コバルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

- コバルト - ニッケル
Co
Rh
 
 
ファイル:Co-TableImage.png
一般特性
名称, 記号, 番号 コバルト, Co, 27
分類 遷移金属
, 周期, ブロック 9(VIII), 4 , d
密度, 硬度 8900 kg/m3, 5.0
光沢ある灰色
コバルト
原子特性
原子量 58.933195 u
原子半径(計測値) 135(152)pm
共有結合半径 126 pm
VDW半径 n/a pm
電子配置 [Ar]3d74s2
電子殻 2, 8, 15, 2
酸化数酸化物 2, 3(両性酸化物
結晶構造 六方最密構造
物理特性
固体(強磁性
融点 1768 K(1495
沸点 3200 K(2927 ℃)
モル体積 6.67 ×10-3 m3/mol
気化熱 376.5 kJ/mol
融解熱 16.19 kJ/mol
蒸気圧 175 Pa(1768 K)
音の伝わる速さ 4720 m/s(293.15 K
その他
クラーク数 0.004 %
電気陰性度 1.88(ポーリング
比熱容量 420 J/(kg·K)
導電率 17.2 ×106 m-1·Ω-1
熱伝導率 100 W/(m·K)
第1イオン化エネルギー 760.4 kJ/mol
第2イオン化エネルギー 1648 kJ/mol
第3イオン化エネルギー 3232 kJ/mol
第4イオン化エネルギー 4950 kJ/mol
(比較的)安定同位体
同位体 NA 半減期 DM DE MeV DP
56Co {syn.} 77.27 日 ε 4.566 56Fe
57Co {syn.} 271.79 日 ε 0.836 57Fe
58Co {syn.} 70.86 日 ε 2.307 58Fe
59Co 100% 中性子32個で安定
60Co {syn.} 5.2714 年 β- 2.824 60Ni
注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。

コバルトCobaltum Cobalt)は、原子番号 27 の元素元素記号Co鉄族元素の一つ。安定な結晶構造は六方最密充填構造(hcp)で、強磁性体。純粋なものは銀白色の金属である。722K以上で面心立方構造(fcc)に転移する。

より酸化されにくく、アルカリにも強い。


目次

[編集] 歴史

1737年スウェーデンイェオリ・ブラント(Georg Brandt)により発見。コバルトという名称と元素記号は、ドイツ語で地の妖精を意味するコーボルト(Koboldまたはkobalt)に由来する。コバルト鉱物は冶金が困難なため、16世紀頃のドイツでは、コーボルトが坑夫を困らせる為に魔法をかけたものとされていた。

[編集] 用途

単体金属としてのコバルトの用途はほとんどないが、その中で最も重要なものは、放射性同位体のコバルト60をγ線源として用いるもので、医療分野での放射線療法ガンマ線滅菌、食品分野での食品照射ジャガイモの発芽防止)などに広く利用されている。

コバルトが不純物(ケイ酸コバルト)として入ることによって、ガラスなどが青色を呈する。青色の顔料であるコバルトブルーアルミン酸コバルトを主成分としており、陶磁器の着色や絵具などに用いられている。他にも亜鉛とコバルトの複合酸化物やコバルト、ニッケルチタン、亜鉛の複合酸化物はコバルトグリーンと呼ばれる緑色顔料になる。亜硝酸第二コバルトカリコバルトイエローと呼ばれる黄色の顔料となる。その絵具はオーレオリンと呼ばれる。

化合物の塩化コバルト(II) は、シリカゲルに混ぜ、湿気の吸収具合を色の変化で示す指示薬として使われる。

また、コバルトは、主に合金として重要であり工業的に利用される。初期のコバルト合金はそれまでの、高速度工具鋼にコバルトを添加した超高速度工具鋼に用いられたほか、切断工具材料としてそれまでの合金に添加されることで、コバルトの需要は増していった。現在、ニッケルクロムモリブデンタングステン、あるいはタンタルニオブを添加したコバルト合金は高温でも磨耗しにくく、腐食にも強いため、ガスタービンジェットエンジンといった、高温で高い負荷が生ずる装置などに用いられているほか、溶鉱炉石油化学コンビナートなどでも十分に役割を果たす。またステライトに代表されるコバルト・クロム・タングステン(あるいはモリブデン)・炭素を使った4元系の合金は、磨耗に強く表面強化が必要とされた工業分野において幅広く利用され始めている。この合金は、鋳型として使用するほか、粉末として吹き付けることや溶射して利用することも可能であり、利用技術の発達によって、航空機の表面にコーディングすることなどをはじめ、広い分野で実用化が始まっている。コバルト-モリブデン-ケイ素合金は、耐摩耗性を有し摩擦係数が小さい(滑らかな)性質を示し、ベアリングの特徴を併せ持つなど、有用な特性を持った合金も開発されている。またコバルト-クロム-モリブデン合金コバルト-クロム-タングステン-ニッケル合金は腐食しにくいため歯科医療や外科手術などでも使われている。近年では飛躍的に進歩したものとして、ニッケル-コバルト-モリブデン鋼の大幅な特性向上があげられる。非常に強い強度と高い靭性を持ったこの合金は、多くの分野での応用が期待されており研究が進んでいる。

加えてコバルト合金は他にも磁気材料として鉄とともに最も重要な役割を果たしてきた。コバルトを添加することにより、磁性やキュリー値が上昇するなど磁気材料としての性能が高まる。コバルトを使った合金のひとつであるアルニコ合金はかつては最も幅広く用いられていた永久磁気材料であった。サマリウムコバルト磁石はコバルトとサマリウムの金属間化合物で、強い保磁力がある。

また人体にとって、コバルトは微量ながら必須の元素である。ビタミンB12に含まれている。

この金属は、日本国内において産業上重要性が高いものの地殻存在度が低く供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60分を国家備蓄すると定められている。

[編集] 同位体

詳細は「コバルトの同位体」を参照

[編集] コバルト爆弾

核爆弾の一種で、原子爆弾又は水素爆弾のまわりをコバルトで包んだもの。具体的には、核反応が充分に進行しないうちに核物質が四散して爆発が不完全に終わるのを防ぐ「タンパー」と呼ばれる重金属の覆いにコバルトを用いる。コバルトの原子量は59であるが、核反応により放出される中性子を取り込んでコバルト60が生成され、これが爆弾の爆発と共に広範囲にまき散らされる。コバルト60は半減期5.3年でガンマ線を放射するため、コバルト爆弾は放射線兵器となる。中性子爆弾と共にSF第三次世界大戦など核戦争による世界破滅するジャンルでよく使用想定されていたが、中性子爆弾と違って、コバルト爆弾では半減期の長いコバルト60による汚染のため味方にも被害が及び、被災地の占領も困難であるなどの理由で実用性に乏しく、理論上の兵器に終わった。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
1 元素周期表 18
1 H 2 13 14 15 16 17 He
2 Li Be B C N O F Ne
3 Na Mg 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Al Si P S Cl Ar
4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba * Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra ** Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg ...
* La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
** Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr