galactic. (2014年5月23日). http://www.virgingalactic.com/news/item/virgin-galactic-rocket-motor-milestone/ 2014年5月24日閲覧。 
  12. ^ “英ヴァージンの商用宇宙船、試験飛行中に墜落 操縦士1人死亡”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年11月1日). http://www.afpbb.com/articles/-/3030580 2014年11月1日閲覧。 
  13. ^ スペースシップツーの墜落、原因は減速システムが早期に起動したためか”. sorae.jp (2014年11月6日). 2014年11月23日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]