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あお
 
16進表記 #0067C0
RGB (0, 103, 191)
マンセル値 10B 4/14
出典 JIS慣用色名
ブルー
blue
 
16進表記 #0000FF
RGB (0, 0, 255)
出典 W3C TR CSS3 Color Module, HTML4 color keywords
青い
スクーバダイビング中に海面を見上げると見えるディープブルー(タイのSimilanにて)
青い

(あお、)は基本色名のひとつで、晴れた日の瑠璃のようなの総称である。青は英語blue外来語ブルーに相当する。寒色のひとつ。また、光の三原色のひとつも青と呼ばれる。青色(セイショク、あおいろ)は同義語

国際照明委員会 (CIE) は435.8nm の波長をRGB表色系において青 (B) と規定している。

「あお」は緑色などの寒色全体を指して用いられることがあり、漢字の「青」や中国語としての「青」も、実際は緑を意味する語が多い〔青菜(チンツァイ)、青草(チンツァオ)など〕。このように青と緑が明確に分節されてこなかった言語は世界に例が多い(緑#緑をさす「青」を参照)。

色名としての青[編集]

シャウエンの青い建物
青いペンキで塗装されたトタン張りの家
水色JIS慣用色名
  マンセル値 6B 8/4
紺色JIS慣用色名
  マンセル値 6PB 2.5/4
群青色JIS慣用色名
  マンセル値 7.5PB 3.5/11

という基本色名は、その他多くの固有色名を総称として含んでいる。 たとえば、水色(みずいろ)・空色(そらいろ)と呼ばれるような明度が高く彩度の低い、淡い色合いのもの、紺色(こんいろ)や藍色(あいいろ)、群青色(ぐんじょういろ)などの明度が低い、濃い色合いのものなどが青に含まれる。空の色には「空色」という固有色名があるにもかかわらず、「青空」と呼ぶことなどが良い例である。

現代の青に相当する色として、日本では伝統的には(あい)や(はなだ)を用いてきた。 これは、日本において青を表現するための染料が古来はツユクサであり、その色を花色と呼んだことに由来すると思われる。後には染料としてアイが用いられるようになり、藍や縹が青系統の色を表す総称として定着した。しかし、これらの色名も現在は基本的に青と総称するようになり、藍や縹は固有色名としての性格が強くなっている。

現代の中国語では、「青」という字は緑と同義に扱っており、青色 (blue) を「藍」、緑色 (green) を「緑」、藍色 (indigo) を「靛」と表記して区別する。用法例:「緑灯(青信号)」[1]「藍天(青空)」[2]「緑油油的稲田(青々とした稲田)」「蔚藍的大海(青々とした海)」(例外として、「青天」だけは、緑空ではなく青空のことを指す)

「青」の字以外の「あお」[編集]

「あお」と訓じられる漢字としておよびもある。これらもまた総称としての青の範疇であるが、「青」よりも固有色名としての性格が強い。

は、干した青草のような色、生気の無い青色を指し、不透明、くすんだ青色を意味する。「蒼蒼」は、あおあおとしたさま、草木などの茂るさまを指す[3]。中国では、蒼を時々使う場合は曇り空、遠山のようなくすんだ青色を指し、例えば"蒼茫的天空"、"遠山蒼蒼"という表現がある[4]。この点で「青」「碧」「藍」とは区別される。

青緑JIS慣用色名
  マンセル値 7.5BG 5/12

一方、は、青く澄んで見える石の意味があり、青色ないし緑色を表す。また無色の奥から浮き出す青緑色とある[5]。碧は「みどり」とも読む。その場合、「青」よりもさらに緑色に近い色であることを強調して用いるケースが多い。色合いとしては「青緑」に近く、「青」に含まれるが「蒼」や「藍」とは確かに区別される。中国では、特に玉石の色を指す[6]

やまと言葉の「あお」[編集]

