ミラ (恒星)

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ミラ
Mira
仮符号・別名 くじら座ο星[1]
星座 くじら座
視等級 (V) 6.53[1]
変光星型 ミラ型変光星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 02h 19m 20.79210s[1]
赤緯 (Dec, δ) -02° 58′ 39.4956″[1]
赤方偏移 0.000213[1]
視線速度 (Rv) 63.8km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 9.33 ミリ秒/年[1]
赤緯: -237.36 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 10.91 ± 1.22 ミリ秒[1]
距離 298.81 ± 37.62光年[注 1]
(91.66 ± 11.54パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 1.719[注 2]
物理的性質
スペクトル分類 M1-9e+DAB [1]
別名称
別名称
くじら座68番星[1]
BD -03 353[1]
HD 14386[1]
HIP 10826[1], HR 681[1]
SAO 129825[1]
LTT 1179[1]
■Project ■Template
ミラA
仮符号・別名 くじら座ο星A[2]
視等級 (V) 3.04[2]
変光星型 ミラ型変光星[2]
位置
元期:J2000.0[2]
赤経 (RA, α) 02h 19m 20.792s[2]
赤緯 (Dec, δ) -02° 58′ 39.50″[2]
物理的性質
半径 332~402 R
質量 1.18 M
スペクトル分類 M1-9e [2]
光度 8400~9360 L
表面温度 2918~3192 K
年齢 6×109
■Project ■Template
ミラB
仮符号・別名 くじら座ο星B[3]
視等級 (V) 9.5[3]
分類 白色矮星[3]
位置
元期:J2000.0[3]
赤経 (RA, α) 02h 19m 20.78s[3]
赤緯 (Dec, δ) -02° 58′ 39.5″[3]
物理的性質
スペクトル分類 DA [3]
別名称
別名称
くじら座VZ星[3]
■Project ■Template
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したミラ。
紫外線で撮影されたミラの「尾」。

ミラ(Mira)は、くじら座のο星(ο Cet)、最も有名な脈動変光星の1つで、ミラ型変光星の代表星である。

性質[編集]

ミラは他の脈動変光星と同様に、星が最も収縮した直後に明るさが極大となる性質を持つ。収縮時には恒星が高温となり、単位面積当たりの明るさが増えるためである。膨張時には逆の現象が起きるのに加え、低温の恒星大気に光を遮る酸化チタンの雲が発生し、光度の低下に拍車を掛けていると考えられている[4]。2.0等と10.1等の間を約332日の周期で変光するが、極大等級も周期も必ず一定になるとは限らない。

ミラの後方には全長約13光年にわたって彗星の尾のような構造が延びている。これは脈動の過程で放出された恒星の外層部の残骸とみられる。通常、恒星から放出された物質は惑星状星雲になるか拡散して観測できなくなるが、ミラは周囲の星間物質に対して高速で移動しているため、特有の構造が形成されたと推定されている[5][6]

ミラは実視連星でもあり、赤色巨星の主星(ミラA)と伴星(ミラB)からなる。ミラBも不規則に明るさを変化させる変光星であり、変光星名をくじら座 VZ星(VZ Cet)という。ミラBは降着円盤を伴う白色矮星だと考えられている[7]

ミラに関する年表[編集]

発見前[編集]

  • 紀元前2世紀:カール・マニティウスによれば、ヒッパルコスの 「エウドクソスとアラトスの 『ファイノメナ』の注解書」 でミラについて言及している条項があるという。
  • 紀元前134年頃:ミューラーとハルトヴィッヒによれば、ヒッパルコスはミラについて言及していたという。
何丙郁(Ho Peng-Yoke)によれば、この年にヒッパルコスが見た新星(プリニウスの 『博物誌』 など、通説ではさそり座に出現したとされる)がミラだったと主張している。ただ、この説だと前のマニティウスの主張と矛盾することになる。
  • 紀元1世紀:ヨハン・バイエルによれば、くじら座の 「こぶ」 あるいは 「湾曲部」 に位置する星(ミラのこと)についてはヒュギヌスと無名の人物が言及しているという。
  • 紀元前後:金井三男は 『聖書』 に登場するベツレヘムの星=ミラ説を主張している。
  • 1070年12月25日:何丙郁は、中国の文献に記録されている客星がミラだったと主張している。
  • 1592年11月23日:何丙郁は、韓国の文献に記録されている客星がミラだったと主張している(何丙郁は日付を「11月28日」と誤っているという)。
  • 1594年2月20日:何丙郁は、韓国の文献に記録されている客星がミラだったと主張している。

発見後[編集]

ミラは、ファブリツィウスによって発見されて以来、長らく新星と考えられていた(しかしながら、数年後には再発見されていたのであるから、今でいう回帰新星ということになる)。そのため、ロワーエの星図やヘヴェリウスの星表、フラムスティードの星表などではいずれも新星として扱われていた。18世紀の後半になって、『フラムスティード星図』 のパリ・第2版(1776年)で Variante、同パリ・第3版(1795年)で Changente と記されており、この頃には変光星として認知されていたと考えられる。

固有名[編集]

1662年に書かれたヘヴェリウスの著書「不思議な星の小史」 (Historiola Mirae Stellae) の表題から、ラテン語で 「不思議な」 を意味するミラ (Mira) という名前で呼ばれるようになった。実際にこの呼び名が使われたのはボーデによる 『フラムスティード星図』 のベルリン版(1782年)が最初である。

しばしば星座名を伴ってミラ・ケーティー(Mira Ceti、「くじら座の不思議星」)ともいう(以前はよく 「ミラ・ケチ」 と表記された)。類例として、デネブ・キュグニー(はくちょう座α星)、スピカ・ウィルギニス(おとめ座α星)、プロキシマ・ケンタウリ(ケンタウルス座α星C)がある。

また、ミラは「くじら座の心臓」に当たるといわれる[11]が、別名の Collum Ceti[9]はラテン語で「くじら座の頚」を意味する。ヘヴェリウスは、1690年に出版した星表 Prodromus Astronomiae では Nova in Collo Ceti (くじら座の頚にある新星) と記している。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for * omi Cet. 2013年1月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME MIRA A. 2013年1月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* VZ Cet. 2013年1月26日閲覧。
  4. ^ a b c d 記録的に明るい変光星ミラ-変光のしくみと観測の歴史”. AstroArts (2007年2月23日). 2010年9月12日閲覧。
  5. ^ “変光星ミラに尾 (?) を発見”. 国立天文台 アストロ・トピックス. (2007年8月17日). http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000324.html 2010年9月12日閲覧。 
  6. ^ a b “Speeding-Bullet Star Leaves Enormous Streak Across Sky”. NASA. (2007年8月15日). http://www.nasa.gov/mission_pages/galex/galex-20070815.html 2010年9月12日閲覧。 
  7. ^ a b “"Wonderful" Star Reveals its Hot Nature”. Chandra X-ray Observatory. (2005年4月28日). http://chandra.harvard.edu/press/05_releases/press_042805.html 2010年9月12日閲覧。 
  8. ^ a b c d e 原恵 『星座の神話 - 星座史と星名の意味』 (新装改訂版) 恒星社厚生閣、1996年6月30日、207頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  9. ^ a b Richard Hinckley Allen. “Star Names: Their Lore and Meaning”. Bill Thayer. 2014年11月28日閲覧。
  10. ^ 岡崎彰 『奇妙な42の星たち』 誠文堂新光社1994年ISBN 4-416-29420-4 
  11. ^ くじら座の長周期変光星ミラが極大光度”. AstroArts (2006年3月25日). 2014年11月28日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]