アンタレス (ロケット)

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アンタレス
Antares A-ONE launch.2.jpg
アンタレス1号機
基本データ
運用国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
開発者 OSC
運用機関 OSC, NASA
使用期間 2013年 -
射場 中部大西洋地域宇宙基地LC-0A
ヴァンデンバーグ空軍基地
ケープカナベラル空軍基地
コディアック打上げ基地
打ち上げ費用 $ 65 million[1]
原型 トーラス
公式ページ Antares
物理的特徴
段数 2段または3段
総質量 290 t
全長 40.5 m
直径 3.9 m
軌道投入能力
低軌道 4,200 kg / 7,000 kg
400 km / 28.7 度
太陽同期軌道 3,200 kg / 5,600 kg
400 km / 98 度
静止移行軌道 2,400 kg[2]
ISS軌道 約 5 t[3]
地球重力圏脱出軌道 1,250 kg / 1,800 kg
C3 = 0 km²/s²
脚注
軌道投入能力は 標準型 / 拡張型
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アンタレス英語: Antares)はアメリカ合衆国オービタル・サイエンシズ社 (OSC) により開発され、打ち上げられている中型ロケット2013年4月21日に初打ち上げが行われて成功した[4]

2011年12月に計画名のトーラスIIが、さそり座の1等星アンタレスにちなんでアンタレス (Antares) に名称変更されることになったと発表された。同社のロケットは、Pegasus, Taurus, Minotaurというようにギリシャ神話にちなんで命名されていた[5]

概要[編集]

アンタレスはアメリカ航空宇宙局 (NASA) の商業軌道輸送サービス (COTS) の契約に則りシグナス補給船を打ち上げるロケットとして開発されており、デルタIIとほぼ同じ規模、OSCが保有しているロケットとアトラスVデルタIV等の大型ロケットの間を埋める軌道投入能力を有するロケットとして位置づけられている。

既存のコンポーネントを活用することで低コストで信頼性の高いシステムを構築する方針で開発されている。OSCの保有する既存のロケットの成果を用いることで高い即応性を実現し、シグナスの他にも宇宙探査機等を含む科学用途の宇宙機、軍事衛星、商用衛星等の各種中型ミッションに対応する。

構成・諸元[編集]

組み立てられたアンタレスロケット

アンタレスは第1段に液体燃料を用いる2段式ロケットであり、前身のトーラスロケットとは大きく異なるものとなっている。

第1段エンジンは旧ソ連が有人月飛行を目的として開発していたN-1ロケット用の第1段エンジンNK-33エアロジェット社が購入して電装系等の改修を行ったAJ26-62エンジンを2基使用し、第1段タンクはウクライナユージュノエ (Yuzhnoye) 及びユージュマシュ (Yuzhmash) が製造するゼニット第1段タンクの全長を短縮したものが用いられる。

第2段はキャスター120を短縮することでATKが新規開発したキャスター30を採用した。また、拡張型第2段としてプラット・アンド・ホイットニーロケットダインが開発したメタンを燃料とするPWR35Mエンジンを使用する構成も計画されていたが、2011年4月に、キャスター30の性能向上型であるキャスター30XLを採用する方針に変更された。 最初の2機の試験フライトでは第2段にキャスター30Aを使用し、次の2機ではキャスター30Bを使用。4号機からキャスター30XLに切り替えて打上げ能力を強化する予定[6]

シグナスの軌道投入は2段式のアンタレスによって行われる予定であるが、人工衛星や宇宙探査機の打ち上げにおいてはオプションとして2種類の第3段が用意されている。標準型第2段を用いた通常の人工衛星の打ち上げの場合には、軌道投入精度の向上と軌道高度の上昇を目的として、OSCがSTAR Busの推進系を流用して開発した2液式推進系Bi-Propellant Third Stage (BTS) を使用する。惑星探査機等の打ち上げにおいてはATKが開発したスター48BVをキックモータとして使用する。

アビオニクスとしてはOSCが開発し、同社のロケットで使用して飛行実績があるMACH (Modular Avionics Control Hardware) コンポーネントを採用した。

主要諸元一覧
全長 40.5 m
代表径 3.9 m
全備質量 290 t
段数(Stage) 第1段 第2段 第3段(オプション) フェアリング
標準型 拡張型 BTS キックモータ
各段全長 27 m 3.5 m 7.0 m 2.9 m 2.07 m 9.9 m
各段代表径 3.9 m 2.36 m 3.9 m 2.4 m 1.24 m 3.9 m
各段質量 269 t 14 t 18 t 1.5 t 2.2 t 0.972 t
使用エンジン AJ26-62
(2基)
キャスター30 PWR35M BT-4[7]
(3基)
スター48BV N/A
推進剤 LOX/RP-1 TP-H8299 LOX/LCH4 MON-3/N2H4 TP-H3340
推進剤質量 256 t 12.8 t 2 t
乾燥質量 18,715 kg 1,185 kg 1,818 kg 180 kg 155 kg
真空平均推力 3,803 kN 258.9 kN 147 kN 1.33 kN 68.6 kN
真空比推力 331 s 294.7 s 347 s 329 s 292.1 s
ノズル膨張比 27 50 54.8
有効燃焼時間 213 s 143 s 375 s 3,100 s 88 s

打ち上げ[編集]

当初の打ち上げ予定は2011年10月であったが、同年12月、2012年1月23日、2月、7月6日、8月9日、9月後半、10月、12月、2013年2月と次々と延期された[8][9]。最終的に2013年4月21日17時00分 (EDT)、シグナス補給船の質量を模擬したダミーペイロードを搭載しての初打ち上げに成功した[4]

号番 ミッション名 Version 打ち上げ年月日 (UTC) ペイロード 結果 備考
1 A-One 110 2013年4月21日21時00分 リスク軽減のための飛行試験(初打上げ)としてシグナスのダミーペイロードとCubeSat 4機(Dove 1, PhoneSat 3機)を軌道へ投入 成功 [4]
2 COTS Demo (Orb-D1) 110 2013年9月18日14時58分 シグナスの初飛行 成功
3 CRS Orb-1 120 2014年1月9日18時07分 シグナスの商業補給飛行1回目、2段目をキャスター30Bに変えて打上げ能力を強化 成功 [10]
4 CRS Orb-2 120 2014年7月13日12時52分 シグナスの商業補給飛行2回目、前回と同じ構成。 成功 [11]
5 CRS Orb-3 130 2014年10月28日22時22分 シグナスの商業補給飛行3回目。2段目をキャスター30XLに変更して打ち上げ能力を強化。離昇直後に爆発炎上した。 失敗 [12]

CRS Orb-3[編集]

打ち上げ失敗により爆発炎上するロケット

Cygnus CRS Orb-3 は、アンタレスとシグナス補給船による3回目のISS補給ミッションであった。しかし、2014年10月28日に打ち上げられたアンタレス5号機は、離陸から僅か15秒後に1段目が爆発。機体はそのまま中部大西洋地域宇宙基地の打ち上げ施設へと墜落した。[13] 被害を抑えるためにアンタレスの自爆が試みられたものの、作動したのはロケットが地上に激突する直前であり、爆発と火災により機体とペイロードは破壊され[14][15]、地上施設も深刻な被害を受けた[16][17]。OSCは事故後、直ちに原因究明のための事故調査委員会を形成した[18]

初期構想[編集]

トーラスIIの初期構想は1994年にOSCが発表したもので、第1段及び第2段にキャスター120、第3段に当時開発中であったアリアン5の上段に採用予定のエスタスを用いるというものであった。この構想では軌道傾斜角28.5度、高度185kmの低軌道に2.3tの軌道投入能力をもち、また、補助ブースタとしてキャスター4を最大8本用いることで同様の軌道への投入能力を5tまで向上することが可能とされていた。さらに、オプションとしてスター48を第4段キックステージとして用いた場合には、GTOへ1.84tのペイロードを投入可能であるとされていた[19]

この構想はNASAの小型の衛星や探査機の打ち上げを目的としたMed-Lite契約に向けて発表されたものであったが[20]、その後OSCは同契約に向けマクドネル・ダグラス(MD)と共同で同様のコンセプトをもつデルタ・ライトの構想を発表した[21]1993年初頭にデルタ・ライトはMed-Lite契約を獲得し、ディープ・スペース1号FUSEスターダストなどを打ち上げる予定となっていたが[22]1997年にMDがボーイングに吸収合併されるなどの情勢から計画は凍結され、これらの宇宙機はデルタIIロケットで打ち上げられた。

