ボーイング757

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ボーイング757

ボーイング757Boeing 757)は、アメリカボーイング社が開発・製造した双発ジェット旅客機である。

概要[編集]

1960年代に導入された727型機の代替としてイースタン航空およびブリティッシュ・エアウェイズ向けに設計・開発され[3]1983年に引き渡しが開始された[1]。初期の販売実績は低調であった[4]が、1980年代後半以降に徐々に上向きになり、アメリカ国内をはじめヨーロッパ南アメリカでも727の代替機として導入されるようになり、最終的に1000機以上が販売された[2]

しかし、2000年代に入り、単通路機としては安価な自社製737NGシリーズの市場と競合[5]、売り上げが伸びていなかったため、2004年に販売を中止し[6]2005年4月に上海航空向けの機材(通算1049機目)を最後に生産終了した。日本の航空会社はボーイング社製旅客機を好んで使う傾向にあるが、ボーイング757は1機も購入・使用された実績がない[7]

沿革[編集]

本節では以下、ボーイング製の旅客機については、「ボーイング」という表記を省略し、数字のみで表記する。例えば「ボーイング747」であれば、単に「747」とする。

開発の経緯[編集]

727の後継機種構想[編集]

1,832機もの製造が行なわれたボーイング727

ボーイングでは、1963年に短中距離向けのナローボディの3発ジェット機として727を初飛行させていた。727はジェット旅客機としては好調な売れ行きを記録し、胴体延長型の727-200も含めて最終的には1,832機もの販売実績を有するベストセラーとなるが、より小型だが運航乗務員が2人で済み、さらに2発エンジンのため燃費にも優れる737-200やマクドネル・ダグラスDC-9-40/50シリーズとの競合もあり1974年頃には売れ行きは鈍化していた[8]。ボーイングは727を改良することでさらに販売機数を伸ばせると考え、改良型として727-300型の開発に着手していた[8]。この727-300型は、胴体を延長した上でエンジンを低騒音化し、降着装置も4輪式にするなどの改良が加えられる計画[8]で、これにより、座席あたりの燃費を13%低減するとともに、年ごとに厳しくなる騒音規制をクリアすることが出来ると考えられた[8]

ボーイングでは727-300型の開発に強い意欲を示し[8]、金属製モックアップの製作を進めていたが、1975年に入り、ユナイテッド航空などのアメリカ国内の航空会社は727-300型構想に対して、「その程度の燃費改善では、新機材導入のコストをカバーするには不十分であり、騒音規制への対応にも一時的にしか対応できず、長く使い続けることのできる機体ではない」という考えを示した[8]

これを受け、ボーイングも727-300型構想についての見直しを行った。727-300型構想には、既に5000万ドルの資金を投入しており、原寸大の金属製モックアップまで作成していた[8]が、航空会社が727-300型を好まないのであれば、この計画を破棄した上で、全く新しい機体を開発する方が将来的にもメリットが大きいと考えた[8]。このような事情から、727-300開発計画は1975年8月には正式に破棄されることになった[8]

7N7構想[編集]

当時「7X7」として開発が進められていた767

当時、ボーイングではワイドボディジェット旅客機として、250席程度の座席数を持つ「7X7」(後の767)の開発構想を進めていたが、これと同時に、将来にわたって長く販売を続けることが可能で、「7X7」よりは座席数の少ない新型ナローボディ旅客機を並行開発するという発想が生まれることになった[8]。この構想は「7N7」と呼ばれることになった[8]

こうして、1976年1月から「7N7」計画の調査と研究が開始された。「7N7」は当時開発構想を進めていた「7X7」とともに、ボーイングの将来を担う重要なプロジェクトとして扱われることになった[8]

「7N7」では、胴体については727を踏襲する[9]ものの、新設計の主翼と高バイパス比のエンジンを採用することになった[9]。まず最初にまとめられたデザイン案は、164席の客席を有する「モデル761-161」と呼ばれるもので、これは「工具まで同じものが使用可能」という在来機種との共通性を重視した[3]結果、胴体は707・727・737と同じ構造とされた[3]。ただし、エンジンは双発とすることになり、胴体尾部に3発のエンジンを装備する727と比較するとスマートなデザインとなった[3]。また、エンジンと主翼以外にも、垂直尾翼や降着装置などに新技術が採用されていた[3]。1978年1月に、ボーイングはイースタン航空ブリティッシュ・エアウェイズに対して、この「モデル761-161」の構想を説明した。この2社は、かねてから727の発展型となる機体に関心を示していたのである[3]

