ボーイング777
ボーイング777
Boeing 777
エール・オーストラル ボーイング777-200ER。識別の目安は6つの車輪が左右の主脚に付いていることである。
ボーイング777(Boeing 777、ボーイング・トリプルセブン[1])はアメリカのボーイング社が開発したワイドボディ双発ジェット機である。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 開発の経緯
1980年代、ボーイングは既に世界最大の旅客機メーカーとして君臨していたが、一方で猛追するエアバスの脅威にもさらされていた。とりわけリタイヤが進んでいた3発ワイドボディ機ロッキード L-1011 トライスターやマクドネル・ダグラスのDC-10の後継機争いでは、同じくマクドネル・ダグラスのMD-11やエアバスのA330、A340に対抗しうる旅客機を持っていなかった。中でもA340はボーイング747-400よりは小さいものの、航続性能ではほぼ互角、しかもA340の方がはるかに燃費が良かった。
そこでボーイング社はボーイング767-300とボーイング747-400の間の座席数の差を埋める機体を作るべく、1986年暮れにそのクラスの機体の需要に関して市場調査を開始した。世界中の多くの航空会社に調査を行い、特にその中でもローンチカスタマーのユナイテッド航空やデルタ航空、アメリカン航空、日本航空、全日本空輸、キャセイパシフィック航空、カンタス航空、ブリティッシュ・エアウェイズには機体の設計についても意見を求めた(ワーキング・トゥゲザー)。そして、1989年12月8日にボーイング社の取締役会の承認を経て正式に新型機「767-X」として航空会社に提案されることが決まった。
その計画名の通り、当初ボーイング社はこの旅客機を767の派生型として計画しており、コックピットも従来の767とあまり変わらないものを考えていた。しかし767の後に作られた747-400の方がより進んだコックピットを有しており、ボーイング機を多数使用してきたユナイテッド航空や全日本空輸などはこの従来の767と変わり映えのしないコックピットを拒否し、747-400スタイルのコックピットにするよう求めた。そのためにボーイング社は747-400のコックピットレイアウトをベースに、さらに最新技術を盛り込んだコックピットを計画した。
また、機体規模についても航空会社などと詳細にすり合わせを行って調整した結果、767の胴体を捨て、標準で横に2通路9席を配置できる、より太い真円断面を用いた大きな胴体を採用することにした。この767-Xに対して、アメリカのユナイテッド航空が1990年10月15日に34機発注し、機体名も「ボーイング777」に変更された。続いて全日本空輸、ブリティッシュ・エアウェイズ、日本航空なども発注した。
[編集] 特徴
777の翼幅、胴体長は747-400よりも大きく、双発機としては世界最大である。直径がボーイング737の胴体に匹敵するほど大きく強力なジェットエンジンを備えている。着陸装置としては、2本の主脚にボーイングの旅客機部門としては初めてタイヤが6輪ずつ装備されている。太い胴体の中央部を1階の客室に充てたため、その下の貨物室も広く取れたが、客室天井と機体上辺との間のかまぼこ型の空間には、前部と後部にそれぞれコックピット・クルー用とキャビン・クルー用の休憩室を設けることができるため[2][3]、長距離便でも交代乗務員用に客室や貨物室内に座席等を割り当てる必要がない。このように旅客と貨物の両面で収益が得られるよう考慮された飛行機であり、夜間に貨物専用便として運航されることもある。
777はボーイング社の旅客機としては初めて操縦系統にフライ・バイ・ワイヤを採用した。しかし、同じフライ・バイ・ワイヤ方式でもサイドステックを用いたエアバス社製の機体と違い、従来型の操縦桿を操縦席正面中央に残し、動翼面に掛かる振動や重さといった要素を操縦桿へフィードバックすることで擬似的に再現しており、従来のボーイング社製の機体を運行してきた航空会社でもパイロットが違和感なく最小のトレーニングで本機へ移行できるよう配慮されている。また、コックピットの表示装置はB747-400と同じく6つのディスプレイで構成されているが、飛行管理装置 (FMC) を含めて、従来のブラウン管から液晶に変更されている[4]。最近納入された機体では、ヘッドアップディスプレイが装備されていたり、従来操縦桿にクリップさせていた航空路チャートを側面のモニターで表示できるようになっている仕様の物も存在する。