日本語の「あお(あを)」の推測の域を出るような語源は詳らかでないが、「しろ」(顕色)・「くろ」(暗色)・「あか」(明色)とともに色を表す語として古くから用いられてきたものである。しかし古代においてこれは、現在の青色・緑色・紫色・灰色のような非常に広い範囲の色を総称して(漠色)用いられていたと考えられている[7][8]。現代でもいくつかの語にそうした影響が残っており、特に緑色をさす「青」の用法は広く見られる。

また、各地方言で「あを」は黄色まで指していたとされ、『大日本方言辞典』によれば、青森・新潟・岐阜・福岡・沖縄といった地方では、青は黄も意味した。

このようなことから、日本語の青を表す言葉の色度範囲は青緑〜青紫まで幅が広い。

片山龍峯が考察した一説として、日本語のアオは「アフ=会う・合う」、または、その連用形の「アヒ=間(隣合うの意)」と関連した語であり[9]、アイヌ語のアフ(会)の他界観とも関連するものと捉えられている。龍峯によれば、アオとは黒と白の範囲の中間色を意味する「間(アヒ)」からきているとされ(龍峰はさらに現世と他界の中間の意についても触れている)、沖縄でも青はこの「アヒ(間)」から派生した語であるとしている。従って、大和・アイヌ・琉球における「アオ」の語源の流れは同じところから派生したものと考察している。

光源色としての青[編集]

Blue (webcolor)
  16進表記 #0000ff
光の三原色。左の円が青(ブルー)

(Blue) は光の三原色のひとつで、カラーモニターウェブサイト上で用いられ、 (Red) ・ (Green) と共に使われるためRGBと呼ばれる。この場合の青はRGB値で表すと

( R, G, B ) = ( 0, 0, 255 )

で表され、ウェブブラウザでBlueと指定したときは、16進数を用いて#0000FFとして定義される(右図)。色合いとしては日本語の「青」からイメージする色合いよりもやや紫みを帯びた濃い青色(群青色)である。

ウェブカラーとしてはさらにLightBlue、MediumBlue、DarkBlueの三色が以下のように定義されている。

LightBlue (webcolor)
  16進表記 #ADD8E6
MediumBlue (webcolor)
  16進表記 #0000FF
DarkBlue (webcolor)
  16進表記 #000080


物体色としての青[編集]

印刷技術における青[編集]

現在の印刷で使われ青はシアンと呼ばれる。プロセスカラーのシアンには最もよく使われるのは銅フタロシアニンのβ結晶であるPigment Blue 15:3で、これの分散性能を高めたものが、Pigment Blue 15:4である。どちらも、銅フタロシアニン青としては緑味である。また、光の三原色の青に色合いが似た色は、シアンマゼンタでも作ることができるし、「特色」として別の色を使う方法もある。

JIS規格における青[編集]

JIS慣用色名
  マンセル値 10B 4/14
ブルーJIS慣用色名
  マンセル値 2.5PB 4.5/10

JISの規格では青およびブルーがそれぞれ定義されている。この両者の色は微妙に異なる色として定義されている。 実際の色の違いは右の表を参照。


青の色料[編集]

は太古より使用されており、現在でも重要な色素染料顔料)である。現在より遥かに高級であった古来の絵画などで、美しい紫青色を出す顔料には半貴石ラピスラズリを原料とした顔料を用いた。これは海の彼方から運ばれてきたのでウルトラマリンと呼ばれ珍重された。その後科学が発達し合成色素、合成顔料が生産されるようになった。1704年ドイツで作られた紺青(プルシャンブルー)は暗い青色顔料であり、最初の合成顔料とされているが、現在でも生産されている。青色顔料として現在最も多用されるのは、葉緑素に似た化学構造を持つフタロシアニン青であり、銅フタロシアニンであるColour Index Generic Name、Pigment Blue15:3などが上述シアンとして使用されている。なおプルシャンブルーやフタロシアニン青より明るい青色顔料としてはコバルト青(アルミン酸コバルト)やセルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロム青、コバルト-アルミ-珪素酸化物 (Oxide Co-Al-Si) 、酸化コバルト-亜鉛-珪素(:Oxide Co-Zn-Si)、マンガン青、バナジウムジルコニウム青(トルコ青)等がある。

