リゲル

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リゲル
Rigel
仮符号・別名 オリオン座β星[1]
星座 オリオン座
視等級 (V) 0.12[1]
変光星型 脈動変光星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 05h 14m 32.27210s[1]
赤緯 (Dec, δ) -08° 12′ 05.8981″[1]
赤方偏移 0.000069[1]
視線速度 (Rv) 20.7km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 1.31 ミリ秒/年[1]
赤緯: 0.50 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 3.78± 0.34ミリ秒[1]
距離 862.43 ± 85.24光年[注 1]
(264.55 ± 26.15パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -6.993[注 2]
Orion constellation map.png
物理的性質
半径 70 R
質量 17 M
スペクトル分類 B8Iab[1]
光度 85,000 L[2]
表面温度 11,500K[2]
色指数 (B-V) -0.03[3]
色指数 (U-B) -0.66[3]
別名称
別名称
アルゲバル
オリオン座19番星[1]
BD -8 1063[1]
FK5 194[1], HD 34085[1]
HIP 24436[1], HR 1713[1]
SAO 131907[1]
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リゲル(Rigel)は、オリオン座β星オリオン座恒星で全天21の1等星の1つ。冬のダイヤモンドを形成する恒星の1つでもある。

概要[編集]

β星ではあるが、平均視等級の数字ではα星のベテルギウスよりも明るい。ベテルギウスは半規則変光星でありこの極大期にのみ明るさが逆転する[注 3]

物理的特徴[編集]

Computer generated image of Rigel compared to the Sun (to scale)

リゲルは、明るすぎて正確な視差の測定が困難とされてきた青色超巨星である。

リゲルは天の川銀河において肉眼で見える最も明るい恒星のひとつである。地球から似た距離にある青色超巨星としては、約1100光年彼方にある、とも座ζ星があげられる。

リゲルはおよそ22~25日で変則的に0.03~0.3の範囲で等級を変化させる。リゲルは3重連星として知られている。(等級変化の不規則性から)3番目の伴星を持つという議論はしばしばなされるが、一般的には星の表面の物理的な脈動によって引き起こされていると考えられている[7]

質量が非常に大きいため、中心部での水素の核融合反応が急激に進んでおり、そのためあと数千万年でヘリウムの核融合が始まって赤色超巨星となり、更に重い元素の中心核が形成され、超新星爆発を起こすと言われている。一方、恒星風によって表層から大量のガスが急速に失われており、数百万年経過すると超新星爆発を起こせなくなるほど質量が減り、最後はネオン酸素で構成された白色矮星となって星としての生涯を終えるという予測も存在する[8]

連星系[編集]

リゲルは、少なくとも1831年より、フリードリッヒ・フォン・シュトルーベによって、実視連星として観測され、知られている。しかし、等級6.7とされるリゲルBは、それより数百倍明るいリゲルAに近すぎて邪魔され、150ミリクラス以下の望遠鏡で観測するのは困難である[7]

二つのリゲル間の推定距離は、2,200天文単位以上であり、互いに回りあう固有の軌道を持っている[7][9]

リゲルBはそれ自身9.8日の公転周期を持つ分光連星である[10]。リゲルBを構成する2つの星のスペクトル型は共にB8Vである[7][9]

名称[編集]

固有名[編集]

リゲル
  • 語源
日本では、しばしば「巨人の左足」という意味だとされているが、実際には、アラビア語で「足」を意味する rijl (رجل, [リヂル]) が変化したものである。この星のアラビア名 Rijl al-Jawzā' ([リヂル・アル=ジャウザー]、「ジャウザーの足」 の意)から来ている。10世紀末から見られる、アラビア語起源の星の西洋名の一つである[11]
  • 表記と発音
日本での「リゲル」は、原綴りを綴字読み(ローマ字読み)したものからきている。英語では [ライジェル] というように発音される。
アルゲバル
リゲルの別名としては、同じアラビア語起源のアルゲバル (Algebar) またはエルゲバル (Elgebar) がある。これは、アラビアでの別名 Rijl al-Jabbār ([リヂル・アル=ヂャッバール]、「巨人の足」 の意)から来たものである。リゲルが天文学でも広く使われていることもあり、アルゲバルは、現在では、ほとんど用いられることはない。

和名[編集]

『日本星名辞典』に掲載された図と注釈の再現

リゲルの和名は「源氏星」(げんじぼし)とされている[12][13][14][15][16][17]

岐阜県において、平家星・源氏星という方言が見つかっている[16][18][19]。 これは昭和25年に、野尻抱影に報告された方言であり[注 4]ベテルギウスの赤色とリゲルの白色を源氏平家の旗色になぞらえた表現に由来したと解釈されている。 野尻は農民の星の色を見分けた目の良さに感心し、それ以後は渋谷のプラネタリウムで解説する際には、平家星・源氏星という名称を使用するようになった[18][19]

天文誌、図鑑、野尻抱影や藤井旭の著書をはじめ、多くの本で、リゲルの和名を「源氏星」と特定した上で、岐阜の方言であるとしている[16][18][19][21][22](ただし、岐阜県の揖斐郡横蔵村(現揖斐川町)においてリゲルを平家星とする村の古老が一名いたことが野尻抱影によって紹介されており [18][19]、民俗学の見地から異論を唱える研究者もいる[注 4])。

また、増田正之は昭和60年に、富山県高岡市の市立伏木小学校において、リゲルを源氏星とした方言を見つけている[23]

また、滋賀虎姫(現・長浜市)でリゲルを銀脇(ぎんわき)とする方言が発見されている。これは、オリオン座の三つ星の脇にある関係とベテルギウスの金色とリゲルの白色とを見分けた表現から来ている。このように星を色で見分けた表現は、世界的に類を見ないと言われている[18]

その他、リゲルが関係するアステリズムの方言はリゲル関係の方言を参照。

北尾浩一の見解
北尾浩一は、著書の中で揖斐地方で発見された平家星(へいけぼし)をリゲルとして分類している[20][注 4]
多くの書籍で、源氏星がリゲルを示す岐阜の方言とされている事について、野尻抱影の著書における村の古老の証言と逆であると指摘している。北尾浩一は、再調査を行い、発見地とされる揖斐地方では一般的に認識されているの旗印の色とは逆であったことを確認している[24]。この見解が最初に発表されたのは2005年であり、野尻は既に亡くなっていた。野尻は、源氏星をリゲルと特定したが、香田より第一報を受けた後、1000回を超えるやり取りの後、初めて信用したと証言されている[24]

中国名[編集]

中国では参宿第七星(參宿七)。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位
  3. ^ 『2008年 天文観測年表』の175頁に掲載されている半規則型及び不規則型変光星の一覧表ではベテルギウスの変光範囲は0.0等 - 1.3等となっており[4]、同書182頁に掲載されている5.05等より明るい恒星の一覧表[5]及び189頁に掲載されている3.0等より明るい恒星の一覧表[6]ではリゲルの明るさは0.12等となっており、極大期に限りベテルギウスはバイエル符号の順番通りオリオン座で最も明るく輝く。
  4. ^ a b c 北尾は発見者を香田としている[20]。香田まゆみ(または寿男)は昭和25年に平家星をリゲルと特定した古老の存在を野尻に報告している[18][19]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* bet Ori. 2013年1月19日閲覧。
  2. ^ a b Kaler, James. “Rigel”. 2012年1月19日閲覧。
  3. ^ a b イェール輝星目録第5版
  4. ^ 天文観測年表編集委員会 編 『2008年 天文観測年表』 地人書館2007年11月20日初版第1刷発行、ISBN 978-4-8052-0789-5、175頁。
  5. ^ 『2008年 天文観測年表』、182頁。
  6. ^ 『2008年 天文観測年表』、189頁。
  7. ^ a b c d Burnham, Robert, Jr. (1978). Burnham's Celestial Handbook. New York: Dover Publications. pp. 1300. 
  8. ^ Fred Schaaf, The Brightest Stars: Wiley, 2008, ISBN 978-0-471-70410-2 P.159.
  9. ^ a b Jedicke, Peter; Levy, David H. (1992). “Regal Rigel”. The New Cosmos. Waukesha: Kalmbach Books. pp. 48–53. 
  10. ^ ヨアヒム・ヘルマンドイツ語版 著、小平桂一 監修 『カラー天文百科』 平凡社1976年3月25日初版第1刷発行、245頁。
  11. ^ Kunitzsch. P., Smart. T., A Dictionary of Modern Star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations, Cambridge, 2006, p. 46.
  12. ^ 三省堂『大辞林』810項
  13. ^ 日本大百科全書』23巻リゲル項
  14. ^ 野尻抱影 著 『新星座巡礼』 19項
  15. ^ 野尻抱影 著 『星三百六十五夜』上巻(1978年)38項
  16. ^ a b c 『月刊天文ガイド』2007年2月号134項
  17. ^ 講談社『日本語大辞典』(リゲル項)2063項/平凡社『マイペディア』(リゲル項)1502項/ポプラ社『ポプラディア』第10巻(リゲル項)/学研の図鑑『星・星座』75項
  18. ^ a b c d e f 野尻抱影 著 『日本星名辞典』 東京堂出版、1973年、154-155頁
  19. ^ a b c d e 野尻抱影 著 『星の方言集 - 日本の星』 中央公論社、1957年、265-269頁
  20. ^ a b 学術出版会 北尾浩一著 『天文民俗学序説 - 星・人・暮らし』39項の表より
  21. ^ 藤井旭 著 『宇宙大全』441項/同著『全天星座百科』150項/同著『星座大全』35-36項
  22. ^ 講談社林完次 著 『21世紀星空早見ガイド』50項
  23. ^ 増田正之『ふるさとの星 続越中の星ものがたり』15項および、巻末 富山県星の一覧表3項
  24. ^ a b 北尾浩一 「『源氏星』と『平家星』」 - 星・人・暮らしの博物館東亜天文学会天界』2005年11月号648頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]