ところが、この2社の要求はそれぞれ異なる内容であった。具体的には、イースタン航空が2クラスで165席クラスの機体を求めていた[3]のに対し、ブリティッシュ・エアウェイズは単一クラスで190席クラスの機体を希望した[3]のである。ブリティッシュ・エアウェイズは政府との結びつきが強い航空会社であり、かつヨーロッパの航空会社であることからエアバスの旅客機を購入することが求められていた[3]。ボーイングもその事情を把握していたため、ブリティッシュ・エアウェイズの要望には特別な配慮を行なっていた[3]。ボーイングでは、できるだけこの2社の要求に応えるべく、デザインの見直しを行い、2クラスで165席から175席、単一クラスで190席を設置することが出来るようなサイズに改めたのである[3]。さらにこの頃のアメリカの大手航空会社は、航空旅客数の増加に確信を持っており、アメリカ航空業界では「機体は大きければ大きいほどいい」という考え方が一般化していた[10]

そこで、ボーイングはさらに胴体を延長した上で、180席を標準座席数とするデザイン案「モデル761-177」をまとめた[10]。最終的にはこのデザイン案が開発のベースとなることになる[10]が、提案当時は水平尾翼を垂直尾翼の上部に配置する「T字尾翼」となっていた[3]。これは、727の尾翼部分の設計を一部流用することを考えていたためである[10]。この段階では、短胴型の757-100型と長胴型の757-200型を開発することになっていた[10]

ローンチ[編集]

ローンチカスタマー・ブリティッシュ・エアウェイズのボーイング757-200

1978年2月には、この案が正式に「ボーイング757」として受注活動が開始されることになった。同年8月31日には、イースタン航空から確定発注21機(オプション発注24機)、ブリティッシュ・エアウェイズからは確定発注19機(オプション発注12機)を獲得した[1]。なお、一時は開発を「7X7」に一本化することも考えられていたが、1機種だけではボーイングの理想とする民間航空機市場を維持しきれないという判断されたこと[11]、単通路機の開発に対して、単通路機の乗り入れしか認められていなかったニューヨークのラガーディア空港発のシャトル便を多数運航していたイースタン航空とブリティッシュ・エアウェイズから強い要請があった[6]ことから、これを取り下げている。このような経緯から、この2社は、セミワイドボディ機である767と757は市場での競合がないことをボーイングと確認した上で発注に踏み切っている[10]

その後もデザイン案の変更が行なわれ、「モデル761-280」というデザイン案が固まった[10]。このデザイン案では、尾翼の面積を拡大する必要があると認識された[1]ことから、「T字尾翼」を採用せずに、胴体尾部に水平尾翼を装備するデザインとされた[1]。1979年3月23日、正式に757-200型のローンチが発表され、開発が開始された[12]。発注を受けてから開発開始までの期間が長かったのは、767の開発を並行して進めるため、開発作業のタイミングをずらす意図があったとされている[1]

しかし、ローンチはしたものの、その後1年以上が経過し、初号機のロールアウトが近づいた頃になっても、発注はローンチカスタマーの2社以外になかった[4]。ボーイングではデルタ航空からの発注を確実視していたものの、デルタ航空ではアメリカ製のエンジンを希望していた[4]こと、また非常口や座席の配置についてイースタン航空とは異なる要求があった[4]ため、発注を見送っていたのである。これにはボーイング側も、757に適したエンジンをアメリカのエンジン製造会社が開発してくれるのを待つ以外に方法はなかった[4]。結局、デルタ航空が発注したのは、プラット・アンド・ホイットニーのPW2000型エンジンが実用化された後の1980年11月であった[4]。その後、発注が757-200型に集中したため、短胴型の757-100型については開発されないことになった[9]

共通化とハイテク化[編集]