青色無機顔料[編集]

ウルトラマリン青 Ultramarine Blue[編集]

合成ウルトラマリン青
瑠璃(ラピスラズリ)

現在より遥かに高級であった古来の絵画などで、美しい青紫色を出す顔料には半貴石ラピスラズリを原料とした顔料を用いた。これは海のかなたから運ばれてきたのでウルトラマリンと呼ばれ珍重された。Colour Index Generic NameはPigment Blue 29。

人工ウルトラマリン青 Ultramarine Blue artificial[編集]

フレンチウルトラマリンとも言われる。極めて高彩度で、いかなる顔料でもこの色は再現できない。

天然ウルトラマリン青 Ultramarine Blue natural[編集]

ラピスラズリの原石を精製しウルトラマリン(ブルー)の絵具を作る技術は12、13世紀に発達したとされる。

瑠璃 Lapis Lazuli[編集]

瑠璃 (ラピスラズリ) は精製せずに用いられたこともあった。

岩群青 Mountain Blue[編集]

藍銅鉱

アズライト (Azurite) は鉱石の藍銅鉱、つまり塩基性炭酸銅より得られる天然の青色顔料である。15世紀から17世紀中ごろにかけてヨーロッパ絵画で、最も重要な顔料であったことは疑いがない[10]。緑色の塩基性炭酸銅であるマラカイトと共存していることがよくある。他の鉱物性顔料と同様、粉砕したものをよく選別した後、水洗、挽いて粉にし、水簸(すいひ)して製品とする。細かく挽くと淡色になり着色力も弱いので、かなり荒めに引く。粗粒のアズライトは紫青色をしている。絵画におけるアズライトの変色は、ニスによる見かけ上の場合が多い。変色はこの顔料は吸水してマラカイトができることがある。熱と温アルカリで黒変、酸に対しては、酢酸であっても溶解する。ただし、普通は安定している。

紺青 Prussian Blue[編集]

紺青は1704年ドイツで作られた青色顔料であり、最初の合成顔料とされているが、現在でも生産されている。通常、紺青と言えばプルシアンブルーのことである。鉄青[11]、アイロンブルー(Iron Blue)[12]、プロシア青などとも呼ぶ。Colour Index Generic NameはPigment Blue 27。

青色複合酸化物顔料[編集]

アルミ-コバルト 酸化物、アルミ-亜鉛-コバルト 酸化物、硅素-コバルト 酸化物、硅素-亜鉛-コバルト 酸化物などは、顔料として使用される。これらは青色を呈する複合酸化物顔料である。複合酸化物顔料 (mixed metal oxide pigment) とは、複数の金属酸化物を混合し、1000°C以上の高温で焼成した顔料である。複合酸化物顔料は着色力が小さいものの、耐熱性、耐候性に優れる。セラミックや耐熱塗料に使用される。焼成顔料 (calcination pigment) とも呼ばれる[13]

コバルト顔料[編集]

スマルト、コバルト青(アルミ酸コバルト)、錫酸コバルト、コバルトクロム青、コバルト-アルミ-珪素 酸化物、コバルト-亜鉛-珪素 酸化物などがある。

花紺青 Smalt[編集]

スマルトは最古のコバルト系顔料である。ガラス質の人工顔料で酸化コバルトを用い濃く着色した珪酸ガラスを粉砕したものである。Colour Index Generic NameはPigment Blue 32。

コバルト青 Cobalt Blue[編集]

コバルト青はアルミ酸コバルトであり、絵画用としては1800年代の中ごろから好んでよく使用されるようになった。絵画用としては、含水酸化クロムの絵具などと混合し用いられ、コバルトクロム緑などより美しい緑を作る。一般的には酸化コバルト1に対し、酸化アルミニウム4-6というものが多く、コバルト含有率はそれ程高くない。Colour Index Generic NameはPigment Blue 28。「コバルトブルー」も参照。

錫酸コバルト Cerulean[編集]

錫酸コバルトを、ラウニー商会が油絵具等に用いたのは、1860年代になってのことである。そのときの名称が「セルリアン」であり、現在でもラウニーは「セルリアン」の名称で販売している。錫酸コバルトは透過光では緑青色になる特異な色合いの青色顔料である。英語のceruleanは「青空色」を意味する[14]。Colour Index Generic NameはPigment Blue 35。

コバルトクロム青 Cobalt Chromium Blue[編集]

コバルトとクロムを含む酸化物固熔体で、堅牢性は極めて高く、絵画技法をはじめ、耐熱性を要求される分野、例えば窯業に至る広い用途を持っている。コバルトクロム緑の変種でクロム含有量が少ないもの。Colour Index Generic NameはPigment Blue 36。

ケイ酸コバルト亜鉛青 Cobalt Zinc Silicate Blue[編集]

ケイ酸コバルト亜鉛青 は、コバルト-亜鉛-珪素酸化物である。紫青色の顔料で隠蔽力は高くない。重要な用途は現在のところ存在しないが、絵具における濃色コバルト青を代替している傾向にあり、「コバルトブルー ディープ」の名で顔料や絵具として流通している。Colour Index Generic NameはPigment Blue 74。

コバルト-アルミ-珪素 酸化物[編集]

アルミ-珪素-コバルト 酸化物を参照。紺青と呼ばれる。

マンガン青 Manganese Blue[編集]

マンガン青は極めて赤味の少ない青色顔料である。1930年代から工業的に製造されるようになった。特異な色相を持ち、現在でも他の顔料・染料で代替できない色合いをしている。環境配慮のために現在製造されていない。Colour Index Generic NameはPigment Blue 33。

青色有機顔料[編集]

青色を呈色する有機顔料をここでは、青色有機顔料と総称する。インディゴフタロシアニン以外に、アントラキノン系の青色顔料であるインダンスレンブルー (Pigment Blue 60、Pigment Blue 64) 、印刷などに使用されるアルカリブルーなどがある。インディゴ、インダンスレンブルーは建染染料である。

藍 Indigo[編集]

インディゴ

藍は植物であるから取れる青藍の色料である。現在では合成藍が存在し組成は同じである。ただし、植物である藍は微量ながら赤紫の染料も含んでいる。これを集めて赤紫に染色することも不可能ではないが合理的でない。藍は染料として認知され染色に使用されるが、顔料であり、体質顔料に定着させる等の処理をせずに顔料として使用される。Colour Index Generic NameはPigment Blue 66、Vat Blue 1。

フタロシアニン[編集]

フタロシアニンの銅錯体

青色顔料として現在最も多用されるのは、葉緑素に似た化学構造を持つフタロシアニンである。1933年、ICI(インペリアル ケミカル インダストリーズ)社のリンステッドたちがフタロシアニンと命名、1935年に工業化され、モナストラルブルーの名で商品顔料になった。アメリカでは、1936年に別の名で取引が始まる。鮮明で着色力が非常に強く、プロシア青の倍程の着色力がある。濃色では赤味が強いが淡色では赤味が減じる。有機溶剤には溶解しない。濃硫酸塩酸以外の酸、アルカリには溶解しない。酸化剤、還元剤にも耐性がある。赤と黄の光を殆ど吸収し緑と青の光を反射するので、三色印刷に求められる、理想的な純粋の青に極めて近いものになる。絵具として商品化されたのは1936年に商品化されたすぐ後である。フタロシアニン青である銅フタロシアニン Colour Index Generic Name Pigment Blue15:3などが印刷以外でも、色の三原色のひとつという認識の下使われることがある。Colour Index Generic Nameには銅フタロシアニンのPigment Blue 15、無金属フタロシアニンのPigment Blue 16、銅フタロシアニンのPigment Blue 76等が記載されている。他にもアルミニウムフタロシアニン等様々ある。銅フタロシアニンも無金属フタロシアニンも良く用いられる。

フタロシアニンのベンゼン環にスルホン基を導入して可溶性色素(染料)とし、金属塩を用いてレーキ化したものは、鮮明で安価なので学童用に用いられることがある。しかし、耐光性に劣り、油絵具化するとブリード(滲出)する。

フタロシアニンはフタロシアニン青に続いて開発され、塩素化銅フタロシアニンは1838年に商品化された。Colour Index Generic NameにはPigment Green 7、臭素化塩素化フタロシアニンのPigment Green 36、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンのPigment Green 58が記載されている。液晶テレビを含む液晶ディスプレイカラーフィルタの緑には、構成要素としてPigment Green 36が使われている。

青に関する事項[編集]

自然界の青[編集]

パイエンネ湖の日入りの空と水面。青が散乱された結果、夕焼けは赤みを帯びる。斜めから見た水面は空の色を映し出してその色合いを変える。
オスのクジャクの羽。イリデッセンスにより角度によって色が変化する。

人々が自然の中で最も身近に接する晴れたの青色は、光の波長より小さな空気分子が短い波長をより多く散乱するレイリー散乱によるものである。日中は太陽の光のうち波長の短い青色が多く散乱されてわれわれの目に届くため青く見える[15]。この青空の色の原因については、それがあまりに日常的であったため古代にはあまり注目されてこなかった。それが説明されるべきものと考えられるようになったのはルネッサンス以降である[16]

晴れた日になど屋外の水面を斜めから見たときそれらは青く見え、通常海は青いものと思われている。こうして目にする青さのほとんどは、青空が映っているからであり、他の状況では海はさまざまな色を呈する。ただし、水は長波長の可視光をより多く吸収するので、海中で物は青っぽく見え、また、海中の浮遊物や、ある程度の深さのあるサンゴ礁のような明るい海底に当たって反射してきた光もそれそのものが青く見える[17]。(詳細は「水の青」を参照

色素としては青色は比較的まれである。とくにカーネーションバラなどにおいては交配によって青い花を咲かせる品種を作り出すことが困難であり、近年では遺伝子操作によって作り出そうとする研究が行われている。青いバラについては、不可能・幻を表す代名詞ともなっている[18]。ちなみに、花色という色名は青色の一種であるが、これはツユクサの花の色とされる。

の羽の鮮やかな色は様々な方法で作り出されているが、青色の場合は青空と同じように選択的な散乱を用いていることが多い。 ただしクジャクの羽はチョウと同じく光の干渉をもちいたイリデッセンスによる色である[19]。 色名の孔雀青は緑がかった青色を意味するが、実際のクジャクの羽は光線の状態や角度により様々に輝きを変える。

は極めてまれに青みがかって見えることがある。過去に大規模な森林火災や火山噴火で上空にチリが巻き上げられたときに観測されており、1 ミクロン程度のチリが赤や黄色の長波長の光を多く散乱するために起こる。火星の夕焼けも同様の理由で青い。こうしたことから、英語でブルームーン (blue moon) は極めてまれなことを意味することになった。なお、誤解からひと月に2度目の満月も実際の色にかかわりなくブルームーンとよばれる。

青色が寒色であるというイメージとは裏腹に、オリオン座β星・リゲルなど青みがかって見えるは、通常、他の星より温度が高く質量が大きな若い青色超巨星青色巨星である。寿命は数千万年かそれ以下と短く、われわれの太陽のようなより長い寿命の星からみれば、ひと時だけ激しく輝いて去っていく星である。最後には超新星爆発を起こして中性子星ブラックホールになると考えられている。リゲル同様青白く輝くおおいぬ座α星・シリウスは超巨星や巨星ではなく主系列星だがやはり表面温度は高温で、その青白い輝きから「青星」という和名を持つ。 またでも、比較的温度の高い(酸素供給量が多い)ほうが青く見える。

古代の青[編集]

ペルガモン博物館に復元されているバビロンのイシュタル門(前6世紀)
ジョット『ラザロの復活』。14世紀ジョットにおいて初めて空が青く彩色された。それまでは主に金色が用いられていた。

洋の東西を問わず古代には青色は日常と異なった別世界の色とされる傾向があり、日常の世界では重要な役割を果たさないか、ときに死体の色を連想させることなどから忌避される色でもあった[20]。 石器時代を通じ、青は作り出すことも難しく、青く染色されるものはほとんどなかった。 黒に対し、明るさを担う白、鮮やかさを担う赤という多くの古代社会での3つの基本色に対し、青は象徴的意味の弱いその他の色に甘んじ、色の分類的機能に加わることも少なかった[21]。 ヨーロッパではこうした傾向は12世紀ごろまで続いた。

古代ギリシャでは色相を積極的に表す語彙そのものが少なかった。 青色を表すためには2つの言葉、キュアノス (kyanos, κυανός) とグラウコス (glaukos, γλαύκος) が用いられたがその意味は曖昧である。前者のキュアノスはシアン (cyan) の語源でラピスラズリの深い青色をさして用いられたものの、むしろ明度の低い暗さを意味し、黒色、紫色、茶色をも表した[22]ホメロスはその深みを神秘的なものや、恐ろしげなもの、または珍しいものを形容するのに好んで使用している[23][24]。一方、グラウコスは瞳や海の形容として用いられたが、青色、緑色、灰色、ときに黄色や茶色をも表し、むしろ彩度の低さを意味していた[25]。 緑内障を表す英語グローコーマ (glaucoma) の語源はこのグラウコスであり、多くの場合、失明の危機をもたらす緑内障などの疾患をわずらったくすんだ瞳の色を表すのに用いられている[26]

古代ローマでも青はあまり注目されず、青とされるラテン語カエルレウス (caeruleus) はむしろ蝋の色、あるいは緑色、黒色を表していた[27]。 ローマでは青は喪服の色であり、何よりケルト人やゲルマン人などの野蛮さを象徴する憎むべき、もしくは回避すべき色であった。 例えば、青い瞳を持つことは醜さのひとつのようにみなされ、タキトゥスは青く体を染めたブリトン人の軍隊を「幽霊の軍隊」と呼び[28]大プリニウスはブリトン人の女性が体を青く染め忌まわしい儀式を行うと主張した[29]。 古代ギリシャ、古代ローマとも虹の色をさまざまに分類したがそこに青が加えられることはなかった[30]

中国でも青は人のものではないという意味合いがあった。 道教であの世とこの世を結ぶ門であるとされる中国豊都鬼城の門は青色に塗られており、手を触れると死期が近づくされる[31]

他の民族では、で青く染めることが行われ、青ないし緑は神秘さや異世界の色を表しもした。 中東やエジプトでは魔除けの色であり、また死者を守る葬儀や死と結びついた色でもあった[32]バビロンイシュタル門は青い彩釉煉瓦で彩られ、インドカーリダーサシヴァ神の肌の色を青と表した[33]。『旧約聖書』では翻訳による色彩用語の変遷が大きいものの[34]、神の足元もしくは玉座には青いサファイアがあった[35][36]

その後、ヨーロッパでは12世紀に青はそれまでの控えめな地位を捨て、数十年のうちに最も美しい色だとされるまでになる大変化を遂げた。 この時期、絵画の中での服装は喪に服す暗い青や黒から明るい青へと変化し、青の地位も向上していくことになった[37]

青に関するトリビア[編集]

  • 青はのイメージから、「希望」「冷静」のイメージを伴うことがある。例:“Blue Bird”(希望の鳥)
  • 同じく海や水のイメージから転じて、魚介類のイメージをも伴う。
  • 「平和」を示す色であり、国際連合のシンボルカラーとして使われている。
  • 寒さや恐怖などで顔色が悪くなることを「青ざめる」という。血の気がひいて赤みがなくなるためである。
  • 工員や技術職を象徴する。例:「ブルーカラー」(藍襟) ⇔
  • ロマン主義以降憂うつな心境を「ブルー」と呼ぶことがある。
  • 「寒冷」「冷淡」「陰気」の象徴として、専ら青が使われることが多い。地図上においても、冷帯ないし寒帯は青で示される。 ⇔(熱暑、情熱)
  • 暦において、半休土曜日)は青で記される。 ⇔(休日)、(平日)
  • トイレを示すピクトグラムをはじめ、黒の他に青が男性を表す色として使われることも多い。特に、男性トイレの灯火は青で示される例が多い。⇔ピンク(女性)
  • 知性、高尚、知識階級や貴族を象徴する色に、青が多用される。例:「藍い血を引く(=貴族階級である)」「ブルーリボン賞」 ⇔(臆病)
  • 日本の新左翼の中で革労協がヘルメットの色を青にしていた。
  • ヨーロッパでは、保守主義政党(特にキリスト教民主党系列)が青を用いることが多い。 ⇔
  • アメリカ合衆国民主党のシンボルカラー。選挙で民主党の票が優勢だった州を「青い州」と表現する。⇔
  • 仏教では、青色は「修羅」の世界の色として考えられている。
  • 馬の毛色における「青毛」は、「」色を指している。(青毛、青鹿毛、黒鹿毛の順に黒い。)
  • 紋章学における青色はアジュールと呼ばれる。古フランス語
  • 減少を表す。⇔(増加)、(増減なし)
  • 電報配達のオートバイ、速達用の郵便ポストは青色である。
  • 水道では、水温で色分けする場合、一般的に温度の低いほうが青となる。⇔
    • 水道の蛇口では冷水側を青で識別することが多い。
    • 空気調和設備では冷房・冷風を青で識別することが多い。
  • 手話において青は頬をなでるしぐさで表される。由来はひげの剃り跡を表したもの、あるいは病人の青ざめた顔を表したものとされる。
  • ボクシングでの青コーナーは普通、挑戦者サイドとなる。
  • 韓国の中道政党である民主党、その後身政党である新政治民主連合のシンボルカラーとして使われている。
  • パブロ・ピカソ1901年以降、友人の死をきっかけに「青の時代」と呼ばれる哀愁あふれる作品群を発表している。
  • 「インターナショナル・クライン・ブルー」はフランスの画家、イヴ・クライン1957年に開発し特許を取得した青の色名である。彼はこの色を用いた単色の作品群を多く発表している。
  • 長嶋茂雄の字を「魚へんにブルー」と説明したという逸話がある。
  • 選手時代の大下弘は戦後1リーグ時代の一時期、青バットを使用。

交通に関する事柄[編集]

道路に関する青[編集]

信号機(縦型)
  • 信号機において「進んでもよい」を意味する色として「アオ」が設定されている。緑色がかった色で、(冒頭で解説したように)日本のもともとの伝統的な「アオ」の概念に含まれる範囲である。
  • NEXCO西日本 - 社名ロゴの色に青を採用している。
  • 「命令」「強制」を意味する規制標識には、青が使われる例が多い。例えば、道路標識の「指定方向外進行禁止」は、青地に白の矢印で示される。指示標識や、自動車専用道路以外での案内標識も同様の配色。⇔(禁止)、(注意)、(許可)
  • 日本のナンバープレートで、地名表示が1文字だった時代、「青」が地名表示として使われていた。現在の「青森」にあたる。また駐日外交官用の自動車のナンバープレートは青地に白抜きである。

鉄道に関する青[編集]

