磁気テープ
磁気テープ(じきテープ)とは、粉末状の磁性体をテープ状のフィルムに、バインダー(接着剤)で塗布または蒸着した記録媒体で、磁化の変化により情報を記録・再生する磁気記録メディアの一分類である。
用途によりオーディオ用、ビデオ用、データ/コンピュータ用などがある。また、オーディオやビデオ用にはアナログ記録方式とデジタル記録方式がある。記録容量に応じ、テープ幅や厚さ、1巻の大きさ(すなわちテープの長さ)のバラエティに富む。米国で発達したことからテープ幅をインチ、テープ長をフィートで呼ぶ習慣がある(日本企業を中心に規格化された8ミリビデオテープやDATなどの例外もある)。
日本の法令では「これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物」[1]も磁気テープに含まれるため、法的にはCD-Rや紙テープなど本義の磁気テープとは関係のないメディアも磁気テープに含まれる。
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製造方法 [編集]
幅3 - 4mのフィルムの片面に磁性媒体を塗布し裁断。リールと呼ばれるボビンに巻き取り、プラスチック容器等に装着する。
磁性媒体の塗布は、蒸着など様々な塗布方法がある。また、一般的には片面だけだが両面に塗布した製品も見られる。
用途 [編集]
磁気テープを利用したメディア規格としては、以下のようなものがある。
オーディオ用 [編集]
アナログ [編集]
- オープンリール - 多くは約6mm幅(1/4インチ)のテープ。業務用マルチトラックレコーダーは最大2インチ幅まである。
- テーペット - RCAビクターが開発した規格。6.3mm幅。
- コンパクトカセット - 一般にいうカセットテープ。3.8mm幅。
- オー・カセ - コンパクトカセット互換オープンリール。
- マイクロカセット - 通常のコンパクトカセットより小型のカセットテープ。3.8mm幅。1970年代にフィリップス社の開発したタイプが登場したが、現在日本で普及しているのはその後にオリンパスが開発した規格。会議記録用にも盛んに用いられた時期があったが、現在は留守番電話機の録音媒体に用いられる程度。
- エルカセット - ソニー、パナソニック、ティアックの3社が共同開発した規格。A6(文庫本サイズ)でテープ幅はオープンリールと同じ6.3mmである。現在は廃れた。
- 8トラック - 1980年代までカラオケ等の媒体に利用されたが、現在は廃れた。
デジタル [編集]
- 3/4インチデジタルオーディオカセットテープ - UマチックにPCMプロセッサを繋いで使用。19mm幅。U規格テープを使用。
- DAT - ヘリカルスキャン方式のR-DAT用のテープ。3.8mm幅。S-DAT(固定ヘッド)用は下記のオープンリール型が使用された。
- DCC - コンパクトカセットをデジタル記録化したもので、現在は廃れた。
- オープンリール - 業務用録音機器で使用される。
- ADAT(ALESIS DIGITAL AUDIO TAPE)- 業務用マルチトラックレコーダ。12.7mm幅。VHSテープを使用。
- DTRS(Digital Tape Recording System)- 業務用マルチトラックレコーダ。8mm幅。8ミリビデオテープを使用。
ビデオ用 [編集]
デジタルとアナログで姉妹規格となっているものが多いため、デジタルとアナログは分けずに記載する。
オープンリール [編集]
ビデオカセット [編集]
- ACR-25 (AMPEX) - 2インチ
- U規格 - 3/4インチ - M:256×174×38mm - S:210×147×38mm
- VX方式 - 1/2インチ
- VHS - VHS-C - S-VHS - S-VHS-C - D-VHS - W-VHS - 1/2インチ - 205×120×32mm (カセットのサイズではない。)
- ベータ - ED BETA - 1/2インチ - L:271×162×32mm - S:172×112×32mm (カセットのサイズではない。)
- BETACAM - BETACAM-SP - BETACAM-SX - Digital BETACAM - MPEG IMX(D10) - HDCAM - HDCAM SR
- UNIHI - 1/2インチ - 205×121×25mm
- 8ミリ - Hi8 - Digital8 - 8mm - 108×75×20mm
- DV - MiniDV - HDV - 6.35mm(1/4インチ) - STD:139×94×20mm - mini:108×78×20mm
- MICROMV - 3.8mm
- D1 - D2 - D6 - 3/4インチ - L:283×430×51mm - M:285×176×40mm - S:196×129×40mm
- D3 - D5 - 1/2インチ
コンピュータ用 [編集]
記録装置は高価であるが、他のメディアに比べて容量が大きく、テープの容量当たりの単価が安価である。ランダムアクセスができない。こうした特徴から、企業が保有する大規模なサーバなどのバックアップ用メディアとして用いられる。米国では、個人用の安価な装置が一定の普及を見た時期もあった。
バックアップ・リストア時間に長い時間を必要とする。
また、DDS/DLTなどであれば「オートローダ」と呼ばれる装置を用いることで、同時にマガジンに装填されたテープを自動的に交換することができる。テープ1本では容量が不足する場合の自動化のときなどに用いられる。
オーディオ・ビデオ用テープに記録できるストレージもある。
固定ヘッド [編集]
- オープンリール - 2インチ、1インチ
- CMT (Cartridge Magnetic Tape), CST (Cartridge System Tape) - 1/2インチ
- 3480 - 3490 - 3490E - 1/2インチ
- 9490EE - 9840 - 9940 - IBM 3480互換
- 3590 - 3590E -1/2インチ
- 3592 -1/2インチ
- DLT (Digital Linear Tape) - SDLT - 1/2インチ
- LTO (Linear Tape-Open Ultrium) - 1/2インチ
- Travan - 8mm
- QIC (Quarter Inch Cartridge) - 1/4インチ
ヘリカルスキャン [編集]
- DIR - 19mm(3/4インチ)
- VHS - 1/2インチ
- Exabyte (D8, Data 8) - VXA - 8mm - 8ミリビデオとカートリッジは同形状だが、原則としてメディアに互換性はない。
- AIT (Advanced Intelligent Tape) - S-AIT - 8mm
- DTF (Digital Tape Format) - 1/2インチ - Digital BETACAMがベースとなっている。
- DDS (Digital Data Storage) - 3.8mm - 約4mm幅 - DATとカートリッジは同形状だが、原則としてメディアに互換性はない。
テープの種類 [編集]
ノーマルポジションテープ [編集]
塗布されている磁性体が酸化第二鉄で茶色である。メタルポジションテープに反転したパターンを記録してバイアス磁界中で重ねる事で転写する事により大量複製が可能。
ハイポジションテープ [編集]
クロム、およびコバルトの酸化物が塗布されており、S/N比、高音域の再現性が優れる。
メタルポジションテープ [編集]
保磁力の優れた非酸化金属磁性体が蒸着されており高密度の記録に適する。大量複製時のマザーテープとしても使用されるがメタルポジションテープ自体は転写法による大量複製には適さない。
脚注 [編集]
- ^ 例としてプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律(昭61法65)第2条。
参考文献 [編集]
- ジェームズ・ラードナー、 西岡幸一『ファースト・フォワード ――アメリカを変えてしまったVTR』ISBN 4-89362-039-8
- 中川靖造『ドキュメント 日本の磁気記録開発 ――オーディオとビデオに賭けた男たち』全国書誌番号:84025231
関連項目 [編集]
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