ボーイング757のコックピット

757と767は同時期に開発する旅客機であることから、開発費を節約するためにも、両機種に多くの共通点を持たせることが考慮されていた[10]。それは補助動力装置(APU)やアビオニクス、さらには操縦資格まで共通化することを目指していた[10]。通常、旅客機の操縦資格は機種ごとに取得することになるが、1つの操縦資格で2機種に乗務できることになれば、航空会社側でも操縦士の勤務割り当てに自由度が増すことになり、メリットは大きく[13]、販売上も有利になると考えられたからである。この共通資格認定は1983年7月22日に認められ、地上講習(座学)により757と767の相違について学習することで、双方の機種への乗務が認められることになったのである[13]

また、757と767ではコクピットの共通化を図るだけでなく、合計6個のCRTを設置することで航空機の機器状況などの把握を容易にした上で、さらに自動化を進めることで直接運航コストが低減されることを目指した[14]。これにより、これまで操縦士2人と航空機関士の3人で乗務する必要があったものを、操縦士2人のみで安全な運航が可能になることを目標としていた[13]。この当時、まだグラスコックピットという言葉自体がなく[10]、むしろ757と767の登場によって初めて使用されるようになった言葉であった。

生産終了まで[編集]

デルタ航空のボーイング757-300

1980年代に入りエアバスA320の開発が始まろうとしていた時期に、対抗する商品として短胴型として757-50型を提案していた[15]が、737の胴体延長型に関心が集まったため、実現することはなかった。757の場合、胴体短縮型は737と競合する可能性があり、胴体延長型では767と競合する可能性があるため、派生型を開発する余地が少なかったのである[15]。このため、757はしばらく長胴型の757-200型の生産のみを行なっていた。

その後、ボーイングは1990年代の半ばには、757-200型をベースとして、航続距離延長型と胴体延長型という2タイプの発展型を提案した[15]。この胴体延長型は1996年9月2日にローンチが発表され、757-200型のローンチ後18年ぶりの発展型として、757-300型が開発されることになった[15]。757-300型は1998年8月2日に初飛行した。

ボーイングでは、この757-300型については「757-200型のリプレイスを行なう機材ではなく、757-200型と767-300型の隙間を埋める、全く新しい機体」としていた[16]。しかし、この思惑に反して757-300型の受注数は2003年の時点で61機にとどまっており[5]、期待はずれの数字であった[5]

さらに、ボーイングの他の機種での派生型や、新機種との関係も微妙なものになった。737は既に胴体延長を行なった派生型として、737-900型を発売していたが、737-900型の42.11mという全長は、757-200型と5.21mしか違わない。2002年には、737-900型に非常口を増設して最大座席数を200席程度とした737-900X型(後の737-900ER型)の計画を発表したが、これは航続距離も座席数も757-200型に近いものであった。737シリーズの販路拡大のためにも、ボーイングにとっては737-900X型のローンチが必要であったが、これは757-200型と競合するものでもあった[5]

また、ボーイングでは7E7(後の787)の計画を進めていたが、7E7の短距離仕様の収容力は757-300型とほぼ同等である。7E7が短距離仕様まで含めてローンチされると、757-300型の販路はさらに狭くなる[5]

さらに、姉妹商品であるはずの767も、767-400ER型では777と同様のグラスコックピットを採用したため、これまで通り757と767で共通という操縦資格を維持するためには、グラスコックピットでありながら在来型の計器表示での様式が必要になる[5]。合理的な手段としては、767-400ER型以外の767についてもグラスコックピットの様式を揃えることが考えられ[5]、実際に2003年からは767-200ER型・767-300ER型でも、コックピットを767-400型と同様式とすることになった[17]

このような状況下で、757はボーイングの旅客機の中で、取り残され孤立した状態にあるとみられた[5]。このため、ボーイングでは2003年10月16日、757については2004年末の製造を停止する計画を発表し[6]、計画が始まってから25年で製造を中止することになったのである。

機体[編集]

特徴[編集]

機内
機内
標準のドア配置。タイプAドアは最前部、主翼前方と最後部に設置、主翼後方にタイプIの非常口が1つ
標準のドア配置。タイプAドアは最前部、主翼前方と最後部に設置、主翼後方にタイプIの非常口が1つ
改良型。タイプAドアは最前部、主翼前方と最後部に設置、主翼上にタイプIIIの非常口が2つ
改良型。タイプAドアは最前部、主翼前方と最後部に設置、主翼上にタイプIIIの非常口が2つ