  • 青をコーポレートカラーとする鉄道会社
    • JR西日本 - 社名ロゴの色には青を採用している。また自社が運行する多くの普通列車快速列車新快速を含む)・特急列車に青を配色している。
    • JR四国 - 社名ロゴの色は水色。一部の普通列車・特急列車にシンボルカラーの水色を配色している。
    • JR貨物 - 社名ロゴなどコーポレートカラーが「コンテナブルー」と呼ばれる灰色のかった青(青灰色)。コンテナや機関車などに使用している。
    • 小田急電鉄 - かつては黄色をシンボルカラーとしていたが、現在はすべての通勤車両がアイボリーとロイヤルブルー(ステンレス車体の場合銀色にロイヤルブルー帯)の車体に統一されている。種別表示は、各駅停車に濃い青、区間準急に水色を採用している。
    • 西武鉄道 - かつて1970年代から投入された101系以降の車両は黄色の時代が続いたが、1992年投入開始の6000系以降の新規車両は、銀色または灰色に、青(ライオンズブルー)の帯を入れたものに統一されている(それ以前に投入された車両は改修後も黄色のまま)。種別としては快速の色に使われる。
    • 東武鉄道 - かつては特定のコーポレートカラーを定めず、車両塗装や広告には赤・臙脂・オレンジ・青などを使用していたが、2012年5月の東京スカイツリー開業などを見据えて2011年7月に「フューチャーブルー」をコーポレートカラーに定め、CIロゴを策定[38]。その後、100系のリニューアル塗装や60000系などの車両塗装にも使用されるようになっている。

航空に関する青[編集]

全日空塗装のボーイング787原型2号機 (ZA002)
航空自衛隊F-2戦闘機。対艦攻撃が主任務の一つのため、洋上迷彩が施されている。

青空のイメージから、多くの航空会社コーポレートカラーや機体塗装に使用されている。代表的な例としては、

などがある。また、日本航空自衛隊F-2戦闘機ロシアインドSu-27など、一部の戦闘機の色に溶け込むため、青系統の塗装を施されることがある。

人物・キャラクターに関する青[編集]

物語に関する事柄[編集]

企業などに関する事柄[編集]

青及びブルーを含む言葉[編集]

[編集]

青色発光ダイオード

ブルー[編集]

しかしながら、「男性=青色」という短絡的なイメージでつけられたのか(また、男子野球日本代表を意味する「サムライジャパン」と混同しかねない為) 評判悪く、最近は外国メディアで使われ始めた「ライジングサン(・ジャパン)」の方を使うようにしている。

その他[編集]

地名[編集]

ことわざ[編集]

  • 青は藍より出でて藍より青し - 荀子の言葉。(中国語:青出於藍) 生徒や弟子が、その師を超えることを言う。

出典[編集]

  1. ^ 参考 漢典-緑の解釈(中国語)
  2. ^ 参考 漢典-藍の解釈(中国語)
  3. ^ 『広辞苑』 新村 出、岩波書店、1998年11月、第五版。ISBN 978-4000801126
  4. ^ 参考 漢典-蒼の解釈(中国語)
  5. ^ 参考 大辞泉:碧
  6. ^ 参考 漢典-碧の解釈(中国語)
  7. ^ 『日本国語大辞典』 小学館、第二版。 「青」の項
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  10. ^ 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
  11. ^ 『絵具及び顔料』桑原利秀 安藤徳夫 共著 共立図書
  12. ^ 『絵具及び顔料』桑原利秀 安藤徳夫 共著 共立図書
  13. ^ 『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
  14. ^ 『ジーニアス英和辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第3版版 2001/11 ISBN 4469041580 ISBN 978-4469041583
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  26. ^ The Meaning of Glaukos”. Dienekes' Anthropology Blog (2003年5月8日). 2009年12月28日閲覧。 特にそこで引用されている Maxwell-Stuart, P.G. (1981). Studies in Greek Colour Terminology. 1. Leiden: Brill. 
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  38. ^ http://www.tobu.co.jp/file/pdf/9cab2b4a0bc6e6d3c368717db00effe6/20110728.pdf 東武グループ グループロゴのご紹介 - 東武鉄道](2011年7月28日 PDF)

参考文献[編集]

  • パストゥロー, ミシェル 『青の歴史』 松村 恵理, 松村 剛訳、筑摩書房、2005年ISBN 9784480857811
  • Pesic, Peter (2005). Sky in a Bottle. Cambridge, MA: MIT Press. ISBN 0262162342. 

近似色[編集]

関連項目[編集]