本機は、機体全てがコンピュータ上で設計された最初の商用航空機である。機体設計にはCATIAを用い、世界各地の開発拠点で並行して進められ、「バーチャル777」ともいえる仮想の機体を使って様々な試験が行われた。制御ソフトウェアの記述言語には「Ada」が採用されている。
日本はYXの2機種目として開発に参加しており、21%の開発分担比を占める。近年の大型航空機は開発から初飛行に至るまで、性能や設備等の問題で工程が遅れるものも多いが、777は工程が予定通り進められて開発された航空機である。
[編集] ワーキング・トゥゲザー
777はボーイングと発注した航空会社が設計上の諸問題を解決したり、航空会社が個々の要望を出していく「ワーキング・トゥゲザー(Working Together)」を結成した。これは777を767の単純な拡大版で作ろうとした際、多くの航空会社に反対されたため、開発当初からユーザーである航空会社の意見を取り入れようと考え出されたものである。
主な航空会社の要望を以下に挙げる。
- ユナイテッド航空
- ローンチカスタマー(最初の発注者)であるユナイテッド航空は本拠地を置くシカゴの冬を想定し、手袋をしたままで各部の点検用アクセスドアを開閉できること、またそれらの多くが大きな脚立などを用意しなくても手が届くような高さにすること、大型の横スライド式非常口は片手でも開閉できるようにすることを求めた。
- 全日本空輸
- 2番目に発注した全日本空輸は、これまで数多くのボーイング機を運航してきた立場から、トイレの蓋がバタンと閉まるのは乗客が不愉快に感じることが多いためにトイレの蓋をゆっくり閉める機能などの提案を行った。このトイレの蓋の提案に対しボーイング社は「いかにも日本らしい提案だ」として採用を決めただけでなく、他の航空会社へも積極的にPRを行った。現在でも「ワーキング・トゥゲザー」を語る際には引き合いに出される事柄でもある。
- また、ボーイング社は777の機体の大きさから、空港での取り回しを良くするために主翼を折りたためる機能を標準装備にしようと考えていた。しかし、全日本空輸は主翼を折りたたむ機能は機体重量を増加させ、構造も複雑になり整備もしにくくなるとして、この機能を標準ではなくオプションにすることを強く求め、ボーイング社はその求めを受け入れた。これまでこの主翼折りたたみオプションを採用した航空会社は存在しないので、全日本空輸の判断は正しかったといえる。
- 他にも、整備用ハッチをキャビン床に取り付けること、ラジアルタイヤを標準仕様にすることも求めた。
- なお、全日本空輸は欧州路線用にエアバスA340を5機発注していたが、ワーキングトゥゲザーに招聘されて意見が取り入れられ発注が確定した為これをキャンセルした経緯がある。以降、スカイマークがA380の購入契約を締結する2011年2月18日まで、日本の航空会社がエアバス社の大型機を採用したことは一度もない。
- 日本航空
- 6番目に発注した日本航空は、発注と同時に「ワーキング・トゥゲザー」に招聘された。日本航空が参加した頃には、基本的な仕様はほぼ確定しており、日本航空の提案によって確定した基本仕様が大きく変更されることはなかったが、安全面を中心とした提案が複数採用されている。
- 日本航空は、777-300ER型機のノーズギアの緩衝装置の空気室を2つにするよう求めた。また、それに伴い、貨物積み下ろし時の重量変化に対する緩衝装置の伸び縮みが十分に小さいことを確認することも同時に求めた。
- また、英語圏以外の運航乗務員や航空会社でもマニュアルの誤読などがなくなるよう、マニュアル類に使用されている英語を極力平易なものにすることを求めた。
- 他にも、ノーズギヤのパーキングブレーキ表示灯、高度計のQNHとQNE(高度計規正値)の切り替え機能装備について求め、採用された。
[編集] 派生型
ボーイング社は777型機のバリエーションを明確にするために次の2つの特性を用いた。
- 機体サイズ。777-200型機は基本のサイズである、777-300型機は胴体延長することで収容力を増した派生型である。
- 航続距離。ボーイング社は路線距離の3分類を明確にした。
- A需要 - 3,900海里から5,200海里(7,200kmから9,200km)
- B需要 - 5,800海里から7,700海里(10,800kmから14,250km)
- C需要 - 8,000海里(14,800km)以上
ボーイング社や777を運航する航空会社は777の派生型を区別するときに、モデル名である「777」と機体のサイズ(-200または-300)とを縮めてつなぎ合わせ、「772」とか「773」といった表記をよく用いる。また、時には上記にあるような航続距離の3分類を表す識別子を付加する。たとえば777-200は「772」また「772A」と、航続性能を強化した777-300ERは「773ER」や「773B」と表記される。これらは航空会社の時刻表やマニュアル類でよく見られる表記法である。また、A - Cの需要分類は、777の最大のライバルであるエアバスA340と777とを比較する際にも用いられる。
777型の長距離型(-200LR,300ER型)は開発に際し、それまでの派生型とは異なり、装備するエンジンをゼネラル・エレクトリック製のものだけとした。これだけの大推力のエンジンを開発するリスクと、エンジンメーカーが共倒れするリスクを回避するためとされているが、ゼネラル・エレクトリック系のリース会社がこの派生型を購入するという条件をボーイングがつけた、と業界では言われている。つまり、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降の航空需要の落ち込みを背景に、新機種開発にかかるコストをエンジンメーカーにも負担してもらうというリスクマネジメントを意識した開発を決断させたとされている。
[編集] 777-100(771B)
計画当初に考えられていた777-200の短胴型モデル。アメリカン航空の提案を受けて計画されていたが、実機は生産されないまま計画中止となり、767-400ERがこの計画機と同じマーケット向けのモデルとされている。
[編集] 777-200(772A)
ボーイング777シリーズの最初のモデル。最大航続距離は5,210海里(9,649km)。1994年6月12日に初飛行。
日本では全日本空輸、日本航空、旧日本エアシステムの順に導入し、現在は日本エアシステムを吸収合併した日本航空、全日本空輸ともに国内線で運航されている。その中にはETOPS取得機も存在しており、かつては成田発着の近距離国際線に就航していたものもある(現在は国内線仕様に改修されている)。
日本航空はマクドネル・ダグラスDC-10の、全日本空輸はL-1011 トライスターの後継機、日本エアシステムは先に導入されていたエアバスA300-600Rを超えるキャパシティを持つ国内線の主力機として導入した。日本エアシステムは国内線初の3クラス(スーパーシート/レインボーシート/普通席)で運航し、日本航空も現在3クラスで運航している(ファーストクラス/クラスJ/普通席)ほか、全日本空輸の国内線ではボーイング747以外の旅客機そして双発機としては初めて2クラス(スーパーシート*/普通席)配置として有償提供された(*就航当時の呼称)。
有償飛行での座席数は、全日本空輸が当時世界でも例を見なかった横10列の密接した座席配置にして国内線で運航していた418席仕様が世界最多である(その後他社も国内線用として横10列を導入した他、エミレーツ航空など一部の航空会社は国際線でも採用した)。なお、モノクラスでは440席の配置が可能とされている。現在は、日本航空が375席(ファーストクラス運航便)と380席(ファーストクラス未搭載便)。全日本空輸が405席で運航されている。
[編集] 777-200ER(772B)
777-200の航続距離を延長させたもの(ER:Extended Range)。開発当初は-200IGW(IGW:Increased Gross Weight)と呼ばれていたが、すでに767で使用されていた「ER」に変更されることとなり、その後737などでもこれが使用されていくこととなった。最大航続距離は7,730海里(14,316km)。1996年10月7日に初飛行。
747に代わり長距離路線に投入にしている航空会社(アメリカン航空やアリタリア航空、日本航空、全日本空輸、TAAGアンゴラ航空等)と、旅客数に応じて747と使い分けている航空会社(ブリティッシュ・エアウェイズやユナイテッド航空等)の2つに分かれる。日本では1999年から全日本空輸で国際線で運航され、2005年から日本航空でも導入された。韓国や中華人民共和国、東南アジアなどの中、近距離国際線から北米、欧州などの長距離国際線まで幅広い路線に投入されており、両社の国際線主力機材の1つになっている。日本航空はボーイング747-100/200/300のみならず、マクドネル・ダグラスMD-11や同DC-10-40の後継機としても導入した。全日本空輸の機体は、国際線のみならず国内線にも国際線の間合いに使用されている。
777-300ER・777-200LRと違い、エンジンメーカーが選択可能であるが、近年の機体はより強力なGEエンジン搭載機が増えつつある。日本では、全日本空輸がPWエンジン機、日本航空がGEエンジン機を就航させている。
[編集] 777-200LR(772C)
777-200ERの航続距離をさらに延長させたもの(LR:Longer Range)。世界最長の航続距離を持ち、世界中のほとんどの空港間を結ぶことが出来るその能力から、ボーイング社はこの派生型を「Worldliner」と名付けている。最大航続距離は9,420海里(17,446km)。2005年11月10日、香港 - ロンドン間11,663海里(21,600km)を連続飛行し、民間機の航続距離世界記録を更新した。現在、パキスタン国際航空、エア・インディア、エア・カナダ、デルタ航空等で運用されている。主翼端は777-300ERと同様にレイクドウイングチップが取り付けられ、翼幅も等しい。
[編集] 777-300(773A)
胴体を延長した A 需要向けの機材。747-100型機および-200型機の代替として設計された。双発機で世界最大最長を誇る機体である(73.9m、ちなみに双発機でなければ世界最長はボーイング747-8で76.3m)。
その長い胴体長ゆえに、胴体後方下部にテールスキッドを装備し、GMCS(グランド・マニューバー・カメラ・システム)という新機能が搭載され、主脚が誘導路からはみ出さないようコックピットから監視できるようになっている。最大航続距離は5,955海里(11,029km)。ローンチカスタマーはキャセイパシフィック航空で、1号機は1998年5月21日に引き渡された。
日本では日本航空と全日本空輸が開発決定直後に発注の上、1998年より導入し全機国内線で運航されている。日本航空は747-100SRおよび-300SRの、全日本空輸は747-100SR型機の後継機として導入した。海外の航空会社では国際線に投入されており、成田、羽田、関西などの空港で頻繁に目にすることができ、日本にはなじみの深い機体である。2006年4月からの四発機の規制により伊丹発着の幹線の主力となっている。
有償飛行での座席数は全日本空輸が国内線で運航していた525席仕様が世界最多である。これは双発機としても世界最多である。なお、モノクラスでは550席の配置が可能とされている。現在は日本航空が国内線で500席仕様で、全日本空輸が国内線で514席というハイデンシティ仕様で運航しており、500席を超える双発機を運航するのは世界でもこの日本の2社のみである。
[編集] 777-300ER(773B)
777-300型機の航続距離延長型であり、747-400型機の後継需要向け機種として設計された。エアバスA380-800型機およびボーイング747型機に続く3番目に大きな商業旅客機である。最大航続距離は7,880海里(14,594km)。初飛行は2003年2月24日である。
この777-300ER型機は115,300 lbf(513 kN)の推力を生み出す現在世界で一番強力なターボファンエンジン、GE90-115Bエンジンを搭載[5]したほか、多くの改造がなされた。777-300より主翼が延長されており、翼端は角度を付けて後方に曲げられているレイクドウイングチップが装備されている。これは777-200LR、767-400にも採用されており、747-8でも採用予定で近年のボーイング機ではトレンドになりつつある。
777-300ER型機のローンチカスタマーは最初に合意発注した日本航空であり、試験飛行に使用された2機は全て日本航空の機材である[6](なお、最初に有償運航開始したのはエールフランスである)。なおこれら2機はワールドツアーの一環で日本にも飛来している。試験飛行時はワールドツアーも掛けてか「世界地図」の塗装が施され、試験機としては珍しい「特別塗装機」ともなった[7]。2011年9月30日までに37社543機、同年末までに603機の受注を獲得しており、同年10月22日に同シリーズ通算300機目としてビーマン・バングラデシュ航空へデリバリーされた。
日本では日本航空と全日本空輸が運用中。両社ともこの型を747-400型機に代わる主力機として主に、欧米/北米などの長距離路線に投入しているが、一方で成田発着の一部の国内線[8]でも国際線接続便として運用している[9]・[10]・[11]。
この型の導入を進めている航空会社のほとんどは、747シリーズで就航していた路線をこの型に置き換えている(例:日本航空や全日本空輸、エールフランス等)。
[編集] 777貨物型(777F)
777型貨物機 (777 Freighter) は777-200LR型をベースにした貨物機バージョンである。基本的には、-200LRのエンジンと機体(構造は貨物機用に強化)に、-300ERの燃料タンクと降着装置を組み合わせたもので、2005年に発表された。
777Fの最大ペイロードである103トンは現行の主力大型貨物機747-200F(最大ペイロード 110トン)や、747-400ERF(最大ペイロード 112トン)に僅かにとどかないが、747-400ERFの後継にあたる747-8Fはさらに大きなペイロード(140トン程度)となりひとクラス上に移行するので、747-200Fおよびマクドネル・ダグラスMD-11F(最大ペイロード90トン)といったペイロード100トンクラス機の代替となる。最大ペイロード時の航続距離は9,000キロメートル程だが、小包類などの、容積は大きいが重量はさほどでもない貨物輸送において最大ペイロードを下回るケースでは、燃料経済性に優れるため航続距離の伸びが大きく、ノンストップでの太平洋横断も可能となる。
777F初号機は2009年2月19日にエールフランスに引き渡され[12]、その後同年10月までに5社9機の引渡しが行われた[13]。
大手貨物航空会社のフェデックスは、2007年8月時点において、マクドネル・ダグラス社製の貨物機が主力機材である。これは旅客航空会社から機材交代サイクルにより放出される中古機を改造する事により、新造機よりも手ごろな価格で輸送力の高いワイドボディー機を導入できる事が大きなメリットであったからである。しかし、航空貨物輸送の需要は今後も伸び続ける事が確実視されており、近未来の高需要路線においては大型・超大型機の導入が不可欠であると考えられた。また、クルー3名を必要とするDC-10Fの経年退役並びにMD-11Fの代替としての必要性も加味し、A380-800Fを10機発注した。
ところがA380-800Fは、先行開発されている旅客型のA380-800に様々な不具合が発覚し、納入スケジュールの遅れが慢性化した。これにより貨物型の引渡し日程は事実上白紙とされ、企業戦略の大幅変更に迫られたフェデックスは、エアバス社に対して発注を全数キャンセルした。その代替として目を付けたのが777Fであり、15機を発注してローンチカスタマーであるエールフランスに次いで2社目の発注会社となった。さらにフェデックスは777Fを追加発注し、エールフランスを越して世界最大のカスタマーとなる予定。現在、777型フレイターは、世界の航空会社11社から78機の受注を獲得している。
日本の航空会社では全日本空輸が2008年1月に発表した2008年 - 2011年度中期経営戦略の中で貨物事業について「大型フレイター(期間中に4機導入予定)」としているが、この「大型フレイター」の候補の1つにこの777Fが考えられる。
[編集] 777-8X/-9X(計画段階)
ボーイング社は、現行の777型からさらなる改善を検討している。その改善として検討されている型式であり、概要は以下の通り[14]。
目標は、翼の大型化による揚抗比の改善、新型エンジンGE9Xによる10%の比燃費改善、機体全般での材質変更などと合わせて、1席当たり15%の燃費改善である。機体としては、新大型翼周りの胴体の最適化と、777-300ER型(3クラス365席仕様)比で胴体の延長と短縮を計画している。777-8Xは、この777-300ER型の胴体を短縮、777-9Xは777-300ER型の胴体を延長したバージョンである。対抗機種としては、A350XWB-900/1000である。就航目標は、2010年代後半としており、2013年後半の787-9の就航に続くワイドボディ機の就航として時期を見計らっている。
777ファミリーとしては、777-200型から777-300型への増席以来、2回目の大幅の座席数変更となる。具体的な変更点として、主翼幅が777-300ER型が64.8mであるのに対し71.3mとなること(747-8より3m広がる)、主翼の素材が777-300ER型が金属製であるのに対し炭素繊維となること、が挙げられる。一方で、使用エンジンは777-300ER型と同様にGE90が検討されているが、スケールダウンが為される予定である(計画名: GE9X)。このエンジンはGEnxを基盤とした技術を導入し、タービンセクションにはセラミック母材の複合材が使用される。エンジンの仕様は777-300ER型に搭載されている直径3.43m・推力115000ポンドのGE90-115Bに対し、GE9Xは直径3.25mそして15500ポンド減の推力99500ポンドと、GE90-115Bに対して直径・推力共にダウンサイジングとなる予定である。この計画が実現に至れば、777ファミリーで初めて複合材料が使用そして製造されることとなり、777の歴史で大きな変化が遂げられることとなる。 加えて検討の一部ではあるが、747-8や737ファミリーでも実施したように、新しい787スタイルのLED照明と大型手荷物入れなどの内装を取り入れることを予定している。コクピットではボーイングは将来型航空管制管理システムに合わせた電子機器を考えており、787のARINC 629基準を取り入れ、777にも電子化が進められる予定である。
777-8X/-9Xの計画が実現されれば、ボーイングは、標準座席仕様・330席の787-10Xから同仕様・467席の747-8までの全ての座席仕様を網羅することが可能となる。
[編集] 仕様
| 項目\機種 | 777-200 | 777-200ER | 777-200LR | 777F | 777-300 | 777-300ER | 777-8X/-9X(計画段階) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全長 | 63.7 m (209 ft 1 in) |
73.9 m (242 ft 4 in) |
未発表 |
||||
| 全幅 | 60.9 m (199 ft 1 in) |
64.8 m (212 ft 7 in) |
60.9 m (199 ft 1 in) |
64.8 m (212 ft 7 in) |
71.3 m (234 ft) |
||
| 胴体横幅 | 外部 6.19m 内部 5.86m | ||||||
| 乗客数 3Class | 約300 | - | 365-368 | 未発表 | |||
| 乗客数 2Class | 400 | - | 451 | 未発表 | |||
| 乗客数 1Class | 440 | - | 550 | 未発表 |
|||
| 貨物 | 合計 150 m³ 8 パレット +LD-7 8台 or 32 LD-3 + バルク 17 m³ |
合計 653 m³ 上部デッキ 518 m³ 27パレット 下部デッキ 117.5m³ 10パレット + バルク 17m³ 最大ペイロード 103.9 t |
合計 265 m³ 8 パレット +LD-7 8台 or 44 LD-3 + バルク 17 m³ |
合計 265 m³ 14 パレット or 44 LD-3 + バルク 17 m³ |
未発表 | ||
| 最大離陸重量 | 247,210 kg | 297,824 kg | 347,452 kg | 347,450 kg | 297,560 kg | 351,534 kg | 342,000 kg(777-9X) |
| 最大搭載燃料 | 117,335 L | 171,160 L | 202,287 L | 181,280 L | 171,160 L | 181,280 L | 未発表 |
| 航続距離 | 9,649 km | 14,316 km | 17,446 km | 9,195 km | 11,135 km | 14,685 km | 未発表 |
| エンジン | GE90-77B (77,000 lbf) PW4000 トレント 800 |
GE90-94B (93,700 lbf) PW 4084 PW 4090 RR 895 |
GE90-110B1 (110,100 lbf) |
GE90-110B1L (110,000 lbf) |
GE 90-94B (93,700 lbf) PW 4098 RR 892 |
GE90-115B (115,300 lbf = 512 kN) |
GE9X (99,500 lbf) |
| 巡航速度 | マッハ数0.84 | 未発表 | |||||
[編集] 販売実績
2007年、ブラジルのTAM航空から4機の777-300ER型機を受注したことにより、777型ファミリーの総受注数は1990年の初号機受注以来1003機となり、ボーイング社の民間大型旅客機部門では747ファミリーに次いで1000機を達成した。同シリーズの通算1000機目受領は、エミレーツ航空向けのB777-300ERとなる。
| 年 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 1999 | 1998 | 1997 | 1996 | 1995 | 1994 | 1993 | 1992 | 1991 | 1990 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 受注数 | 46 | 30 | 39 | 118 | 76 | 153 | 42 | 13 | 32 | 30 | 116 | 35 | 68 | 55 | 68 | 101 | 0 | 30 | 30 | 24 | 28 |
| 納入数 | 74 | 88 | 61 | 83 | 65 | 40 | 36 | 39 | 47 | 61 | 55 | 83 | 74 | 59 | 32 | 13 | - | - | - | - | - |