低翼配置、双発ターボファンエンジン装備のナローボディー旅客機である。座席配置は、通路を挟みエコノミークラス標準で3-3となっている。

757と767は、同時期に姉妹的関係で開発が行われたことから、共通点が多い。主翼を始めとするいくつかの部品が共通であるほか、整備方式も似通ったものになっている。また、操縦資格も共通となっており、数日間の訓練で移行が可能となっている。このため、コクピット全体を下に2度傾けることで、進入時の角度を767とそろえたり[6]、客室床面より少し低い位置にコックピットを配置する[18]などの工夫を行なっている。

なお、757-200型のローンチ当初の側面の扉配置は、最前部・主翼前方と最後部にタイプAドア、主翼後方にタイプIの非常口を設けていた[1]。しかし、デルタ航空へ納入された機材では、主翼後方のタイプI非常口に代えて、主翼上にタイプIIIの非常口を2つ設置する仕様となった[1]。この仕様では座席を8席増加させられるため、以後はこの仕様が改良型として主流となった[1]。757-300型では側面の扉配置は1種類だけで、最前部・主翼前方と最後部にタイプAドア、主翼上にタイプIIIの非常口を2つ設置した上で主翼後方にタイプIの非常口を設けている。

エンジン[編集]

搭載エンジンについては、初期はロールス・ロイス(RR)製RB211-535C ターボファンエンジンであり、ゼネラル・エレクトリック CF6搭載も検討されたが需要が無く実現しなかった。後にRR RB211-535Eやプラット・アンド・ホイットニー(P&W)製PW2037、PW2040、PW2043の搭載が可能となり、燃費向上・出力向上が行われた。

なお、ロールスロイス製エンジン搭載仕様の受注によるローンチはボーイングの旅客機では初めてのケース[1]となり、その後も787のローンチまで例がなかった[注釈 1]

しかし、このエンジンの出力向上により、着陸進入時の後方気流が大きいことが問題視されるようになった[19]。これは試験飛行の時点では見過ごされていたが[19]、小型機が757の後方気流に巻き込まれて破損や墜落に至る事故が実際に発生した[19]。このため、アメリカの航空交通管制では、便名の後にワイドボディ旅客機並みに「heavy」(大型機を表す符丁)と付されることになった[19]

派生型[編集]

2つの基本型が生産された。757-200型機は短胴型で757-300型機より航続距離が長いタイプである。100型は提案されたのみで受注を得られなかったため、生産はされなかった。

757-100[編集]

短胴型。727-200の代替にするために150席の標準型として最初に設計されたが、航空会社からの受注が得られず開発が中止された[9]

757-200[編集]

標準型[編集]

アメリカン航空の757-200 UPSの757-200PF
UPSの757-200PF

757の標準型である。最初に開発、納入され913機製造された。2005年4月26日に、757シリーズの最終機として生産を終了している。

757-200PF[編集]

757-200の貨物専用機タイプとして1985年にユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)からの発注を受けて製造された。PFは「Package Freighter」の頭文字である[20]。客室窓が一切なく、胴体前方左の側面に幅2.18m×高さ3.4mの貨物扉を設置した。他には操縦士の出入り用の小さい扉がある。キャビンには2.24m×3.18mというサイズのカーゴパレットを15個まで搭載可能。

757-200M[編集]

ネパール航空の757-200M。タラップの左側に貨物ドアが見える DHLの757-200SF
ネパール航空の757-200M。タラップの左側に貨物ドアが見える
DHLの757-200SF

757-200の貨客混載機タイプとして開発されている。扉配置は標準型の757-200型をベースとしており、最前部(No.1ドア)と主翼前方のタイプAドア(No.2ドア)の間に757-200PFと同様の貨物扉を設置しているが、この貨物扉にも窓がある。キャビンには150人の乗客を乗せた状態で、2.24m×2.74mというサイズのカーゴコンテナを3個搭載可能。この仕様はネパール航空の発注した1機のみ製造(機番 9N-ACB)[21]

757-200SF[編集]

旅客用の中古機材を貨物型に改造したもので、ボーイングの一部門である「Boeing Airplane Serives」が改造した上でDHLにリースする契約となっている[21]。改造は旅客用の内装を全て撤去した上で、757-200PFと同様の貨物扉を設置し、床面も強化した上でハンドリングシステムを付加するもの。SFは「Special Freighter」の意味[21]

757-300[編集]

ノースウエスト航空の757-300

757-200の胴体を7.11m延長したストレッチ型である。全長54.43mはナローボディ旅客機としては旅客機史上2番目の長さ(1位はDC-8-61/63の全長57.12m)となり、ナローボディ双発旅客機に限れば最長である[2]。胴体延長に伴い、引き起こしの際に尾部が接地することを防ぐために、尾部にテイルスキッドが装備されている[2]ほか、重量増加に合わせ、主翼とギア、またそれら周辺の胴体部分が構造強化されている。なお、同じ時期には767-400ER型が開発されているが、757-300ではコックピットについては大きな変更は行なわれていない[2]。55機が製造され、757-200と共に製造を終了している(最終機は2004年4月27日コンチネンタル航空に納入されている)。

ビジネス及び軍用型[編集]

アメリカ空軍のC-32

サウジアラビア政府とアメリカ空軍は、軍高官および政府首脳輸送任務用の757-200型を購入した(C-32型機)。アメリカ空軍では、副大統領などのVIP輸送機としても運用している。また、アルゼンチンメキシコニュージーランドウズベキスタンなどの政府専用機としても使用されている。

また、ビジネスジェット機としても数多く使用されている(ポール・アレンドナルド・トランプなど)。また2004年には、アメリカ合衆国大統領候補者ジョン・ケリーは選挙期間中に「Freedom Bird」とニックネームを付けた757-200型機をチャーター使用した。

ウィングレット改修[編集]

フィンランド航空のウィングレット装着機757-200

コンチネンタル航空では、燃費改善のために、自社の保有する-200型に対してウィングレットを後付けする改修を2005年より行っている。また2013年1月現在、アメリカン航空ノースウエスト航空/デルタ航空フィンランド航空アイスランド航空米空軍でも同様の改修が確認されている。

販売実績[編集]

軍用・公用オペレーター[編集]

受注数[編集]

2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993
2 11 14 29 45 45 67 54 46 42 43 69 71
1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980
99 80 77 51 48 40 35 36 18 25 2 0 0

日本における757[編集]

1000機以上製造され[7]、世界的には決して希少な機種ではない[7]にもかかわらず、ボーイング757(以下、本節では単に「757」と表記)は日本においてはあまりなじみのない航空機である。2013年現在も日本の航空会社では発注・導入の実績がないのみならず、日本国外からの乗り入れ自体は多くない[7]

なお、チャーター機や政府専用機、企業専用機や自家用機として飛来することもある[注釈 2]

少ない飛来実績[編集]

1994年に高松空港に飛来した中国西南航空の757

日本に757が初飛来したのは、1982年2月19日に新東京国際空港(当時)にデモフライトで飛来したのが初めてである[22]が、1987年9月にブルネイ王室のチャーター便として飛来したロイヤルブルネイ航空の757が飛来するまで、5年以上も日本には757の飛来実績はなかった[22]。それ以後も年に数回程度チャーター便で来日する程度で、定期便として757が日本への路線に就航したのは、1994年10月にロイヤル・ネパール航空(当時)関西国際空港への路線を開設したのが初めてとなる[23]

757の収容力や航続距離ではアメリカやヨーロッパからの長距離定期便には向いていないため[24]、757が定期便で日本に乗り入れる可能性があるのはアジア及び太平洋地区の航空会社に限られる[24]。しかし、そのアジア地区及び太平洋地区の航空会社で定期路線運航の機材として757で日本に乗り入れを継続している航空会社が少ない[24]。2003年9月までは定期便に757を使用して乗り入れていたのはコンチネンタル航空コンチネンタル・ミクロネシア航空)などの一時的な機材変更を除けば前述のロイヤル・ネパール航空とユナイテッド・パーセル・サービスしかなかった[7]。このような事情から、757はアメリカやヨーロッパのみならず、南アメリカでもメジャーな存在であった[25]にもかかわらず、日本においてはなかなか見ることのできない航空機であった[22]

日本の航空ファンに人気の機種に[編集]

このような事情から、日本の航空ファンにも757は人気がある機種であったという[25]。1987年12月にロイヤル・ネパール航空が民間チャーター便を名古屋空港発着で運航した際には、日本発着の民間チャーター便としては初めて757を使用したこともあり、ツアーの旅客数並み[注釈 3]の航空ファンが名古屋空港を訪れたという[22]

