アンタレス

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アンタレス
Antares
仮符号・別名 さそり座α星[1]
星座 さそり座
視等級 (V) 1.09[1]
変光星型 LC型[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 16h 29m 24.45970s[1]
赤緯 (Dec, δ) −26° 25′ 55.2094″[1]
赤方偏移 -0.000011[1]
視線速度 (Rv) −3.4km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: −12.11 ミリ秒/年[1]
赤緯: −23.30 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 5.89± 1.00ミリ秒[1]
距離 553.48 ± 113.19光年[注 1]
(169.78 ± 34.72パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -5.059[注 2]
物理的性質
半径 700 R
質量 15.5 M
自転速度 20km/s
スペクトル分類 M1.5Iab-b[1]
表面温度 3500K
色指数 (B-V) +1.83[3]
色指数 (U-B) +1.34[3]
別名称
別名称
さそり座21番星[1]
Cor Scorpii, Kalb al Akrab
Scorpion's Heart, Vespertilio
FK5 616[1], HD 148478[1]
HIP 80763[1], HR 6134[1]
SAO 184415[1]
■Project ■Template
アンタレスB
仮符号・別名 さそり座α星B[4]
視等級 (V) 5.2[4]
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α) 16h 29m 24.2s[4]
赤緯 (Dec, δ) −26° 25′ 51″[4]
赤方偏移 0.000006[4]
視線速度 (Rv) 1.8km/s[4]
物理的性質
スペクトル分類 B2.5V[4]
別名称
別名称
HD 148479[4]
■Project ■Template

アンタレス(Antares)は、さそり座α星さそり座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。の空に赤く輝くよく知られる恒星の1つである。

特徴[編集]

アンタレスはかつては0.9等から1.8等まで変光する脈動変光星といわれていたが、実際はそれほど大きな光度変化は見られず、変光範囲は0.9等から1.2等である[2]。従って眼視観測ではアンタレスの変光はほとんどわからない(ちなみに眼視観測で変光が分かるのは変光範囲が0.5等以上の星である)。むしろさそり座δ星の方がアンタレスより変光範囲は大きい(さそり座δ星の変光範囲は1.7等~2.3等なので、眼視観測でも変光が確認できる)。

アンタレスはかつて直径が太陽の230倍とされ、「理科年表」も長らくこの値を採用していたが、実際はもっと大きな星で、直径は太陽の600倍ないし800倍である(理科年表2009年版では太陽の720倍に変更されている)。以前は明るさと表面温度から大きさを推定していたが、現在は干渉計によって実測しており、過去と現在の直径の違いはこれを反映している。明るさは太陽の8000倍ないし1万倍と考えられている。なお、赤外線を含めて計算すると明るさは太陽の6.5万倍である。非常に大きな直径と太陽よりはるかに明るい光度、そして表面温度が3500Kであることからアンタレスが赤色超巨星であることがわかる。

伴星[編集]

非常に美しい実視連星で、1.09等の主星(アンタレスA)から2.9秒離れたところに5.2等の伴星(アンタレスB)が輝いている。伴星は主星から550天文単位の距離にあるものと推測されている。2つの星のスペクトル型はアンタレスAがM1.5でアンタレスBがB2.5なのでアンタレスAが赤く、アンタレスBが青白く見えるはずだが、実際にはアンタレスAとの色の対比効果によりアンタレスBは緑色に見えることが多い。またアンタレスAも「赤」とはいっても「真っ赤」というよりはオレンジがかった赤色に輝いて見える。伴星は主星の370分の1の明るさしかないが、太陽の170倍の明るさで輝いている。2つの星の光度差が大きいため、分離には口径150mmほどの望遠鏡が必要である。伴星は主星が月により掩蔽される際に、小口径の望遠鏡で数秒間見ることができる。伴星は、1819年4月13日の月によるアンタレス食の際に発見された。伴星の軌道についてはよく分かっていないが、878年の周期で公転しているものと推測されている。

掩蔽(えんぺい)[編集]

アンタレスは白道に近い位置にあるので、による掩蔽即ち星食が見られることもある。他の恒星が月に隠される場合は、その光は瞬間的に消失するが、アンタレスでは10分の1秒ほどかかる。アンタレスの視直径(見かけの大きさ)が非常に大きいためである。また、黄道から5度以内に位置する4つの1等星のうちの1つであるため、まれに惑星による掩蔽が起きる場合がある。2400年11月17日には、金星によるアンタレス食が起きる。毎年12月2日頃、アンタレスの北5度の位置を太陽が通過する。

名称[編集]

さそり座は黄道十二宮の一つであり、従ってアンタレスは火星と大きく接近して見える場合があり、共に明るく赤い星であることから、ギリシャ語で「火星(アレース)に対抗(アンチ)するもの」を意味する名が付けられたものである。和名の赤星(あかほし)や、古い漢語で(か)、大火(たいか)と呼ぶのも、星の色に由来している。

ほかにもコル・スコルピイラテン語: Cor Scorpii)、ル・クール・デュ・スコルピヨンフランス語: le Cœur du Scorpion)、カルブ・ル・アクラブアラビア語: قلب العقرب‎ ; qalb l-`aqrab)など各国語の固有名を持ち、これらはいずれも「さそりの心臓」の意。

学名のアルファ・スコルピイα Scorpii、略号α Sco)で呼ばれることもある。

アンタレスと関連のある天体[編集]

IC4606[編集]

アンタレスの周りを取り囲んでいる赤く輝く散光星雲で、別名vdB107とも呼ばれる。散光星雲にはHII領域(自ら発光する星雲)と反射星雲(近くの星の光を反射して輝く星雲)の2種類に分けられるが、IC4606は後者である。HII領域は水素原子が発する6563オングストロームバルマー線Hα線と呼ばれる)を放つため赤く見えるものも多いが(例:ばら星雲)、IC4606はアンタレスの光を反射して輝いているのでHII領域の赤い輝きとは本質的に異なり、HII領域は深紅もしくはピンクがかった赤色のHα線で輝いているのに対し、IC4606はオレンジがかった赤色の連続光で輝いている。

Cr302[編集]

アンタレスはさそり─ケンタウルスアソシエーションさそり─ケンタウルス運動星団或いはさそり─ケンタウルス星流とも呼ばれる)の最も明るいメンバーであるが、そのなかでアンタレスを中心としたさそり座周辺(てんびん座へびつかい座も含む)の星を特にCr302さそり座OB2またはアンタレス運動星団とも呼ばれる)と呼ぶ。Cr302は散開星団に分類されるが[5]、明るい星が多いものの散開星団としてはまばらなので見応えはあまりない。

Cr302の主なメンバー一覧[編集]


脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME ANTARES. 2013年1月14日閲覧。
  2. ^ a b 天文観測年表編集委員会 編 『2008年 天文観測年表』 地人書館2007年11月20日初版第1刷発行、ISBN 978-4-8052-0789-5、175頁。
  3. ^ a b イェール輝星目録第5版
  4. ^ a b c d e f g h i SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME ANTARES B. 2013年1月14日閲覧。
  5. ^ 渡部潤一 『図説 新・天体カタログ─銀河系内編』 立風書房、1994年1月10日 ISBN 4-651-74509-1

関連項目[編集]

外部リンク[編集]