| 累積納入数 | 910 | 836 | 748 | 687 | 604 | 539 | 499 | 463 | 424 | 377 | 316 | 261 | 178 | 104 | 45 | 13 | - | - | - | - | - |
| 受注残 | 224 | 252 | 310 | 332 | 297 | 286 | 173 | 167 | 193 | 208 | 239 | 178 | 226 | 232 | 236 | 200 | 112 | 112 | 82 | 52 | 28 |
[編集] 競合機種
[編集] 運用状況
- 大阪国際空港(伊丹空港)では、市街地における航空機の騒音対策として2005年4月からボーイング747-400 / -400D以外のエンジン3基以上のジェット機(747クラシックやマクドネル・ダグラスDC-10、MD-11など)について同空港への営業運航が禁止され、さらに2006年4月1日からは全てのエンジン3基以上のジェット機の営業運航が禁止された。このため、日本航空や全日本空輸は同空港と東京国際空港や新千歳空港などを結ぶ幹線に747の後継として777を就航させている。
- 日本航空はこれまで747-400が就航していたロンドンやパリ、フランクフルト、モスクワといったヨーロッパ線や、バンコクやシンガポール、ニューデリー、シドニーなどの東南アジア線や西アジア線、オーストラリア線、そしてサンフランシスコやニューヨーク、ロサンゼルス、バンクーバー線などの北アメリカ路線をはじめとする太平洋路線に、より経済性に優れるだけでなく、各種機内設備が充実した777-300ERや777-200ERを就航させている。全日本空輸も、従来747-400が就航していた太平洋路線の全路線を777-300ERに置き換えており、一部の欧州路線にも就航させている(日本航空、全日空両社ともに洋上を飛行するにあたり、ETOPSの認定も受けている)。しかし全日空のパリ便では、ビジネスクラスの需要が予想通りに伸びないことから、エコノミークラス設定の多い747-400での運航も継続して行われていたが、2010年10月より欧州路線全てが777-300ERに置き換えられた。
- 日本航空では、国内線向けの10機に恒星の名前を付けたスタージェットと呼ばれる塗装で運行していた(4代目塗装になり消滅)。
- 777は当初、「767と見分けがつかない」といわれ、全日本空輸では777-200型機初期に受領した3機(JA8197,8198,8199)は就航当初、垂直尾翼に「ANA」ロゴの代わりに「777」と書かれていた。777-300型機は初期に受領した2機(JA751A,752A)は就航当初は胴体に「風」のイラストを描いて運航していた。これは777-300型機のアピールに使用されたが、エバー航空の777-300ER型機にも似た塗装が施されている。
- 大型機でありながら双発のため低燃費・低騒音、エンジン3・4発機ほどの滑走路長(2500 - 3000m)の制約を受けない、300 - 500席をカバーできるオールマイティな航空機と取れる。結果として一部の世界の航空会社から747クラシックや747-400、マクドネル・ダグラスMD-11の代替、さらにはキャセイパシフィック航空やフィリピン航空などでは、ライバルであるはずのA340の代替とされるほどの支持で一部の4発機を凌ぐ存在となりつつある。そして、2004年ごろからの原油価格高騰で4発大型機を遠慮する航空会社が増える状況下、より重宝される存在となっている。
[編集] 事故・インシデント
ボーイング777ファミリーは、1995年以来約700機超製造・運航されているが、全損事故はあるものの未だに死亡事故が発生していない機種である。
- 2005年12月15日にエンジンの製造上の欠陥があったと報告されている。プラット・アンド・ホイットニー製エンジンの製造工程の欠陥で高圧タービンブレードの内部にメッキ液が残留してブレードが腐食し、エンジン運転中に破損して飛散するトラブルがあったことが判明し、上記のインシデントの当事者である全日本空輸や、同エンジンを搭載した機材を運航していたものの、インシデントを起こしていない日本航空では、ボーイングやプラット・アンド・ホイットニーと協議の上、世界的にみて短期間で全機改修済みタービンブレードへの交換を終えた。