イカロス出版の雑誌『月刊エアライン』には、日本にチャーター便などで飛来した航空機の写真を掲載する「飛来機王国」というコーナーが存在するが、このコーナーを10年以上担当している編集者によれば、757が飛来すると写真の投稿数が増加する傾向があり[25]、日本への757での乗り入れ実績が多い航空会社のチャーター便であったとしても、757であるというだけで写真投稿数が増えるという[25]

現在[編集]

しかし2003年9月30日から、ノースウエスト航空(当時)では、成田国際空港からアジア地区やグアム、サイパンへ向かう路線に就航させるため、それまで同様の目的で使用していたエアバスA320に代わって5機の757を成田に常駐させ、その後デルタ航空が引き継いでいる[7]ため、同社の757は成田ではおなじみの機種となっている。なお日本の空港を拠点とした就航実績がある757は、このノースウエスト航空と、その後合併して路線と機材をノースウエスト航空から継承したデルタ航空の757だけである。

その後上海航空羽田空港-上海虹橋空港線に就航させたほか、2013年にはエア・トランスポート・インターナショナルのアメリカ軍専用チャーター機が横田基地に定期乗り入れを開始するなど、成田空港以外への定期便の就航も行われている。

要目[編集]

項目\機種 757-200 757-200PF 757-300
旅客数
(1クラス制)
239席[2]   289席[2]
全長 47.32m[2] 54.5m[2]
全幅 38.05m[2]
全高 13.60m[2]
胴体 横幅3.76 m(キャビン横幅 3.54 m)
貨物容量 43.3 m³ 239 m³(最大グロスペイロード39,780 kg) 67.1 m³
最大離陸重量 108.860kg[2] 123,600kg[2]
燃料容量 42.684L[2] 43,494L[2]
航続距離 7,241km[2] 6,852km[2] 6,426km[2]
巡航速度 Mach 0.86[2]
エンジン 双発 ロールス・ロイス製RB211型[2]プラット・アンド・ホイットニー製PW2037型[2]、プラット・アンド・ホイットニー製PW2040型[2]
または プラット・アンド・ホイットニー製PW2043型 high-bypass ratio ターボファンエンジン
rated at 36,600 lbf (163 kN) to 43,500 lbf (193 kN) thrust each

事故概略[編集]

(2004年現在)

主な事故[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ボーイング787のローンチカスタマーである全日本空輸はロールス・ロイスのエンジンを選択した。次世代中型機「7E7シリーズ」のエンジンを「Trent 1000」に決定(全日本空輸公式サイト内プレスリリース)”. 2009年12月16日閲覧。
  2. ^ 2002年5月には、日韓W杯出場のサッカーカメルーン代表を乗せたチャーター機が福岡空港に飛来し、2008年2月には、世界ツアーの日本公演のために来日したバンド「アイアン・メイデン」のメインボーカルのブルース・ディッキンソンが、757のチャーター機を自ら操縦して来日した。
  3. ^ 『ハイテク・ツイン・ジェット』 p.88では、「大げさな誇張でも冗談でもない」と念が押されている。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 青木謙知「ボーイング757製造中止」、『エアライン』第295号、イカロス出版、2004年1月、 94 - 95頁。
  • 伊藤久巳「進化し続ける767の過去、現在、そして未来」、『エアライン』第280号、イカロス出版、2002年10月、 43-47頁。
  • 伊藤久巳「ノースウエスト航空成田ベースのニューフェイス 757がやってきた!!」、『エアライン』第294号、イカロス出版、2003年12月、 70-73頁。
  • 鍛治壮一「ボーイング767 ハイテク・コクピットの真実」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 142-157頁、 ISBN 4871492974
  • Jun (AJ) Shidara「マニアックに極める ボーイング757/767」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 79-83頁、 ISBN 4871492974
  • 藤田勝啓「Boeing757 & Boeing767 シリーズのすべて」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 57-78頁、 ISBN 4871492974
  • 帆足孝治「BOEING 757&767 開発ヒストリー」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 43-56頁、 ISBN 4871492974
  • 「新世紀ステージへ 757&767ルネッサンス!」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 3-7頁、 ISBN 4871492974
  • 「日本における757 人気の秘密」、『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』、イカロス出版、2000年9月、 84-90頁、 ISBN 4871492974

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