出典・脚注[編集]

  1. ^ 8th NRO/AIAA Space Launch Integration Forum Taurus II Development Status of a Medium-Class Launch Vehicle for ISS Cargo and Satellite Delivery (PDF, 2.1MB) - Davit Staffy (OSC). 2008.7.15
  2. ^ 文部科学省宇宙開発委員会推進部会 GXロケット評価小委員会 第8回 資料 各国の中型ロケット等に係わる動向 (PDF, 415KB)
  3. ^ Commercial firms await NASA's call to serve station (Spaceflight Now)
  4. ^ a b c アンタレスロケットの打ち上げ試験、完璧に成功”. sorae.jp (2013年4月22日). 2013年4月22日閲覧。
  5. ^ “Orbital Selects "Antares" as Permanent Name for New Rocket Created by the Taurus II R&D Program”. OSC. http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=798 2011年12月12日閲覧。 
  6. ^ “ATK Received $57 Million Contract from Orbital for Upgraded CASTOR® 30XL”. ATK Press Release. http://atk.mediaroom.com/index.php?s=25280&item=58160 2011年12月3日閲覧。 
  7. ^ Antares(Taurus-2) (Gunter's Space Page)
  8. ^ Antares Cold Flow Testing Begins and Antares A-ONE Gets All Dressed Up”. Orbital.com (2012年12月). March19, 2013閲覧。
  9. ^ SPACEFLIGHT NOW
  10. ^ “Company Completes Third Successful Antares Launch in the Past Nine Months”. Orbital Sciences Corp.. (2014年1月9日). http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=1883 2014年1月11日閲覧。 
  11. ^ “Orbital Successfully Launches Antares Rocket Carrying Cygnus Spacecraft on Cargo Resupply Mission to International Space Station”. Orbital Sciences Corp.. (2014年7月13日). http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=1906 2014年7月16日閲覧。 
  12. ^ アンタレス・ロケット、打ち上げに失敗 離昇直後に爆発”. sorae.jp (2014年10月29日). 2014年10月29日閲覧。
  13. ^ Antares explodes moments after launch”. Spaceflight Now (2014年10月28日). 2014年10月28日閲覧。
  14. ^ Queally, James; Hennigan, W. J.; Raab, Lauren (2014年10月28日). “Rocket bound for space station blows up just after liftoff”. Los Angeles Times. http://www.latimes.com/nation/nationnow/la-nn-antares-explodes-20141028-story.html 2014年11月8日閲覧。 
  15. ^ ISS Commercial Resupply Services Mission (Orb-3)”. Orbital Sciences Corporation (2014年). 2014年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月31日閲覧。
  16. ^ Wall, Mike (2014年10月28日). “Private Orbital Sciences Rocket Explodes During Launch, NASA Cargo Lost”. Purch. http://www.space.com/27576-private-orbital-sciences-rocket-explosion.html 2014年10月28日閲覧。 
  17. ^ “ISS Commercial Resupply Services Mission (Orb-3)” (プレスリリース), Orbital Sciences Corporation, (2014年10月30日), オリジナルの31 October 2014時点によるアーカイブ。, http://www.webcitation.org/6Tj4mG4Wp, ""no evidence of significant damage"" 
  18. ^ ISS Commercial Resupply Services Mission (Orb-3)”. Orbital Sciences Corporation. 2014年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月28日閲覧。
  19. ^ Henry Spencer Aviation Week Summaries, space news from Jun 20, 1994 AW&ST.
  20. ^ Popular Mechanics Vol.171 No.11, Launchers Lighten Up, pp.26, 1994-11
  21. ^ Federation of American Scientists, Special Report: U.S. Small Launch Vehicles (PDF, 75.3KB) New U.S. Small Launch Vehicles, pp.4, 1996.
  22. ^ NASA McDonnell Douglas to Provide MED-LITE Launch Vehicle for STARDUST, 1996-10-08.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]