- 2008年1月17日、北京発ロンドン(ヒースロー国際空港)行きブリティッシュ・エアウェイズ38便(777-200ER型機、機体記号:G-YMMM)が着陸直前に2基のエンジンの出力を失い、滑空状態で滑走路手前の不整地に着地した。その後胴体を数百メートルにわたって引きずり、滑走路直前で停止した。この事故で胴体底部と両エンジン、主翼の一部が大破し、大量の燃料が漏れたものの幸い火災は発生しなかった。着地の衝撃などで18名が負傷した。ボーイング777型機としては1995年の運航開始以来、初めての負傷および全損事故である(ブリティッシュ・エアウェイズ38便事故)。
[編集] 脚注
- ^ 「トリプルセブン」は日本においては全日本空輸(日本第4080555号)などが商標登録しているため、全日空以外の運航機に対してこのように呼ぶことはほとんどない。
- ^ ドア1から階段を上がるコックピット・クルー用の休憩室 (flight-crew-rest compartment) には、2席のビジネスクラスシートと小部屋となる2床のベッドに加えて、オプションで流しやクローゼットといった設備が備えられる。キャビン・クルー用の休憩室 (attendant rest station) は、派生型によって少し設備が異なるがいずれもエコノミークラスの客室天井上に設けられる。777-200ER, 777-200LR and 777-300ERでは、機体中央セクションの階段から上がり、6-7床のベッドと幾つかの客室乗務員の個人用収納スペースが付く。777-300ERでは、機体後部から上がり、6から8、または10床のベッドの配置オプションがある。777-200LRでは6-8床のベッドの配置オプションがある。キャビン・クルー用の休憩室は2床ごとのモジュールから構成されるため、6床から10床まで2床ずつ任意に選ぶことができる。
- ^ Overhead Space Utilization - Boeing (777 Family)
- ^ 自動操縦装置の表示パネルもエアバススタイルのデジタル式である。B747-400までのFMCの色は黒地に緑文字であったが、777では液晶であるため少々青味がかった黒地に白文字となっている。
- ^ 最大離陸重量 (MTOW) 351メートルトンのテストも行われた。
- ^ イカロス出版『月刊エアライン』通巻295号 p14
- ^ その後の経歴について
- ^ 日本航空は成田-伊丹・名古屋,全日本空輸は成田-伊丹である。
- ^ 但しこの間は国内線運用のため2クラス運航であり、サービスも国内線扱いである。777-300ERは国際線機材であり、実際には日本航空は4クラス、全日本空輸も4クラス仕様である。その為、国内線運用時のエコノミー座席の前方は国際線のビジネスクラス(とプレミアムエコノミークラス)のシートになる。ファーストクラスは日本航空はクラスJ、全日本空輸はプレミアムクラスとして有償提供される。
- ^ 国内線運用時は国際線で使用されるシートモニター等は使用できない。そのため羽田ベースの777-300で提供されるようなスカイビジョンは放映されず離陸前の緊急事態発生時の対処法については客室乗務員が避難具を使って実演する。
- ^ 通常長距離国際線のファーストクラスは100万円以上するものだが、伊丹-成田線は2 - 3万円弱でファーストクラス体験が出来る。以前は747在来型国際線仕様や747-400国際線仕様で同様の運航をしていたが、大阪国際空港の乗り入れ規制によって777-300ERに変更した。
- ^ Ionides, Nicholas. “First 777 freighter delivered to Air France”. Air Transport Intelligence via Flight Global. 2010年1月28日閲覧。
- ^ “777 Model Orders and Deliveries summary”. Boeing (2009年10月). 2010年1月28日閲覧。
- ^ Ostrower, Jon (2011年9月13日). “Next generation 777 comes into focus”. Flight Global. 2011年10月10日閲覧。
[編集] 参考文献
- 日本の旅客機2007-2008(2007年、イカロス出版、ISBN 978-4-87149-979-8)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Boeing 777 Program Information(英語版)
- 777の作製工程(JAL TVより)
- 「ボーイング777のできるまで」 - ボーイング777の作製過程を紹介(全44分、リンク先ページ右側の「Play」をクリックで再生) 1999年 サイエンスチャンネル
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